今を去る事10年前、ケロシンストーブに熱を上げていた頃に、オプティマスNo.45や00にサイレントバーナーを取り付けて、静音化しようとしていたのですが、敢え無く失敗。その後、ケロシンストーブ(以後、ケロスト)も使わなくなり、長らく倉庫の底の方に眠らせておりました。



 この度、不用品を売り払って新しいバイクの費用に充てる事になったのですが、手放すには惜しいという事で、オプティマスNo.45をインテリア用品として現役復帰させると同時に、改めて静音化に挑戦する事にしました。


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ようやく手に入れた「使える」サイレントバーナー
こういうのを扱ってるショップがあるのに感謝です




■液体燃料ストーブの運命

 液体燃料ストーブ(以後、液燃ストーブ)は未だに根強い人気があるのですが、とはいえ、便利さ軽量さで言えば、ガスストーブの方が圧倒的に有利で、よっぽどの思い入れでもない限り、わざわざ液燃ストーブを使わねばならない理由がありません。自分にしても、バイクのイベントで車中泊はよくしますが、プリムスのIP-2243一択となっています。
 それでも、今から10年ほど前は、マルチフェルでないと今後の液燃ストーブは生き残れない、なんて言ってたのですが、今となってはガスで十分じゃね?という風になっています。要するに、日本国内にいて、普段使う目的では、液燃ストーブはオーバースペックで荷が勝ちるのです。仮に防災用としてみても、別に液燃ストーブでないといかん、なんて事は全くなくて、あれば使えるでしょうけど、カセットガスの方がいいんじゃない?というのが正直なところです。
 となると、もうコアなファンでなければ、液燃ストーブを使う人はおらんでしょう、というのが現状だと思います。かくいう自分もそうで、オプティマスNo.45以外のケロストは、とうの昔に売ってしまっていますし、今回の処分で他の液燃ストーブもかなり処分する事にしました。
 その中で、オプティマスNo.45を残す事にしたのは、このストーブが昔から欲しかった上に、多くの人のアドバイスを受けて自分でレストアした逸品だったからです。そして何よりも、飾っておいて満足できる見栄えがする。他のメーカーのには、工芸品としての美しさが欠けるのです。

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最後に使ったのは、引っ越し前の2017年秋
以来、ずっと倉庫の下の方で眠っていました

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とりあえず、ピカールで磨きます
このピカール、前回のレストア時に買った10年ものです

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玄関の下駄箱の上に置くと
それっぽい雰囲気を出してますねぇ

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トップリングも出してきました
オプティマスの刻印入ったのは、もう売ってないですね


■8年ぶりのお目見え

 さて、このオプティマスNo.45、最後に使ったのはいつかと調べてみたら、2017年だったみたいです。独身最後の歳で、前の賃貸マンションの小汚い台所で、メシを作るのに使っていました。そもそもソロ用としてはデカすぎるこのケロストをキャンプなどで使うつもりはほとんどなく、家庭用品として使っていました。まぁ、ケロストはそもそもは家庭用品で、それをアムンゼンだのヒラリーだのが探検や登山に使ってただけの話しなのです。
 それはともかくとして、8年ぶりに倉庫の一番下から発掘したのですが、元々きれいに磨いてた事もあって、汚れはそれほど酷くなく、ピカールで磨くとキレイになりました。ガソリンストーブのオプティマス123Rもそうですが、真鍮のストーブは、磨いてる時が一番楽しいんじゃないか、と思います。
 ポンプカップは油が切れてスカスカになってましたが、コールマンのリュブリカントをたっぷり塗ると、ポンピングして圧が掛かる様になりました。以前のレストアで、純正の逆止弁からマナスルのに交換したのですが、8年放置してても生きていた様です。
 さて、点火ができるかどうかですが、ローアバーナーをタンクに取り付けて、アルコールでしっかりプレヒートして、ポンピングすると、あっさり点火する事が出来ました。どこからも漏れ火もなく、定格通りの燃焼をしてくれました。前回最後に使った時に、完全に燃料を使い切ってから収納したのが良かったのか、洗浄清掃の必要もなく保管できてたのは良かったです。

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バーナーを洗浄するために、ニップルを外しました
久々過ぎて、ニップルレンチの使い方忘れてました

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前回同様、1:1のお湯割りサンポールに漬けて
煤だのタールだのを分解します

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次にお湯で重曹を適当に溶いて漬けて中和させます

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チューブ内にカーボン等はなかったのですが
ちょっと赤火ですね
ニップルを新品にした方がよいかも


■サイレントバーナー

 前回の静音化では、インド製や韓国製のサイレントバーナーを取り寄せて挑戦したのですが、結論としては、バーナーの背丈が三脚よりも高いとか、そもそも火力がローアバーナーより低いといった事で断念しました。
 今回は、Old and Toolsさんが出しているサイレントバーナーヘッド&パーツ全8点セット (ショートタイプ)を取り寄せました。Old and Toolsさんは、以前のレストアの際もニップルレンチなどを取り寄せましたが、今はYahooショッピングにも出店されています。ショートタイプというのは、ライジングチューブが短いタイプという事ですが、前回、サイレントバーナーの背が高くて使えなかった事から、ライジングチューブの部分を短縮して、背丈を合わせようという寸法です。
 既に組み立て済で、ライジングチューブのリードパッキンだけ自分でねじ込む状態で届きました。ライジングチューブにパッキンを押し込んで、タンクのねじにねじ込んでいくのですが、最初はきっちり閉めないと、パッキンがチューブの奥まで入って潰れてくれないので、勇気をもってねじ込みましょう。
 早速、点火してみました。最初、プレヒートが済んだにも関わらず火が点かず、アレレと思ってもう一度プレヒートしてみたら、今度はちゃんと火が点きました。たしかに、音は静かです。静かなだけあって、ローラーバーナーに比べると「ほんとに火力最強か?」と思ったりするのですが、おそらく最強です。
 ただ問題は、いきなりスプリットカップのところから盛大に漏れ火した事でした。これは発売元からも事前に説明があって、おそらく第三世界製だと思うので工作精度がよくないのでしょう。この場合は、別売のグラファイトテープで補修して漏れ火を防ぐとありましたので、取り寄せしたのですが、グラファイトテープを使おうとレンチを使ってバーナーとライジングチューブを外そうとしたら、どうも締め付けが甘かったみたいで、増し締めしたら漏れ火は解決しました。

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届いたサイレントバーナー
ライジングチューブのグラファイトパッキンは
タンクに取り付ける時にねじ込みます

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ショートタイプのライジングチューブだと
純正の五徳でも鍋底までの隙間が確保できます

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試運転の時に派手に漏れ火しましたが
これは締め付けが甘かったからです
増し締めしたら直りました

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純正のローラーバーナーとの比較
ほぼ同じ高さです




■ショートかロングか

 ところで、上記の理由で今回はライジングチューブがショートタイプの物を取り寄せたのですが、実際取り付けてみると、バーナー部がちょっと低い様な感じがしました。まぁ、使えない訳ではないのですが、もう少し上なら、燃焼効率が上がるかもと思いました。ちなみに、ロングとショートのライジングチューブの長さは、ショートが19.4mmでロングが30.5mm。ロングは純正のオプティマス45のライジングチューブと同じ長さです。
 そこで、サイレントバーナーからショートのライジングチューブを外し、オプティマス45のライジングチューブを付けてみようとしたのですが、ネジのピッチが違うみたいで入っていきませんでした。無理にねじ込んでネジ山をナメては困るので、ロングタイプのライジングチューブを取り寄せました。
 取り寄せて分かったのは、純正やショートタイプのライジングチューブは、レンチが19ミリなのに、サイレントバーナーのロングタイプのライジングチューブは20ミリだった事(どうして統一しないんだ)。そして、ロングタイプだとバーナーの頭が五徳より上に出てしまい、鍋釜が載せられない事が分かりました。まぁ、オプティマス45に使うなら、ショートタイプで十分でしょう。

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ショートとロングの差

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20ミリのレンチを買おうかと思いましたが
結局使わない事になったので無問題

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これでは使えないので、ロングタイプはお蔵入り


■燃焼効率

 前回の静音化の失敗の最大の原因は、サイレントバーナーがローラーバーナーよりも火力が弱かった、という事でした。沸騰までに至る時間が、サイレントバーナーの方が掛かったのです。そもそもケロシンストーブは現代的ストーブに比べると火力が低いのですから、それに輪をかけて低いとなると、使い物にならないという訳です。
 ところが、最近、YouTubeに上がっている動画を見てみると、ローラーバーナーよりサイレントバーナーの方が熱効率がよく、沸騰が早いと紹介されている動画がいくつもありました。ついでに言うと、ガソリンより灯油の方が力価が高いとの事です。
 そこで飯盒で4合炊きで、ローラーバーナーとサイレントバーナーの沸騰時間の差を測ってみました。結果は、吹きこぼれが始まるまでに、ローラーバーナーは8分53秒、サイレントバーナーは7分14秒でした。いずれにしても、4合炊きの理想値である5〜6分で沸騰には及ばないものの、確かにサイレントバーナーの方が火力が高い事が分かりました。
 ちなみに、4リットルの水の入ったヤカンを沸騰させる、というテストもしてみたのですが、ローラーでもサイレントでも、ボッコボコに沸かすのは相当時間がかかる様子で、辛うじて気泡が出る程度まで沸かして、ローラーの方は30分、サイレントの方は25分と、この場合もサイレントバーナーの方が火力が高い事を示しました。

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ローラーバーナーでの沸騰時間
これではちょっと時間かかりすぎです

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沸騰時間が7分というのも、やや掛かりすぎですが
サイレントバーナーの方が火力が強い事が証明されました


■予備部品と工具

 どんな機械もそうですが、予備の部品と工具は必要です。今回、数年ぶりにオプティマス45を使ったのですが、パッキン類は以前に買った残りがありましたし、ニップルレンチ等の工具も残していましたので、再就役させるにあたって、それがとても役立ちました。
 バーナーに使うパッキンは、付け替えたばかりならともかく、古いのは分解したら次は使えない(締めても漏れ火する)事が多いので、新品に交換した方が無難です。その意味で消耗品です。また、ローラーバーナーとサイレントバーナーでは、ニップルの穴のサイズが違うので、ニップルやプリッカー(穴の掃除する針)の使い回しが出来ません。そこでまとめて取り寄せる事にしました。当分は補給なしで使えそうです。
 バーナーを取り外すレンチは、純正のが1本付属しているのですが、ライジングチューブまで分解するとなると、もう一本レンチが必要です。これまではバイク用の工具を使ってたのですが、いちいち出してくるのも面倒なので、19ミリのショートコンビレンチを買いました。これなら邪魔にならないし、バイクの工具を取りに行かなくても済みます。
 アルコールのボトルは、これまで専用品を使ってなかったのですが、今回小さめのボトルを買いました。アルコールストーブも最近人気あるのか、この手の道具も増えて有難い事です。オプティマス45は自宅で使うので、外に持ち出す予定はないのですが、このボトルならケースにもしまえそうです。

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今回取り寄せた補給品
上の巻いてあるのは
ライジングチューブの漏れ火を防ぐグラファイトテープ

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真ん中が、今回取り寄せてた19ミリのコンビレンチ
スパナだけでなくメガネのコンビにしたのは
その方がチューブを保持しやすいから


■感想

 今回取り寄せたサイレントバーナーは、もちろんオプティマス純正のものでなく、おそらくインド製のファロスストーブ辺りのものだと思うのですが、専門店が取り扱っているものだけに、ポン付けで使う事が出来ました。ケロシンストーブのユーザーがどれだけ居るのか分かりませんが、やっぱり音が静かな方がいいので、10年前より需要が高まったという事でしょう。
 サイレントバーナーの方がローラーバーナーよりも燃焼効率が良くて火力が若干高い、というのは驚きましたが、それでも現代的なストーブに比べると、非力であるのは否定しようがありません。強い火力を要する様な料理には不向きですし、野外で使うんにしても無風状態で使える場所を選びます。しかも、点火するまでに手間もかかる事ので、レースなどの忙しい時には、使わないと考えています。
 しかし、今回久しぶりに持ち出してきて使ってみた感想は、「やっぱ、いいなぁ」というものでした。仏具っぽい見た目も良いですし、プレヒートも楽しいですし、サイレントバーナーに変えて静かになったし。のんびりゆったり使うには、実にいいストーブです。似たようなスタンスのストーブでアルコールバーナーがありますが、あれに比べたら、操作する部分や火力が強い事など、楽しめる要素はこっちの方が高いな、と思いました。


バーナーの音が聞こえないので、BGMはなしです
ケロシンストーブは、ボケっとした時間を楽しむ道具です

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こんな感じで、ふっくら上手に炊けます

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フレームリングに火が当たってロスになってるかな?
と思わなくもないですが
まぁ、あってもなくても大差ないでしょう