前回、成田モトクロスパークのエンデューロコースを走ったのは、もう半年も前の事です。その時はまだバイクがCRF450RXでしたし、しかも結構体調が悪くて、あまり楽しんで走れませんでした。あれから半年、バイクはBETA X-Trainerに変わって劇的に乗りやすいバイクになったのですが、成田MXPの方も去年の台風で倒れた木を本コース上に積んだり並べたりして、エクストリーム度が上がっています。なので上手い事走れるかどうか、ちょっと心配でした。


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とても良い天気。練習日和です




■とりあえず走ってみる

 去年の台風以降、成田MXPはグチャってる日が多かったのですが、今回は良い感じに乾いてどういう風に走っても滑らなさそうな感じでした。実は、クロトレには例によって黒の外装とシャークティースのデカールを頼んであるのですが、ウランさんの仕事が忙しいという事で、まだノーマルの外装のままです。これで派手にコケて、純正の外装に傷を入れたくなかったので、出来ればコケたくない。だもんで、出来る限り、コンディションの良い日に走りたかったのです。
 あと、大坂への発進地の横のコース上にも、倒木を積み重ねた二連があって、これが初めて見た時は結構エグい感じでした。しかもエスケープなし。嫌でもそこを通過しない事にはいけません。さらにその先の左コーナーの登りにも丸太が敷き詰めてある念の入り様で、地面がグチャグチャの時には、難しいのを通り越して、極めて危険な感じになっていました。自分は7年前に丸太越えで中手骨を折って以来、実は丸太がとても苦手で(というか苦手意識が強い)、出来うくんば避けて通るのですが、そうも言うておれません。なので、まずは今日みたいなドライな日にチャレンジするほかありません。
 とまぁ、いろいろ考えるより、とにかくコースイン。2コーナーの急な下り坂のとこは、かなり道幅が広げられて、奥から回り込んで真っ直ぐ降りれる様に作ってありますが(嫁さんはそっちから降下)、今日はインベタから行っても滑りません。2速でそのまま降下しても、結構な車速になるので若干ブレーキ当てねばなりませんが、薄ナットでブレーキペダルを下げてあるので、前みたいにリアがロックする様な感じにはなりにくくなっていました。
 続いて大坂。手前の丸太2本でがあるお陰で、それを飛び越えるほどの車速でいくか、乗り越えたあとアクセル緩めずパーシャルで登るか、とりあえず後者でやってみましたが、低速で相当粘るクロトレは、こうした課題もなんなくクリア。上の方にさらに丸太があるのですが、そこを直登せず、右に車体を振って迂回しましたが、車体が軽く旋回性が良いために、これも問題なくクリア。
 そのあと、気にしてた丸太積んだダブルも、あまりステアになってない右からアプローチして、そつなくクリア。となれば、あとは本コースで困る箇所はないので、ともあれやれやれ。X-Trainerの性能の良さを改めて実感できました。

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今回も大坂で派手なバク転見せてくれた嫁はん
エンジョイのケツ滑らないシートでもケツが垂れるらしいので
軍手で即席ステップシートにしました


■慣熟走行

 この後は、ぼちぼち慣熟走行。BETA X-Trainerがどこまで頑張れて、どこらへんがダメなのか、体感する様な走りを試してみました。
 何よりもやはり凄いのが、低速での粘り。例の大坂で、丸太越えたあとのトロトロした車速でも、ちょっとちょっとアクセル繋いで行く事で、エンストする事なく、前にドバッと飛び出す様な感じにもならず、上手い具合に登って行く。駆け上がるというより、登って行く感じ。これはフライホイールやクラッチバスケットを重くして、慣性力を強めたCRFの250Rや450RXでも得られない安心感のある走行性能だと感じました。
 それでいて、加速区間ではアクセル開けてやると、2ストらしい加速感で車速をあげてやる事が出来る。そしてコーナーでは、持ち味の旋回性の良さだけでなく、2ストなのにそこそこ効くエンジンブレーキと低速でのエンジンの粘りのお陰で、CRFの時の様なクラッチを引きずる様な使い方をせずとも、スムーズに曲がっていける。とても扱いやすく信頼性のある走行性能だな、と改めて感じました。
 丸太のセクションも行けそうな所はチャレンジしてみましたが、サスの特性が良いのか、CRFの時に比べると恐怖心とかストレスがとても少ない。シッティングでも、それほどガッコンガッコン来ない。この辺りは、ソフトスプリング組んだモトクロッサーとは、根本的に違うんだな、と感じました。
 Betaのバイクって、なんのかんのでトライアル車の特性を強く引いているんだろうな、という気がします。まぁ、ベータは今でもトラ車のメーカーなので当たり前といえば当たり前なんですが。自分自身はトライアルはあまり向いてない様に感じているのですが、自分が必要とする要素を、すべて持っているバイクだな、と改めて感じました。

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今回も日本飯盒協会出動
無洗米買うの勿体無いので、前の日に研いで干した米を用意

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ご覧の通り、ふっくら炊けましたw
夏でも飯盒メシ食いたいんだそうなw

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バイク乗ってる時間より、喋ってる時間の方が長いw



■爽やか街道

 本コースの方は上手い事走れるのが分かったので、今度は爽やか街道へ。流石に「爽やか」でない人が多いのか、上級エンデューロコースという名前に変わってました。ちなみにワタクシ、この時期はお仕事の関係で「絶対に」怪我出来ません。怪我して仕事休む様なハメになったら、むしろ死んだ方がマシなくらい、大事な時期です。そんな時にバイク乗るなってのがもっともな事だと思うのですが、それを踏まえた上で、安全にチャレンジしていきます。
 ところで、その爽やか街道の何が苦手といっても、下り坂なんですよね。まず入るところの下り坂が怖い。結構急でボコボコしてますしね。今日はドライだからまだ良い様なもんの、雨降ったあとの滑るコンディションだと、ほんとに怖い。前のCRFの時なんか、クラッチレバー握るタイミングが悪いのか、ブレーキかけて降りようとしてエンストする、なんてのがよくあったのですが、クロトレは低速が粘るからか、案外スムーズに降りてこれました。
 爽やか街道も、出来たばかりの頃に比べたら、大分走りやすくなってきてはいるのですが、やっぱり難しいと感じるのはタイトなコーナー。前は結構切り立ってた箇所も、今は均してあるのですが、それでも苦手なとこはあります。どうしてもバイクから降りて向きを変えなければならないとか、両足踏ん張って前転の恐怖に耐えながら降りてくるとか。とにかく、タイトコーナーの降りが苦手です。バイク乗って降りてきた方が本当は楽なんでしょうが、まえのめりになる姿勢が苦手なんでしょうね。その意味で、HED向きじゃないと思ってます。
 やっとこ爽やか街道を抜けて、本コースに戻る連絡路の途中に、どうあってもフロントアップしないと越えられない丸太のステアがあるのですが、フロントアップできない自分としては、バイクを押すしかない。その通りにやったのですが、車体の軽さ、エンジンの瞬発性の良さで、それほど苦労する事なく、バイクを押し上げる事が出来ました。

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爽やか街道は若干水たまりがありました
まぁ、結構疲れて、1周でご馳走様


■KTM150EC-W試乗

 KTM150EC-Wに試乗してきました。まず跨った第一印象は「背高いなー」というもの。体重0.1トンの自分が跨っても、足指の付け根くらいまでしか付きません。これの乗り手も自分と負けず劣らずデブなんですが、この足つきでも別に困ってないみたい。この辺りは、運用思想というか、好みというか、そこら辺の違いなんでしょう。地面に足を付かない前提なら、車高の高さは走破力に繋がると思います。
 走ってみた感じですが、この150EC-Wも2ストであるものの、やはりエンデューロ向きに振ってあるらしく、モトクロッサーの様なピーキーさは抑えめで、それでいて低速で粘る仕様になっていました。乗り味としては、X-Trainerの純正のスロットルチューブで晴れモードで乗った時の様な感じ。G2のスロットル・カムシステムの200xを入れて、かつ雨モードの方が乗りやすい自分としては、ちょっと忙しい感じです。
 ブレーキは、奥の方で効くクロトレと違って、手前から効いてくる感じですが、アイドルがちょっと低いのか、下り坂でブレーキ使うとエンストする事が多かったです。もっとも、その直後にクラッチ繋ぐと押しがけの要領でエンジンが簡単に再始動します。
 車高が高く、足つきが今ひとつに感じたのですが、だからと言ってサスが硬いという訳ではなく、むしろ柔らかくてよく動き、衝撃を吸収する良いサスだと感じました。丸太のセクションでも、クトロレと変わらないストレスのなさです。むしろ、クロトレでは結構腕が疲れるのですが、150EC-Wの方は全然疲れませんでした。
 ざっと乗ってみた感想としては、KTM150EC-Wはクロスカントリー向きに振った味付けなんだろうな、という事でした。それに対してX-Trainerはハードエンデューロ向きという訳です。自分はクロカン用としてクロトレを活用するつもりなのですが、やはりよく言われる様に、自分の体重でクロトレをクロカンで使うには、サスのスプリングをハードにした方が良いかもしれません。また、もし自分がKTM150EC-Wを乗るとしたら、足つきを改善してスプロケを見直すなどするでしょう。

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左がBeta X-Trainer、右がKTM150EC-W
KTMもなかなか乗り易かったです


■感想

 走り出すまでは、ちょっと自信がなかったのですが、案ずるより産むがなんとかで、やってみれば、まぁ何とかなった一日でした。これがグチャグチャマディの日だったら、また違った感想になったのでしょうが、ともかく自信つけたい時は、良いコンディションの時に練習するのが一番です。
 しかし、Beta X-Trainerの乗りやすさ、信頼性、「こんな事まで出来るのか」といった驚きは、相変わらず凄いなぁ、と感じました。先の大戦で、F6Fヘルキャットに搭乗したとあるパイロットが「料理が出来たら結婚してもいいくらい」と言ったとか言わなかったとかいう話しがありますが、まさにそんな感じのバイクです。
 これまではイワイサーキットのモトクロスコースで慣熟練習をしてきましたが、これからは成田などのエンデューロコースで慣熟練習をやって、もっとバイクに自分を馴染ませて行く必要があるな、と感じました。なにせ、これまで乗ったバイクと比べて、比較にならないほど乗りやすいバイクです。慣れて行くにつれ、やれる事(つまり、チャレンジする気になる事)も増えてくるんじゃないかな、と期待しています。

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洗車のあと、タイヤにラップ巻く様にしました
洗ったタイヤに土がつかず、トランポの荷室も汚れにくいです