X-Trainerのタンクはとてもスリムなのに容量が8.6リットルもあって、秀逸かつ美麗という事で自分は大絶賛してるのですが、そのスリムさもあってシュラウド周りも結構スリムです。それは結構な事ですが、フレームが剥き出しになっているのがちょっと気になる。しかも塗装してある部分です。石とかゴロゴロしてるところでコケたら、もれなく傷が入りそう。実際に入るそうです。となれば、傷つく前にガードをつけたくなるのが心情です。という訳で、今回は人生初のヒートガン作業のお話しです。


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チェンバーガードがカーボンだったので
フレームガードもカーボン柄にしたかったんですよね〜





■むき出しのフレーム

 クロトレのタンクはRRに比べるとスリムなのが特徴です。それでいてタンク容量は8.6リットルもあるのですから、驚異的です。この容量はCRF450RXに匹敵するのですが、そのタンク周りのボリュームの差は歴然としていて、圧倒的にクロストレイナーの方が細く、見るからに軽い印象があります。
 その一方で、タンクをのせるフレームは上の方までむき出しになっています。フレームの幅ギリギリまでタンクを細くした結果ですが、問題は、横にコケた時、地面に岩などがあった場合、フレームを傷つけてしまう可能性がある事です。クロトレのフレームは鉄で、美しい赤の塗装が施されています。オフロードバイクですから、傷が入るのは宿命としても、外装の様に交換が利く部分ならともかく、フレームに傷が入るのはなるべくなら避けたいところです。
 そんな折、カイダックという素材でフレームガードを作っている人の写真を見かけました。カイダックというのを初めて聞いたのですが、ドライヤーとかヒートガンなる道具で温めて作る様です。厚みが薄ければドライヤーでも良いそうですが、装甲となると2〜3mmは欲しいところで、となるとドライヤーのもっと強力版であるヒートガンが必要との事でした。

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大容量にしてスリムなX-Trainerのタンク


■ヒートガンとは

 実はヒートガンなる物も今回初めて聞いた道具で、上にも書いた様に、要するにドライヤーのもっと強力なやつです。用途としては、プラスチック素材を曲げるのに使ったり、車に貼ったステッカーを剥がしたり、食材の解凍と言った用途にも使える様です。
 問題はどれを買えば良いか、という事で、名の通ったメーカーのだと7〜8,000円ほどします。流石にちょっと手が出ません。しかし、名の通ってないメーカーのだと、2,500円くらいからあります。多くは中国製で、怪しい製品が多いっぽい感じだったので、フォロワーさんに勧められた物を書いました。
 使い方は至って簡単で、電気コードをコンセントに繋いでスイッチを入れるだけ。あとは温度を調整するダイヤルを回したりするだけです。熱風を当てる面積を調整する為のノズルも各種ついていますが、今回の用途にはあまり必要なさそうです。

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今回調達したヒートガン。Amazonで2,880円でした

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熱した塩ビ管は素手で触るには熱いので
革手袋を用意した方が良いでしょう


■塩ビ管をつかう

 次にカイダックですが、これは調べてみると結構いいお値段する。1000mmx500mmx厚さ3mmで5,300円ほど。しかも、そこらのホームセンターでは扱っていなくて、ネット経由でしか手に入らない(送料がかかる)。そして一番困ったのが、本番であるWEX GAIAに間に合わない、という事でした。
 どうしたもんかと思ってた時、とあるフォロワーさんから塩ビ管を使う事を勧められました。塩ビ管を切り出して、熱して使えという事です。塩ビ管は水道工事などで、ガスコンロの火などで炙って曲げて使ったりしますので、ヒートガンでも熱して柔らかくする事が出来る、という事です。
 あまり細いのは使えませんし、太いのは切るのが大変です。そこで目見当でVU75のサイズの塩ビ管を買って帰り、フレームの長さを測り(35cm)、必要な幅も養生テープで測り(60mm)、ピラニアソーで35cmに切断した上で、Pカッターを使って60mm幅に切り出しました。一人でやるのは結構たいへんだったので、嫁さんに定規を固定するのを手伝って貰い、いい感じにPカッターでけがいてから切り出しました。

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昔、サバゲー時代に
ペットボトルロケット砲を作るのに愛用した塩ビ管
こんな形で再び使う事になるとは

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輪切りにするのは、それほど難しくありません

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むしろ縦切りにするのが大変
すぐに脱線したり、グニャリます

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どうせやるなら、ピシッと真っ直ぐやりたいものです



■レッツチャレンジ

 初めて使うヒートガン、最初は恐々でした。クロトレのフレームは微妙に湾曲し、また溶接部分もあるので、それらの形に合わせて塩ビ管を成形せねばならないのですが、どんな具合にヒートガンで熱すれば良いのか勝手が分かりません。なので最初はちょっとずつ温めて、塩ビ管が曲がりそうになったらフレームに押し付けて形を作る、というのを繰り返しました。
 当然、手間も掛かるし、場所によっては指の形がボコボコ出るし、思ってた以上に難儀です。実は大量生産してウチのクロトレ乗りに売りつけてやろうとか思ってたのですが、とてもそんな事やろうと言う気になれない手間のかかり具合でした。それでもどうにか、フレームにピシッと着くのが出来ました。
 失敗しても予備の部材があるので、右側はもっと大胆にやってみようと思いました。ヒートガンで塩ビの部材全体を温める様にし、かつフニャ〜っと曲がってくるまで温めました。そしてフニャってきたところでフレームに押し当て、革手袋で撫でる様に擦りました。細かいところは、再度温めて修正しました。左側をやった時よりも手間が減り、仕上がりも良くなりました。

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長さはシュラウドに当たらない様にしましたが
最終的に上の部分を斜めに切りました

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フニャーとなるまで温めます
1/3ずつやると楽でした

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左側は試行錯誤の跡が見て取れます


■仕上げ・固定方法

 完成した塩ビ管フレームガード、そのままでは付きません。接着などしようものなら、外す時に塗装が剥げたりする可能性もあるので、ここはタイラップ留めを採用する他ありませんでした。もっとも、塩ビ管を直接フレームに付けたのでは、振動や衝撃などで、フレームが擦れてしまう可能性もあります。そこでガードの裏に隙間テープを貼る事でクッション代わりにしました。
 実際にレースでも使ってみましたが、実用上は全くの問題がない事が分かりました。分かりましたが、全く評価されませんでした。と言うのも、やっぱり見た目が塩ビ管そのもので、見栄えがしないからです。お金のある人はカイダックで作った方が良いかと思います。カイダックは色も選べるので、赤が好きな人は赤色にする事も出来ます。
 ただ、カイダックであろうが塩ビであろうが、作り方も昨日もさほどの差がないので、自分としては塩ビ推しです。確かに見栄えは塩ビなので、上からカーボンシートを貼る事にしました。個人的には結構イケてると思うのですが、如何でしょうか?

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角はヒートガンで温めながら
いい感じにカーボンシートを貼りました

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裏は泥が入らない様に、念入りに隙間テープを貼りました

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固定はタイラップ3本で
いい感じに仕上がりましたw