糸魚川シーサイドバレースキー場といえば、2016年にWEXで走った事があるのですが、非常に見晴らし良くて感動した記憶があります。そこで開催されるファンライドフェスティバル、通称ファンフェスの噂はかねがね聞き及んでいたのですが、今回初めて参加しました。というか、2023年モデルのBeta X-Trainer 250"シグルドリーヴァ号"の慣らし運転が、奇しくもファンフェスで行われる事になりました。なので、当レポートも、クロトレのレビューがメインになります。


2023-06-03 08.03.18
台風一過の曇天のもと
集まりも集まった450人もの参加者の皆さん




■晴天を待ち望んで

 ファンフェスは毎年この時期に開催されるらしいのですが、毎回ポスターの様な大晴天に恵まれるそうです。なのでそのつもりをしてたのですが、なんと6月にも関わらず記録的豪雨の台風接近で、出発時の3日0000時頃は、前も見えない様な豪雨の中を高速を飛ばして北陸を目指しました。
 到着したのは0500時頃。その時にはほぼ雨は上がって、時々パラパラ降る程度。それでも曇天でいつ雨がぶり返してもおかしくない感じ。自分は走り出す前にBPDのラジエターガードを付ける作業が待っていたので、雨の中では厳しいという事で、3x3mのタープテントを、この為だけに買っていきました。そして現地到着と同時に幕舎展開。その後は少しでも寝ておこうと、小一時間ほど仮眠しました。
 受け付けは0700時からスタート。予め家で書いてきた誓約書を提出し、フロントゼッケンのシールやナイトパーティのリストバンド、その他資料を貰って、0800時にブリーフィング。その後、バイク屋さんからラジエターガードを受け取り、直ちに取付作業に入ったのですが、自分では付けられず、結局バイク屋さんに付けてもらいました。
 その間に、先行してコースに向かった面々が昼前に帰ってきましたが、雨の影響でパドックとコースの間の移動路(結構な勾配)がグッチャングッチャンになってる所があって、難儀したとの事。前にWEXで走った時も前の日に雨が降ったのですが、難儀した覚えがなかったので意外でした。もっとも、上のコース入ったら、そうでもないとの事です。

2023-06-03 09.09.04
雨が降るというから、急遽取り寄せたタープテント
横幕も入れたら、2.7万円です

2023-06-03 11.06.04
2023年モデルBeta X-Trainer250
命名、シグルドリーヴァ号

2023-06-03 12.08.04
お昼は飯盒メシに
バカでかシリーズで今回はペヤングのペタマックス


■慣らし運転

 さて、ラジエターガードも付いてコケてもラジエターは安心?なので、いよいよ慣らし運転開始です。ともあれ、今日はあまり開けずに、優しく乗ります。と思ったのですが、移動路ってこんなに勾配あったっけ?というほど、結構急な坂道で、それなりにアクセルを開けねばなりませんでした。まぁ、こればっかりは仕方ありません。
 と思ってたら、噂のヤチが見えてきました。こういう時って、勢いなくしたらダメなんですが、本能的にアクセルを絞ったのか、車速が落ちて窪みの泥にフロントを取られて、泥の中に転倒。まだコースインもしてないのに、いきなり左半身が泥だらけです。ともかく、そこで頑張ってもどうにもならないので、一旦下まで下り、上手な人がどんなラインで通過するのか見学し、それと同じラインで突破しました。何のかんので、クロトレは良いバイクです。
 コースに入れば、確かにグチャッてるところはほどんどなく、早かろうがゆっくりだろうが、グリップして楽しく走れそう。まずは雨モード2速でゆっくり走る事にしました。登りは力強く、下りは少々エンブレが強くて減速Gに耐える格好でした。何周か走ったあと、今度は晴れモードに切り替え。晴れモードの方がピックアップが良く、グイグイ走る感じです。ちなみに今回、セル/キルスイッチはハンドルの左側に移してもらいましたが、モードスイッチはケーブルが届かないとかで左のまま、セル/キルスイッチの右隣に付けてもらいました。しかし、走行中でも親指を伸ばせばモードの切り替えが自在に出来る事が分かりました。
 2速に慣れてきた(というか飽きてきた)頃、3速にアップ。糸魚川の登り坂はそれなりに傾斜があると思うのですが、そんなのお構いなしにグイグイ登っていきます。また、低速から回転を上げつつ坂を登るという芸当も上手にこなして、実によくいう事を聞いてくれるバイクです。下りでは3速でもエンブレがキツイ感じでしたので、4速に上げて下る様にしました。その方がスムーズに降りれる様です。また、下りでも若干アクセル開けなければならない所もありますが、自重で降りてるので4速のままでもカバーできる範囲が多かったです。
 ナイトパーティに間に合うように温泉に行く関係もあって、初日は1500時に走行を切り上げ。しかし、乗り易さは前の2019年モデルよりも遥かに向上しているのを感じ取れました。

2023-06-04 22.54.08
移動路はあちこちにヤチがあり
ハマってる人も結構いました

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今回は嫁はんも同行したので
去年作った寝板を初めて投入しました



■公試運転

 開けて翌日は、朝からドピーカン。雲一つない晴天です。これぞ糸魚川、これぞシーサイドバレーです。朝起きて真っ先に取り掛かったのが、PHDSの取り付け。当初簡単だと思っていたのですが、それなりに難儀しました。それでも走行開始の0900時には準備完了。いそいそとコースインしました。
 二日目は、このPHDSのテストも兼ねて走るつもりだったのですが、その効果は一発で理解できました。地面がガタガタの下りで、腕や肩に加重がかかるコースで、テキメン効果があります。振動が来ないというと嘘になりますが、手や腕にかかる負担が相当に軽減されて、楽しく走れるのです。
 2周ほどして、いい加減効果が分かったので、そろそろ慣らしは良いかという事で、全力走行に移りました。といっても、ファンフェスはレースではないですし、色んなレベルの人が参加してるので、十分安全マージンを取り、全力走行は基本的に見晴らしの良い直線コースのみで行いました。
 クロトレの走行性能の最大の特徴は、低速ギリギリまでエンジン回転/車速が落ちても、シフトダウンせずとも比較的急に車速を上げる事が出来る事ですが、2023年モデルのクロトレでは、それがさらにスムーズに行える様に感じました。2019年モデルのクロトレでは、エンジン内部にDLCだのWPCだのの加工を施し、その辺のスムーズさを担保したのですが、バランサーシャフトが追加されたモデルでは、吊るしの状態でそれが実現されている、という事です。
 こうしたエンジンの強みは上り坂でも存分に発揮され、結構急な上り坂でも、アクセルさえ緩めなければ登っていける事が確かめられ、自信を得る事が出来ました。また、下りは昨日と同様に、エンブレがキツい所では4速に上げて下ったのですが、PHDSの効果も相まって、昨日よりもさらに下りやすくなっており、下りが苦手な自分にしては、楽しく走る事が出来ました。

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翌日は糸魚川らしい大晴天

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ここから日本海が見下ろせます

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レースだとゆっくり眺めてる余裕はないのです

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フォッサマグナで有名な糸魚川
地形も実に豊富です

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ご機嫌に登頂
ただし、次の周回で転倒して、右ケツを大ヒット


■右ケツが激痛

 そんな感じでご機嫌に走っていたのですが、一番高いとこのリフトの急坂に三度目のチャレンジをした時、ラインどりとアクセルワークのミスで坂の途中でコケてしまい、転がり落ちた先の露岩で右ケツをしたたかヒット。あまりに痛くて、自分ではバイクを起こせず助けてもらい、下まで下ってバイクにまたがろうとしたら、右ケツが猛烈に痛い。どうにかまたがり、坂も再チャレンジして突破し(でないと戻れないから)、ほうほうとパドックに戻りました。
 一応、立てもするし歩けもする(ただしビッコ)ので、骨には異常はないのでしょうが、右ケツはパンパンに腫れあがってるみたいでした。今回のファンフェスでも、何人かの人がケガをしたみたいですが、片ケツが腫れあがったのは自分だけだと思います。とにかくケツが痛いのですが、こんな見晴らしのいい日に走らないは勿体ないので、再度コースイン。と思ったらガス欠で、ケツが痛いと連呼しつつパドックに戻り、1/60の混合燃料をつくり(クロトレは分離給油だが、最初の6時間だけ混合にとの指示)、改めてコースイン。
 スタンディングすると右ケツが猛烈に痛いので、シッティングオンリーで走行。上まで行くとコーヒーやオレンジジュースのサービスがあるのですが、バイクの乗り降りが一番ケツに来るので、午前中に5杯も飲んだからと、ひたすら走る事に。バイクにまたがってる分には、右ケツの痛みは我慢できるからです。
 そんなこんなで1530時頃まで走り、その後は右ケツの痛みでギャーギャー騒ぎながら着替えたり、バイクを洗車してトランポに荷物積み込んで、右ケツの痛みに耐えながら初参加のファンフェスを終了しました。

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自分らがトランポを停めた直ぐ後ろが洗車場で
帰り際は行列が出来ました

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バイクと車中泊の装備が二人分だと
荷物もぎっちりです


■まとめ

 帰る道中も、右足を引きずるほどの右ケツの痛さで、ロキソニンを4錠飲んでどうにかトランポの運転を辛抱できる程度。しかし、やっぱりロキソニンは偉大で、ともかく無事にウチまでたどり着けました。
 翌日月曜日は、後始末も念頭に有休をとってましたので、右ケツの痛みに耐えながら、荷物の後始末やバイクの洗車、整備を行いました。クロトレのアワーメーターを見たら、エンジン稼働時間は3時間。意外と乗ってたなーと感じました。その割にはあまり疲れてないのは、やっぱりバイクとそれに付けたパーツが素晴らしかったという証左でしょう。この趣味初めて、5ヶ月もバイク乗らなかったなんて事は、今回が初めてでしたが、ブランクを感じないほど楽しく乗れました。
 糸魚川シーサイドバレーは、今はレースでの貸し出しはしてないそうですが、ファンフェスだけは開催させてくれてるそうです。イベントとしても最高に楽しかったですが、そこで新車の慣らし、公試運転が出来たのは、非常に良かったと思います。

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翌日、初のミッションオイル交換
結構汚れてました