ライ麦パン用に送ってもらったリンゴですが、結局、リンゴを使う作り方は誤りである事に気がつき、リンゴが沢山余る事になりました。リンゴといえば、これまでは皮むいてそのまま食べるくらいの事しかしてこなかったのですが、せっかく炊事部用に送ってもらったリンゴですから、リンゴを使った料理に使おうと思います。今回はその第一号、ガトー・インビシブルです。


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このリンゴが無くなるまで、リンゴ系料理が続きます





■ガトー・インビシブルとは?

 ガトーといえば、アナベル・ガトーかガトー・ショコラくらいしかイメージがないのですが、もっとイメージがないのがインビシブルという言葉です。最初はイギリスの空母のインドミタブルと見間違えたくらいです。調べて見たところ、「目に見えないさま。不可視的」という意味だそうです。
 で、ガトー・インビシブルですが、これはフランスで大人気のケーキだそうです。フランス語では「ガトー・アンビジブル」と発音するそうです。何がインビジブルなのかというと、リンゴが不可視なのです。自分も写真を見た時は、ミルフィーユかと思いました。ちなみに自分は、ミルフィーユを一枚ずつ剥がして食うほど好きです(もったいないから、ガバッと食えない)。
 作り方を調べてみると、さほど難しいもんでもなさそうです。ただ、生地が緩そうなので、前に作ったヨーグルトケーキみたいに、冷めたらいじけた格好になるんじゃないかな、と感じました。まぁ、作って見ない事には分かりませんが。


■材料

 主力であるリンゴはいうに及ばずですが、今回はケーキですので薄力粉を使います。最近、パンも作るので強力粉も用意してるのですが、このあたり、どっちでも使える粉だったら便利だと思うのですが、わざわざ分けてあるのは、やっぱり用途が全然違うからでしょう。まぁ、強力粉は置いてない家の方が多いとは思いますが。
 今回はリンゴを薄切りにする必要もあるので、材料だけでなく、スライサーも用意した方が良いと思います。包丁でも薄切りできますが、結構大変です。
《ガトー・インビシブルの材料》
  • リンゴ 2個
  • 卵 2個
  • 砂糖 50g
  • 無塩バター 50g(有塩でも可)
  • 薄力粉 80g
  • 牛乳 80cc
  • 塩 ひとつまみ(有塩バターの場合はなし)
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今回使う材料の皆さん
これで将校用飯盒ひとつ分
(パウンドケーキ型なら17cm)


■作り方

  1. 卵2個を泡だてない様にかき混ぜる。
  2. 溶いた卵に砂糖と塩をいれ、混ぜる。
  3. 薄力粉をふるって、ダマがなくなるまで混ぜる。
  4. 牛乳を3〜4回に分けつつ、混ぜる。
  5. リンゴの皮をむき、芯を取って、スライサーで1mmくらいの厚みでスライスする。
  6. バターを溶かしバターにして、生地に混ぜる。
  7. 型にクッキングシートをセットする。
  8. スライスしたリンゴを生地にくぐらせ、型に並べていく。
  9. 最後に残った生地も型に流し込み、2〜3回軽くテーブルに落として、空気を抜く。
  10. 170度で余熱したオーブンで50分焼く。
  11. 焼きあがったら、粗熱を取り、型のまま冷蔵庫で3時間ほど冷やす。
  12. しっかり冷えたら、型から出して、出来上がり。
 作例によっては、バニラエッセンスを入れたり、スライスしたリンゴを生地に全部つけて、ドバッと型に入れたりと様々ですが、自分は見栄えを良くしたかったので、キレイにならべるやり方にしました。また、型はいつもの空豆型の兵式飯盒でなく、パウンドケーキっぽく見える将校用飯盒を使いました。結果論ですが、上記の材料の分量は、その将校用飯盒にズバコンの分量でした。

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今回は泡だちゃダメなので、箸で卵を混ぜました
(それでもちょっと泡出てますが)

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きっちり砂糖を振るって、塊が入らない様にしてます

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砂糖であれ塩であれ、混ざると卵液が透き通ります

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薄力粉もふるいます

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牛乳は数回に分けて混ぜます



■根気の要る作業

 今回の料理で、リンゴを生地に漬けて一枚ずつ並べるという作業が、結構大変でした。一体スライスしたリンゴが何枚あったのか数えてませんが、箸でつまんで漬けては並べ、並べるのも出来ればきちっと並べ、隙間や端っこには端切れを埋めて、みたいなちまちました作業です。
 作例によっては、スライスしたリンゴを生地に漬けて混ぜて、右も左も関係なく型に流し込むというのもあったのですが、どうせ作るならミルフィーユっぽい仕上がりにしたかったので、ここは我慢一徹で並べていきました。
 ただ、最初はきっちりリンゴを生地に漬けて並べていたのですが、その調子でやっていくと、最後の方には生地がなくなってしまうんじゃないか、という感じになってきましたので、途中からリンゴの片面だけ生地をつける様に変えました。まぁ、生地→リンゴ→生地→リンゴ、と層になっていきますので、問題ありません。

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リンゴ2個の皮と芯を取り、6分割します

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全部スライスします
厚みは1mmくらいが良いので、スライサー使った方が良いです

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溶かしバターを生地に混ぜます

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リンゴに生地をつけて、型に並べていきます

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残った生地は、上からかけてしまいます


■仕上がり

 全部並べ終わったら、170度のオーブンで50分焼きます。蓋はせずの焼くのですが、焦げ目が付きすぎる様なら、途中からアルミホイルを載せるなどして下さい。
 焼きあがったら粗熱を取るのですが、意外にもあまり縮みませんでした。まぁ、リンゴがぎっしり詰まってますので、それが骨材になって収縮を防いでいるのかもしれません。粗熱が取れたら、型に入れたまま、冷蔵庫で3時間ほど冷やします。
 よく冷えたら、型から出すのですが、案外しっかり固まっています。この分だと、フッ素加工のパウンドケーキ型でも出来そうな気がするのですが、生地の感じは締まったプリンみたいな感じですので、フッ素加工といえども、へばりついて抜けてくれないかもしれません。
 しかし、仕上がったものを見て、ちょっと感動しました。型崩れもなく、おしゃれな出来栄えです。試しに切ってみましたが、すっと切れる感じで、断面が実にミルフィーユです。起きてきた嫁さんがこれをみて、作り方が分からなかったくらいインビシブルな見た目です。
 気になるお味の方は、これまた美味。控えめな甘さで、紅茶が似合いそうです。アレンジとして、レモン汁を少々入れたり、粉糖を天辺にふりかけても良かったかも。これなら自信持ってお客さんに出せます。

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焼きあがった直後

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粗熱取った後。それほど縮んでいません

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冷蔵庫で3時間ほど冷やします

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堂々の完成

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なるほど、おフランスで大人気なはずですw