こないだ、千葉のそごうの富沢商会でライ麦粉を2kg買って来ましたので、コミスブロート風(というより、素直にロッゲンブロートと言った方が良いかも)ライ麦パンはまだまだ作れます。ただ、同じもんを作ってもブログのネタにはなりませんので、ちょっとずつ変えたり工夫したり考察したりしたいと思います。
 という事で、今回は使用するリンゴ汁について。


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嫁さんの実家の方から送ってもらった
産地直送のりんご
これがなくなるまで、りんご式ライ麦パン作ります




■ストレートと濃縮還元

 ところで、これまで使ってきたのは、実は紙パック入りの「濃縮還元」の果汁100%のりんごジュースでした。果汁100%なんだから、全くもって差し支えないだろうし、瓶入りの果汁100%のりんごジュースは結構いいお値段するので、同じ果汁100%なら紙パックの安い方で良いだろう、と考えていた訳です。ただでさえライ麦粉は小麦粉の倍以上の値段しますから、出来れば安く上げたいと思っていた訳です。
 しかし、値段の差は質の差である事は自明です。そもそもの指定は、「リンゴ絞った汁」な訳で、文字通りでやるなら、リンゴを擦って絞るところから始めねばなりません。仮にジュースで代用するにしても、擦って絞ったのに違いもの、となると瓶入りの高いやつでなければならない筈です。実に当たり前の事ながら、値段にかまけてこれまで一度も、りんごを絞ったものとか、瓶入りのりんごジュースを使った事がありませんでした。
 そこで、一度くらいは、真面目にりんご絞って作ってみて、濃縮還元のジュースと、仕上がり具合とか味とか、どう違うのか試してみようと思った訳です。一般的に考えれば、安物のジュースより、りんご絞った汁で作った方が美味いものが出来て当然のはずです。逆にどっちで作っても変わりがないなら、安いので十分という事になります。

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大活躍するかと思ったミキサー
実は役割が全然違いました

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結局、おろし金で腕力勝負
皮なしの方がおろし易いですが
まぁ、皮に栄養あるらしいのです


■絞る手間

 この企画を考えた時、実は簡単に考えていて、うちにはミキサーがあれるから、これでヴィーンと回せば簡単に擦り下ろしりんごが出来て、これを漉したり絞ったりすれば、りんごの汁が取れると思っていました。
 ところが、いざやろうとすると、ほんの一部が削れたあとは空回りして、全然りんごを粉砕してくれない。すると嫁さんが、「ミキサーは水分入ってないと使えない」という。フードプロセッサーなら具材だで粉砕するが、ミキサーは具材が攪拌されない事には粉砕してくれないとの事。となると、おろし金で擦り下ろすしかありません。
 しかし、これが結構な作業です。なにせ、りんご4個を各々6等分に切って、皮むいて、芯の部分とって、その24切れを全部擦る訳です。最初は皮を剥いてたのですが、また嫁さんから口出しがあって、「皮の部分に栄養があるんだから、皮残した方がいい」とかいう。栄養云々はともかく、下ごしらえの作業が大変なので、途中から皮を剥かず、そのまま擦り下ろす事にしました。
 もちろん、擦り下ろす作業は結構手間でした。皮なしの方が擦り下ろし安かったです。あと、皮付きだと汁が赤っぽくなります。擦ったあとは、手ぬぐいに擦り下ろしたりんごを集め、ギューギュー絞るのですが、これも結構な手間です。本来、庶民や兵隊向けの食品で、ここまで手間のかかる事はしないんだろうな、と。実はあとでも述べますが、りんごは本来使わないんだろうと思います。
 さて、絞り終わった訳ですが、りんご4個だと、汁は500mlくらい取れそうです。ライ麦パンに使うのは350g(330ml)ですので、りんご3個くらいで間に合いそうです。余ったりんご汁を飲んでみましたが、そりゃもう、濃縮還元のジュースとは別物です。りんごの味がするのは当たり前ですが、濃縮還元のジュースにはない自然の甘みと酸味があり、そりゃりんご絞ったジュースは高いはずだわ、と思いました。

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機械力を使えない以上、全部手作業です
こんな手間の要るもん、庶民向けの食べ物じゃないですw

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色目が悪くならないよう、レモン汁を入れましたが
あまり変化がなかったです
というのも、色が濃いのは皮の色素も入ってるからです

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あまったりんご汁を賞味
そりゃもう、美味いに決まってます

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当然、搾りかすも出るのですが
これは後日の企画のために取っておきます


■今回の作り方

 基本的な作り方は、これまでと同じです。ただ、前回は電子レンジの発酵モードを使ったり、ストーブの前に置いたりして発酵を促しましたが、今回は仕事に行く前に仕込みをして、帰ってきてから本作業に移ろうとした関係もあって、仕込みから本作業まで12時間近く時間が空く事もあって、あまり発酵しすぎて過発酵にならない様に、せいぜい窓際の日の当たる場所に置いておく程度にとどめました。

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搾ったりんご汁350gにスターターとなる
ライ麦粉60g、フォルサワー40g、ドライイースト3gを混ぜます

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今回は帰宅まで12時間あるので
過発酵にならない様に、電子レンジの発酵モードは使いません

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帰宅した時の発酵具合。まぁ、いい感じでしょう
それにライ麦粉320g、強力粉35g、塩5gを混ぜます

生地の捏ね方を動画に撮りました
こんな感じで擦り付ける様に捏ねます
7〜8分してくると、生地がめくれる様な感じになります

すると、今度は生地をまとめて、叩きつけます
生地を回す様にして、まんべんなく叩きつけます
これも7〜8分やります

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一次発酵、ベンチタイムが終わって、
型に入れて、二次発酵が終わった状態です
180度のオーブンで30分焼きます






■りんごの搾りかす入りを作ってみる

 さて、カスなしの方を焼いている間に、カス入りの準備を始めます。今度はきっちり使うりんごの重さと、取れる汁と、残るカスの重さを計りました。結果はご覧のとおり、
  • りんご3個の可食部 645g(皮付き)
  • 取れる汁 490g(560ml)
  • 残るカス 100g
 という事でした。パンに必要なりんご汁は350gですので、りんご2個分くらいで良いかもしれません。少々足りない分は水足しても問題ないでしょう。
 さて今回は、カスを使います。いい感じにカスが100g出ましたので、その分をライ麦粉と置き換える事にします。
《作り方》
  1. 搾ったりんご汁350gに、搾りかす100gを混ぜる。
  2. それにライ麦粉60g、フォルサワー40g、ドライイースト3gを混ぜる。
  3. ラップして常温で発酵させる。(発酵具合によって、7〜12時間)
  4. ライ麦粉220g、強力粉35g、塩5gを混ぜ、以下、通常版と同じ作り方
 いつもなら、スターターはたこ焼き粉を溶いたのよりも薄い感じで、発酵すると泡が出るのですが、今回は具になる搾りカスが入っているせいか、発酵しても泡が出てる感じでなく、発酵時間が終わって見てみると、表面が乾燥している様に見えました。まぁ、そう見えてただけで、ちゃんと発酵してたのですが、感じとしては液体というより、大根おろしみたいな出来栄えになってました。

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フードプロセッサーやジューサーなら
芯を取らずに使えるんでしょうかね?

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りんご3つを擦り下ろすのは、それなりの労力です

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やっぱり皮ごと擦ると、こんな色になりますねぇ

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残ったカスを混ぜます
つか、混ぜるくらいなら、搾るなよってこの時、気が付きました

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ライ麦粉60g、フォルサワー40g、ドライイースト3gを混ぜた状態
大根おろしみたいになってます

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発酵が終わった時点
見た目乾いたっぽいですが、中はウエッティです


■やってみて分かった事

 今回のカス入り版は、生地が結構柔らかかったでう。通常版では、7〜8分捏ねていたら結構まとまってくるのですが、今回は10分捏ねてどうにか持ち上げれる程度。叩きつける作業も10分やりましたが、うっかりすると生地が千切れて飛び散るので、注意が必要でした。やっぱり、水分を含むカスを使っているからでしょうか。
 その後、一次発酵させたのですが、面白い様に膨らむという感じでなく、ふた回りほど大きくなったかな、という感じ。まぁ、発酵すべきライ麦粉がいつもより100g少ない訳ですから、それもさもありなんです。
 一次発酵のあと、ガス抜きしてベンチタイムを取り、生地をまとめて型に入れるのですが、生地が柔らかいだけに、成形はいつものより楽でした。また、二次発酵で若干膨らんで、形がキレイになりました。
 その後、いつも通りに180度で30分焼きましたが、仕上がりは普段のと同じで、キレイに焼きあがり、見た目にはカスがどこに混ざってるか分からない感じに出来上がりました

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ライ麦パンとしてはかなり緩い生地です

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努力して捏ね終わった生地

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一次発酵が終わった状態です

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二次発酵完了後
生地が緩いと、キレイな形になるっぽいです

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出来上がりました
奥がりんごの搾り汁版、手前がりんごのカス入り版です


■衝撃の結果

 まず仕上がりですが、通常版に比べてカス入り版は、やや嵩が少ない仕上がりになりました。重さは、通常版が740gに対してカス入り版は710gでした。カス入りの方は、りんごのカスの水分が飛んだ結果であろうと思います。触ってみた感じは、通常版の方は早くも硬くなりつつありましたが、カス入り版の方は硬くなりつつあっても弾力があって、若干柔らかい様です。
 さて、試食してみたのですが、通常版の方は、味も食感も濃縮還元のりんごジュースを使った場合と全く変わらないという、衝撃の結果になりました。あんだけ手間かけて、しかもジュース段階では圧倒的に搾った汁の方が美味しかったのに、です。
 カス入り版の方はというと、こちらはモチモチした食感で、味の方もフルーティで、通常版よりも美味しい。ライ麦粉をケチる為に搾りカスを使ったのに、そっちの方が美味しいという結果に、ややショックを受けました。モチモチしてるという事は、それだけ含んでいる水分も多い訳で、もしかしたら通常版よりは日持ちしないかもしれません。
 今回の結果から、りんご汁は、濃縮還元でも搾ったのでも大差ない事が分かったのですが、ただ、いわゆるロッゲンブロートの作り方を調べていて、りんごを使っているものは一つも出てこない事。むしろサワードウを起こして、それを使っているものばかりである事などから、このコミスブロート風ライ麦パンは、本来の作り方とは全く別のものである事がわかりました。まぁ、りんご使ってる時点で庶民向きではないですわな。
 という訳で、りんごを使ったライ麦パンの作り方はこれまでにして、次回はもっと本格的なのに挑戦したいと思います。

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仕上がりの違い
カス入り版の方がやや嵩が少なめ

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断面の違い
右がカス入り版ですが、ウェッティです