リンゴ汁を使った模造コミスブロートでなく、ちゃんと酸味のあるライ麦パンが食べたくなりました。そのためには、サワードウから作らねばならず、サワードウを作るにはサワー種をおこす必要があります。サワー種の起こし方は、色んな動画やサイトで紹介されていて、しかも簡単確実に起こせる様な描かれ方がしているのですが、実際にやってみると、結構大変でした。
このサイズの瓶を買おうとしたら、400円近くしたので
肉のハナマサでエジプト産の中身入りを買ってきました
300円程度です
■そもそもサワー種とは
今日、一般にパンを作る時は、イースト菌を使う事が多く、顆粒のドライイーストが大抵のスーパーに売っています。これはざっくり言えばパンを膨らますためのものです。しかし、大昔はそんなもんはなくて、天然酵母を使ってまして、コミスブロートを含むライ麦パンは、ライ麦にくっついている酵母菌を培養したサワー種でパンを膨らませてた、という事です。自分は科学者じゃないので、小難しい説明はできませんが、きっちりしたコミスブロートを作ろうとしたら、サワー種から作らんといかんという訳です。
さて、サワー種のおこし方ですが、これも人によって様々です。勉強して自分が理解した事を書くと、こんな感じです。
- 1日目:水と粉を1:1で混ぜる
- 2日目:混ぜたの0.5に水と粉を1:1で混ぜる
- 3日目:混ぜたの0.5に水と粉を1:1で混ぜる
- 4日目:半日起きに、混ぜたの0.5に水と粉を1:1で混ぜる(〜7日目まで)
- 8日目:水に浮けば完成!
大事な事は、使用する瓶や道具は熱湯消毒して雑菌が入らない様にする事と、温度を25〜28度くらいに保つ事。寒過ぎても暑過ぎてもダメだそうです。また、瓶は密閉するのでなく、空気が通る様に軽く蓋する程度だそうです。
80gもライ麦粉と80gの水を準備
それらをしっかり捏ねて、皿で蓋して一日目は終わり
■レッツ・チャレンジ!
昔、模造コミスブロートを作り始めた頃にも、サワー種おこしをやった事はあるのですが、当時は今以上に勉強不足で(というか、この4年でネット上の情報がグワっと増えた気がする)、まともなサワー種が出来ていたのかどうか、怪しい感じでした。まぁ、模造だったから、サワードウがまともでなくても、どうにかなってた様なもんです。
さて、ともかく挑戦。様々な情報の中から、「絶対失敗しない、菌を信じて!」と謳っていた動画を参考に、まずはライ麦粉80gとカルキ抜きした80gを混ぜ、器に皿を乗せて蓋をして一日放置しました。ただ、この時期寒いですから、日中は日向に置くとかして、温度を上げる様に心がけました。
で、二日目。その動画では、二日目は混ぜて空気を入れ込むだけだったのですが、蓋を開けてみてビックリ。水分が蒸発して皿の裏は水滴だらけ。で、肝心のサワー種の方は、表面がカピカピに乾燥して茶色くなっている。この時初めて、「ライ麦粉は粉の段階では灰色だけど、水混ぜて乾燥すると茶色くなるんだ」、つまりライ麦パンの色はこうやって出るんだって事に気がつきました。
余計な事に関心してても仕方ありません。とりあえず、少々水を入れてかき混ぜてみたところ、どうにか復活したっぽい感じでした。
二日目。開けてビックリ、乾燥して干からびてました
水を足して、かき混ぜて、どうにか復活?
■こたつで温めてみる
ここではっきりした事は、この時期の室温では、温度が低過ぎて菌がまったく不活発である、という事。そこで、ファンヒーターの前に置いてみたら、ちょっと元気が出てきたみたいで、泡が一個だけ出てきました。
そこで自分が留守中は、普段こたつでゴロゴロしてる嫁さんに、容器をこたつの中に入れておく様に指示しました。もっとも、こたつのヒーターの直下では暑すぎるでしょうし、そもそも嫁さんが寝転がっているので、こたつの端の方の、暑過ぎず寒過ぎずのところに置く様に言いました。また、皿では水が蒸発してしまうので、ラップでぴっちり塞ぎ過ぎない程度にカバーする様にしました。
その夜、ラップを開けて中の臭いをにおってみたのですが、どーみても足の臭いです。まぁ、一日中、嫁さんと一緒にこたつの中にいたのですから、嫁さんの足の臭いになっても仕方ないのかなぁ、といったところ。
ネットでどれだけ詳細におこし方が書いてあっても、臭いだけは伝えようがないので、これで正解なのかどうか、正直なところ分かりません。
ファンヒーターの前に置いてみると
やっとこ目醒ましたみたいです
足の臭いがするのは、正解か間違ってるのか
ぶっちゃけよく分かりません
■種つぎをする
3日目からは、種を40g取り出し、水40gと粉40gを混ぜて、菌に餌やりをします。手順としては、水に種を入れて混ぜ、粉を入れて混ぜるといった順番です(その方が混ざりやすい)。
前から思うのですが、せっかく混ぜて発酵させた種を、半分捨ててしまうのは勿体無いと気がするのですが、捨てずに倍量の水と粉を入れていくと、鼠算的に量が増えていって処置に困るので、ここはレシピ通りに捨てました。もっとも、結構ネバネバしてるので、排水口のごみ受けにいつまでも溜まっている感じでした。
捨て種を捨てずに使う方法もあるらしいのですが、今回はそんな気持ちに余裕がありませんでした。後から考えてみたら、捨て種を貯めておいて、それこそ模造コミスブロートにでもすれば良かったです。
3日目の状態
見た目、特段の変化がありません
中では、若干発酵が進んでたみたいです
種つぎしてヒーターの前に置いてやると
大人しそうに発酵してました
■瓶に移す
4日目から、瓶に移しました。瓶の方が、ブクブクと発酵している様が分かりやすいからです。瓶は1リットルくらいのサイズのを用意しました(冒頭のエジプト産ジャムの瓶)。もちろん、熱湯消毒して殺菌します。これに水40g、種40g、ライ麦粉40gを入れ、載せる程度に蓋をします。そして、できる限り暖かいところに置く様にしました。
予定では、そろそろ元気よく発酵が始まって、入れた倍くらいの量にブクブク膨らんでくるはずです。しかし実際には、1.5倍くらいしか増えません。一応は頑張って培養してるっぽいのですが、見本ほど元気がありません。
ここで気がついたのは、ファンヒーターの前に置いていると、種の入ってない部分の瓶は結構あっちっちに熱くなっているのに、種の入ってる部分は結構冷えている事。なので水分の蒸発は結構あるみたいで、瓶の中の温度湿度と、種の水分量のバランスが崩れてて、それが元気のない原因かな、と思いました。
今日から瓶に移行
水に種をおとして、それから粉を入れます
輪ゴムで発酵前の位置を記録します
ヒーターで温めるのは良いのですが
瓶全体が温まる訳でないのに気がつきました
瓶を若干高い位置にしてやると
種の部分が温まりました
見本だと、もっと元気よく発酵するのですが
やっぱり寒いせいか、それほどでもありません
■6日目で断念
その後も種つぎして培養を進めようとしたのですが、5日目からめっきり元気がなくなってしまいました。臭いも酸っぱいというか饐えた様な臭い。水分不足かと思って水を足してみたり、寒すぎるのかとぬるま湯に浸けてみたり、色々やってみましたが、どうにも復活する気配がありません。
結局、これ以上やっても、どうにもならんなー、という事で諦めて廃棄する事にしました。天然酵母を起こすやり方は、他にもリンゴやレーズンを使ってやる方法があるので、まずはそっちから挑戦してみようかと思います。
今回、最大の敗因は、やっぱり温度管理であったろうと思います。クッソ寒い冬に、発酵機もなしで出来るほど簡単なものではない様です。しかし、これで諦めず、ちゃんとしたコミスブロートを食べるために、改めて方法を研究したいと思います。
完全に沈黙したサワー種のなり損ない
温めても、うんとすんとも言わなくなりました
全く残念ですが、サワー種おこしは結構大変だと分かりました
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