JNCC系のレースは一番近くて勝沼、大抵は高速道路で片道2時間くらいのところというのが定番なのですが、今回は非常に珍しく自宅から下道で1.5時間くらいの所での開催となりました。しかも、ツルツルとかグチャグチャとかガレガレでなく、火星みたいなところです。近場で交通費が有難いのと、物珍しいこともあって、参加を決意しました。


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WEXと違ってセクションスクールがないので
前日は時間が余りまくりです
なので写真撮影などしてました





■火星というか広大な砂場

 JNCC系のレースは、オフロードコース以外ではスキー場で行われる事が大半なのですが、今回はとても珍しく採砂場です。最初は採石場だと思ってたのですが、現地に着いてみて分かったのは、広大な砂場だという事。房総半島は地質学的には面白いところなのですが、開催地である君津市は沖積層だったらしくて、それで砂も取れるという訳なのでしょう。
 さて、当初の予想では火星みたいな岩盤質な地面かと思っていたのですが、コースを下見してみて、その大半がサンドである事が分かりました。まぁ、火星に行った事もないので、勝手に岩盤だと思い込んでいただけなのですが、サンドを走った経験はこれまでほとんどなく、今回が初めてみたいなものです。よく聞く話しでは、パワー食われるだの真っ直ぐ走らないだの、といった話しなのですが、ではどうしたら良いのか。
 まずタイヤですが、今回はリアタイヤが丁度半年に一度の交換時期だったので、新品のミシュラン・エンデューロ・エクストリームに変えていました。ほぼオールマイティに使えるタイヤですが、サンドで使うのは初めてです。サンドではむしろブロックの固いタイヤの方が良いと言われますが、よく分からないのであと半年つかう事を考えて、これまでと同じタイヤで挑戦する事にしました。
 次にタイヤの空気圧。普段のドライコンディションなら、前が0.6、後ろは0.5くらいに合わせるのですが、前後とも1.0くらいが良いとの事。そんな高い空気圧で乗るのは、モトクロスやめて以来、数年ぶりの事です。高い空気圧で乗るのには不安があったのですが、試しに0.6の0.5でパドック(ここも砂地)を転がしてみたところ、タイヤがグチャグニャして安定せず、ちょっと傾いただけでコケそうになりました。ところが1.0だとそれなりに真っ直ぐ前に進むので、これで行く事になりました。

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見るからに砂の沖積層です

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タイヤの空気圧をあげる事で
砂地にブロックが刺さる様になりました

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20人以上集まって、飯盒2個では足りませんでした


■初めてのサンド体験

 普段ならパドックで前夜祭なのですが、今回の会場は近辺にお年寄りの住まいが多いという事で、パドックは宴会禁止。しかし、会場からjonitの木更津ファクトリーまではトランポで30分なので、今回はそこで乱痴気騒ぎしてました。そして、2300時にはパドックに帰還。朝も早いので早々に寝ました。
 翌朝は0530時に起床。JNCCのFUNクラスのスタート時間はWEXの90ミニッツとほぼ同じです。レースの準備はキャメルバック以外は前の晩に済ませてあるので、時間の余裕はあります。まぁ、この当たりは慣れでしょう。ただ、いつもの様にあまり朝は食べれないので、ピーナッツチョコレート数粒とどら焼き半分だけ食べて、アミノボンバーをクエン酸入り経口補水液で流し込み、出撃準備完了です。
 今回、FUNクラスはAからWDまで総勢302台。えらい台数です。スタート方式は、、WEXと同じヘルメットタッチスタートです。なかにはエンジン停止からの一斉スタートという人もいたのですが、これはCOMPクラスやFUNでもFAやSAの人らです。まぁ、何スタートであっても、こんだけの台数が集まっていると、スタートからしばらくはワチャワチャした感じになるので、これに巻き込まれない様に慎重に駒を進めるのですが、今回は慎重どころか、一体どうやって砂場を走っていいやら分からず、ウニュウニュしてる間に後続のFDやWAにも抜かれてしまう始末です。
 それでもエイエイと前に進んだのですが、下見の際に心配になったのは、結構急な下り坂が3つもある事でした。地面が固くてグリップが良ければまだしも、足元は砂なので、うっかりすると滑ったりコケたりします。地面が砂だからコケても痛くないと言われても、もともと意のままにならない降りが苦手な自分としては、さらに勝手の分からない砂場ときて、ただただ怖い思いしました。

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ずらり勢ぞろいのBeta勢

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朝はほんの少し小雨が降りましたが
コースコンディションには全く影響しませんでした

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この2ヶ月、体重はまったく変わらず
もっと凹めたいんですけどねぇ



■サンドの走り方

 とまぁ、こんな具合でウヒウヒ走っていたのですが、そうこうしているウチに一つ気が付いた事がありました。それは、サンドの場合、地面にデコボコや轍っぽいものがあっても、それは単に「前の人がそこ通った」というだけで、それを跨ぐ様な格好で直進しても、砂山をフロントタイヤが突き崩して直進するだけである事。つまり、直進力が強ければ、地面にどんな文様ができて様と直進する事。いわゆる「アケアケで」というのは、その為である事がわかってきたのです。
 その事がわかるにつれ、徐々にアクセルを開ける様になってきました。特筆すべきは、タイヤの空気圧を0.1にしていた事。エンデューロレース、特にツルツルの時にタイヤの空気圧を落とすのは、タイヤを潰して接地面を増やす事でグリップ力を向上させる目的があるのですが、ザクザクのサンドの場合は空気圧を上げてタイヤを潰さず砂に突き刺す様にするのが効果的である事が体感できました。逆に空気圧が低いと、突進力が低下して直進しないという訳です。
 また、アケアケで行かねばならない理由は、単にサンドでパワーが食われるからだけでなく、エンジン回転が低く車速が低いと車体は地面に押し付けられる格好になりますが、逆に車速をあげると車体は「浮いた」格好になるので、砂に埋まっていかないという効果もあります。
 コーナーリングも、普通ならばクリッピングポイントからアクセル開けてクラッチで調整する格好ですが、サンドの場合はもっと前から開けていくイメージで丁度良いくらいでした。でないと、思わぬ所で失速してボテゴケするのです。

公式フォトには自分の走ってる姿は一枚も写ってませんでしたので
自前のGoPro動画で雰囲気を掴んでください


■まだあると思ったら終わってた

 今回は天候が曇りで季節的にも涼しかったせいか、夏場のレースの様に途中でバテる事もなく、淡々と走り続ける事が出来ました。神立戦の時には、5周目当たりでリザーブに入ってたので、今回もそうなる可能性を感じていましたが、ピットにはクイックチャージャーを準備してあったので、給油の心配もありません。
 そんなこんなで4周目あたりからサンドの走り方も大体飲み込めてきて、恐々だった下り坂もどうにか堪えて降る事が出来る様になってきました。慣れてくるとサンドを走るのもなかなか面白い。大体これまでレースに参加してて、うまく走れなくて最初から嫌になるパターンと、最初からうまくいって楽しく走るパターンに大別してたのですが、今回の様に途中から楽しくなるパターンは滅多にありません。
 タイムの方も、最初は18分もかかってたのが、徐々に短くなっていっていて、最後の方は11分くらいまで縮まっていました。もっと周回してたら、さらに縮まっていた可能性があったかもしれません。というのも、基本的に休みどころはなく、給水もロングストレートで行えてしまえるので、慣れれば慣れるほどペースが上がるという寸法です。
 さて、6周目に突入する際、チェッカーポイントのタイムは1時間14分を指していました。レース時間は100分なので、今のペースでいけば次に戻ってきたくらいでL1で、そのままピットエリアに入って給油して、急ぎ足で駆け込めば8周でフィニッシュという運びになるだろうと予想しました。まぁ、こういう時気負うと失敗やらかすので、慎重に2周分の体力を維持しながら走ったのですが、戻ってきたらチェッカーフラッグが振られてて、拍子抜けしてレース終了となってしまいました。



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レース終了
前回の骨折した肋骨まったく痛みませんでした

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所々砂が付いてましたが
ブラシではたき落せるレベルでした


■まとめ

 今回、初めてのサンドレースでしたが、結果としては楽しんで走る事が出来ました。最終的にはもっと頑張って走れば良かったかなと思えたのですが、まぁレースの最終にサンドの走り方を理解して走るところからが入り口でしたから、今回はこんなものでしょう。もし来年も八犬伝でレースがあるならば、是非とも参加して今年以上の走りをしたいと思います。
 サンドバレー八犬伝、ウチから下道で1.5時間という事で、高速料金もかからず移動の燃料代も大した事がありません。実にリーズナブルなのです。レースでは大体平均すると3.5万円のお金が掛かるのですが(エントリー費は別)、の2/3が高速料金と燃料代だったりします。それを年に5〜6回やるとなると、遠征費が結構バカになりません。そんな訳で、今回の八犬伝はお財布的にも有難いレースでした。
 マシン的な所見としては、X-Trainerはサンドにおいても軽く、曲がりやすく、登りやすい、といった十分な性能を発揮し、実にオールマイティに使えるバイクだと改めて感じました。ただ、サンドはやっぱり余計にパワーを食い、かつ抵抗が大きいのか、それなりの車速で走らないとエンジンがかなり熱を持つ様でした。この点に関しては、リザーブタンクも付けているので、仮に噴いても少々の事なら大丈夫と踏んでいましたが、次の点検整備ではラジエターの中身を点検しようと思います。
 先日取り付けたチタニウムフットペグは、これはもう威力絶大で、非常に踏ん張り感が良く、レース後半の降りが次第に怖くなくなってきたのは、ステップから足がずり落ちる感が全くなかったからではないか?と思うくらいでした。少々お高いフットペグですが、「値はただを取らん」のたとえの通り、いい値段するものは乗り心地も良くするのだな、と感じました。

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出来るだけ砂を落としたのですが
どうしてもトランポの中が砂だらけです

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成績は下から数えた方が早かったですw
まぁ、初めてのサンドだし、仕方ないかー