3月12日はワタクシの誕生日なのですが、嫁さんから誕プレは何が欲しいか聞かれたものの、とりたてて欲しいものはないし、だったらローライコードでも買ってくれと言ったら、それは予算オーバーで無理という。まぁ、そうですわな。そこでアレコレ考え巡らせたところ、吉野家が調理加熱しないでも食べれる牛めしの缶詰を出した事を思い出しました。お値段は結構しますが、こういった機会でもないと買わないと思うので、レビューかねがね、これを買って貰いました。
届いたブツ
吉野家のイメージカラーのオレンジ
吉野家のイメージカラーのオレンジ
開いて見ると、吉野家の由来を伝える絵が
この絵はいつ
見ても吉野家っぽくて良いです
■常温で食べれる米飯系非常食
コメの飯というのは、日本人にとって民族史的主食である訳ですが、「炊いて」食べるものですし、また基本的に炊いた状態では日持ちしないものです。それを日持ちさせるために、長い歴史の中で様々な工夫が施されてきましたし、今日においてもアルファ米やパックご飯、缶飯といったものが存在しますが、それにしても、乾パンの様に「そのまま食べれる」というものは実際には皆無で、湯を注ぐ、湯煎する、といった手間が必要です。つまり、開封したら食べれるという米飯系の保存食というのは、これまでなかったのです。(アルファ米を口の中でふやかして食う、パックご飯を硬いまま食う、というスパルタンなやり方はありますが、、)
その意味において、今回、吉野家が世に送り出したこの「ごはん付き牛丼缶詰」は、吉野家史上どころか、世界史上初の常温無調理で食べれる「ご飯の缶詰」なのです。一缶の量目は160グラム、値段は810円です。吉野家の牛丼並盛りが340グラムで380円である事を考えると、量にして半分、値段にして倍以上の違いがあります。非常食として考えても、結構割高感があるのですが、世界史上初の常温喫食を可能にした開発経費、技術力を考慮すれば、そのくらいの値段にはなるのかな、と考えました。
中身はこんな感じ
缶切り不要のプルトップ缶です
説明書き
温めたら美味しいのは分かってるので
本製品のウリである「常温」で今回は試食します
■缶飯 牛丼
さて、いよいよ喫食です。説明書きには「缶ごと10分温めれば更に美味しく」と書いてありますが、ここはあえて常温で食べて見ることにしました。常温で食べて美味しくあってこそ、この缶詰の意義があろうというものです。まずは吉野家の基本、牛丼から。
缶を開けた時、中身がどうなっているかは、大体想像がついていました。脂分は固形化してて、見た目はそれほど美味しくなさそうであろう、という事です。まぁ、それは仕方ありません。問題は口に入れてからです。むしろ驚いたのはご飯の方。牛丼の汁が完全に染みていて、牛丼というよりは、炊き込みご飯に近い感じになっていた事。おそらく、ご飯の上に牛丼をかけただけでは、ご飯に味た足りなかったのか、よしんばそうしても時間が経過したら、こんな風になってしまうからなのか、牛丼といいうよりは、炊き込みご飯か混ぜご飯の感じです。
さて、期待しながら口に運んでみました。。。。
これが美味しいのか、そうでないのか、判断するのにたっぷり3分はかかりました。味はともかく、なんかプチプチした食感がする。玄米か分搗き米か、なんかそんな感じ。そこで缶をよく見て見たら、玄米が使われている事が分かりました。そりゃ、美味しくないに決まってます。一体どうして玄米なんぞ使う事にしたのか分かりませんが、玄米とこの手のおかずは、まずまず合いません。しかも、玄米だけでなく、普通の白米も混じっているみたいなのですが、そっちの方は固茹でのお粥が固まった様な感じで、玄米と白米をちゃんぽんにして炊いた時の様な感じです。
お味の方は、辛うじて牛丼なのですが、結論としては「これはちょっと、、、」という感じでした。
牛丼の中身
食べてしばらくの間、「?」って感じでした
何がプチプチしてるのかと思ったら、玄米でした
しかし、玄米協会は分かりますが「高機能」って凄いなぁ
量として160gは、一食分としてはやっぱり少ない
けど、2つ食べたいかと言われたら、、
内容物
おそらく、吉野家の牛丼に準拠
■缶飯 豚生姜焼丼
豚肉の生姜焼きは自分も結構好きなのですが、これを丼物にするとなると、豚肉の脂と醤油生姜の混じった汁がご飯にかかっているものを想像します。まぁ、嫌いな食べ方ではありません。
さて、開けて見た感じですが、まず、写真の通り、豚肉は焼いたというか煮たといった方が合っているようで、箸でつまんだら肉が切れてしまうほど柔らかいです。生姜焼きの豚肉はここまで柔らかくありません。なので、口に入れても、生姜焼きの肉ほどの食感はなく、舌で押しつぶせてしまうほどです。にも関わらず、玄米が結構な自己主張をしているので、どうにも違和感がある。食感としては、生姜焼きっぽくありません。
それよりも、生姜焼きと銘打っているから、生姜の味がするのは当たり前ですが、やや生姜臭がきつい上に、保存食特有の保存料っぽい匂いもついていて、「こんなんだったら、無理に缶詰にせんでも、、」という出来栄え。無理した感を感じました。
豚生姜焼きというより、豚丼の生姜版
豚や牛よりカロリー控えめ
豚肉はヨーロッパから輸入してるんですねぇ
■缶飯 焼塩さば丼
今回のメニューの中で一番異彩を放っていたのが、この焼塩さば丼です。焼鯖は自分も好きですが、普通に考えて、焼いた鯖をご飯の上に乗せても、牛丼っぽい汁がご飯にかかった様な感じにはならないはずです。それをあえてやってしまったところに、「吉野家は何考えとるんや」といった感想を持ちました。
さて、開けて見た訳ですが、これは何と言いますか、何かのタレで炊き込んだご飯の上に、焼いた鯖を乗せたって感じ。感じもなにも、その通りのものでした。鯖自体は、まぁ、焼鯖缶のそれに近い感じですが、ご飯の方は例によって玄米白米ちゃんぽん飯なので、全然イマイチ。ぶっちゃけ、美味しくありません。まぁ、牛丼と豚丼だけではメニューが乏しいから、知恵絞ってラインナップに入れました感がありありの一品でした。
ちなみに、焼き魚にせよ焼き鳥にせよ、基本的には汁はないものですが、これを缶詰にするとなると、汁なしではパサパサになってしまうのか、大抵は汁が入っています。となると、焼いた感が乏しくなって、煮た感が増した出来栄えになってしまいます。
この焼塩さば丼は、その問題をご飯の方で解決しようとした努力が認められるのですが、そもそもミスマッチな組み合わせであった様に思います。
今回、考えようによっては、これが一番キツかったかも?
魚が一番カロリー低いようです
豚や鶏はともかく、魚は流石に吉野家の守備範囲外だと思う
■缶飯 豚丼
豚丼はBSE騒動で牛肉が使えなくなった時に、代替品として登場して以来、レギュラーメニューになったものですが、自分はこれはで一度も豚丼を食べた事がありません。なので、美味いかどうかの判断基準になるものがないので、ある意味、「こういうもんだ」と言われれば、素直に受け入れる下地がある食べ物です。
飯の部分に関しては、上に書いたとおり、全然期待はずれであったので、純粋に味だけで評価すると、まず豚丼というのは、普通であっても食べないだろうな、という味わいでした。わざわざ丼物にせんでも、豚肉には他に美味しい食べ方あります。まぁ、牛丼作れなかった時の牛丼屋の苦肉の策だった事が、味からも見て取れました。
あと、牛脂と豚脂の違いなのかもしれませんが、固形化してると舌感触というか、何というか、ベタッとした感じが牛丼よりもきつくて、牛丼以上に「これはちょっと感」が強かった様に思います。何でも食う嫁さんが最大級の拒否反応を示したのがこれ
もはや栄養表示がどうとか言う問題でない
豚丼が好き、という人も少なくないのですが
自分はやっぱり牛丼の方がいいし
牛丼なければ、無理して牛丼屋行かないかなぁ
■缶飯 牛焼肉丼
焼肉、といっても色んなものがあるのですが、順当にいけば焼肉のタレで焼いた牛肉、という事でしょう。ちなみに、焼肉のタレで焼けば、肉に限らず野菜も焼肉っぽい味になるので、焼肉のタレというのは、案外と貧乏人向けの調味料であるというのが自分の認識です。
それはともかくとして、ここまで来ると、この飯缶シリーズには大した期待はしておらず、残してもなんだから食ってしまおうといった感じだったのですが、この牛焼肉丼が、この6種類の中では一番美味しかったです。美味しかったというと、美味だったという風に取られそうですが、そうでなくて、比較的「食えた」という意味です。出来栄えそのものは、牛丼とほとんど変わりませんが、味が焼肉です。ただそれだけですが、それだけで他のよりは「食える」感じがしました。
もっとも、生姜焼きと同じですが、肉がふにゃふにゃで、焼いたというより煮た感じ。硬くて歯が立たないよりは良いのでしょうが、焼肉と思って開けると、期待が外れます。
今回、一番マシだったのがこれ
見た目は牛丼と変わりません
カロリーも牛丼と1Kcal違い
焼肉の方の牛肉は、アメリカ産オンリーみたいです
■缶飯 焼鶏丼
いよいよ最後です。これを最後に持ってきたのは、先日、ホテイの1.75kgもあるやきとり缶でやきとり丼をこさえた時に、結構美味しかったからです。上の焼塩さば丼でも書きましたが、焼きと書いてあっても缶詰になると煮に近いものになるのですが、やきとり缶ではこの汁がご飯ととてもマッチしてて好評でした。
さて、この焼鶏丼ですが、出来栄えは焼塩さば丼と同様に、焼いた鶏肉を焼き鳥のタレで味付けしたご飯の上にのせたというもの。ご飯それ自体は、確かに焼き鳥のタレ味ですが、焼き鳥はあまり味がついておらず、味付きのご飯と一緒に鶏肉を食べたら、確かに焼き鳥だなー、と感じる程度。
これでご飯が美味しければまだしも、ご飯がベタ飯と玄米の混合なので、ガッカリ感が半端ない。わざわざコレ食いたいかー、と聞かれたら、ノー・サンキューな感じでした。
これに至っては、味がどうとか言う前に
無理やり感でいっぱいでした
鶏は意外にカロリーあります
鶏肉はやっぱ、ブラジル産なんですねぇ
■総評
すでにお分かりいただけたかと思いますが、この飯缶、申し訳ないですが美味しくありません。非常時といえども、よほど飢えてなければ、美味いとは思えないと思います。かの阪神淡路大震災でも、乾パンが持て余された話が伝わってますが、理由は美味しくなかったからだと聞いています。非常時に贅沢とか、戦前戦後の物の無かった時代云々といったご意見もあるでしょうが、令和の時代にそんな話を持ち出しても詮無い事です。美味しくなく、それでいて高価なものは、今回の自分の様に一発試しで買う以後は、リピートされないと思います。
美味しくない理由は、味が要改良であるのは言うまでもなく、やはりご飯に大きな問題がある。一体そうして玄米を使ったのか。試しに同じ飯で吉野家の牛丼を作って食べてみたらどうなるか。やってみて、これが美味いと開発担当者が感じたとしたら、それは味覚の違いであろうとは思いますが、残念ながら大衆には受けないと思います。玄米というは、質素な副食こそ合うものであって、肉だの鶏だのの味付きの物には合わないと思います。ましてや、白米で食べるからこそ、牛丼も美味いのであって、玄米では違和感しか感じません。30分間湯煎する缶飯では、玄米など使っていないのですから、吉野家もその常温版を開発する方向で頑張って欲しかったものです。
とまぁ、他所様の製品にケチばっかりつけた訳ですが、「常温で食べれるご飯の缶詰」を開発しようとした姿勢は高く評価しています。そもそも非常食というのは、その出始めは大抵不味いものです。アルファ米にしても、今から30年ほど前はそれはそれは酷いものでした。それが弛まぬ研究開発の結果、今では相当美味しいものになりました。そのまま食べれる米飯系の非常食は、今、開発が始まったばかりです。今後の発展に期待したいところです。
10年後20年後に期待です!
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