田舎のばぁちゃんが作った様な塩辛い梅干しを作ろうという企画、2012年、2014年、2018年、2020年と作り続けてきたのですが、実を言うと、早々しょっちゅう食べる訳でもなく、どっちかというと頼まれて作る事の方が多いです。今回も依頼がありましたので、良い塩梅の梅を買ってきました。
いい感じに塩噴いてます
■急遽漬け込み
上にも書いた様に、2年前に作った梅干しは自分ではほとんど使っておらず、流し台の下の梅干しの甕も放ったらかしの状態だったので、「別に作らんでもいいやー」くらいに思っていたのですが、ベイシアに買い物に行ってみると、おそらく売れ残りの南高梅が安くで売ってました。安くなるのも致し方なしの、それなりに赤くなったり黄色くなったりしたやつです。しかし、梅干しにするなら青いのよりも、この程度熟した奴の方が身が柔らかくて良い。青いのを買うと熟させるまで待たなければならないので面倒です。熟してるわ安いわで良いトコづくめなのが、この時期の売れ残りという訳です。
そこでおもむろに前から頼んでた人に電話を入れて、本当に欲しいのか聞いてみると、ハフハフ言いながら欲しいとの事。確か2年前もそんな感じでこさえてあげたのですが、おそらく食い切ったのでしょう。頼まれた嫌とは言えないので、3kg買って帰り、2kg分をその人用にする事にしました。
梅干しを作るには、梅の総量の18〜20%の塩が必要です。おそらく食卓塩とかでも大丈夫なんでしょうけど、ここはちゃんと粗塩使うのが自分のポリシーです。粗塩買っても、他にあまり使い道がないので無くなるまでに時間かかるのですが、まぁ前回の残りも2年の間になくなったから、ちゃんと買う事にしました。また、梅や梅を入れるバケツを消毒するのにホワイトリカーが必要ですが、これは2年前に使ったのの残りを使う事にしました。大丈夫かな?と思いましたが、別に腐ったり酸っぱくなったりしてもおらず、そのまま使えました。
作り方は、もうこれまで何度も紹介していますが、以下の通りです。案外難しくありません。
- ボウルに梅を入れて水を入れて、軽く洗って水切りする
- 楊枝を使ってヘタを取る
- バケツはホワイトリカーで拭いておく
- ボウルに塩(梅の総量の20%)を入れ、もう一つのボウルにホワイトリカーを入れておく
- 梅をホワイトリカーにくぐらせ、塩をまんべんなくつける
- 梅をバケツに並べる様に入れていく
- 残った塩は梅の上にまぶす
- 皿等を梅の上に乗せ、大きなゴミ袋にバケツをいれ、ペットボトルで重石し、ゴミ袋の口をくくる
- 3日ほどしたら梅酢が上がってきて皿の上まで達したら、重石を減らす
- 1週間したら、皿と残りの重石を取り除き、ゴミ袋の口を縛って3週間放置する
- 梅雨が明けたら、晴天が3日連続で続く日を選んで、笊に梅干しを並べ、3日間外で干す
・その際、出来るだけ日に当たる様にする
・自分は毎晩梅干しをひっくり返し、満遍なく干せる様にしている
・雨が降りそうなら室内に取り込む - 3日後、梅干しを壺にいれて、冷暗所で保存する
上等な南高梅ですが、6月下旬ともなると半額になってたりします
どのみち、黄色くなるまで待たねばなりませんので
半額くらいので十分です
ヘタは楊枝などを使って取ります
一人だと気長な作業ですが、複数人でやると手早いです
梅を焼酎につけて、塩に転がして塩つけし、バケツに並べていきます
余った塩は上から振りかけます
大きなゴミ袋にバケツを重石を入れ
埃やゴミが入らない様に口を括ります
3日もすると、梅酢が上がってきます
上がってきた当初の梅酢は透明度が高いです
梅酢が上がったばかりの頃の梅はそれなりに黄色いですが
ちょっと色が濃くなっています
■梅酢の活用
梅干しを作る過程で、上記の1〜10までは全然難しくありません。一番のキモは11なのですが、それは後述するとして、11の時に取れる梅酢について語りたいと思います。
ぶっちゃけると、梅酢が出来てもあまり活用する方法が思いつかないもので、蕎麦にかけて食べる方法を前回くらいに紹介したと思うのですが、それも何回かやったら飽きてしまいました。紫蘇の葉を買ってきて生姜と一緒につけて紅生姜にする方法もありますが、紅生姜もそんなに毎日食べませんしね。という訳で、せっかく取れた梅酢も、半年くらいしたら捨ててたのが実情でした。
そこで最近、サラダにかけるドレッシング代わりに使う様になりました。具体的には、野菜にMCTオイルとマヨネーズをかけ、さらに梅酢をかけて混ぜるというもの。ドレッシングも酢を使ってますので、梅酢でも構わんだろうと思ったら、これが意外と使えました。
ただし、梅酢は塩分がかなり濃いので、ドバドバかけると酸っぱいのよりも塩辛い方が勝ってしまって、流石に体に悪そうです。MCTオイルとマヨネーズがそれぞれ2に対して、梅酢は1ないしそれ以下、というのが良い感じの様です。
ちなみに、梅酢は最初の頃は澄んだ色をしていますが、日にちが経つにつれ、徐々に濁ってきます。これは梅酢の中に酵母などが含まれていて、それらが変質していくからの様です。なので、活用するなら早めに食す様にして、冬前には使い切るか、処分するのが良いと思います。(実際に、市販されている梅干しの梅酢も産廃として捨てられてるのが多いらしい)
梅酢はコーヒーフィルターで濾します
最初のうちはまだクリアな色をしています
しかし、日にちが経つにつれ梅酢が濁ってきます
塩分高めなので、腐ったりはしませんが
早めに食した方が良いです
■梅干し作りのキモ
梅干しを作る上での一番のキモは、やはり干しの作業です。梅は塩で漬ければ柔らかくなりますが(これは梅漬けという)、やっぱり干した方がより柔らかく、また味わいも良くなると自分は思います。
梅干しは梅雨が明けた後、三日三晩干すのですが、これは土用干しと言われます。なんで3日なのかまでは調べてないので分かりませんが、2日だと物足りなさそうですし、3日以上干してると水分が大分飛んでしまうので、3日くらいがちょうど良いのでしょう。
自分は、初日0000時から干し始め、3日目の2400時に取り込む様にしています。まぁ、これは仕事から帰ってくる時間の関係でそうしてるだけで、別に朝から干したって構わないと思います。
大事な事は、ちゃんときっちり天日に梅を当てるという事。干した場所によっては、梅の一部が日陰になったりする事もあるでしょうが、その場合は、ザルを半回転させるなどして、日陰の部分の梅にもちゃんと日光が当たる様にします。また、干しっぱなしにするのでなく、夜中にひっくり返して、日の当たってない裏側に翌日、日が当たる様にします。
日光に当てると、当初黄色かった梅干しが、だんだん茶色がかった色になってきます。また日光によって表面に細かな塩の結晶ができ、それが夜中に溶けてしっとりする、といった現象も見られます。3日も干していると、梅が結構ふにゃふにゃになってきます。
干す時は天気予報で3日間雨が降らないのを確認してから干しますが、それでも雨が降ったりする事もあります。干してる梅に雨が掛かると、カビたりする原因にもなるので、その時は室内に取り込みます。また強風の時も、ザルが飛んだりする恐れがあるので取り込みます。実はキモというのは、こういった事で、干す時はいつも神経を使います。
干し始めはまだ黄色いっぽい感じです
夜は夜露で結晶化した塩が溶けます
ちなみに、これは紫蘇を使ってない白梅干しです
■改めて梅干しの効能
これまで、何度も梅干しを作ってきましたが、じゃぁそんなに食うのかと言われると、実はそんなに食べません。しかも最近は週の間はコメの飯を食わない事にしているので、余計に梅干しを消費する機会がありません。なので、実は前回作った梅干しも、まだ壺の中にいっぱい残ってたりします。そのおかげで、年単位で熟成させた梅干しは、かなり美味いものになるというのを体験できましたが。
ところで、ここ10年、日本の夏は災害級の猛暑で、そんな時に外で作業とか活動をしてたら、熱中症になってエライ目に遭うのですが、その対策として水分だけでなく、塩分やクエン酸を摂る様によく言われます。
そこで、試しに梅干しを午前午後に1個ずつ食べてみたところ、食べない時よりも疲労感がかなり軽減され、足が攣ったりもしなくなりました。こうした事はよく言われている事ですが、どうしてもご飯食べる時に使うイメージが強くて、スポーツする時に使う事はこれまでありませんでした。しかし、本当に効くので、今後は活用していきたいと思います。
ちなみに、甘ったるい調理梅では、ここまでの効果は感じられません。やっぱり製法とか塩分とかが影響してるんだろうと思います。
毎回、梅干しの輸送方法に悩まされてたんですが
牛乳のパックが使える事を発見しましたw
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