今年のモチュールカップは、鳴かず飛ばずの内容が多いのでまとめ記事にしているのですが、今回は「初めて乗るメーカーで、初めて乗る車種で、その条件で初めてクラス優勝」したという特異なレースでしたので、GASGAS EC250Fの乗り味を含め、レポートします。
クロトレに比べると大柄に見えますが
乗ってみると意外に軽快です
■ブリジストン・バトルクロス
開催の2日前に関東地方は台風の影響で猛烈な雨が降り、ベストテクコース市貝もその影響をモロに受けていると予想されました。今年はとにかく、雨に祟られる年で、開幕戦は下見でリタイア(だけどBクラス優勝)、第3戦はマディでバイクが壊れてリタイア、という具合です。足つきの良かったクロトレでさえ、雨だと難儀してましたので、踵が30ミリほど浮くGASGAS EC250Fでは果たしてどうか。最悪、TT-R125で出る事を検討していました。
とりあえず、コースに入ってみない事には分からないので、いつもの様に前日から現地入りして、試走する事にしました。睡眠不足で出発が遅れたり、ヒートガード付けるのにちょっと難儀したりで、試走時間が短くなりましたが、とりあえず2周走りました。タイヤの空気圧は、マディを想定して、前を0.5、後ろを0.4にしました。酷ければもっと落とすつもりでした。
ところがコースに入ってみると、雨がほとんど降らなかったのか、それとも朝からの猛暑で一気に乾いたのか、水たまりが少しあるだけで、むしろベスコンに近い。それよりも、前々回のマディレースで掘れた後に草がボーボーに生えて、草刈りしてあっても掘れた所が隠れていて、いきなりフロントが落ちてびっくりする、という箇所の方が怖いくらいでした。
タイヤの空気圧を上げるか考えましたが、明日は基本的にジャンプは飛ばない方針ですし、ブリジストンのバトルクロスは、低圧の方が威力を発揮するタイヤだと聞いているので、結局このままで行く事にしました。
ホムセンで買ってきたビニテで養生
これがズバコンな色合いでした
■疲れるまで
今回も20台近くが出走で、Bクラスは4台。自分とXR230のO野さん、他のお二人は初見の方でしたが、YZだったので早そうに感じました。最悪でも3位は維持したいところです。ともあれ、早い人にはどんどん先に行ってもらって、自分は自分の走りに徹する。とにかくコケない(疲れるから)、止まらない(走るの嫌になるから)、という気持ちでスタートしました。
事前の練習と昨日の試走で、基本的には各セクションの通過の仕方はマスターしていました。丸太はクラッチ切らないとエンストする事がある事、a-かぁ坂手前のタイトな下り左コーナーは止まってでも良いから向きを変える事、それでも3速でそのまま走れる事。その先の倒木坂は今回は上りですが、その手前の轍でどうしても車速が落ちて、3速ハーフスロットルで入る事になるが、軽く半クラを当てるとモリモリ登っていく事。などなど。
乗ってみての感想は、「総じて軽い」というものでした。スマートなデザインのBetaからすると、重厚な見た目なのですが、乗ってみると軽い。加速にしても減速にしても、CRF450RXの様な重さがない。それでいて、クロトレの様なヒラヒラ感とは違った軽さ。車体そのものの軽さというより、エンジンのパワーによって担保された軽さの様に感じました。
特筆すべきは、極めて低速からの再加速。例えば、コーナーの進入でギリギリまで減速し、普通なら2速に落とさねばならない様な場面でも、そのまま3速で立ち上がっていく。エンジン回転が不十分のままで上り坂にアプローチし、途中でエンジン回転が落ち込んできても、半クラを当てたら一気に回転が上がって登り切ってしまう。そして、こうした加速が、重々しいGを伴うものでなく、軽くスーッと加速していく感じ。つまり、体への負担が少ないので、楽だし軽く感じる訳です。
ウェアも新調しました
2.5時間は誰との闘いというより、自分自身との闘いです
■疲れてから
とはいえ、1時間もする頃には、大概疲れてしまっていて、レースしてるというより、止まらず走ってるというのが実情となります。今回は途中、右手の人差し指や親指が徐々に痺れてきて、フロントブレーキが握れない状況にもなりました。どうやら、エルボーパッドをきつく締めすぎて血流が悪くなっていたみたいです。なので、ストレートで思いっきり加速してクラッチ切って慣性で走りつつ、その間は右手を下げえて血流させる、なんて事もやっていました。
ともあれ、もう、しんどい事はしんどい。他の皆さんはアクセル開け開けでジャンプ飛んだりしてますけど、こっちは辛うじて止まらずに走るのが精いっぱい。この時自分が考えていたのは、Bクラスの他の人らにはラップされてないという事。つまり、同周回数でも自分が1位という事です。休まず失敗せず、この調子で走り続ければ、今日はBクラス優勝という事です。
とはいえ、車速は完全に落ち切り、このままでは3速で走るより2速で走った方が安定するのではないか、と2速に落としてみました。ところが、これが激遅でとても耐えられたもんじゃない。結局3速で走り続け、2速を使ったのは丸太だけでした。
その一方で、3速で走ってるのに2速だったっけ?と感じる時もありました。そういう時は、本来なら4速に上げてアクセル開ける場面なんでしょうが、もう疲れ切ってしまってアクセル開ける気にもなれず、という状態でした。
低速が強いという意味では、クロトレもかなり強い心臓のバイクでしたが、それに加えてEC250Fは加速力、パンチ力があるので、ここ一番という時の加速に安心して取り掛かれるのが利点に感じました。その利点のお陰で、気持ちに余裕を持てるバイクだと感じました。
最終的に、残り5分でファイナルラップとなり、2位の人に1周の差をつけてゴールする事が出来ました。初めて乗るメーカーで、初めての車種(正規エンデュランサー)で、新車で、クラス優勝を飾る初めての体験となりました。
コーラでもデカビタでもラムネでもなく
やっぱりサイダーが一番美味く感じます
■その他
EC250Fは燃料タンクの容量が9リットルでしかもインジェクションである事から、相当長大な航続時間を持っている事が予想されました。キャブ車と違ってリザーブはないものの、メーターにリザーブインジケーターが付いており、それが点灯したらリザーブタイムに入る仕組みです。
そこで、納車時にタンクを満タンにして、インジケーターが点灯するまで無給で走ってみたところ、3時間21分でインジケーターが光りました。これは相当な航続時間です。これなら、モチュールカップ2.5時間も余裕で走り切る事が出来ます。要するに、ビッグタンクが最初からついているのですが、タンクが目立つ事無く備わってるのが、このバイクの凄いところだと思います。
足つきに関しては、カタログデータでシート高がクロトレの910ミリに対してEC250Fは957ミリと47ミリ高く、実際、バイクに跨った状態では踵が30ミリほど上がるという、従来のバイクでは10ミリ程度に抑えていた事を考えると、少々不安がある足つきです。
確かに、「クロトレだったら大丈夫」だった場面でヒヤッとする事が何度かありましたが、それも1時間も乗っている内に慣れてきて、足つきに関しては気にならなくなってきました。むしろ、地上高が少々高い分、走破性が良いと感じる事さえありました。
今回、ジャンプはほとんど飛ばなかったのですが、理由はジャンプ飛んだ方が遅くなる事と、ジャンプ飛べるほど車速は上げられないだろう(しんどいから)という事でした。それどころか、後半は疲れからスタンディングするのも億劫な状態でした。しかし、EC250Fのサスは地面のデコボコをよく吸収して、座ったままでの走行に大いに寄与しました。具体的には、今回、桑畑コースは下りだったのですが、座ったまま通過し、出口で加速を入れてコーナーに入っていく。倒木坂は削れた岩盤でうっかり車速が落ちるとハマり込む場合があるのですが、まったくギャップを気にすることなく、アクセルワークのみに集中できた、などです。
昔のバイクは最初から付いてたと思うんですがねぇ
■まとめ
EC250Fに乗るのは今回で4回目で、エンジン稼働時間は5時間を超えました。流石にこれだけ乗れば、車体にも特性にも慣れてきて、借り物感がなくなってきました。実情はしんどくてアクセル開ける気になれなかったというものですが、低速でじっくりと2時間乗ったお陰で、新しいバイクに体がだいぶ馴染みました。次からは、もっと挑戦的な事ができると思います。
振り返ってみると、これまで乗ってきたバイクは、XR230以外は全部新車ばかりだったのですが、新車で結果を出せたのは、今回が初めてです。それまでは新しいバイクに慣れるのに時間が掛かったり、そもそも勝てる条件になかったりと、結果からは遠かったのです。
しかし今回、年初から次期正規レーサーへの乗り換えのために、RM-Zでベストテクスクールを受けつつ特訓し、バイク屋さんが自分の走りに最適なバイクを選んでくれた事で、今回の結果に繋がったと考えています。この趣味において、理想的な乗り換えが出来たと思います。
とはいえ、今回の走りはまだまだEC250Fの能力を発揮しきったものでないと思っています。せっかくのいいバイクですから、もっと上手に活用したいものです。
新車で初戦で勝利は意気が上がります







コメント
コメント一覧
あらためまして、優勝おめでとうございます。
ツイッターの、ひ◯かずです。
なかなかのハンサムなんですね。
非モテ人生だったんですよw