先日調達した「フランス軍放出品 メスキット アルミ製 ラージ クッカー」ことフランス軍分隊用飯盒 ル・ブテオン。普段滅多に出番がないとはわかりつつも、どうにも気に入ってしまいまして、気に入った物は二つ欲しくなる性格をしているので、追加でもう一個調達しました。片方は実用、片方は観賞用という訳です。
 が、異なるメーカーのが届いた事で、意外な事が分かりました。


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左が今回届いた物、右は前回届いたもの
右の方が綺麗に見えるのは、洗ったからです




■製造元は少なくとも2箇所

 前回と同じショップで追加分を調達したのですが、わざわざ追加で買ったのに気を利かせてくれたのか、今回届いたのは前回と違うメーカーの物でした。違いが分かるのは、ル・ブテオンの底に打たれた刻印で、前回のはM.M.T.つまりManufacture Metallurgique de Tournusことトゥールニュ冶金工場製でしたが、今回のはMNSという刻印でした。ネットで情報を探したものの、このMNSが何を意味しているのか分かりませんでした。また、M.M.T.のと違って年代を表す数字なども入っていませんので、制式とか製造年などの手がかりもありません。ただ、このル・ブテオンは、MMTとMNSの二つのメーカーの物があるっぽい事だけは確かな様です。
 ちなみに、今回来たのも前回同様、外側はそれなりに経年劣化があって、粉っぽい感じなのですが、中はとてもキレイで、蓋なんかも凹みは一切ありません。中古品として売られていましたが、実態はデッドストックで、フランスのどっかの倉庫に長い事眠っていたのが、おそらくアルミ材として放出したのでしょう。今回来たのは、グリスも塗られておらず、臭い消しは前回のよりも楽そうです。

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前回のもそうですが、底に傷も焦げ跡もないのは
明らかにデッドストックだと思われます

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右のMMTはこの飯盒でも結構メジャーですが
MNSの方はあまり見かけません
(ただ単にこんなとこ、注目しないだけかも知れませんが)


■釣り手の違い

 ところで、MNSのル・ブテオンが届いて直ぐに気が付いたのは、釣り手の動きが渋いな、という事です。そして何度か動かそうとしているうちに、釣り手の左側が耳金から外れてしまいました。よく見ると、釣り手の末端が開いてしまっています。そして何かの拍子に外れます。
 一瞬、壊れたのをつかまされたかー!と思ったのですが、前回来たMMTの物と釣り手の末端をよく見比べてみると、MMTの方はそれなりに余裕もって丸めてあるのに対して、MNSの方は結構タイトに丸めてあります。そして釣り手を畳もうとすると、耳金に干渉しやすいので、無理に畳もうとして何かの拍子に末端が開いてしまったのでしょう。まぁ、そうする事で、上手いこと畳める様になっていました。
 海外のサイトでも、MNSの釣り手の末端はタイトに丸めてあるので、MNSはこういう作りにした、という事なのでしょう。おそらく、ル・ブテオンの仕様書は同じものを使っていると思うのですが、作るメーカーが違うと、微妙に形や雰囲気が違ってたりするのは、日本の軍用品でもよくある事です。
 まぁ、店で手に取って買うのなら、動きのいい外れてないのを選んで買いますが、ネットで頼んでいる以上は、こういうのは見えないところです。物によっては、釣り手が歪んでて本体に沿わない形になってるのもあったりしますから、それに比べたらマシです。もし選べるのなら、「MMTのをお願いします」と言ってみるのも手かも知れません。

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釣り手の末端の違い
左のMNSはタイトに曲げてあるのに対して
右のMMTは余裕を持たせた曲げになっています

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タイトなところを無理に畳んだのか
MNSの方は、左側の末端が開いてしまい取れます
まぁ、実用上は問題ないのですが

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釣り手を起こした時の傾き方の違い

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蓋のハンドルを差し込む部分の位置が若干違うみたいで
それが釣り手の倒れる角度に影響してるみたいです
まぁ、これも実用上問題ありません



■その他の違い

 上でも書きましたが、同じル・ブテオンでも、ちょいちょい細かいところの差異があります。
 まず、蓋をフライパンとして使う際に、棒を差し込む所ですが、M.M.T.の方は真ん中から付け根に向かう部分がややテーパーになっているのに対して、MNSの方はただの円筒です。穴の大きさはほぼ同じなので、同じ棒を使う事が出来たんではないかと思います。もっとも、これ専用の棒があったのか、そこらに落ちてる木の枝を削って使ったのか、その辺りはよく分かりません。というか、本当にフライパンとして使ったのかなぁ。
 蓋と本体に付いている革通しも、M.M.T.の方はカチッとした形をしていますが、MNSの方は角が丸い感じです。まぁ、だから背嚢に縛着出来ない、という訳ではないのですが、日本の飯盒でも革通しの形が違ってたりしますから、似た様な事は外国でもあるんだなぁ、と感じました。
 あと、これは結構大事な事だと思うのですが、M.M.T.とMNSでは蓋の互換がありません。まぁ、無理くりハメ様したら出来なくもないんでしょうが、やらない方が無難でしょう。日本の飯盒でも、メーカーが違うと形が微妙に違って入らないものがありますが、軍用でもあるんですし、この辺りは上手いこと互換できる様にしといてくれたら良かったのになー、と思いました。

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左がMNS、右がMMT
MNSの方が奥まで突っ込めそうです

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革通しの仕上げの違い
まぁ、どっちもしっかり付いてますが

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蓋の互換がないのは、ちょっと驚いたものの
メーカーが違えばよくある話しです


■やっぱりこれは良いものだ

 こんな具合で、ショップの気遣いか、はたまた壊れたのを掴まされたのか、分かりませんが、異なるメーカーの物が来たお陰で、違いを検証する事が出来ました。まぁ、同じ物が来ても、ブログのネタにはなりませんので、面白かったです。MNSのは釣り手が片側取れる仕様ですが、完全に壊れてる訳ではないので、これはこれで使っていこうと思います。もっとも使う機会があれば、ですが。
 ちなみに、本体や蓋ので程度は、前回きたM.M.T.より今回のMNSの方が程度が良くてキレイです。外側はともかく、中はピカピカしてて臭いもあまりなく、まさに新古品のデッドストックです。追加で頼んだ方は、もし、飯以外にオカズも大量調理する機会があれば使いますが、基本的には保存用、観賞用です。こういうものは、欲しいと思って買える時に買っておかないと、あとで買おうと思っても、もう品物がないといった事がままあります。
 その意味で、やっぱりこれは良いものを買ったな、と思っています。次の課題は、このデカ飯盒を使うにあたり、威力ある火力を如何に用意するか、ですね。

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中身の程度の良さは、MNSの方が良かったです
もしかしたら、こっちの方が製造年が新しいのかも?

2021-06-23 10.24.59
飯とオカズを満載して、両手で下げて運びたいですねぇ