自分がスポーツライディングを趣味とした時に、一番最初に関心を持った整備が、タイヤ交換でした。どんな形であれ、オフロードバイクを趣味にする人が、まず関心寄せるがタイヤ交換ではないでしょうか。パンク修理であれタイヤそのものの交換であれ、自分で出来るにこした事ない整備能力であるのは、間違いないと思います。


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タイヤ交換が出来る様になるかどうかは
その人のやる気と財力次第!




■タイヤ交換は、必要性と場数

 自分の場合は、当初はXR250でツーリングもエンデューロレースもやるつもりをしてましたので、公道用とレース用のタイヤを、その都度履きかえさせるという必要性がありました。そのため、バイク屋さんに工賃払うから教えてくれと頼み込んで習いました。当時はまだ今ほどyoutubeなどで動画も上がっておらず、独学でやるには不安が大きかったのです。都合3回習って、それなりに知識はつきましたが、それでも手こずる事は多く、その度にうんうん悩みながら慣れていきました。
 モトクロスを始めてからは、レースの度に新品のタイヤに換えてましたし、レースが済んだら中古の練習用タイヤに履き換えるといった具合で、タイヤ交換の頻度は非常に多かったです。タイヤ交換は一般に「慣れとコツ」と言われますが、この頃に頻繁にタイヤ交換をやったお陰で、タイヤ交換の手順とトラブった時の手数が増えたと思います。要するに、何事もそうでしょうが、この手のテクニックは場数がものを言うのだと思います。
 これまでに何人もの人が自分にタイヤ交換の仕方を教えてくれと頼んできて、その都度お教えしたのですが、一人として自分で出来る様になった人がいないのは、教え方が下手だったのもあるでしょうが、皆さんそれほどタイヤ交換する機会も必要性もなかった、というのもあると思います。本当に出来る様になりたい人、つまりその必要性がある人は、プロに習うか独学でも場数を踏んでいる人だと思います。

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タイヤ交換の方法は様々で
自分も今では最初に習ったのとは違うやり方をしています

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場数を踏む事で、基本的なセンスが身についていきます

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しかし、それでも「うへぇ」となる事はしばしば

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自分でやるからには、どんな事になっても
自分一人でどうにかせねばなりません



■必要な工具

 自分でタイヤ交換できる様になるには、まず道具や工具が必要です。ついでにいうと、自分に合った使いやすい工具が必要です。他の人が勧めてても自分が使い難いと感じる工具は作業が滞ります。といっても、これからタイヤ交換を自分でしますー、という人は、何を使ったら良いか分からないでしょうから、他の人が使ってる工具を試してみて、合う合わないの試行錯誤をしていく事になるでしょう。
 ちなみに、現時点で自分がBeta X-Trainerに使っているタイヤ交換の工具は下の写真ですが、アスクルナットを外す工具以外は、大抵はどのバイクも同じ様な物を使うと思います。また人によっては、使ってなかったり、自分が使ってない工具を使ったりもします。
 冗長ですが、各工具の名称、金額、用途を説明します。

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  1. 木枠(自作)
     ホイールを地面に直接置かない為のもの。木枠があった方がビードを落としたりタイヤ組む時に力が掛けやすい。トランポに常備する為に簡易的な木枠を使っているが、専用のタイヤチェンジャーならなお作業がし易い。ムースタイヤの場合はビードブレーカーが必要なので、この手の木枠ではダメ。
  2. 27mm12.7sq.ソケット&12.7sq.スピンナハンドル(B4-27W:¥1,220、BS4E:¥5,360)KTC
     リアホイールのアスクルナットを外す為に使用する。ソケットはホイールを組み、アスクナットを締める時に後述のトルクレンチでも使用する。
  3. プラスチックハンマー No.70(70-1LB:\1,590)ベッセル
     スイングアームからリアホイールのアスクルシャフトを抜く時に、アスクルシャフトを叩き出すのに使う。手が痛くない人は拳骨で叩くのも有り。
  4. ムシ回し(\530)エーモン
     バルブのムシを脱着する為のもの。どこのメーカーの物でも良い。
  5. ダブルフレックスラチェットR(MFR1214N:\2,728)SK11
     ビードストッパーのナットを緩めるのに使う。ラチェット式でなくても良いが、ラチェットの方が楽。12mmのソケットとラチェットレンチでも代用化。
  6. 13mm六角棒、13mm9.5sq.セミディープソケット、6mm9.5sq.ショートヘキサゴンビットソケット、9.5sq.ラチェットハンドル(B3M-13:¥1,290、BT3-06S:¥830、BR3E:¥5,350)KTC
     これらはフロントアスクルシャフトを抜く為の工具。13mm六角棒は車載工具に含まれている。この辺りのソケットやヘキサソケット、ラチェットハンドルは、タイヤ交換のためというより、他のサイズと一緒に汎用工具として揃えておく場合が多い。
  7. タイヤレバー(MCOL-260:¥3,420×3本)KTC
     タイヤ交換の真打。色んなメーカーからタイヤレバーが発売されているが、KTCのは品質が良い。グリップがゴムなので手が痛くなりにくい。スマートなデザインなので工具箱の中でも邪魔になりにくい。3本はあった方が良いが、チューブタイヤの場合、4本あっても邪魔になる。
  8. ビードリフター(UN-P2610:\2,090)UNIT
     チューブを取り出す時にビードを持ち上げるのに使う。なくても作業できるが、指で持ち上げねばならない。
  9. ビードクリーム(\1,100)
     タイヤをホイールに組む時にビードにこれを塗らないと苦労する。これも様々なメーカーから出てるが、1kgのはなかなか減らない。なくなる前にフタがダメになるので、ラップで水分が抜けない様にしている。
  10. ビードバディ2(\3,100)MOTION PRO
     タイヤを組み込む最終段階で使う。これがあると腕が3本要らなかったり、膝で3本目のタイヤレバーを抑えたりする必要がなくなる。
  11. 充電式空気入れ(MP180DZ:\8,430)マキタ
     タイヤに空気を入れるための道具。エアポンプでも十分だが、電動なので体力使わない。コンプレッサーより小さいので場所を取らないのが良い。
  12. 12mm9.5sq.セミディープソケット(B3M-12:¥1,140)KTC&トルクレンチ(マイクロクリックMC30:\10,500)プロクソン
     ビードストッパーのナットを締めるのに使う。締め付けトルクは13NM。トルクレンチは6.3sq.なので、KTCの9.5sq.用のアダプター(BA23:¥1,570)を付けている。またフロントアスクルホルダーの6mmヘキサソケットにも使う。このトルクレンチはオイル交換のドレンボルトにも使うのであると色々役に立つ。
  13. トルクレンチ(マイクロクリックMC200:\13,000)プロクソン
     アスクルナットを締める時に使う。適当に締めてる人も多いが、自分はきっちりやりたいので敢えて使用。タイヤ交換の時以外使う用事がない。
  14. エアゲージ(\3,120)エトスデザイン
     トライアル車用の精密エアゲージ。しかし、タイヤ交換した直後は1.5barくらい空気入れてるので、むしろそのあとに乗る時に使う。
 これら道具や工具は、その場面でしか使わない、というものも結構多い(ビードリフターやビードバディーなど)のですが、あると便利なものは積極的に使っています。しかし、今、上に挙げた金額を合計してみたら、7万円を超えてました。これらを一気に揃えた訳ではないですが、結構な金額です。頻繁にタイヤ交換する決心があるならともかく、そうでないとちょっと出せない金額ではないかと思いました。

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タイヤ交換で一番くたびれるのは
空気入れる時だと思うんですよねぇ


■これまでタイヤ交換紹介記事を書かなかった理由

 タイヤ交換の記事は、これまでも何度も書こうかと思っていて、実は今回もそのつもりで作業の写真を撮っていたのですが、やってる内に段々煮詰まってきて、手順が詰まって二進も三進もいかなくなって、撮影どころでなくなりました。ビードストッパーを二つ入れる様になってから、大体毎回こんな感じです。煮詰まった時は、一旦作業をやめて、10〜30分ほど休憩すると、別のやり方でパコーンと入ったりして、いつもそんな感じで作業しています。
 つまり、毎回何かしらで苦労してて、「これ、どないしたらええんや!」とか口にしながらやってる体たらくなので、人にご教授できるほどの腕前はないのです。請われてタイヤ交換をご教授してたのは、ビードストッパーを一つしか入れてなかった頃の話しで、二つ入れる様になってからは、人に教える余裕なんかなくなりました。ぶっちゃけ自分でやっててもしんどいんで、いっそタブリスでも入れてうやろうかと思うくらいです(タイヤ交換自体は楽になるらしい)。
 あと、自分がタイヤ交換を習った頃に比べると、今はタイヤ交換の動画は物凄い数があって、自分と同じ様にやってる人もいれば、自分が参考にしたり、感心したりと、情報が豊かにあります。そんな中、大して上手い事もない自分が講釈たれる事もないかなー、と思う訳です。なので、これからタイヤ交換をマスターしたいと思ってる人は、上手な人の動画を参考にしてください。

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ビードリフターは、チューブを抜く時にしか使いませんw

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ビードバディーは最後の局面しか使いませんw


■タイヤ交換は自分でやるべきか?

ところで、現在自分がタイヤ交換をする頻度は、春に前後タイヤ、秋にリアタイヤを交換という事で、年3回だけ交換しています。昔使ってたタイヤよりも耐久性がある事や、タイヤの性能が向上した事、レース毎に新品にするほどシビアでなくなった事などが理由です。つまり、そんなに頻繁にタイヤ交換してる訳ではありません。
 このくらいの頻度でしかタイヤ交換しないのであれば、無理にタイヤ交換を覚えようとしなくても、バイク屋さんで交換をお願いしても良いのではないか、思っています。バイク屋さんでタイヤ交換をお願いすれば、1本あたり工賃は大体4,000〜5,000円くらいではないかと思うのですが、半年おきで、タイヤ代込みで35,000〜20,000円であれば、この趣味をやれる経済力を持っている人だったら、それほど大きな負担にはならないのではないか、と思うのです。年間の工賃を仮に15,000円だとして、上に挙げた工具代で換算すると約5年分です。
 しかし、一方では、自分で機械いじりが出来るのもこの趣味の楽しみであると思うので、向学心があって工具を揃える余裕のある人は、ぜひチャレンジして欲しいと思います。一度工具が揃ってしまい、スキルも身につけば、わざわざバイク屋に行かずとも好きな時にタイヤ交換出来ますし、工賃も浮きます。

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上等な工具はそれだけで使いやすいので
自分でやるならケチらず道具にお金かけましょう

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タイヤ交換は、本当に慣れとコツですので
やる気のある人は、是非ぜひマスターしましょう