今回はちょっと寄り道して、捨て種を活用して、ライ麦粉と小麦粉をミックスしたパンを作ってみました。いわゆるライ麦粉50%のミッシュブロートというやつです。その目的は、発効したライ麦粉のパン種を冷蔵状態から、再発酵出来るのかどうかを体験する事です。


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意外にもきちっとした出来栄えになります






■サワー種をきっちりおこす試み

 さて前回、如何にかこうにかレーズン酵母からサワー種を作る端緒についた訳ですが、サワー種は何度も捨て種と種つぎを繰り返して、最終的に水に浮く様になったら完成という事になっています。そして現状では、まだ水に浮きません。なので、水に浮くまで、継続してサワー種おこしの作業をせねばなりません。
 サワー種の起こし方は、人によって様々ですが、大体共通しているのは、元の種を一部残して、新しく粉と水を入れて混ぜる、というものです。その分量が、人よって異なる訳です。また、4日目からは半日起きに種つぎをしなければならない、という人もいて、なかなかマメな事です。
 とは言え、一応は発酵して嵩が増える様にもなっているし、毎日種を残すのと捨てるのに分けて、種つぎしてやれば、その内、水に浮くのが出来るだとうと、この時点では考えていました。現に、種つぎする度に発酵して嵩が増えますし、ヨーグティアを使わず比較的寒い室温でさえも、ムクムク発酵してましたから、とても楽観的に考えていました。

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元気よく発酵するサワー種

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水に浮いたら完成ですが、なかなか浮きません

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捨て種は瓶に分けて冷蔵庫へ

■捨て種の使い道

 さて、この作業では、毎回元の種の半分くらいを捨てる格好になります。といっても、別に腐っている訳でもないので、捨てるには惜しい。というか、発酵してるって事は、中で酵母が生きてる訳で、こいつらが悪い事はどこにもないのです。同じ様な思いの人は他にも大勢いるようで、捨て種を他のパンに使う人もいます。
 そこで、自分も毎回出る捨て種を捨てずに貯めておいて、それでパンを作る事にしました。具体的には、コミスブロートのサワードウの分量が貯まったら、それにライ麦粉の代わりに強力粉を入れて、ライ麦粉と強力粉が半々くらいの、いわゆるミッシュブロートにしようという訳です。
 捨て種の保存の仕方は、煮沸消毒した瓶に入れて、冷蔵庫に放り込むだけ。当初は、これで再び使う時に発酵して嵩が増えるのか心配でした。ところが、2日間くらい冷蔵庫に入れてたくらいではどういう事はなくて、いざ使う際に冷蔵庫から出しておいたら、そこから再びムクムクと発酵し始めました。

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冷蔵庫から取り出し、種継ぎして発酵モードにかけた状態
元気よく発酵してます

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強力粉を混ぜたので、白っぽい生地です



■捨て種といえど強力である

《たにし式コミスブロートの材料》
  • サワードウ:
     ライ麦粉 180g
     水 180g
     サワー種 18g
  • メイン生地:
     ライ麦粉 220g
     水 170g
     はちみつ 40g
     塩 18g
 たにし式子ミスブロートでは、サワー種18gを使ってライ麦粉と水180gをサワードウにする事にしています。つまり、単純計算でサワードウの重さはざっくり370〜380gという事になります。たにしミッシュブロートでは、貯めた捨て種を使う事にします。
 メイン生地はライ麦粉の代わりに強力粉を使います。単純計算でライ麦粉190gに対して強力粉が220gですから、比率はほぼ半々。故にミッシュブロートな訳です。残りの材料は上記の通りです。これらを全部混ぜて、さらには今回は強力粉も入っているので、10分ほど捏ねて叩きつけてました。
 さて、どのくらい置いておけばどの様になるのか、まったく分からなかったので、とりあえず電子レンジの発酵モードで、35分1時間発酵させてみました。ところが、見た目にはあまり変化がなかったので、5時間くらいにセットして、一旦寝て朝から作業再開する事にしました。
 ところが起きてみてびっくり。生地が飯盒から溢れかえっていました。とりあえず、残ってる生地をまとめなおし、改めて35度で1時間発酵させて、180度で30分焼いてみましたが、いい感じに焼きあがりました。しかも、味の方はほんの少し酸味があって、こないだ作ったのよりは、よりライ麦パンっぽくなっていました。

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放置してると、こうなってしまいます
1時間半くらいが良さそうです

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それでも、それなりのパンになりました

■浮いてこなくてもパンは膨らむ

 サワー種を起こす色んな作例では、サワー種が水に浮いたら完成!というのがほとんどなのですが、これがなかなか浮いてきません。しかし、浮かないからと言って、発酵力が低いとかそういう事は全然ない、というのが今回分かった事でした。むしろ、かなり強力です。
 捨て種を冷蔵庫に入れておいたのですが、2〜3日程度では凍死する様な事はなく、むしろ寝てる様な感じで、外に出して種継ぎしてやれば、またもや強力な発酵力を発揮する事も分かりました。本ちゃんのサワードウは、こうして保存しておいたサワー種をもとに作る事になっていますから、それと同じ事が出来たのは、大きな前進となりました。
 味の方も、気のせいか、やや酸味が出てきたようです。おそらく、水に浮く様になる頃には、もっとしっかりした味になるのかもしれませんが、気長に種継ぎして継代させていく事で、そういうサワー種が出来るかもしれません。なんにせよ、ドライイーストを使わずパンを膨らますノウハウを手に入れたのは、大きな成果だと思います。

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最初はこんな感じでも

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1時間半後には、このくらい嵩が増えます
このくらいが過発酵にならず、ちょうど良さげです