この度、トランポを100系ハイエース“ジャガンナート号”から200系ハイエースに乗り換える事になりました。その経緯については、「たにしのつぼ焼き」のトランポカテゴリーに綿々と書いておりますので、そちらを参照して頂くとして、「大記録」の方では、トランポに艤装していく過程を紹介していきます。
 今回は、トランポ化の肝である荷室の床貼り編です。


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これが元の荷室の状態
真ん中らへんのシミは、スイカを落としたらしいですw





■床張りのコンセプト

 11年前、ジャガンナート号の板張りを行う際、様々な情報を集めたのですが、板張りの方法で最もポピュラーだったのが、荷室の床のカバーでコンパネ材に下書きをしてジグソーで切り出し、それを荷室の床に合わせてぴったり微調整し、その板でフロア材を切り出し、板を荷室にネジなどで固定したあと、両面テープないし糊でフロア材を貼り付け、床板と車体の隙間はコーキング剤で埋める、というやり方でした。この方法は現在でもDIYで床を架装する方法としては一般的なやり方です。11年、この床で困る事はなかったのですが、この方法の欠点は、車両を現状復帰できない事、フロア材の交換もやろうと思えば出来るけど、コーキング剤を剥がすなどの手間がかかるという点でした。
 それに対して今回は、バイク屋さんが自前で作った型紙に合わせてコンパネ材を切り出し、それを接合してフロア材を貼り、板の縁をU字モールで目止めしてから、その板を荷室の床に敷く、という方法です。今回の車両は、DXでなくスーパーGLで荷室の床はカーペットなのですが、その上から板を敷きます。この方法の利点は、現状復帰が可能である事。固定も元々ついている荷掛けのDリングプレートのボルト穴を利用しますので、車体にネジを打ったりする事もありません。
 ただし、荷室のサイズの床板は相当に重く、しかも接合部分はどんなにアングルで固定しても弱く、一人や二人では持ち上げて架装する事は出来ません。そこで、作業にあたっては、声かけして、手伝って貰う事になりました。

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カットしたコンパネ材に型紙で下絵を描きましたが…

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やはり現車を見ないと分からないので
曲線部のカットは当日やる事にしました

■準備

 トランポの床材は、コンパネ材を使うのですが、一口にコンパネと言っても様々なものがあります。塗装用のなんか片面がツルツルした塗料が塗ってあったり、安い物はやたら節があったり砥粉で修正してあったり。今回自分が買ったのは、1枚1350円くらいのものですが、少なくとも表面は傷や節のない物を買いました。値段がそれ以下のもありましたが、値のするのは物も良いです。厚みは12mm。9mmでも良いのかもしれませんが、前回も12mmでしたので、堅牢性を担保する事にしました。
 買ったコンパネを型紙に書いてあった寸法でホームセンターでカットしてもらい、タイヤハウスなどの曲線部分は自分でジグソーで切る事に。ところが、いざ型紙をのせて下書きしてみると、あちこちずれている様な感じで、この状態で切ってしまうのには不安を感じましたので、切る作業は現車が来てからやる事にしました。
 その他の準備としては、コンパネの縁に使うU字モール、フロア材、コンパネを繋ぐアングル、シートカバー、立体フロアマット、などなど、必要と思われる部材を、教えて貰ったり自分で考えたりして、作業日までに全部揃えました。

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コンパネ材の下に丸まってるのが
縁取りに使うU字モール
そこらのホームセンターには売ってないので
モノタロウから取り寄せです

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こちらはフロア材
頼んだ翌日に届いてびっくりw

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こちらはシートカバーと立体フロアマット
残念ながら、これらのレポートは後日





■床板の仕上げ

 さて、いよいよ作業開始です。まずは借りた型紙を荷室に敷いて、実際のところはどんな感じになっているか、確かめます。現車に合わせて型紙を若干修正してもらい、下絵をコンパネに描きます。ここで注意せねばならないのは、床板の縁はU字モールを打ち込んで処理するので、その分、板も車体の内側で切らねばならない事です。その為には位置決めが重要で、これは経験を要する作業になりますので、バイク屋さんに調整して貰いました。
 下書きが出来たら、ジグソーで切っていきます。ジグソーは11年前に買った安物で、まさか2台目のトランポの板張りに使うとは思ってませんでした。よく歯が外れますが、それなりに頑張ってくれます。切り子が目に入る事が多いので、今回は防塵メガネをして作業しました。直線部分も頑張ってジグソーで切ってましたが、あとで借りた丸ノコの方が直線ははるかに綺麗に切れる事が分かりました。
 切り終わったら、一旦荷室に敷いてみて、再度調整。ぴったり合わせたつもりでも案外ズレてたりして、それを改めて切ったりはすったりして、合わせていきます。荷室の床に直接はめ込む方式より根気と時間がかかります。折しも長かった梅雨が明けて、いきなりの夏日、空調効いてる店の中はともかく、外での作業は時間を追うごとに体力が削られていきました。

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まずは型紙を現車に合わせて見ます

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曲がる定規で型紙を修正
こんな定規、初めて見ました

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11年選手のジグソーを使って曲線をカット

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断面を深夜の通販番組で買った
なんとかいう工具でキレイにします

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カットした床板を載せてみます
ここからが困難な作業の本番です


■ボルト等の穴あけ

 どうにかこうにか板材の加工が終わったら、今度は荷室に床板を固定する為のボルトの穴を開けます。ボルトの穴は、荷室のカーペットの下に設けられている荷掛けのD環プレートのボルトの穴を流用します。ボルトを取ると、穴から地面が見えます。つまり、床板を荷室の床に置いて、地面に寝転がってボルト穴の下から、床板のボルト穴のポンチをマーキングします。しかし、鉛筆が微妙に通らなかったので、罫書き棒でゴリゴリとマーキングしました(というか、この頃には結構グロッキーで、手伝いの隊員にやって貰いました)
 次にマーキングに合わせて、8mmのドリルで穴を開けました。8mmだったのは自分が持ってた電動ドリルが8mmまでしか付けれなかったからです。この時、荷室の本来の床と床板の隙間に入る下駄(30mm丸棒を切って作ったもの)にも穴あけをします。これがないと、ボルトを締め込んだ時に、締めすぎて床板を抜いてしまう恐れがあるからです。
 さて、床板を荷室に置いて、65mmのロングボルトで固定出来るか試します。……穴の位置がずれてて、ボルトがボルト穴に入って行かなかったり、斜めに入って途中で止まります。また、丸棒の下駄も動いて、なかなか上手い事いきません。まぁ、人間の目と手でやる事ですから、そんな精密な仕事が出来る訳ありません。微調整を試みましたが、微調整程度で入らない事が分かったので、D環プレートをはみ出ない程度で大きな穴を開ける事にしました。そうでもしなければ、床板を置いてから位置をずらしたり出来ないからです。

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ボルトの穴が小さくて、しかもズレてたため
思い切って大きくするの図

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多少、余裕もった作りにしておかないと
二進も三進もいきませんでした

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スペアタイヤの固定ボルトの部分の穴は
ホールソーというので開けました
キャップは車体に付いてたのを流用です



■連結とフロア張り、モール打ち込み

 これでようやく、床板を連結する段階まで進みました。この時点で自分は結構出来上がってましたが、連結はきっちりやらないといけないので、裏からアングルでどんどんビス止めしていきます。最初の取り付けが出来たら、あとは板は動かないので、仲間に任せる事にして、アスファルトの上についた膝の痛みに耐えながら、ビスをどんどん入れていきました。この時バイク屋さんが、この「大記録」のXR230の記事を見てお店を訪ねてきたお客さんを紹介してくれたのですが、疲れてるわ、時間は迫ってるわ、早よやらないかんわで、もういっぱいいっぱいでロクに挨拶もお礼も言えず、申し訳ない事をしました。
 連結ができたら、3人でそろそろゆっくりと床板をひっくり返し(雑に扱うと、接合部分のアングルが折れ曲がってしまうから)、今度はフロア材を貼ります。今回も両面テープで貼る事にしたのですが、ここで失敗。フロア材用のごつい両面テープでないと剥がれてくるそうで、実際、普通の「強力両面テープ」では、フロア材を床材の形に切るためにひっくり返すと、剥がれてきました。そこでバイク屋さんから残ってたフロア用の両面テープをもらってきて、主要な部分に使ってずれない程度にとめれる様にしました。
 さぁ、最終段階。そろそろと床板を立てて、5mのU字モールを半分に切って、床板の側面に打ち込んでいきます。U字モールを広げて床板の縁にはめていき、プラスチックハンマーで軽く叩いて打ち込んでいきます。接着剤やテープは使いません。少々きつめの角アールも無加工でいい感じに打ち込んでいきます。この作業、見てると別に大した事なさそうなんですが、やってみると結構しんどい作業で、最後の方は他の人にやってもらってました。

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床板はこんな感じで裏から留めています
断面に木工ボンドやダボなどは使っていません

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比較的丁寧に両面テープを貼りましたが
フロア材用じゃなかったので、裏返したら剥がれました

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フロア材を床板の端っこに合わせ
転がす様に貼っていきます

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この時点で、ほぼグロッキー
このあと、裏返して、床板に合わせてフロア材を切り抜きました


■架装

 フロア材にボルトなどの穴を綺麗に開けて、床板の製作は全て完了です。仮止めの時に動いてうまく行かなかった丸棒の下駄は、下駄の穴とボルト穴を合わせて両面テープで荷室の床に固定しました。。これから荷室に載せる訳ですが、これが一番気を使う作業で、かつ大人数が必要です。重いだけでなく、雑に扱うと接合部分が折れ曲がるからです。4人ほどで床板を丁寧に持ち上げ、斜めに荷室に運び込み、位置を見定めて、そろりと下ろします。
 最後に、ロングボルトで床板とD環プレートを留めます。この時、ボルトがちゃんと入らなければ、ボルトが斜めになっているので注意が必要です。また、奥の方で引っかかる感がありますが、それを突破したらスッと最後まで入っていきます。
 この後、床板の前後にL字アングルをかましたりする作業があるのですが、もう陽も暮れましたし、後述する事情で一旦車屋さんにこのハイエースを戻さねばならなかったので、今日のところはここで作業を終えました。

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いよいよ架装
ご覧の通り、4人掛かりでそろそろとやります

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こんな感じで完成
あまりに疲れて、ピンボケしてます


■感想

 事前に聞いたコンセプトから、大変な作業になるとは想像していたのですが、予想を上回る大変さでした。というか、夕方4時頃にはかなりの脱水気味でバテてしまい、最後の方は人任せになってしまってました。とても一人二人で出来る様な作業ではなく、仲間の恩情とマンパワーあっての作業でした。
 実は自分ともう一人が板材を加工している間、もう一人はシートカバーを取り付ける作業をしていて、そっちも一人では大変でお店に来てたお店のお客さんに手伝ってもらって取り付けました。取り付け中の写真を撮ってないので、カバーの方は艤装編で紹介したいと思います。
 本来の計画では、床を作ってバイク固定用のD環プレートをつけたら、持って帰る事になっていたのですが、なんと納車前日に車体が凹んでいる事がわかり、車屋さんの方で直してもらうために、一旦戻さねばならなくなりました。今日のうちに戻す事になったので、作業は突貫で行わねばならなくなり、床板以外の作業も後日行う事となり、しばらくは代車でジャガンナート号を乗る事になりました。まぁ、慌ててもいい事はないので、のんびりゆっくり構えていこうと思います。

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凹んだとの連絡を受けた時は、自分の気分も凹んだのですが
まぁ、厄落としだと思って、のんびりやっていきますw