前回完成した荷室とハッチバックのLEDテープライト照明ですが、スイッチをどうするかは検討中でした。どうせなら格好良くしたいし、機能的もしたい。という訳で、あれこれ構想するうちに、結構頭を使う作業になりました。


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これではブサイクなので
格好良いスイッチボックスを作ります

 



■要求項目

 この手の装置を作る場合、まずは何をしたいかが大事になります。今回、トランポに施工したテープライトは、ハッチバックと荷室の2か所ですが、まずは、この両方を同時に点灯できる事と、個別に点灯出来る様にしたい、と考えました。次に、使用したテープライトは12Vのものですが、これを5Vのモバイルバッテリーで常用し、長時間点灯させる際はポータブル電源にACアダプターを付けて使える様にしたい、という要求項目をまとめました。
 ここから、次の様な設計方針を立てました。
  • 点灯スイッチは2つ要るであろう事
  • ACアダプターから電源を取るためのDCジャックが必要になるだろう事
  • スイッチボックスはモバイルバッテリーのサイズに合わせた大きさにし、ベルクロテープで連結出来る様にする事
  • そしてスイッチボックスはベルクロテープで荷室のケミカルトレイに脱着出来る様にする事。
  • スイッチボックスは裏蓋を外せる様にして整備性を担保する事
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初期のラフデザイン
この時点ではDCジャックの上に
安全スイッチが描かれていない


■配線の設計

 頭を使ったのはここからでした。まず、電源はモバイルバッテリーとACの2系統ある訳ですが、どちらでも作動して、かつ12Vが5Vの方の装置に悪影響を与えない様に考える必要がありました。
 まず、5Vの方は、5V to 12Vの昇圧ケーブルを間に入れる事でモバイルバッテリーでも12Vのテープライトが使えるので問題ありません。普段はこちらが常設となります。一方で12Vの方は必要な時に差せる様にDCジャックを備える格好です。スイッチに対しては、この2系統のプラスの線が繋がる格好になります。
 そこで気になったのは、ポータブル電源から12Vの電源を取った時、昇圧ケーブルの方に高電圧が逆流して悪影響を及ぼさないか、という事でした。そこで色々頭を使った結果、昇圧ケーブルとスイッチの間に、2極スイッチ(プラスとマイナスの両方を繋ぐ)をかませて、モバイルバッテリーを使う時はこれがON、ポタ電を使う時はこれをOFF、という具合にスイッチングさせる事にしました。

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無い頭絞って考えた配線図
こんな事なら、中学の理科の時間に
もっとしっかり勉強しとくんだったな


■ボックスの作成

 スイッチボックスは、ABS板から作る事にしました。当初はコンセントボックスなどを使うつもりをしてたのですが、そこそこ厚みがある事、スイッチボックスとモバイルバッテリーをタンデムにしたかった事から、自作する事にしました。
 サイズは縦135mm、横70mmとモバイルバッテリーのサイズに合わせ、厚みは中に昇圧ケーブルや配線を入れる関係で20mmの厚みを持たせる事にしました。1mmのABS板を3枚重ねる事で強度を持たせる事にしました。実はスイッチの穴を開ける関係で、2mmくらいの厚みの方が良いのでしょうが、それだと箱としての強度が弱いのです。
 実はこの手の作業は、サバゲー時代からさんざんやってきたので、手慣れたものです。違いは老眼で物差しの細かいメモリが見えにくいくらいです。各面のパーツを切り出して接着し、瞬間接着剤を援用して箱型を作ります。角はアールになってるので、細い短冊状のパーツを切り出して削る手間を省きました。
 本来なら、ペーパー掛けなどして仕上げをするのですが、今回はそこまで気を使うものでもないので、その辺りは省略しました。

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奇しくもABS板1枚で作る事が出来ました

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接着剤が完全に乾くまで放置
でないと、角アールの削りだしの時
綺麗に削れません

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スイッチはDCジャックを入れる位置をけがいて
まずはピンバイスで穴あけ

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カッターナイフや金ヤスリで根気よく穴あけ
DCジャックはナット止め出来なかったので
接着します



■配線作業

 ボックスが出来たら、お次は配線作業。こちらはボックスのスイッチ等の穴越しに電線をはんだ付けしていくので、うっかり半田ごてでボックスを溶かしたりしない様に注意が必要でした。作業に余裕を持たせるため、電線は10cm単位で切って行いました。
 難しいのは、プラスもマイナスも4本の電線をまとめねばならないところがある事で、しかもボックスがあるので地面に押し付けにくく、結局予備はんだをモリモリで対処しました。結線部分は基本的には熱収縮チューブをかぶせて絶縁し、それが被せられないところはホットボンドを盛って対処しました。
 とにもかくにも、失敗は許されない一発勝負なので、結線したら通電して作動を確かめ、その上で絶縁するという慎重な作業を行いました。

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配線図は上からみた図だったので
反転してプリントしたのを見ながら作業した

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DCジャックの極性が分からなかったので点検
足の長い方がプラスでした

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こんな感じで
スイッチの穴を通して電線を結線します

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スイッチをはめ込んで
昇圧ケーブルも押し込んで

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遂に完成!
だいたいラフ画の通りの物が出来ました


■配属

 早速トランポのテープライトに接続してみました。
 まずはモバイルバッテリーから。安全スイッチをオンにして、上の点灯スイッチをオン。両方点灯します。もちろん個別にも点灯します。完璧です。
 続いてモバイルバッテリー。ここでうっかり安全スイッチをオフにする前に、DCジャックにプラグを挿しこんだのですが、何の問題もなく点灯。というか、ちょっと明るくなった感じ。ただ、万が一という事もあるので、安全スイッチをオフにしたところ、モバイルバッテリーの時と同じ明るさになりました。
 モバイルバッテリーは常設で、夜中や黎明薄暮の時に、バイクの上げ下ろしなどの軽作業を行う際に使います。車中泊の場合でも、短時間ならモバイルバッテリーで対応できると思いますが、長時間起きてる場合は、ポータブル電源を使用します。ちなみに、BLUETTI のEB3Aで全点灯で約7.5時間持ちます。
 モバイルバッテリーとスイッチボックスはベルクロで連結され、ケミカルトレイに取り付けられています。モバイルバッテリーは残量が減れば、スイッチボックスから外して持ち帰り、家で充電する寸法です。我ながら、なかなか良いものを作ったと自画自賛しています。

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実に邪魔にならない
スタイリッシュな仕上がりになりました

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ハッチバック、荷室、個別に点灯可能です

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下の安全スイッチをオフにして
ACアダプターから電源を取れます

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脱着できるところが結構ミソだと思います