これまで綿々と挑戦して来た、本ちゃん版のコミスブロートの作り方、とりあえず完成の域に達しました。結論から先にいうと、レーズンなどで天然酵母をおこしたり、サワー種をおこすのが一番大変で、それが上手い事いけば、あとは案外簡単で、しかもそれなりにイージーである事もわかりました。
左から
ミッシュブロート、コミスブロート(ロッゲンブロート)
サワー種、おこし中のレーズン酵母
■サワードウをおこす
本ちゃん版のコミスブロートは、ドライイーストを使わず天然酵母によるサワー種からサワードウをおこして作るのですが、体感的にはここまででコミスブロートを作る「肝」の部分は、7割くらい締めている様に感じました。言ってみれば、サワー種が起こせて、継続的にそれを継代する事ができれば、定期的かつ安定的にコミスブロートを作る事ができます。
レーズン酵母のおこし方については、別の記事で成功例を書きますが、レーズン酵母のみならず、サワードウを起こすのにも、発酵機、自分の場合はヨーグルティアを使ってますが、28度で9〜12時間温め続けれる環境を作れる装置は、特に寒い季節には必須です。暖かい季節なら、それこそ外に放り出しておけば勝手に発酵しますが、今回の成功のおかげは、ほぼヨーグルティアのおかげです。
さて、サワードウのおこし方ですが、20gのサワー種を湯冷ましした水180gで溶いて、ライ麦粉180gを混ぜ込み、28度に設定したヨーグルティアで9時間温めます。面白い事に、冷蔵庫で保存してたサワー種であっても、良い感じに発酵してくれます。ちなみに、先にも述べました様に、暖かい季節ならヨーグルティアなしでも発酵しますし、少々寒い季節でも、時間をかけてゆっくり発酵します。
発酵完了の目安は、ヨーグルティアで安定的に発酵させた場合で、大体8〜9時間。笠は1.5〜2倍くらいになっています。ツンと酸っぱい匂いがしたら、大体OKです。さらに発酵が進むと、アルコール臭がしたりもしますが、少々加発酵気味でも大丈夫です。一晩くらい置いておくのを目安にすると良いでしょう。
冷蔵庫で1週間保存したサワー種を使ってます
左は保存するサワー種
右がサワードウにする方で(2個分なので量が多い)
翌朝の状態
外に出しておいたサワー種の方はまだ発酵が進んでませんが
サワードウの方はいい感じに発酵完了です
■材料
前回も紹介しましたが、改めてたにし式コミスブロートの材料を紹介します。
《たにし式コミスブロートの材料》
- サワードウ:
ライ麦粉 180g(全粒粉でも可)
水 180g
サワー種 20g- メイン生地:
ライ麦粉 220g(強力粉、全粒粉でも可)
水 150g
はちみつ 40g
塩 10g
サワードウに関しては上でも書いたのですが、ライ麦粉だけでなく、小麦の全粒粉を使うのも可です。ただし、精白された強力粉ではなく、全粒粉です。というのも、精白されているものより、されてない粉の方が酵母がたくさん付いているからです。コミスブロートはいわゆるライ麦粉90%以上のロッゲンブロートの部類になるのですが、ライ麦粉と小麦粉の使う配分を変える事で、ライ麦粉が入ってる量が以下の通りだと、こういう分類になります。
- 90%以上:ロッゲンブロート
- 50〜90%:ロッゲンミッシュブロート
- 50%:ミッシュブロート
- 10〜50%:ヴァイツェンミッシュブロート
- 10%以下:ヴァイツェンブロート
なので、その時々の気分によって、ライ麦粉と小麦粉の配分を変えて楽しむのも多いにありです。
サワードウ380gに塩10gと、メイン生地になる粉220gを入れてます
黄色いボウルはライ麦粉100%
ステンの方はライ麦粉と強力粉が半々になります
はちみつ40gを150gの湯で溶いて冷まします
はちみつ以外でも、砂糖20gやモラセスでも良いです
手早く作業するために
水はあらかじめ先に用意しておくと良いでしょう
■捏ねるのか捏ねないのか
全ての材料を混ぜ合わせるのですが、問題はその後。ライ麦粉90%以上のコミスブロートの場合、どのレシピを見ても、パン作りによくある「捏ねる、叩きつける」という工程が書いてありませんでした。その理由は、ライ麦にはグルテンがほとんどなく、捏ねてもグルテン膜が形成されないからです。なので、90%以上のコミスブロートを作る際は、材料を混ぜたら、捏ねずそのまま一次発酵に回します。
では、強力粉が半分混ざっているミッシュブロートはどうするかというと、まぁ捏ねなくてもパンになりますが、そこはやっぱり捏ねた方がふっくらしたパンになります。大体10分くらい捏ねれば十分です。普通の小麦粉のパン生地みたいに、次第にまとまってくるという感じではなく、結構ベタった感じですので、叩きつける作業しません(すると生地が飛び散るから)
これらの作業が終わったら、ラップをして電子レンジの発酵モードに、35度で1時間かけます。その間に、型の内側にラードを塗っておきます。
黄色いボウルの方はライ麦粉100%ですので捏ねません
準備完了
35度で1時間、発酵させます
右のパウンドケーキ型はあまり膨らまないコミスブロート用
飯盒の方は、膨れるミッシュブロート用です
1時間後、一次発酵が終わった状態
■過発酵に注意
一次発酵が終わったら、ガス抜きして20分ほどベンチタイムをとります。気温が高いと、この間にも生地が膨らんだりします。天然酵母は意外と元気なので驚きます。
ベンチタイムのあと、生地を型に入れるのですが、これは普通に打ち粉して生地を伸ばして両サイドを畳んで丸めて入れる、というやり方をします。ただ、ライ麦粉が90%以上の生地の場合、そんなに柔らかいものでもないで、ゴムベラで生地を型の中に詰め込み、表面はゴムベラに水をつけていい感じに形成します。
ここから、発酵モード35度で50分、二次発酵にかけます。問題はこの二次発酵で、意外と結構膨らみます。なので、あまり長時間発酵させると、過発酵になって膨らみすぎてしまいます。場合によっては、型からはみ出してしまう事もあります。なので、あまり発酵させすぎない様に注意します。
ライ麦粉の多い生地の場合は
こんな感じでペタペタと形を整えます
これが二次発酵前
35度で50分発酵させた状態
結構膨らみます
■焼き上げ
二次発酵が終わったら、180度に余熱したオーブンで30分焼き、焼きあがったら型からパンを出して、一晩冷まします。小麦のパンは焼きたてが美味しいですが、ライ麦パンは冷ました方が美味しいです。
食べた感想ですが、ほんのり酸味があって、売り物のフォルコンブロートなどに近い味がします。見た目の感じは、りんご汁とドライイーストを使った粗製コミスブロートと同じですが、よりこっちの方が本格的です。まぁ、サワー種を起こすのは大変ですが、温度管理さえちゃんと出来てれば、自分でも出来ましたので、心ある人はぜひ挑戦してほしいです。
ただ、ドイツ軍のリエナクターの人でないなら、ガチんこのコミスブロートでなく、小麦粉が半分は入ったミッシュブロートの方が口に合うんじゃないかと思います。まぁ、この辺りは好みだと思います。自分はライ麦粉の節約のためにも、ミッシュブロートを作るのが最近の主流になりつつあります。
出来上がり
左のミッシュブロートの方が膨らんでます
断面の違い
当たり前ですが、強力粉混じってる方が色が薄いです
どっちもほんのにサワーな風味がします
コメント