鱈の煮付けが好きなんか?と聞かれれば、実のところそんなに食った事もなく、好きでも嫌いでもないのですが、先日帰省した時、おせちに棒鱈の煮付けが入ってて、それが結構美味しかったので、三度挑戦してみる事にしました。前々回はすきみ鱈、前回は生鱈でやりましたが、今回は青森のスーパーで買ってきた干鱈で挑戦します。


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青森のスーパーで買ってきた干鱈
あっちでは普通に売ってるらしい





■行間を読む

 すでに2回作っているのですが、過去に作った感想としては、「思ったほど難しくはない」という事。ざっくり言えば、鱈を生姜と醤油と砂糖で煮詰めるだけです。なので、軍隊調理法での説明も下記の画像に書かれている程度の事しか書いてません。ただ難しいのは、どのくらいの時間煮たらいいのか、といった事が書いてなくて、この辺りは目分量とか経験で補う必要がある、という事です。
 また、今回は干鱈を使います。軍隊調理法では、干鱈は生鱈の代用という事になっている様ですが、材料の鱈150gというのは生鱈を指した分量であると思われるので、水で戻した干鱈の場合は、戻した状態の重さで換算する必要があると感じました。

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三度登場の鱈時雨のレシピ
簡単ですが、簡単すぎる文章でもあります


 ともあれ、干鱈を水で戻さねばなりません。ねばなりません、といっても、水を張ったボウルに干鱈を入れて、時々水を換えるだけです。ただ、この時点では、実は干鱈と棒鱈の違いが分かっていなくて、なんとなく買ってきたものは棒鱈だと思っていたので、4〜5日水に漬けておくもんだと思っていたのですが、半日もしない内に明らかに柔らかくなり、パッケージにも「水に約一日位ひたし、数回水をとりかえて」とありましたので、大丈夫だろうという事で調理を始める事にしました。

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1時間もしないうちに膨れました
水を替えながら、半日漬けました

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大丈夫か?とパッケージを見直しましたが
大丈夫そうですw


■使う鍋の問題

 さて、いい感じに戻ったところで、鱈をざるに上げて水切りし、重さを計ってみました。578gありました。軍隊調理法では定量150gでしたので、生姜や醤油、砂糖は3.86倍した分量を入れる事にしました。
 生姜は本来は塊のを皮むいてスライスした使うのですが、今回は面倒くさかったのでチューブのを使いました。調味料を飯盒に入れて一煮立ちしてから、鱈を入れてざっと煮上げるのですが、問題は調味料は飯盒の底の方にあって、飯盒いっぱいの鱈の上の方にまで浸ってない事。なので菜箸でちまちまと下の鱈と上の鱈を入れ替えてたのですが、面倒になって蓋して放っておいたら、中で調味料がブクブクと沸いて鱈全体を覆ってました。

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内容量150gでしたが、水に戻したら580g近くありました

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醤油116g、砂糖58g、生姜39gを使いました

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調味料が一煮立ちしたら、鱈を投入します

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しかし、鱈の上の方まで調味料が被りません

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蓋をして煮ると、上の方まで調味料が上がってきました



■煮る時間

 軍隊調理法によると、ざっと鱈を煮たら、一旦引き上げて煮汁を煮詰めてから再投入する様に書かれているのですが、何分煮詰めたらいいかといった事は書いてません。この辺り、鱈の時雨煮の詳しい作り方を調べたら分かるのかもしれませんが、今回は中火で蓋して10分ほど煮てから、鱈を再投入しました。
 ここからは煮汁が煮詰まるまで鱈を煮る事になるのですが、ただ単に煮詰めただけだと骨までは柔らかくなる気がしません。昔の兵隊ものの読み物には、歯に挟まった骨をシーハーと取る描写もあったので、昔の軍隊では調理法の様に煮詰まる程度の短時間しか煮てなかった可能性があるのですが、ここはアレンジして骨まで食べれる様にしたいと思います。
 圧力鍋でも使えば短時間に作れるのでしょうが、飯盒以外を使ったら当協会としては負けな様な気がするので、飯盒使って弱火でコトコト煮る事にしました。15分おきくらいに蓋と取って中身を確認し、50ccほど足し水をして煮続ける、というのを繰り返しました。途中、骨をとって味見してみましたが、1時間くらいでは小骨でも少し硬く、2時間くらいすると背骨も噛める様になりました。
 途中、ちょっと味が薄い様な気もしたので、醤油と砂糖、そしてみりんも足してみました。そして3時間、背骨も柔らかくなったところで火を止め、冷ましました。

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調味料が一煮立ちしたら、再び鱈を入れて、煮詰めていきます

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長時間煮るときは、汁がなくなって空焚きにならないよう
注意深く差し水していく必要があります

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いい感じに煮詰まって、骨まで柔らかくなりました


■色々学習

 ところで、今回帰省した折、実家のおかんから昔(昭和20〜30年代)の棒鱈の煮付けの作り方の話しを少し聞きました。おかんの実家は貧乏でお母さん(自分にとってはお婆さん)は大晦日の午前まで働いてて、午後から年越しの準備をするのだけど、棒鱈は一日くらいしか水に浸けてなくて、硬くて歯が立たず不味かった、と言ってました。軍隊調理法でも棒鱈は4〜5日水に漬ける様に書いてあります。その一方で干鱈は1〜2日漬けるように書いてあり、自分が今回使った鱈も、実は棒鱈でなく干鱈であった事が分かりました。
 そこでネットで色々調べてみたところ、棒鱈というのも、凍干しタイプ(干鱈)と素干しタイプ(棒鱈)の2種類あって、前者は戻す時間が短く値段も安く、後者は戻す時間が短く値段が高い、という事も分かってきました。また、この記事には、骨が柔らかくなるまで3時間煮込む事や、棒鱈を煮る鍋は鱈が重ならず並べられる物が良い事なども書いてありました。
 また、今回使った干鱈はカット済みのものでしたが、それでもちょっと大きかったので、大きいブロックは縦に半分に切ったのですが、これだと身がボロボロになってしまいます。そこでよく軍隊調理法を読んでみると、筒切り、つまり輪切りにする様に書いてありました(もっとも、その下に「大いなるものは二枚におろし」と書いてありますが)。この点は次回注意したいところです。
 ちなみに、自分が実家で食べて美味いと思ったのは、どうも甘露煮だったみたいです。時雨煮よりもそっちの方が美味しいので、次回は甘露煮にも挑戦したいと思います。

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結構な量になったので、毎日少しずつ食べています