火器系
2018年09月06日
缶入りの固形アルコール燃料は、旧日本陸軍で開発され、その後、自衛隊でも採用され、かつ現在においてもキャンプ用や防災用として、ホームセンターに売られています。一般に火力が弱いとされるアルコールの固形燃料(携帯燃料)が、未だに命脈を持ち続けているのは、まずもって壊れない構造である事、マッチ1本で着火が可能な簡便さが認められての事だと思います。

使い方は至って簡単
蓋を開けて、マッチで点火して、ゴトクを置くだけ
蓋さえしっかり閉まっていれば
中が揮発する事もありません

ゴトクも意外と頑丈で
4合炊きの飯盒はおろか、4リットルのヤカンでも載ります

使い終わったら、蓋をする前にゴトクをどかさねばなりません
ペンチなどを用意しておく必要があります

消火は、蓋を逆さに被せます
缶が暑いうちに蓋をはめると、気化したアルコールで
蓋が吹っ飛んでびっくりします
■缶入り携帯燃料の火力の実際
固形燃料は火力が弱い、と言われるのですが、では具体的にどの程度弱いのかを検証しました。4合炊きの飯盒で、何分でご飯を炊く事が出来るかで試しました。条件は無風の室内で気温27度としました。屋外では明らかに不利な熱源ですので、屋内専用とみなしての事です。
点火した携帯燃料に、おもむろに飯盒を乗せます。携帯燃料は火力調整のしようがないので、あとは炊きあがるまで放っておきます。問題はいつ炊きあがるかで、まずグツグツ言い出すまでに13分を要しました。しかも、この段階ではまだ沸騰していなくて、まったく湯気も出ません。さらに待つ事、5分半、ようやく湯気を吹き出し始めました。そこから重湯が引くまで待つ訳ですが、これがいつまで経ってもなかなか引かない。結局、11分少し、トータルで30分そこらで切り上げましたが、その時点でもまだ重湯は残っていました。
結果、出来上がったご飯は、辛うじて米粒が確認できるけど、あと少しでお粥になるんではないか、というほどのベタ飯で、まったく話しにならない出来映えとなりました。つまり、この手の缶入り携帯燃料では、4合炊きの飯盒炊飯をするには、明らかに火力不足である事が分かります。
飯盒を乗せてから、18分してようやく吹き出しました
これではベタ飯確定です

実測値
ラップ3は重湯が引くまでの時間ですが
これでもまだ重湯が残ってました

ご飯の真ん中が凹んでいるのは
残った重湯が溜まった跡です

べったべたのご飯です
一応、「食べれる」ご飯ですが、「美味い」ご飯にはほど遠いです
■湯立て法で対策
固形燃料で飯盒を使うのは、正味の話し、あまりお勧め出来ないのですが、それでも缶入り携帯燃料しかなかった場合に備えて、どうにかまともなご飯が炊ける工夫をしました。湯立て法というのは、沸騰した湯に洗った米を入れて炊く方法で、これなら水が沸騰する間、米はなんら影響を受けませんから、上記の様なベタ飯になる可能性が低い炊き方です。
とは言え、缶入り固形燃料だと、たった700ccの水を沸騰させるのに、約12分もかかりました。水と米を同時に入れる炊き干し法だと、この間に米がふやけてしまう様なもんですが、湯立て法はこの間は米は何の影響もありません。
沸騰してから米を入れて蓋をして待つ事、約8分。やっと湯気が吹き出しました。湯気が吹くまでの時間は、炊き干し法の時と大して差がありません。ところが違いはここから重湯が引くまでの時間で、湯立て法では約4分で重湯が引き、トータルタイムで5分短縮という結果になりました。
出来上がったご飯も、炊き干し法で炊いた時のベタ飯でなく、それなりにしっかりしたご飯になりました。しかし、その味は、米の味というより水の味で、火力が弱すぎてα化があまり進まなかった時のご飯の風味です。炊飯器の下くらいの出来映えです。むろん食べれはしますが、美味い飯とはほど遠い出来映えでした。
■缶入り携帯燃料の使い道
湯立て法で辛うじてまともなご飯を炊けたのですが、それでも缶入り携帯燃料の火力では、荷が勝ちる事が分かりました。以前、2合炊きでチャレンジした事がありましたが、結果は多少マシなだけで、さほどの差はありませんでした。
大きな飯盒で4合ものご飯を炊くのは大変でも、小さいクッカーで1合や2合炊くのであれば、また勝手は違ってきます。要するに、それなりに小さいクッカーであれば、缶入り携帯燃料でも活躍の余地はあります。また、時間は掛かるとはいえ、水を沸騰させる事は出来ますので、レトルト食品や缶詰、ハイゼックス炊飯袋などを温める用途には使えると思います。

使い方は至って簡単
蓋を開けて、マッチで点火して、ゴトクを置くだけ
蓋さえしっかり閉まっていれば
中が揮発する事もありません

ゴトクも意外と頑丈で
4合炊きの飯盒はおろか、4リットルのヤカンでも載ります

使い終わったら、蓋をする前にゴトクをどかさねばなりません
ペンチなどを用意しておく必要があります

消火は、蓋を逆さに被せます
缶が暑いうちに蓋をはめると、気化したアルコールで
蓋が吹っ飛んでびっくりします
■缶入り携帯燃料の火力の実際
固形燃料は火力が弱い、と言われるのですが、では具体的にどの程度弱いのかを検証しました。4合炊きの飯盒で、何分でご飯を炊く事が出来るかで試しました。条件は無風の室内で気温27度としました。屋外では明らかに不利な熱源ですので、屋内専用とみなしての事です。
点火した携帯燃料に、おもむろに飯盒を乗せます。携帯燃料は火力調整のしようがないので、あとは炊きあがるまで放っておきます。問題はいつ炊きあがるかで、まずグツグツ言い出すまでに13分を要しました。しかも、この段階ではまだ沸騰していなくて、まったく湯気も出ません。さらに待つ事、5分半、ようやく湯気を吹き出し始めました。そこから重湯が引くまで待つ訳ですが、これがいつまで経ってもなかなか引かない。結局、11分少し、トータルで30分そこらで切り上げましたが、その時点でもまだ重湯は残っていました。
結果、出来上がったご飯は、辛うじて米粒が確認できるけど、あと少しでお粥になるんではないか、というほどのベタ飯で、まったく話しにならない出来映えとなりました。つまり、この手の缶入り携帯燃料では、4合炊きの飯盒炊飯をするには、明らかに火力不足である事が分かります。
飯盒を乗せてから、18分してようやく吹き出しました
これではベタ飯確定です

実測値
ラップ3は重湯が引くまでの時間ですが
これでもまだ重湯が残ってました

ご飯の真ん中が凹んでいるのは
残った重湯が溜まった跡です

べったべたのご飯です
一応、「食べれる」ご飯ですが、「美味い」ご飯にはほど遠いです
■湯立て法で対策
固形燃料で飯盒を使うのは、正味の話し、あまりお勧め出来ないのですが、それでも缶入り携帯燃料しかなかった場合に備えて、どうにかまともなご飯が炊ける工夫をしました。湯立て法というのは、沸騰した湯に洗った米を入れて炊く方法で、これなら水が沸騰する間、米はなんら影響を受けませんから、上記の様なベタ飯になる可能性が低い炊き方です。
とは言え、缶入り固形燃料だと、たった700ccの水を沸騰させるのに、約12分もかかりました。水と米を同時に入れる炊き干し法だと、この間に米がふやけてしまう様なもんですが、湯立て法はこの間は米は何の影響もありません。
沸騰してから米を入れて蓋をして待つ事、約8分。やっと湯気が吹き出しました。湯気が吹くまでの時間は、炊き干し法の時と大して差がありません。ところが違いはここから重湯が引くまでの時間で、湯立て法では約4分で重湯が引き、トータルタイムで5分短縮という結果になりました。
出来上がったご飯も、炊き干し法で炊いた時のベタ飯でなく、それなりにしっかりしたご飯になりました。しかし、その味は、米の味というより水の味で、火力が弱すぎてα化があまり進まなかった時のご飯の風味です。炊飯器の下くらいの出来映えです。むろん食べれはしますが、美味い飯とはほど遠い出来映えでした。
■缶入り携帯燃料の使い道
湯立て法で辛うじてまともなご飯を炊けたのですが、それでも缶入り携帯燃料の火力では、荷が勝ちる事が分かりました。以前、2合炊きでチャレンジした事がありましたが、結果は多少マシなだけで、さほどの差はありませんでした。
大きな飯盒で4合ものご飯を炊くのは大変でも、小さいクッカーで1合や2合炊くのであれば、また勝手は違ってきます。要するに、それなりに小さいクッカーであれば、缶入り携帯燃料でも活躍の余地はあります。また、時間は掛かるとはいえ、水を沸騰させる事は出来ますので、レトルト食品や缶詰、ハイゼックス炊飯袋などを温める用途には使えると思います。
2018年09月04日
イワタニプリムスのIP-2243は、発売されてかれこれ30年にはなるロングセラーなガスストーブで、モデルチェンジはしていますが、現行でも発売されています。現行モデルは、この記事に載ってるものと、電気着火装置の形が異なります。つまり、この記事のは、旧モデルです。
このストーブについては、姉妹サイトの方でも何度か記事にしていますが(IP-2243、IP-2243 SA/PFA、IP-2243オプションパーツ)、今回は飯盒炊飯にクローズアップしてご紹介します。
■飯盒に最適なガスストーブ
アウトドア用のコンロも、今やガスが主流になっているのですが、このモデルが発売された当時は、まだまだ海の物とも山の物とも分からない代物で、ガスストーブの黎明期でした。そのせいか、IP-2243は当時としても大きなバーナーを持ったストーブでした。バーナーが大きいという事はストーブも大きくなるという事で、ソロキャンプ用としては少々嵩張る大きさです。
ところが、この大きなバーナーが、飯盒でご飯を炊く上で、非常に大きな利点をもたらしました。というのも、大きなバーナーから出る火が飯盒の底全体を温める格好になり、火の当たる部分が大きいため、底均一に熱が加わるからです。これが当節一般的となった小さいバーナーだと、底の一点に火が集中してしまう為、飯盒を沸騰させようとしたら、その部分がヘタしたら炭化するほど焦がしてしまうのです。
火の当たる部分が大きいというのは、それだけα化が促進される範囲も広いという事で、バーナーが小さいストーブよりも、ご飯が美味しくなる傾向にあります。その点からも、IP-2243は有利なストーブであると言えます。
■飯盒の実測値
IP-2243の最大出力は、プロパンガス含有のTガス使用時で3600kcal/hと高い火力を誇っています。ちなみに、平均的なガソリンストーブの火力が2000kcal/h前後です。ただし、使用し続けるに従って気化熱で火力が落ちてくる事、そもそも低い気温の時は火力が落ちる事、そういうのを勘案して、家庭用のコンロ並みと考えて差し支え有りません。それでも飯盒炊飯には十分な火力です。
炊き方は至って簡単で、いきなり強火に飯盒を掛け、沸騰させます。大体4分30秒で沸騰させる事。もっとも、IP-2243の最大火力で4合炊きだと、そのくらいで沸騰します。沸騰したら、火を中火にして炊きます。4合だと盛大に吹きこぼれますので、重湯がバーナーにかからない様に、いい感じの場所に置く様にしましょう。大体4分30秒くらいで重湯が引く程度の中〜弱火が最適です。といっても、飯盒の外側からではよく分からないと思うので、4分くらいでサッと蓋を取って中身を確かめます。
難しいのは、4分30秒くらいで重湯が引く様に弱火パートでの火加減を覚える事です。ビビって弱火にし過ぎるとなかなか重湯が引かずベタ飯になったあげく、重湯が引くまで火に掛けてると底が焦げます。弱火が強すぎると、直ぐに重湯が引いて底が焦げます。
とはいえ、火力調整ダイヤルを回すだけで火力調整出来ますので、焚き火に比べたら遥かに楽です。
■IP-2243の実用上の注意点
これと言って実用上に問題のないIP-2243ですが、強いてあげるとすると、以下の3つの事を注意しています。
まず、バーナーとカートリッジを繋ぐガスチューブが細く、バーナーに4合炊きの飯盒を乗せると、若干グラグラする感じがします。普通に使ってる分には、飯盒が転けて落ちるとか、強度が弱いという事はないのですが、一応は、平らな地面を選ぶ、うっかり転さない様に注意しています。
もう一つは、ガスカートリッジの上にバーナーが来る構造なので背が高く、上記と相まって若干不安定に見える事です。特に大きい500のカートリッジを使った時に顕著で、机の上で使う時などは、結構高い位置に飯盒が来ます。これも不安定に見えるというだけで、実用上は大して問題になりませんが、分離型や横置き型のストーブに比べれば、何か引っ掛けてひっくり返す率は高いはずなので、注意して使う様にしています。
三つ目は風について。IP-2243は独特のX字型のゴトクをつけていて、これは風に強いとされていますが、それでも風が吹けば火が煽られて火力が落ちますので、屋外では防風を、室内では扇風機の近くで使わないなど、配慮しています。まぁ、これについては、どんな火力の強いストーブでも共通する事柄です。

500のカートリッジだと、結構背が高いです

韓国製の三つ又アダプターを使うとカセットガスも使えます
ただし、若干火力が落ちます

分離型ストーブが流行り出した頃に売られていた
プリムス純正のスパイダーキット
今はプレミア付きで取引されています
■防災用品としてはどうか?
IP-2243は、その性能から、防災用としても適しています。ただし、いくつかの問題点があります。
まず値段が高く、ネット以外の実店舗での購入は、アウトドアショップや登山具店でしか見かけない事。値段は実売価格で6600円程度。実は世にあるこの手のストーブの中では安い部類なのですが、初めてこの手の物を買おうと思う人には高く感じるかもしれません。そういった人には、キャプテンスタッグのオーリックM-7900を勧めています。若干安いだけでなく、これなら大抵のホームセンターに売っています。
IP-2243は、いわゆるカセットガスでなく、ガスカートリッジ(OD缶)を使用します。カセットガスがホームセンターはおろか、大きめのドラッグストアやスーパー、コンビニなど、どこで大抵売っているのに対して、ガスカートリッジはアウトドアショップかホームセンターくらいでしか売っていません。ましてや、イワタニプリムスのカートリッジとなると、そこらの店ではあまり見かけません(ネットでは買えますが)。
しかし、世の中良くしたもので、上記のキャプテンスタッグのストーブが売っている店は、大抵、キャプテンスタッグ製のガスカートリッジが売っていて、これがIP-2243に使えます。というか、大抵のガスカートリッジを使うストーブは、互換があります。メーカーは禁止していますが、使えます。なので、燃料の補給もある程度は見込めます。もっとも、イザという時になって買いに走るのでは遅きを逸しますので、予め買い置きしておくのをお勧めします。
このストーブについては、姉妹サイトの方でも何度か記事にしていますが(IP-2243、IP-2243 SA/PFA、IP-2243オプションパーツ)、今回は飯盒炊飯にクローズアップしてご紹介します。
■飯盒に最適なガスストーブ
アウトドア用のコンロも、今やガスが主流になっているのですが、このモデルが発売された当時は、まだまだ海の物とも山の物とも分からない代物で、ガスストーブの黎明期でした。そのせいか、IP-2243は当時としても大きなバーナーを持ったストーブでした。バーナーが大きいという事はストーブも大きくなるという事で、ソロキャンプ用としては少々嵩張る大きさです。
ところが、この大きなバーナーが、飯盒でご飯を炊く上で、非常に大きな利点をもたらしました。というのも、大きなバーナーから出る火が飯盒の底全体を温める格好になり、火の当たる部分が大きいため、底均一に熱が加わるからです。これが当節一般的となった小さいバーナーだと、底の一点に火が集中してしまう為、飯盒を沸騰させようとしたら、その部分がヘタしたら炭化するほど焦がしてしまうのです。
火の当たる部分が大きいというのは、それだけα化が促進される範囲も広いという事で、バーナーが小さいストーブよりも、ご飯が美味しくなる傾向にあります。その点からも、IP-2243は有利なストーブであると言えます。
■飯盒の実測値
IP-2243の最大出力は、プロパンガス含有のTガス使用時で3600kcal/hと高い火力を誇っています。ちなみに、平均的なガソリンストーブの火力が2000kcal/h前後です。ただし、使用し続けるに従って気化熱で火力が落ちてくる事、そもそも低い気温の時は火力が落ちる事、そういうのを勘案して、家庭用のコンロ並みと考えて差し支え有りません。それでも飯盒炊飯には十分な火力です。
炊き方は至って簡単で、いきなり強火に飯盒を掛け、沸騰させます。大体4分30秒で沸騰させる事。もっとも、IP-2243の最大火力で4合炊きだと、そのくらいで沸騰します。沸騰したら、火を中火にして炊きます。4合だと盛大に吹きこぼれますので、重湯がバーナーにかからない様に、いい感じの場所に置く様にしましょう。大体4分30秒くらいで重湯が引く程度の中〜弱火が最適です。といっても、飯盒の外側からではよく分からないと思うので、4分くらいでサッと蓋を取って中身を確かめます。
難しいのは、4分30秒くらいで重湯が引く様に弱火パートでの火加減を覚える事です。ビビって弱火にし過ぎるとなかなか重湯が引かずベタ飯になったあげく、重湯が引くまで火に掛けてると底が焦げます。弱火が強すぎると、直ぐに重湯が引いて底が焦げます。
とはいえ、火力調整ダイヤルを回すだけで火力調整出来ますので、焚き火に比べたら遥かに楽です。
■IP-2243の実用上の注意点
これと言って実用上に問題のないIP-2243ですが、強いてあげるとすると、以下の3つの事を注意しています。
まず、バーナーとカートリッジを繋ぐガスチューブが細く、バーナーに4合炊きの飯盒を乗せると、若干グラグラする感じがします。普通に使ってる分には、飯盒が転けて落ちるとか、強度が弱いという事はないのですが、一応は、平らな地面を選ぶ、うっかり転さない様に注意しています。
もう一つは、ガスカートリッジの上にバーナーが来る構造なので背が高く、上記と相まって若干不安定に見える事です。特に大きい500のカートリッジを使った時に顕著で、机の上で使う時などは、結構高い位置に飯盒が来ます。これも不安定に見えるというだけで、実用上は大して問題になりませんが、分離型や横置き型のストーブに比べれば、何か引っ掛けてひっくり返す率は高いはずなので、注意して使う様にしています。
三つ目は風について。IP-2243は独特のX字型のゴトクをつけていて、これは風に強いとされていますが、それでも風が吹けば火が煽られて火力が落ちますので、屋外では防風を、室内では扇風機の近くで使わないなど、配慮しています。まぁ、これについては、どんな火力の強いストーブでも共通する事柄です。

500のカートリッジだと、結構背が高いです

韓国製の三つ又アダプターを使うとカセットガスも使えます
ただし、若干火力が落ちます

分離型ストーブが流行り出した頃に売られていた
プリムス純正のスパイダーキット
今はプレミア付きで取引されています
■防災用品としてはどうか?
IP-2243は、その性能から、防災用としても適しています。ただし、いくつかの問題点があります。
まず値段が高く、ネット以外の実店舗での購入は、アウトドアショップや登山具店でしか見かけない事。値段は実売価格で6600円程度。実は世にあるこの手のストーブの中では安い部類なのですが、初めてこの手の物を買おうと思う人には高く感じるかもしれません。そういった人には、キャプテンスタッグのオーリックM-7900を勧めています。若干安いだけでなく、これなら大抵のホームセンターに売っています。
IP-2243は、いわゆるカセットガスでなく、ガスカートリッジ(OD缶)を使用します。カセットガスがホームセンターはおろか、大きめのドラッグストアやスーパー、コンビニなど、どこで大抵売っているのに対して、ガスカートリッジはアウトドアショップかホームセンターくらいでしか売っていません。ましてや、イワタニプリムスのカートリッジとなると、そこらの店ではあまり見かけません(ネットでは買えますが)。
しかし、世の中良くしたもので、上記のキャプテンスタッグのストーブが売っている店は、大抵、キャプテンスタッグ製のガスカートリッジが売っていて、これがIP-2243に使えます。というか、大抵のガスカートリッジを使うストーブは、互換があります。メーカーは禁止していますが、使えます。なので、燃料の補給もある程度は見込めます。もっとも、イザという時になって買いに走るのでは遅きを逸しますので、予め買い置きしておくのをお勧めします。
2018年08月11日
折りたたみが出来て場所取らずで、かつ地面へのインパクトも少ないウッドストーブという事で、購入以来、もっぱらベランダだの庭だので愛用しているファイヤーボックス。庭付きの一戸建てに引っ越してからは、ますます本領発揮なのですが、最近、使い方をちょっと変えました。もしかしたら、こうしてなかったのは自分だけかもしれませんが。
■ベランダ時代との違い
ファイヤーボックスを使い始めたのは、引っ越す前のマンションのベランダでした。ベランダだけに狭かったのですが、それがむしろ幸いしてあまり風が吹き込まず、大した風防もせずにファイヤーボックスを使う事が出来ました。
また当時は、自分一人しか食べる者が居なかったので、2合炊きしかしてませんでした。4合に比べると2合は単純に量が半分ですから炊くのも簡単で、焚き火する環境にも恵まれていた事もあって、飯盒炊爨に失敗するイメージは全然持っていませんでした。
ところが、新居の庭は当然のごとく壁がないので吹きさらしです。ちょこっと風が吹いただけでも火が煽られて飯盒が温まらない。しかも、4合炊きだと2合の倍ある訳で、嵩が多い分、沸騰させるにもパワーが必要で、火力が弱いと美味く飯を炊く事が出来ません。
そこで、いろいろ試行錯誤や観察をした結果、次の事に気がつきました。
■ファイヤーピンの使い方
ファイヤーボックスには、ファイヤーピンというのが付属していて、これは本来は小さいポットやカップを載せたり、缶入り固形燃料やアルコールストーブを載せる時に使います。なので、ファイヤーボックスよりも大きい鍋やフライパンは、ファイヤーピンを使わなくても載せる事が出来ます。
ところが、ファイヤーボックス自体に飯盒を載せると、飯盒を載せてる部分の側面が防火壁となってそちらからは火が出ない。そこで、ファイヤーボックスを使って、これまでと置き方を90度回転させて、これまで防火壁になってた部分に出来る隙間からも火を出す様にすれば、火の勢いが落ちるのを多少は防ぐ事が出来、かつ飯盒の釣り手側の側面にも火が当たる様になり、熱伝導がよくなるのではないか、と考えました。
実際にやってみたところ、確かに火の回りが良いし、勢いもあまり落ちない。こんな事なら、もっと早くに使っておくべきだったかな、と思いました。このファイヤーピン、上記の様にこれまでは全然使ってなかったので、あれば役に立っただろう場合でも、そこらに放ったらかしにして使ってなかったのです。しかし、折り畳んだ時にもちゃんと装着出来る様になっており、オプションでついている訳でなく標準装備ですから、大いに使うべきでした。
このファイヤーピン、むしろ、ファイヤーボックスの上を面一にして使う装備として考えたら、結構使いでありそうです。小さいポットなどもそうですが、米軍のメスパンなんかも、ファイヤーピン使った方が安定しそうです。

ファイヤーピンをつけて、その上に飯盒を置く事で
火の通り道を増やします

ご覧の通り、飯盒の側面の至るところに
火が当たる様になりました

メスパンは、丁度、乗るか乗らないかという感じなので
ファイヤーピンを使った方が断然楽です
■ファイヤーボックスの耐久性
このファイヤーボックス、2016年3月に買って以来、毎日とは言わないまでも、相当使い込んできました。新品当初のキラキラした輝きは既になく、それどころか錆びさえ浮いてきました。ステンレスだからといって錆びない訳ではありません。しかも、ここ最近は毎日使うので、組み立てたまま外に放ったらかしです。(さすがに雨が降りそうな時は、軒下に退避させますが)
そこで、前回同様に、ボンスターでざっと洗って、ガスレンジで炙って乾かしました。ヤレ感はありますが、稼働部はしっかりしてて折りたたみもちゃんと出来、意外に耐久性高いと思います。お値段は1万円ほどしますが、こんだけ使って、まだまだ使える事を考えると、妥当どころかお買い得感があります。最近はチタン製のブッシュボックスもあり、そっちはそっちで気になりますが、壊れない限りは、このファイヤーボックスを使い続けようと思います。

毎日使いっ放しで、結構錆びも浮いてます

ボンスターで汚れや煤、錆を落として
ガスレンジで水気を飛ばします
しまう時はCRCを吹いて錆び止めします

あれほど汚れてましたが
洗えば素手で触っても気にならないほどキレイになります

あれほど汚れてても、ちゃんと折り畳めます
ファイヤーピンも固定出来ます
■ベランダ時代との違い
ファイヤーボックスを使い始めたのは、引っ越す前のマンションのベランダでした。ベランダだけに狭かったのですが、それがむしろ幸いしてあまり風が吹き込まず、大した風防もせずにファイヤーボックスを使う事が出来ました。
また当時は、自分一人しか食べる者が居なかったので、2合炊きしかしてませんでした。4合に比べると2合は単純に量が半分ですから炊くのも簡単で、焚き火する環境にも恵まれていた事もあって、飯盒炊爨に失敗するイメージは全然持っていませんでした。
ところが、新居の庭は当然のごとく壁がないので吹きさらしです。ちょこっと風が吹いただけでも火が煽られて飯盒が温まらない。しかも、4合炊きだと2合の倍ある訳で、嵩が多い分、沸騰させるにもパワーが必要で、火力が弱いと美味く飯を炊く事が出来ません。
そこで、いろいろ試行錯誤や観察をした結果、次の事に気がつきました。
- 風防は必要で、アルミ板で作成。あっても煽られるが、無いよりマシ。
- よく燃えない薪だけで焚かない事。
- どんだけ勢い良く燃えていても、飯盒を載せると火勢が落ちる事。
■ファイヤーピンの使い方
ファイヤーボックスには、ファイヤーピンというのが付属していて、これは本来は小さいポットやカップを載せたり、缶入り固形燃料やアルコールストーブを載せる時に使います。なので、ファイヤーボックスよりも大きい鍋やフライパンは、ファイヤーピンを使わなくても載せる事が出来ます。
ところが、ファイヤーボックス自体に飯盒を載せると、飯盒を載せてる部分の側面が防火壁となってそちらからは火が出ない。そこで、ファイヤーボックスを使って、これまでと置き方を90度回転させて、これまで防火壁になってた部分に出来る隙間からも火を出す様にすれば、火の勢いが落ちるのを多少は防ぐ事が出来、かつ飯盒の釣り手側の側面にも火が当たる様になり、熱伝導がよくなるのではないか、と考えました。
実際にやってみたところ、確かに火の回りが良いし、勢いもあまり落ちない。こんな事なら、もっと早くに使っておくべきだったかな、と思いました。このファイヤーピン、上記の様にこれまでは全然使ってなかったので、あれば役に立っただろう場合でも、そこらに放ったらかしにして使ってなかったのです。しかし、折り畳んだ時にもちゃんと装着出来る様になっており、オプションでついている訳でなく標準装備ですから、大いに使うべきでした。
このファイヤーピン、むしろ、ファイヤーボックスの上を面一にして使う装備として考えたら、結構使いでありそうです。小さいポットなどもそうですが、米軍のメスパンなんかも、ファイヤーピン使った方が安定しそうです。

ファイヤーピンをつけて、その上に飯盒を置く事で
火の通り道を増やします

ご覧の通り、飯盒の側面の至るところに
火が当たる様になりました

メスパンは、丁度、乗るか乗らないかという感じなので
ファイヤーピンを使った方が断然楽です
■ファイヤーボックスの耐久性
このファイヤーボックス、2016年3月に買って以来、毎日とは言わないまでも、相当使い込んできました。新品当初のキラキラした輝きは既になく、それどころか錆びさえ浮いてきました。ステンレスだからといって錆びない訳ではありません。しかも、ここ最近は毎日使うので、組み立てたまま外に放ったらかしです。(さすがに雨が降りそうな時は、軒下に退避させますが)
そこで、前回同様に、ボンスターでざっと洗って、ガスレンジで炙って乾かしました。ヤレ感はありますが、稼働部はしっかりしてて折りたたみもちゃんと出来、意外に耐久性高いと思います。お値段は1万円ほどしますが、こんだけ使って、まだまだ使える事を考えると、妥当どころかお買い得感があります。最近はチタン製のブッシュボックスもあり、そっちはそっちで気になりますが、壊れない限りは、このファイヤーボックスを使い続けようと思います。

毎日使いっ放しで、結構錆びも浮いてます

ボンスターで汚れや煤、錆を落として
ガスレンジで水気を飛ばします
しまう時はCRCを吹いて錆び止めします

あれほど汚れてましたが
洗えば素手で触っても気にならないほどキレイになります

あれほど汚れてても、ちゃんと折り畳めます
ファイヤーピンも固定出来ます
2018年06月30日
ファイヤーボックスを買ってから、かれこれ2年経つのですが、ただの一度もキャンプで使わず、ベランダだの庭だので飯盒炊爨するのに重宝してきました。結構錆びてきましたが、どこか壊れるという訳でもなく、今日も元気にご飯を炊いています。
ところで、6月30日は一年の前半が終わったという事で、夏越ごはんを食べる、というニュースを見ました。元は神事らしいですが、バイクに乗れないヒマな土日ですので、ウチでもやってみる事にしました。
夏越ごはんでは、夏野菜っぽいものを食べる様ですが、ウチはそんなもんは最初から無視です。冷蔵庫に滞留してる食材の処分が目的です。すなわち、毎日飯盒で炊いて残った冷やご飯4合分、今年の始め頃に実家から来て、何かの機会に食おうと冷凍しておいたサーロインステーキ2枚です。ただ、それだけじゃ寂しいので、他にもちょこっとスーパーで買ってきました。
まず、ファイヤーボックスに火を熾します。例によって、ティッシュと松ぼっくりを入れ、ファイヤースチールで点火。その中に燃え易そうな庭木の薪をポンポン放り込み、団扇で扇いで火勢を強くします。今回は飯炊きでなく焼き飯ですので、とにかくガンガン燃やさんといかんのですが、質の悪い薪だけにボケッとしてたら火が消えてしまうので、なかなか忙しいです。
やってみて気が付いたのですが、飯の量が多すぎたのか、やっぱり火力不足は否めず、あまりいい出来映えの焼き飯になりません。一応、メインディッシュのサーロインステーキに合わせてガーリックライスにしたのですが、油も全然足りなかった様です。湿っぽい混ぜご飯の様になってしまったのは残念ですが、ともあれ出来たので自分と嫁さんの飯盒に飯を移しました。

ファイヤーボックスは上に鍋釜が乗ると
火勢が落ちる傾向にあるので
忙しく団扇で扇いで火力を維持せねばなりません

という訳で、ガンガン燃やしたのですが
飯の量が多すぎて、熱の周りが良くありませんでした

こういうBBQの時も
飯盒は各自持参するのが良いかと思います
飯の用意が出来たので、次はバーベキューの用意。といっても、残ってる火に炭を入れるだけです。炭からスタートする場合は、着火剤など使って火熾しせねばなりませんが、今回は残り火で勝手に炭に火が点くので楽勝です。今回、飯は焼き飯でしたが、普通に飯盒でご飯炊いてから、この流れでも良いなと思いました。

炭を入れるだけでは火が点くのに時間かかるので
団扇で扇いでやりました

嫁さんのリクエストで、チーズインソーセージ
もう少し焦げ目ついた方が、中まで熱々になります

メインディッシュのサーロインステーキ
1枚ベロンと乗せるより
切って乗せた方が焼くのが楽です

結構お腹いっぱいだったのですが
せっかく買って来たので、さつま揚げもw
この時点で、もうご馳走さまの状態だったのですが、ホイル焼きもしてみたい、という事で、庭で穫れたジャガイモのホイル焼きにチャレンジしてみました。ただし、ファイヤーボックスは小さいので中サイズのをせいぜい2個入れるのが精一杯です。また、本来は炭の中に埋めてしまうのが良いのでしょうが、それも無理だったので、炭の上に乗せてトングで適時ひっくり返して焼きました。
■所見・反省
こんな具合で、良い感じにミニマムBBQを楽しむ事が出来ました。4人くらいだったら、このサイズでじっくりゆっくりBBQ楽しめるんじゃないか、と思いました。また、ご飯炊いた後に、そのままBBQに突入できるのも便利に感じます。なれれば、レースの前の車中泊でも出来るんじゃないか、と思いました。
反省点としては、焼き飯もステーキも、いささか冷蔵庫の臭いがした事。冷蔵庫に長い事入れておくからそうなるのですが、せっかくの食材を台無しにした気分でした。根が貧乏性なので、上等な肉がくると、特別な日まで取っておこうとするのですが、これからこの手の上等な肉が来たら、それを機会に庭で焼いて食べようと思いました。炭火で焼いたステーキは美味いですしね。
ところで、6月30日は一年の前半が終わったという事で、夏越ごはんを食べる、というニュースを見ました。元は神事らしいですが、バイクに乗れないヒマな土日ですので、ウチでもやってみる事にしました。
夏越ごはんでは、夏野菜っぽいものを食べる様ですが、ウチはそんなもんは最初から無視です。冷蔵庫に滞留してる食材の処分が目的です。すなわち、毎日飯盒で炊いて残った冷やご飯4合分、今年の始め頃に実家から来て、何かの機会に食おうと冷凍しておいたサーロインステーキ2枚です。ただ、それだけじゃ寂しいので、他にもちょこっとスーパーで買ってきました。
まず、ファイヤーボックスに火を熾します。例によって、ティッシュと松ぼっくりを入れ、ファイヤースチールで点火。その中に燃え易そうな庭木の薪をポンポン放り込み、団扇で扇いで火勢を強くします。今回は飯炊きでなく焼き飯ですので、とにかくガンガン燃やさんといかんのですが、質の悪い薪だけにボケッとしてたら火が消えてしまうので、なかなか忙しいです。
やってみて気が付いたのですが、飯の量が多すぎたのか、やっぱり火力不足は否めず、あまりいい出来映えの焼き飯になりません。一応、メインディッシュのサーロインステーキに合わせてガーリックライスにしたのですが、油も全然足りなかった様です。湿っぽい混ぜご飯の様になってしまったのは残念ですが、ともあれ出来たので自分と嫁さんの飯盒に飯を移しました。

ファイヤーボックスは上に鍋釜が乗ると
火勢が落ちる傾向にあるので
忙しく団扇で扇いで火力を維持せねばなりません

という訳で、ガンガン燃やしたのですが
飯の量が多すぎて、熱の周りが良くありませんでした

こういうBBQの時も
飯盒は各自持参するのが良いかと思います
飯の用意が出来たので、次はバーベキューの用意。といっても、残ってる火に炭を入れるだけです。炭からスタートする場合は、着火剤など使って火熾しせねばなりませんが、今回は残り火で勝手に炭に火が点くので楽勝です。今回、飯は焼き飯でしたが、普通に飯盒でご飯炊いてから、この流れでも良いなと思いました。

炭を入れるだけでは火が点くのに時間かかるので
団扇で扇いでやりました

嫁さんのリクエストで、チーズインソーセージ
もう少し焦げ目ついた方が、中まで熱々になります

メインディッシュのサーロインステーキ
1枚ベロンと乗せるより
切って乗せた方が焼くのが楽です

結構お腹いっぱいだったのですが
せっかく買って来たので、さつま揚げもw
この時点で、もうご馳走さまの状態だったのですが、ホイル焼きもしてみたい、という事で、庭で穫れたジャガイモのホイル焼きにチャレンジしてみました。ただし、ファイヤーボックスは小さいので中サイズのをせいぜい2個入れるのが精一杯です。また、本来は炭の中に埋めてしまうのが良いのでしょうが、それも無理だったので、炭の上に乗せてトングで適時ひっくり返して焼きました。
■所見・反省
こんな具合で、良い感じにミニマムBBQを楽しむ事が出来ました。4人くらいだったら、このサイズでじっくりゆっくりBBQ楽しめるんじゃないか、と思いました。また、ご飯炊いた後に、そのままBBQに突入できるのも便利に感じます。なれれば、レースの前の車中泊でも出来るんじゃないか、と思いました。
反省点としては、焼き飯もステーキも、いささか冷蔵庫の臭いがした事。冷蔵庫に長い事入れておくからそうなるのですが、せっかくの食材を台無しにした気分でした。根が貧乏性なので、上等な肉がくると、特別な日まで取っておこうとするのですが、これからこの手の上等な肉が来たら、それを機会に庭で焼いて食べようと思いました。炭火で焼いたステーキは美味いですしね。
2016年08月25日
このスパイダーキットがいつ頃から発売されたのか知らないのですが、2008年頃には製造が終わっていた様です。売られていたのは知っていたのですが、その頃、自分は既に液燃ストーブに移行していましたので、全然関心を持っていませんでした。
ところが、このスパイダーキット、今ヤフオクでは、大体1万円前後で取り引きされています。では当時はいくらで売られていたのか調べてみたら、税別3,800円でした。聞けば当時は不人気で、最後には半額くらいで投げ売りされていたとか。その早過ぎた名器?を、自分も大枚はたいて調達しました。
■スパイダーキットの意義
このスパイダーキットは、それまでガスカートリッジの上に載っていたバーナーを、より地面に近い位置に持ってくるための装置です。MSRを嚆矢とする分離型ストーブの形態で使うのがその目的です。より地面に近い方が、転したりする恐れが少なく安定して使える事から、液燃のマルチフェルストーブはそのほとんどが分離型となっており、現代の主流といっても過言ではありません。
このスパイダーキットは、既存のガスストーブを分離型として使える、時代の先端を行く器具であったと思います。ただ、スパイダーキットが発売された頃は、まだまだ分離型ストーブは一般的ではなく、その効果も十分認知されていない時代でした。自分の感覚からしても、縦置きのストーブになんら不都合を感じておらず、わざわざ分離型にしたって、場所食って仕方ないくらいの印象しか持っていませんでした。その為に、スパイダーキットは不人気のまま製造終了した様です。
ところがその後、分離型ストーブの人気が出始め、韓国や中国で類似品が作られる様になり、遅まきながらスパイダーキットの需要が高まった、という事だと思います。

スパイダーキットにIP-2243を付けた様子
250のカートリッジだと高さは大して変わりませんが
500のカートリッジで比べたら、かなりのローダウンになります

足はステンレス製で、かなりの強度があります

テーブルの上など、高い位置にストーブがある場合に便利です
■スパイダーキットの使い勝手
スパイダーキットは、プリムスのガスストーブならどれでも装着可能です。という事は、OD缶対応の他社のストーブも使えるという事ですが、一応、メーカーは推奨してませんので、そのつもりで使いましょう。
足の材質はステンレスで頑丈です。実際に2リットルの水の入ったヤカンを載せてみましたが、しっかり支えてました。ただし、足を束ねる軸の部分は、使用時には地面から浮いていますので、ヤバいかなと思った時は、軸の下に何か台を充ててやると良いと思います。
スパイダーキットから出ているホースは、外皮がメッシュで熱にも丈夫に作られています。また柔軟性があって、ガス缶をどこにでも置けます。対応しているのはOD缶だけですが、CB缶アダプターを使えば、カセットガスでも使う事が可能です。ホースが長めなので、カセットガスを立てても使う事が出来ました。
もし、欲を言うなら、ガス缶を繋ぐコネクタの首が、くるくる可動してくれたら、カセットガスを置く時にカセットガスの向きを自在に変えれたのにな、と感じたのですが、プリムスの製品ですからガスカートリッジ以外での使用を前提としてませんし、丸いガスカートリッジには要らん機能だな、と気が付きました。

2リットル入りヤカンも軽々
スパイダーキットは、大型のガスストーブの方が似合ってると思います

アダプターを使えば、カセットガスも使えます
ただし、火力はガスカートリッジより劣ります

重いものを載せて心配なら、下に台を置いてやると良いかも

この首の部分が動いたらなー、と思わないでもないです
■スパイダーキットの感想
スパイダーキットの重さは、約190gだそうです。ストーブのケースには入りませんので、別個で持って行く必要があります。昨今のウルトラライト傾向の人には、不要な装備に写ると思います。また、最近の登山の人は、ジェットボイルやその類型品を使う人も多く、これなんかは縦にドーンと伸びたフォルムですので、分離型ストーブのクッカーをローダウンするという趣旨と正反対です。
スパイダーキットそのものは頑丈で、重たい物も載せれる事を考えると、小型のストーブより大型のストーブの方が向いている気がします。となると、登山よりもキャンプやツーリング向きでしょうか。テーブルの上などで使う時に向いている様に思います。
個人的な感想としては、このスパイダーキットを使っている時は、パワーブースターは使えない訳ですが、その代わりガス缶はホースで繋がれ、バーナーより離れた所にあるので、ガスカートリッジを手で温める“ハンドブースター”がやり易いな、と思いました。まぁ、その為にこの製品が作られた訳ではないでしょうが。
まぁ、3,800円なら妥当な値段だと思うのですが、1万円も出してまで買う必要があるのか?と言われれば、そうでもない。でも、韓国製や中国製よりは全然ものがしっかりしてるので、今こそ再販されてもいいんじゃないか、と思える一品です。