ファミリーなキャンプでは、ツーバーナーのストーブを使うのが定番だと思うのですが(最近ではそうでもないか?)、自分はこれまでどっちかと言うとソロ寄りの装備でしたので、ツーバーナーを買ったり使ったりという事はありませんでした。ソロじゃなくなって来たからこその新装備です。


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●火力:最高時約7,000kcal/h(約3,500kcal/h×2)(レギュラーガス最大出力時) 
●燃焼時間:約1.5〜3時間(470g缶使用時) 
●使用時サイズ:約64×32.5×52(h)cm
●収納時サイズ:約54×32.5×7(h)cm
●重量:約4.2kg
●機能:点火装置





■大量炊飯の必要性


 これまでにも泊りがけのバイクのイベントの際には、現地で飯盒炊飯を実施して、温かい飯を提供するという事をやってきたのですが、最近は人数も増えて来て、飯盒1個で1回炊けば良いという訳にも行かない事もあり、2回炊いたり、飯盒2個持って行って順番に炊くという場面も出て来ました。これで問題なのは、1個目と2個目では仕上がる時間に時間差があり、同時に飯をドッと出すという事が出来ない事です。
 そこで考えたのは、「1.羽釜など大量炊飯に向いた機材を使う」「2.ツーバーナーで同時に炊く」というものでした。1の場合は、羽釜を使うというインバクトもさる事ながら、焚き火や大火力のプロパンガスで炊く事になり、より美味い飯を提供できる利点があります。欠点としては、機材が大型化して展開撤収やトランポへの搭載などに難がある事です。キャンプだけならそれでも良いのですが、あくまでバイクがメインである以上は、あまりそこに凝る事は出来ません。また、大釜を使った炊飯は日常生活ではなかなか行う事が出来ず、習熟する機会に乏しく、美味い飯を炊く自信がないという事もあって、1は見送る事にしました。
 となれば、2なのですが、別にツーバーナーでなくても、ソロ用のストーブを2個持っていけば良さそうなものですが、実際にやってみると、案外不安定なもので、1個ならちゃんと支えられても、2個となると結構気を使うもので、その意味もあってツーバーナーの方が利便性が高いと考えました。ソロ用のストーブに比べれば嵩張る訳ですが、トランポに搭載する事を考えれば、少々嵩張るのは目もつぶれますし、展開すれば使える利便性、ガスでの炊飯なので慣れている、という事を考慮して、2の線で行く事にしました。
 ちなみに、発電機を持ってくる人もいるので、炊飯器を使えば良いではないか、あるいはガス式の炊飯器を使えば、という意見もあったのですが、それらの案は日本飯盒協会の沽券に関わるので却下しました。
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ワンバーナーでは仕上がりに時間差が出る

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メーカーの異なるバーナーでは、炊き上がりに時間差が出る
しかも結構置き位置的に不安定


■メーカーの選定


 ガスタイプのツーバーナーは、色んなメーカーから出ているのですが、今回コールマンを選んだのは、
  1. 火力が強力である事
  2. 出来るだけコンパクトかつ軽量である事
  3. 展開撤収が楽である事
  4. それでいて堅牢性がある事

 の条件のいずれもを満たしていたからでした。1に関しては、3,300〜3,500kcalと強力で、普段使っているプリムスIP-2243にはやや劣るものの、他者のツーバーナーと比較して一番強力です。2に関しては、見た目からして薄く、実際に持ってみたところも結構軽い。重さは4.2kgですので、現行他社のものより1kgは軽かったりします。3に関しては、大体どのメーカーも似たり寄ったりですが、コールマンのも足出して蓋あけて使うだけで楽です。4に関しては、耐荷重は最大12kgという事で、4合炊きの兵式飯盒2個(約3.7kg)なら余裕で使え、かつポータブルのシングルストーブよりも安定性が高いです。
 あと余談ですが、値段がコールマンの物が一番安かったです。他者のが実売で1.5万円ほどだったのが、これは1万円ほどで買う事が出来ました。

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色はあえて赤を選びました

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液晶テレビみたいな感じで入ってました



■箱だし


 という訳で、コールマンのツーバーナーが届きました。パッと見た目の大きさは、今使っているクーラーボックスの横幅とほぼ同じくらいです。特筆すべきはその厚みの薄さと軽さで、これならトランポのどこに積むにしても邪魔にならなそうです。軽さは、展開のし易さにも影響していて、楽に展開出来ます。
 実はこのツーバーナーを買う前に、廃番になったフォールディングタイプのツーバーナーを入手したのですが、これは重さが5.8kgもあり、ただ単に思いだけでなく、展開撤収も結構しんどいものでした。しかも折りたたみなので手順は倍です。そこでもっと簡単に使いたい事から、現行のこのストーブに切り替えた経緯がありました。
 色は、コールマンのグリーンでなく、あえて赤で。というのも、レースの前夜祭などでは、だいたい陽が暮れてから飯盒炊飯する事が多いので、暗色であるグリーンよりも明色であるレッドの方が、見栄えが良いからです。ただ、色が違うからといって、性能は緑でも赤でも同じですw
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それなりの大きさですが、結構薄いので
トランポのどこにでも潜り込ませそうです

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重さは4.2kgと軽量です
蓋は案外しっかり閉まる構造になっています


■使い勝手


 使い方はいたって簡単で、まず足を出して、そのままガスカートリッジを付けて、起こして蓋開けて、蓋に付属の風除けを、それに付いてるクリップをストーブ本体に差し込んで終わりです。蓋を完全に取り外す事が出来ます。使用する際には、五徳をひっくり返してセットします。仕舞う順番はこの逆です。
 個人的にこのストーブで関心したのは、バーナーの下の汁受けがフッ素加工されていて手入れがし易いだけでなく、バーナーが出ている口がバーナーに隠れる様になっていて、飯盒で飯を炊いた際に吹きこぼれがストーブの内部に入っていかない事です。ガソリンタイプのツーバーナーだと、中に容赦なくこぼれていくだけでなく、手入れも結構大変なので、この点は評価大です。
 また、五徳の形状がフォールディングのとは改良されていて、飯盒を乗せやすくなっているのも良い。バーナーの大きさは、プリムスIP-2243よりも小ぶりですが、あれはプリムスのが特別大きいのであって、家庭用ガスコンロと大体同じ様な大きさです。
 安定性に関しては、足が簡単な折りたたみテーブルと同じ様なものなので、揺すればそれなりにグラグラしますが、シングルストーブに飯盒を乗せるよりは遥かに安定しています。耐荷重も12kgらしいので、ちょっとしたテーブル代わりにもなりそうです。

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本当はストーブを立てて
下からガスカートリッジをねじ込むそうですが
自分はこのままやってしまいます

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フォールディングタイプとの比較
展開サイズは大体同じくらい
フォールディングの方はバーナーがオフセットされた位置になっていて
ちょっと使いにくかったです

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飯盒を置いた際の安定感は、ツーバーナーならでは
まぁ、このくらいのグラグラは許容範囲です


■炊飯能力


 気になるのは炊飯能力で、一応スペック上は3,500kcalという事になっているのですが、バーナーがプリムスIP-2243よりやや小さめなので、飯盒の真ん中に熱が集中して当たるなど、ちょっと不安がありました。試しに、先に届いたフォールディングタイプの方で炊いてみたところ、沸騰までに約6.5分かかり、同条件なら4.5分で沸騰するプリムスIP-2243より時間がかかる事が分かりました。もっとも、出来た飯はまったく遜色なく美味しく炊けたので、実用範囲にはあると判断しました。
 ところで、スペック表によると3,500kcalの火力は、コールマン純正のガスカートリッジで、レギュラーを使った場合とのこと。この他にスーパーというのがあって、レギュラーとスーパーの違いは、プロパンが5〜15%入っているのは共通ですが、残りはレギュラーがブタン、スーパーがイソブタンとのこと。沸点はブタンが-0.5度、イソブタンは-11.7度ですから、イソブタンの方が寒さに強いという事になります(ちなみにプロパンは-42.09度)。ちなみに、これまで使ってきたプリムスのTガスは、プロパンが25%のブタンが75%で、季節限定のUガスはプロパン25%のイソブタンが75%です。
 さて、そのスーパーガスを使って炊飯してみました。暖かい季節というのもあるでしょうが、火力はなかなかなもので、燃え方は下の動画の様に結構な迫力です。火の当たる範囲も、ほぼ飯盒の底全体に行き渡っています。そしてタイムの方も、沸騰までに大体4分半強で及第点です。これは使えると判断しました。

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今回、初めて調達したコールマンのガスカートリッジ
イソブタンって、結構火力強いんですねぇ〜

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飯炊きに使うにはちょうど良いタイムです

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火力の強いストーブで炊いたご飯は美味しいです


■後始末


 上でも書きましたが、このツーバーナーは汁受けがフッ素加工になっていて、吹きこぼれても拭けば綺麗になります。しかもガソリンタイプのツーバーナーと違って、五徳を外したらすぐ拭けるので、現地での手入れも楽です。しかも、ストーブ内部にまで汁が入っていかない作りになっているので、丁寧に後始末すれば、結構長持ちするんじゃないかと思います。
 ただ、楽をしたらもっと楽をしたくなるもので、吹きこぼれても直接汁受けにこぼれない様に、アルミホイルなどでガスマットを作ってやれば、もっと後始末が楽になるんじゃないか、とか考えてたりします。

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吹きこぼれても、バーナー内部にまでこぼれません

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ちゃんと拭けば綺麗になります
手入れのし易いのは有難いですね