先日、盛岡に帰省した時に、秋田の方に足を延ばしたのですが、その理由は「ぼだっこ飯」が食べたい、というリクエストが来たからです。ぼだっことは、塩漬けの鮭の事を秋田の方ではその様に呼ぶ様です。それが案外美味だった上に、米の飯について考えさせられるものもありましたので、自分で作ってみる事にしました。
むしろ、この発想になり得るかどうかの話しでした
■反減塩主義
さて、ぼだっこ飯ですが、写真の通り、白ご飯の上に親指の爪ほどの鮭の切り身が乗ってるだけの、貧相この上ない飯です。これで150円は高いのか安いのか、判断のしようもないほどの貧相さです。この為だけに、秋田の大仙市まで行ったのかと思うと、いささかアレな気分になりました。
しかし、食べてみると、そんなガッカリ感は吹き飛びました。この鮭、実に塩が効いていて、美味い。自分が子供のころに食べていた塩鮭そのものです。今、スーパーとかで売ってる鮭は、どれもこれも減塩で味が薄く、鮭なのかなんなのか分からない感じ。さりとて、後から塩振ったり醤油かけたりするのは、やっぱ違う。鮭というのは、こうでなければ!と改めて感じました。
昔は保存の方法が、塩漬けにするとか干すとか、その程度しかなく、仕方なく塩鮭になったのでしょうが、それが実に日本の米の飯に合うのは、幸運的結果論であったと思います。ところが昨今の減塩ブームで何もかも味が薄くなって、それで米の飯を食っても、米の飯の美味さを実感できない。実に悲しむべき状況だと思います。
塩辛いものをガバガバ食えば、そりゃ体には良くないでしょうが、程よく食べる分には一向に差し支えがないはず。それをこのぼだっこ飯は体現していると感じました。
最初見た時は「ふざけてんのか」と思いました
■ないものは作る
このぼだっこ、SNSとかで人気があるそうで、既に自分で作ってる人が何人もいました。まぁ、買えば結構高いんですよね。小瓶で900円近くします。高いには高いだけの理由があるにせよ、自分で作れるなら、それに越した事がない。という事で、自分もチャレンジしました。
用意したのは、鮭の切り身2きれ、粗塩、以上。塩以外に、味の素を使った人もいましたが、今回はシンプルに粗塩です。岩塩でも精製塩でもなく、粗塩を使いました。
作り方は、正式なぼだっこの作り方というは、社外秘なのか見つからず、人それぞれやり方が違う様でした。自分は一旦、鮭をホワイトリカーで軽く洗って、粗塩を適当に刷り込んでジプロックに入れて冷蔵庫にしまい、一晩様子を見ます。すると翌日、浸透圧で酒から水分が出て、塩がベチャベチャになります。これまたホワイトリカーで洗い流し、キッチンペーパーで水気を取って、塩漬けにします。
今回、この塩漬けの塩の量は、実に適当です。計ってもいません。鮭の重さに対して10〜15%らしいですが、無視して適当にまぶしました。もしかしたら、2日目も水分が出るかな、と思ったのですが(出たら、ホワイトリカーで洗ってまた塩漬けする)、出なかったので、そのまま2日間、塩漬けにしました。
塩漬けが済んだら、今度は乾燥です。本場では外で干すらしいのですが、今回は余計な塩を落として、キッチンペーパーで軽く包んで、冷蔵庫で3日間放置しました。鮭の身は結構硬くなっていて、ハードグミみたいな感じになりました。
用意したのは鮭の切り身2つ、粗塩、ホワイトリカー
鮭はハラミが好きなので、脂身多いのを選びました
ホワイトリカーでさっと洗ってキッチンペーパーで水気を取った後
塩を刷り込みます。塩の量は適当です
その後、ジプロックに入れて冷蔵庫に入れておきます
■実食
乾燥完了後、グリルで焼きました。そもそも塩がまぶった状態でしたが、焼いた事で塩が拭いた様な仕上がりになりました。もちろん、このままガブリという訳にはいきませんので、皮は剥いて、適当な大きさにほぐして、骨も取りました。
早速ほんのちょっと食べてみましたが、適当にやった割には、ぼだっこ飯のそれに近い塩辛さ、味わいでした。ただ、鮭だけ食べたのでは、ただの塩辛い鮭です。白ご飯と一緒に食べて、初めて「うまぁ〜〜」という感じになりました。
今回は塩の量は適当でしたし、塩抜きもやらなかったのですが、ここら辺の管理をちゃんとやれば、昔ながらの塩鮭を作るのは、それほど難しくないのではないか、と感じました。今回はあくまでぼだっこをジェネリックで作るのが目的でしたので、塩辛ければ良し、みたいなところがあったのですが、次回はぼだっこに拘らず、好みの塩加減にしたり、干したり、燻煙したりしてみようと思います。
3日も感想させると、結構硬くなります
余分な塩を落として、グリルで焼きます
ほぼ、ぼだっこに近い仕上がり
少しずつ食べていきます








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