ハードエンデューロは言うに及ばず、クロスカントリーでもエンデュランサーにはスキッドプレート(アンダーガード)は必要という事で、自分もエンデューロ・エンジニアリングのアルミ製のを付けているのですが、フレームのフットペグの基部の部分が岩か何かにぶつけて凹んでいるのが分かりました。これでは具合悪いので、その部分に装甲を延長して貰いました。


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後端部分の両脇に装甲を追加して貰いました
少々高くなっても良いから
最初からこの状態で売っててくれたら良いのに





■クロトレ用スキッドプレートの特徴

 同じエンデューロ・エンジニアリングのスキッドプレートでも、RR2Tのは基部まで覆っているだけでなく、縁に返しまで付いてたりするのですが、これはフレームの形状がX-Trainerとは根本的に異なっているからで、クロストレイナーのスキッドプレートは後端部分がボトムリンクの方に向かって凹んだ形状をしていて、その形をしつつフットペグの部分までプレートを覆う様にするのは、工作の手間から金額が高くなるか、金額に合わせたら手間が割に合わないという事で、おそらく省略されてしまったのでしょう。
 純正の樹脂のスキッドプレートは言うまでもなく基部の部分も覆っていますし、アルミ製でもBoanoやP-TECHのは基部の部分を覆う格好になっています。ただしBoanoのはプレートがフレームに沿った形になっておらず浮いた格好になっており、P-TECHはエンジンの底だけでなくチャンバーまで覆うごっついものです。
 自分は見た目と、これまで一貫してエンデューロ・エンジニアリングのアンダーガードを使ってきたので、そうした理由でクロトレにも採用したので、やっぱりそのまま使い続けたいという事で、足りない部分を溶接してもらう事になりました。

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買ってきたままの状態
フットペグの基部がむき出しです

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なので、岩など当たり放題で
結構がっつり凹んでしまいました


■作業の手順

 上記の通り、EEのクロトレ用のスキッドプレートは、ちょっと複雑な形になっています。なのでどうやって装甲を継ぐのか、興味津々でした。まず、ボール紙で型紙を作るのですが、ボール紙はそれこそ自在に形がたわみますので、良い感じの形の型紙を描いても、そのままではスキッドプレートに合わせられません。
 どうするのかと思っていたら、4mmの厚みのアルミ板を叩いて曲げて、スキッドプレートに合わせるとの事。パーツの大きさはスライスした蒲鉾2〜3枚分の小さなものですから、アルミといえどもそれなりに固いです。パーツを万力で挟んで、木っ端と木槌でカンカン叩いて、良い感じに成形してました。まぁ、この辺りは自分では到底できない芸当です。もっとも、アルミ溶接自体が出来ませんけどね。
 アルミ板を加工している間に、自分はスキッドプレートから防振用のゴムテープを剥がしてました。これはフレームに当たってガタガタ言わさないためのものですが、溶接すると猛烈に暑くなってゴムなど溶けて焼き付いてしまうとの事。なので残った糊も綺麗にパーツクリーナーで落とし、もちろんリンクガードも外しました。

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お菓子の空き箱で型紙を作ります

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左右対称なので、型紙を裏返したら反対側も作れます

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スキッドプレートに合わせながら
何度か叩いて良い感じにしていきます

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こんな感じになりました

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裏に貼ってあるゴムテープは剥がし
作業が終わったら、貼りなおします



■アルミ溶接

 ここから先の作業は自分は見てるだけです。もっとも、溶接中の光を裸眼でまともに見たら、網膜焼けて失明してしまうので、直接見たらいけません。パーツはあらかじめ形を合わせてあるものの、ガムテープや接着剤でスキッドプレートにくっつけてから溶接する、といった訳にはいかないので、土台に置いたり何かで挟んだりして、まずはスポット的に溶接して、良い感じに位置が決まったらズビズバと溶接する流れです。
 ところで、鉄の溶接の場合は、高熱が加わると赤熱するので物が熱いのが分かるのですが、アルミの場合は赤熱しないのでパッと見た目は熱いかどうか分かりません。なのでウッカリ触ると火傷します。そのくらいアッチッチになります。
 また、溶接したばっかりのアルミ材は、冷えてもしばらくは衝撃に弱く凹んだりするそうで、今回の様な作業で2週間くらいはそっとしておいた方が良いそうです。バイクのフレームみたいにデカイのになると、半年くらい冷まさないと強度が出ないとの事でした。

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形を合わせてあるとは言え
これこのままくっつけるのは難しい

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直視では白い光なんですが
iPhoneではちょっと青みがかった光ですね

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溶接の間、ぶつけて塗装が禿げたところを
厚塗り塗装して養生しました

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バリを削って、焦げたあとも綺麗にして貰いました

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この状態で売ってても不思議でない出来栄えです


■拘りの逸品

 さて、とても良い感じに装甲が追加されました。まぁ、これならちょっとやそっとの岩が当たっても、フットペグの基部が傷つくという事はないでしょう。というか、傷が入る前にこの加工をしておいた方が良かったかもしれません。
 が、実をいうと、今回の加工ではもう一枚、スキッドプレートが買えるほどの工賃がかかっています。作業の内容をみれば、そのくらいの金額は掛かってしかるべきですし、むしろ安いくらいだったのですが、それでもBoanoのにしとけば良かったんじゃない?という意見も出てきそうです。まぁ、見た目がEEの方が好きでしたし、まだスキッドプレート買ってないなら悩みどころですが、すでにブツはあるので別のを買うのもなんだしで、見た目にお金だしました。
 もし、今後クロトレを買う予定の人がいて、装甲はしなければならないけど、それほどお金掛けられない人で、見た目にそれほどの拘りがないなら、Boanoのやつをお勧めします。クロカンしか出ないという事なら樹脂のスキッドプレートでも良いでしょう。
 しかし、アルミ溶接ってやってくれるバイク屋少ないですし、しかも他のを買えば良さそうなものを、わざわざアルミ継いでくれる様なバイク屋はあんまありませんので、むしろそっちの方が非常に貴重で重要なのです。

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フットペグの基部は完全に装甲されました