去年11月のモチュールカップ第7戦で休まず完走できた事から、「これなら頑張ればBクラス年間チャンピオン目指せるんじゃね?」と考える様になりました。Bクラスはそもそもエントリー数が少ないですし、自分より早い人はすぐさまA-2クラスに昇格になるので、勝機ありと見た訳です。その後、YTLで航続時間を調べたりベストテクGPスクールでフォームの見直しをしたりと、準備を勤しんできました。


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今回参加の皆さん
自分とふーちゃん以外は全員速い人





■モチュールカップでの勝機

 モチュールカップは年間8戦あるのですが、その内成績の良い7戦分がポイントとして計算され、ポイント数で優劣を競います。A-2、A、AAクラスとも、WEXの120ミニッツBクラス以上とか、JNCCのCOMP Aクラス並み、それ以上といった速い人ばかりで激戦区なのですが、Bクラスはだいたいいつも自分ともう一人くらいで、下手したら自分だけという事もあって、ぶっちゃけ完走したら優勝なんて事もあったりします。もっとも、かつてCRF250Rで参戦してた時は、60分も走ったら疲れきってしまって、2.5時間走り続ける事自体が難しかったのです。
 もっともそのBクラスも、最近は人が増えたとの事で、過去の記録を見てみると、多い時は4〜5人くらい居たりする。そうなるとそれらの人たちがどんなレベルか分からないだけに、勝てるかどうかは分からない。ただ幸いな事に、8戦通して出てる人はいなくて、せいぜい4戦くらいしか出ていない。となると、8戦全部出るだけでも勝機が見えてくるというものです。
 自分が少しでも勝ち目があるのは、もはやモチュールカップBクラスくらいしかなく、年齢的にも親の介護とか自分の老後資金だとか、そういうのを考えたら、もう残り時間は少ない。他のレースでひっくり返ってる時間的資金的余裕は、もうないと見て良いでしょう。何らかの形で、終盤の形を作らなければ、「一体何を成し得たんだ」という事になります。
 その様な訳で、今年はモチュールカップ全戦参加を企図したのですが、開幕戦の2日前、WEX勝沼で何かしたのか、急に右脇、つまり肋骨の下が差し込む様に痛み出し、コルセット巻いて整形外科に行ったものの、「レントゲンには何も写ってないけど、もしかしたらどっか折れてるかもしれないので安静に」と言われて、泣く泣く開幕戦はパス。まぁ、残り7戦頑張れば可能性はある、という意気込みで第2戦に臨みました。

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ピーカン晴天は気持ちいいけど
曇りの方が暑くなくて走りやすい


■前日走行での感想

 モチュールカップではいつも前日の昼前には現地入りして、のんびり準備して、必ず前日走行をする様にしています。いきなりぶっつけ本番でやるよりも、同じ酷い目に遭うにしても、前もって体験しておけば心構えも気持ちに余裕も出来るというものです。
 この週の間は、昼は晴れてても夜は雨が降るという天気が繰り返してたので、コースの方も結構ウェットになってるかな、と思ったのですが、そんな事は全然なくて、先週のスクールの時はまだ残っていたパドックの水たまりが、すっからかんになってました。コースの方もいい感じにドライで、とても走りやすそうでした。ただ、今回は旧本コースの一番下の沢も使うとの事で、しかもそっちまではブルは入れられなかったとの事で、轍に水が溜まってグチャッていました。まぁ、ここはいつもこんな感じです。
 問題だったのは、その先のa-かぁコーナーに向かうちょっとした上り坂が、かなりのマディになってて、ボケッと侵入するとスタックしてしまいます。まぁ、ここも昔からそうだったのですが、おそらくここが本戦で一番気合い入れなきゃならないところだと確信しました。
 ただまぁ、全般的には走りやすく、場所によっては4速まで入れれるところもあり、今回はこまめに気持ちよく走れるギアで走るのが鍵になりそうでした。

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腹回りは変わらないけど、足は細くなって
ブーツが完全に閉まる様になりました


■出走18秒で崖落ち

 さて、明けて本番。天気はどんよりとした曇り空でしたが、その方が眩しくないし涼しいしで、長丁場のレース走るには打って付けの天気です。かつ昨日よりもコースは乾いてるはずなので、今日はいい走りが出来そうです。本戦前の下見ラップでも、手応えをがっしり掴んで帰ってきました。とにかく、今日はミスせず手堅く勝手いこうと考えていました。
 そしてスタート。周りは全員早い人なので、そんなのと競ろうとはせず、安全確実な走りをしようと思ったその時、最近市貝で一緒につるむふーちゃんが、さーっと自分の左脇をすり抜けて行きました。おややーっと思って1コーナーを抜けた直後に抜き返してやろうと気合を入れたその瞬間、左のスクールの先輩(といっても、全員先輩なんですが)と接触。自分はフラフラとアウト側になだれ込んで、そのまま竹藪に転がり落ちてしまいまいた。
 バイクだけはかろうじてコース上に残った様ですが、自分の左足がバイクの下敷きになって、崖の斜面に宙吊りになる格好になってしまいました。左足を捻っても抜けないので、右足でバイクのシートを蹴ってどうにか脱出。といっても、そのまま斜面の竹藪の中でゴロンと横向きに転がって、茂った竹の中に右足を突っ込む形になり、その竹のお陰で滑落する事なく止まった感じです。もっとも、斜面にはいっぱい竹が生えてて、下まで落ちる事はなかったのでしょうが、下はコースだったのでうっかり落ちてたら先頭集団に跳ねれられた可能性があります。
 とはいえ、斜面の途中で、両足が宙に浮いた格好で、手は竹を持っている。パラシュート降下する時の格好に近いものがあります。「そーいや、ノルマンディ作戦で教会に宙吊りになった落下傘兵がいたけど、あれっぽいなー」と思った途端、もうなんか可笑しくて可笑しくて、笑いが止まらなくなりました。
 そうこうしてる内に、渡辺先生はじめ、ギャラリーの皆さんが集合。当初、0.1トン近い自分を引っ張り上げて貰うためにウィンチでも必要なんじゃないか、と思ったのですが、どうにか自力で上がって引っ張り上げてもらって、コースに復帰する事が出来ました。
 まぁ、このレースで崖落ちする人は結構いますし、大抵皆さん一度は落ちてるんじゃないかと思いますし、自分もいつかは落ちると思ってたのですが、まさか出走18秒で落ちるとは予想もしてませんでした。おそらくコースレコードだと思います。しかも、落ちたところは竹がクッションになって、下まで落ちず怪我もせず、しかもバイクは落ちなかったので、これまで落ちた人の中では運が良かった方だと思います。しかし、これで今日の勝ちはなくなってしまいましたし、すでに今回入れて2戦勝ってるふーちゃんにはかなり不利になってしまいましたし、なのにネタ的にはこれ以上ないくらい面白いのを仕入れてしまったので、かなり複雑な気持ちで残りの2時間余を走る事になりました。



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その後はちゃんと真面目に走りました



■その後は手堅く

 竹藪崖ですったもんだしてたのは、正味10分くらいだと思うのですが、先頭集団がやってくるには十分な時間でした。自分より早い人にはいくらラップされても名誉心は傷つきませんが、流石にふーちゃんにラップされるのは辛抱たまらんので、エンジンがかかり次第再発進。どっちみち勝ちはなくなったにせよ、実戦訓練と割り切って力走する事にしました。
 やっぱり難しかったのは、旧本コース下の沢。あそこは入り口の下り坂からして苦手だったのですが、ここではもう勝負はしないで確実に通過する事だけを考えて、2速雨モードで進入。その後の上り坂ではもう気合一発で登りきり、そのまま気を抜かずa-かぁコーナーを登り曲がって、すぐさまエンジンの回転をあげて3速に入れる、というのを繰り返しました。
 これが昔のCRF250RにタイヤがAT81だったら相当に大変な思いしたんでしょうが、その点はX-Trainerにミシュラン・エンデューロの組み合わせは最強で、XR230なら小一時間もしない内にクラッチが焼ける様な乗りかたでも、難なく元気にいう事聞いてくれて、頼もしい限りでした。
 今回、一応クイックチャージャーは用意したものの、2.5時間無給油で走りきれる予想をしてたのですが、まさかの崖落ちでしばらく燃料が漏れたらしく、2時間でリザーブに入ってしまいました。もっとも、ピットエリアの入り口付近にクイックチャージャーを置いていたので、給油にも時間がかからず、直ちに再発進。最終的にはふーちゃんの1周遅れでチェッカーとなりました。

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ランチ樹林のお弁当
いつ食べても美味しい!

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沢でついた土もジャンプで落としたので
思ったほど汚れてません

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1位と2位の貰える物の差は
トロフィーですw


■課題

 今回の敗因の最もたるものは、出走18秒で崖落ちであった事はいうまでもない事ですが、それよりもスタートで出遅れてもいないのに追い抜かれた方が問題に感じました。これはこれまでのエンデューロレースでのスタートに対する考え方を反省せねばならない、という事です。
 WEXなどでは、どのみち前が詰まっているし、慌てて出ても仕方ないし、だいたい慌てて出たところで1コーナーで何かあって撃沈という考えから、あまり慌ててスタートしようと思っていませんでした。しかし、モチュールカップは出走台数が20台前後と少なく、前が詰まるなんて事はまずなく、かつ昔のパドックからのルマン式と違って、今はチャンピオンコースからの一斉スタートですから、モトクロス的なスタートに変わっています。自分はモトクロスやってた頃からスタートが遅く、それでいてスタート練習は全然やってなかったのですが、ここら辺を見直す必要があると感じました。
 というのも、ふーちゃんとの巡航速度は、自分も彼もどっこいどっこいで、となると先に出た方が有利な事には違いなく、故にスタートは極めて重要という事になってきます。おそらく、他のBクラス参加者に対しても同じ事が言えるだろうと思います。
 バイクもよくなり技術も上がり(前回のスクールで習った事は存分に活きた)、2.5時間も余裕もって走れる事が分かってきた今、細かいところを直して行き、次の第3戦にかけたいと思います。

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1列目からスタートしてるのに
2列目のふーちゃんに抜かれるのは問題大有りです