前回のJNCC神立戦では、途中20分ほど休憩して、のべ6周走ったのですが、その最終周でまさかのリザーブに入りました。もし、休憩せず延々走り続けていたら、7周目か8周目には完全にガス欠して、チェッカーを受けれなかった可能性があります。これまで予備の燃料を持って行っても使わずしまいで終わる事が多かったのですが、タンク容量8.5リットルといえども2ストのBETA X-Trainerでは、途中で給油する必要がある、と考える様になりました。


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届いた時は、こんな感じでバラバラの状態で届きます






■クイックチャージャーの選定

 大きめのレースでは、大抵ピットエリアがあって、燃料が心許ない人はそこに携行缶を置いて行ったりします。自分も当初は5リットルの缶にスパウト付けて置こうと思っていました。自分が使っているラトビア産の旧ドイツ軍タイプの携行缶は、スパウトの脱着も楽ですし、スパウトついてたら給油も楽なのです。かつ5リットルのは小型で、紐つけて肩に下げてピットエリアまでバイクで運ぶのも楽そうに思いました。
 ただし、スパウトの口はゴム栓で栓してるだけですので、何かの拍子に外れて中に水や土が入ったりする可能性もあり、また脱着しやすいだけにスパウト自体が外れないとも限りません。また、注ぎやすいとはいえ、レース中のへべれけに疲れた状態では、給油口からスパウトが外れたりして燃料を冗費してしまう可能性もあります。そこで、ここはやはりクイックチャージャーだろう、という決断をしました。
 そこでクイックチャージャーを探したのですが、これが案外あまり種類がない。というか、自分が探せる範囲では、今回かったタフジャグか中華製のパッチモンしかありませんでした。自分が使うのなら、5リットルもあれば十分だったのですが、タフジャグは10リットルか20リットルの2種類しかありません。中華パチモンは5リットルのがあったのですが、ゴミつかまされても困るし、10リットル入るからと言っても5リットルだけ入れれば良いだけの話しですし、場合によっては10リットル丸々要る事もあるかもしれん、と考え、名の通ったタフジャグにしました。

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チャージャー自体の重さは1.2kgです
鉄製の携行缶よりは軽いです


■見た目

 クイックチャージャーというと、両手で持ってタンクの給油口のノズルをぶち込むイメージなのですが、タフジャグのは持ち手が一つしかありません。何でかなと思っていたら、クイックチャージャーは別にバイクだけでなく、ジェットスキーや車にも使うそうで給油口が必ずしも天井向いてる訳でない。壁に斜めに口あいてる場合もある訳で、その際は持ち手は一つの方がやりやすい様です。
 タフジャグのクイックチャージャーは10リットルと20リットルがありますが、今回は自分一人で使うの前提で10リットルのものにしました。まぁ、20リットル満タンにしても一人じゃ使い切らないでしょうし、それ以上に持ち上げるのも難儀しそうです。まぁ、実際には90〜100分くらいのレースにしか出ませんし、5リットルもあれば十分なのです。
 10リットル用といえども大きさは結構あって、サイズは000×000×000mm、重さは1.2kgあります。給油アダプターも写真で見て想像してたよりもデカくて、女の子の握りこぶしくらいはあります。ちなみにこの給油アダプター、別売で6600円もしまして、本体が7920円である事を考えると、ほぼ給油アダプターが値段の大半を占めている格好です。車種によっては、給油口が小さかったり、タンクの中が狭かったりで、ロングアダプターやショートアダプターを付けねばなりませんが、クロトレやTT-R125では買ってきたまま使えます。

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ホースをアダプターの奥に押し込み
ボトルにセットする時は持ち手の中に通します

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立てても逆さにしても容量が
わかる様に目盛りが付けてあります


■使い方

 最初、物が届いた時は、タンク、アダプター、ベントホースがバラバラの状態で届きました。まぁ、おそらくは梱包サイズをコンパクトにする為でしょう。図解入りの説明書が入っているので、その通りに組み立てます。まぁ、簡単に組み立てられます。
 このクイックチャージャーの面白いところは、ノズルにロック機能が付いている事です。ノズルが上向きに置いてる時はともかく、下向きに置いている時は、何かの拍子にノズルを押してしまって燃料がダダ漏れ、なんて事が起こったりするのでしょう。ロックしておけばその心配がないというものです。ロックの外し方は、ロックのリングを潰してノズルの上にずらすだけです。といっても、それなりの握力が要りますので、腕上がりなどしてる時はちょっと厳しいかもしれません。自分一人で使うの前提ですので、おそらくピットエリアにはノズルを上向きにして置いておくと思うので、出走前にロックを解除しておいた方が良さそうです。
 実際の給油は、給油口にアダプターを差し込んで上から押さえると、インナーノズルが出てきて燃料がタンクに入っていきます。満タンになると勝手に止まる仕組みで、給油口からアダプターを抜けば、インナーノズルが隠れてノズルに蓋される格好になります。

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黒いリングが下に下がっている時は
ロックがかかってノズルが下がりません

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リングをグッと撓ませて上にずらすと、ロック解除です

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ノズルを下げると、給油できる仕組みです



■クイックチャージャーの給油の速さ

 さて、早速試しで使ってみました。まず気になるのは、オートストップ機能。これは燃料が満タンになったら、勝手に給油が止まる仕組みです。クロトレの燃料タンクは8.5リットルですので、10リットル満タンにして試してみました。10リットルといえども結構な重さです。欲張って20リットル買わなくて良かったと思いました。
 アダプターを給油口に差し込み、タンクを押し込むと、勝手に燃料がタンクの中に入っていきます。その間、何も考えずにボーッとしてるだけです。そして満タンになったら勝手に給油が止まりました。アダプターを引き抜くと、勝手に蓋が閉まる仕組みなので、余計な燃料が漏れたりしません。なるほど、これは便利です。ちなみに、オートストップするまで入れると、燃料タンクのキャップギリギリまで燃料が入ります。
 次に給油の速度。サイトによっては「20Lを14秒で」と書いてあったりするのですが、実際はどうか。5リットルで試してみました。結果は、5リットルで大体14秒くらいでした。まぁ、それでも早いと思いますし、スパウト付きのジェリカンで零さない様に気を使いながら給油するよりは、はるかに気楽かつ楽に給油できます。
 ちなみに、タフジャグのクイックチャージャーには、給油口が37mm以下の車両に給油するための細長いアダプターが別売であるのですが、X-Trainerの給油口は直径が35mmで、ギリギリというか、実に絶妙にタフジャグのノズルが入ります。ただし、隙間があまりないので空気の流入が少なく、それで燃料の落ちが遅くなっているかもしれません。Betaユーザーの中には、給油口を少し削って広げる人もいるみたいです。

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スパウト付きのジェリカンもそれなりに素早く給油できますが
零したりしない様に気をつけねばなりません

なんも考えずに、止まるまで差し込んでたら良いので
その点では便利な道具です


最後に、「ブハッ」となっているのは
空気があまりタンクに入っていかないからかも?

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シンデレラフィット的なジャストフィット
場合によっては、給油口に切り込みをつけて
空気が入りやすくした方が良いかも?


■使用上の注意事項

 今回初めてクイックチャージャーを使ってみたのですが、一番最初、給油しようとしたらアダプターからダラダラガソリンが漏れてきて、なんだ?と思ったらしっかり閉めてませんでした。しっかり閉めておけば、逆さにしてもガソリンが漏れる事はありません。というか、逆さまにして使うものなので、しっかり閉まってなければ漏れるのは当然の事なのです。
 これまで、タンクキャップのフローホースは、見たが好きなZETAのユニフローキャップに変えていたのですが、これは純正のホースに戻しました。というのは、ピットエリアで給油する時、キャップを落とさない様にどっかに置いておかねばならず、そんなしょーもない事に気を使うなら、ホースつけてぶら下げておいた方が楽だからです。また、ユニフローキャップよりホースの方が、転倒した時の逆流対策にはなりそうです。

テイク1で盛大にガソリンを零すの図

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ホースだと、キャップを外しても
地面に落とす心配がありません


■携行の仕方

 このクイックチャージャーに10リットル満タンにしたら、重さはどのくらいか計ってみたところ、8.5kgにもなる事が分かりました。手でピットエリアまで運び上げるには、ちょっと荷が勝ちる重さです。レースによってはカートでピットエリアまで運んでくれる事もありますが、レース前の忙しい時間に行ったり来たりするのも大変ですし、自分一人だと何でも自分でやらねばならないので、手間はできる限り省力化したいものです。
 ピンで参加してるライダーさんで、小型の携行缶に紐をつけて、肩から下げてピットエリアまで運び上げ、そのままスタート地点に集合する人もいます。8.5kgを肩から下げて移動するのは、ちょっとあぶなくもあるのですが、そこは安全運転に徹して準備の省力化をはかるべきでしょう。
 そんな訳で、ウチにあったナイロンストラップを持ち手に付けてみました。肩から下げた感じは、ちょっとバランスが悪いですが、まぁ、手に持ってバイクは動かせませんし、無いよりはあった方が遥かに便利です。

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10リットル満タンにすると8.5kg

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持ち手のところに紐をつけてみました
(が、短すぎたので、長いのに交換しました)

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こんな感じで下げれるので
歩いて持っていく時でも楽そうです