最近色んな物や事に魔がさすのだが、前から欲しいと思っていたローライの二眼レフを落札してしまった。ロラーイコードV、革ケース付き、送料合わ せて41000円。安いのか高いのか良く判らない。まぁ、買える金額だったという事、そしてまさか落札すると思ってなかったのが落札した、という事で、首から提げる事になったのだ。



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正面から見た図
現代にあって、この見た目は結構インパクトが強い




■まずは見た目

 見た目は、大きな破損や汚損はないものの、全体的にくすんだ感じで、倉や納屋にあったのをレストアした感じである。レンズは曇りやカビがなく、埃も少なくてキレイだが、キャップがない。シャッターは全速キレイに切れているみたいだが、音が小さく振動もないほどなので、外では切れてるかどうか不安になる。

 ファインダーはネットで調べた通り、結構暗い。夜の撮影は辛いものがある。フィルムを入れるのは慣れるのに時間がかかりそうだ。当たり前の事だが、露出計は付いてないので、他のカメラで測るか、単体で露出計を持たねばならない。試しに撮影してみたが、露出が判らないのでメクラ撃ちである。まぁ、とりあえずちゃんと撮れてくれれば良いのだ。

 革のケースはアチコチほつれがあるが、カビもなくキレイな方だと思う。ストラップはボロちくなりつつあるので、替えた方が良いかもしれない。始め、ケー スへの入れ方が判らななくて、カメラを固定する爪を上げずに無理に広げて入れ様としたら、右側面がバリッと外れてしまった。まぁ、かえって出し入れがし易くなったが、やはりちゃんと縫い直した方が良いんだろうな。

 やっぱり二眼レフは珍しいらしくて、職場に持って行ったら、ちょっと人気者になれた。これでちゃんと撮れてたら、正式採用である。

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安かった、というのもあるけど
全体的に古ぼけた感じ

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背面には、撮影する天気とかに合わせて
シャッター速度や絞りの解説図がある

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底には三脚のマウント
底部を開けてフィルムを入れる

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今回のは革ケース付きというのがポイント高かった

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もっとも、一部破れていたので
得意の裁縫で修繕したw


■いきなりジャンク

 恐らく、残り少ない今年一年で、最大級のショック&脱力事件である。今日の昼、届いたばっかりのローライコードVが、いきなりジャックになってし まった。当然、届いた時にはちゃんとしてたし、ついさっきまでちゃんとしてたのであるが、事件というのはいきなり起こるものである。

 顛末をいうと、ちゃんと撮れてるか確かめるべく、テストで買ってきたフィルムを入れてテスト撮りなどをしていた訳であるが、例によって例の如く、初めて使うカメラはフィルムの出し入れの仕方がよく判らないので、フィルム1本無駄にして構造を調べたり、出し入れの仕方を練習していたりしていた。

 そんな最中、巻き方の悪かったフィルムがつまり、裏蓋を開けてフィルムを抜き取る作業をしている時に、電話が掛かってきた。出ようかどうしようか迷ったのであるが、一応出る事にした。そして、肩で受話器を挟んで話しを聞きながら、フィルムを抜こうとした時、いきなり裏蓋がポロンと取れて、机の下のゴミ箱に落ちてしまった。確か、裏蓋を外すノッチは掛けてあったはずである。確かめて見ると掛かっている。おかしい、と思い、ゴミ箱から裏蓋を取り上げて、本体にセットしようとすると、なんかグラグラして上手く付かない。そしてふと右側の留め具の方を見てみると、留め具を本体に付けるビスのうち、1本が外れている。これでは裏蓋のロックを外した途端、裏蓋が取れてしまうはずである。あまりのショックに、電話など一気にどうでも良くなってしまった。一体どこでビスを落としたのか。テスト撮りした時に外で落としたのだとしたら、まず見つからない。昼間ならイザ知らず、夜である。部屋の中なら見つかる確率は高いが、果たして出てくるか。

 部屋に戻ってきてから、何回かフィルムを出し入れする動作はしたし、裏蓋も取った訳で、その時はなんら問題が無かった。となれば、机の近辺に落ちてそう なものであるが、ライトを照らして探しても、一向に見つかる気配がない。このままではいきなりジャンクである。脱力して涙出そうになった。恨めるなら恨み たいところである。まだほとんど何も撮ってないのに。。。

 しかし、もしかしたら、外で落としたかもしれない。こんな夜中に外で探しても見つかるは思えないし、大体からして寒くて出なくないのであるが、諦め切れ ずにライト持って外にでて、三脚を立てた所を中心に探してみる事にした。そして一番最初に三脚を立てたところで、ライトをゆっくり当てて探してみた。すると、小さな黒い影が見えた。もしや!と思い、指でつまんでみると、事あろうか小さなネジだった。やっぱり外で落としていたのである。諦めずに探して正解だった。誰にも踏まれもせずに、拾われるのを待っていたのである。
 帰ってビスを締めた訳だが、どうやらやはり緩んでいた様で、残っていたビスの方も少々緩んでいた。何分古い物であるから、やはりガタは来ているのであろう。決して安くはなかったので、もっと大事に扱ってやろう。

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ここのネジが無くなってるのを見て卒倒

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こんな小さいネジ、よく真夜中に見つけれたもんだ


■知らない事って多い

 とにかく、フィルムの出し入れの仕方がよく判らなかった。これはローライに限った事でなくて、New FM2の時にも困った事だ。当たり前過ぎるからか、こうした基本的な事をしっかり書いてくれている本やサイトが少なかったりする。結局、最終的に自分が間 違ったやり方をしている事が判ったのは、クラカメ博物館を見つけれたからだ。それが判るまでに、120のモノクロフィルムを1本無駄にし、もう1本は撮れてるかどうか判らない状態だ。
 ローライコードVがケース込みで41000円というのは、安いのか高いのか。安いと言えば安いかもしれないが、程度がよく判らないので判断しようがない。シャッターは一応全速切れている様だが、タイマーが渋くて実質上、使えない事が判った。まぁ、セルフは撮れないと思うし、また撮らないと思うから良いが。出品者の説明によると、ストロボ発光もテスト済みらしいが、これに使えるストロボの装備がないので確かめようもない。まぁ、ストロボ使う様な撮影に使 わないので構わないのであるが。今回の買い物は、とにかくローライに限らず二眼レフというカメラを初めて触るので、試行品、訓練用として買った、という位置づけである。今までどんなユーザーの手に渡ってきたか判らないが、恐らく、自分の手元で生涯を終える事になるであろう。
 縫い目が裂けた部分は、これ以上酷くならない様に、昨日のうちに縫い合わせておいた。縫い穴がちゃんとしているから、これは大して難しい作業ではなかった。むしろ革がしっかりしているので、ちゃんと縫い直せば、びしっとした形になった。糸がオリジナルと似てないが、まぁこれはこれで愛着沸く。
 大体、一等最初に買った物は無駄にしてしまうか、使えないとか使いたくないとか、とにかく一等最初に買った物は、あまり活躍する事なく手放す事が多いのであるが、このカメラはどうなるであろうか?

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とりあえず、フィルム1本無駄にして練習した



■レンズキャップ

 届いたローライコードVには、レンズキャップが付いてなかった。元々出品時点で付いてなかったので、判ってて落札した訳だが、それでもキャップがない事には具合が悪い。幸いレンズはキレイな方なので、うっかり触って汚したり傷つけたりしたくない。しかし、ローライのレンズキャップはほとんど出品が ない上に、形や径が様々で、ローライコードVに合う奴がどれか、ぶっちゃけ判らない。買おうにも高そうだし。そこでネットで代替案を探してみた。

 レンズキャップで困っている人は殊の外多い様で、対策もいくつか見つける事が出来た。中でも有望そうだったのが、3ミリのゴム板をレンズのバヨネットの 受けの径に合わせて切り出し、アクリル板で連結する方法。さっそくドイトで材料を買ってきて作ってみた。まぁ、前例があるだけに、具合が良さそうである。 ゴム板と塩ビ板(アクリルは高いので塩ビにした)を瞬着で固めている間に、他のアイデアを探してみると、ペットボトルのキャップを削って使っている人もいた。それを見た時に、ポンとアイデアが浮かんだ。35mmのフィルムケースのキャップはどうだろう。目の前にNEOPAN100ACROSがあったので、試してみた。するとどうだろう、あつらえたみたいにジャストフィット! 緩すぎずきつ過ぎず、丁度良い感じである。フィルムが2本あったので、両方の目玉に付けてみた。めちゃめちゃチープであるが、間違ってもレンズに触ってしまう事はないだろう。またキャップをしたままでも革ケースの前扉を閉める事が出来 た。面倒といえば、一個ずつ取って付けねばならない事だが、まぁ、それは仕方ない。ちなみにNEOPAN400PRESTOのキャップでは緩くてダメだっ た。

 正直なところ、ボロっちいローライコードであるが、すでに色々楽しんでしまっている。ローライの二眼レフが人気ある理由が、段々わかってきた気がする。

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後から考えたら
レンズキャップだけ別に買えば良かったかなー


■試し撮り

 昨日の昼と夜に、ローライコードVの試し撮りをしてみた。最初に買ったネオパン・アクロスは、フィルムの出し入れを勉強するのに潰してしまったので、改めて買い直してきたのだ。
 昼間は出勤途中、錦糸町とアキバの駅で構内やビル、ホームに入ってくる電車などを撮ったのだが、ファインダーが意外に明るく、ピントをビシッと合わせた 時の像がメッチャ格好良かったのが印象的だった。部屋の中では暗くて判りにくいのだが、昼間の外なら全然問題ない。ルーペを使うまでもなかったのである。 露出計がないので、絞り開放のF3.5、シャッター速度は1/60secで固定して撮影した。明るいところは明るく、暗いところは暗く、それぞれ撮れてる と思うが、果たしてどうであるか。夜は、帰りの夜道で、街灯や自動販売機などを撮った。こちらも光源がありさえすれば、ピントを合わせられる程度にしっかりと像が見れる。ただし、夜空とかを撮るのは大変そうだ。絞りとシャッター速度は、F3.5で1/15sec。こっちはかなり暗い写真になっている筈である。
 今回の試し撮りは、どんな写真が撮れるか、よりも、カメラがちゃんと動くか、という確認の為である。早くもタイマーがボケている事が判っているし、見た 目どおり中身もくすんでいるかもしれないのだ。まぁ、オークションで買うという事は、こういうリスクを背負っているという事である。
 しかし、それでも買って良かったと思うのは、実際に手に取ってみなければ判らない事が結構多い、という事を改めて知ったからだ。例えば、今までにも何冊かローライの本は読んだが、今イチピンと来なかったのが、今回ローライコードVを手にしてからは、どの機種がどの時代に作られたもので、どういった性質を 持っているか、文章を読んだだけでそれなりに判る様になった。また、実際に自分で操作する事で、ローライの二眼レフの魅力も感じる事が出来た。実をいうと、四角いファインダーから覗いた像に病みつきになりそうなのである。
 だから、この次、本チャンのローライを手に入れるまでの中継ぎとしての役割を果たしてくれれば、このローライコードVは十分役割を果たした事になると思うのだ。

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蓋をあけて上に伸ばす
縦長になるカメラは、これくらいしか無いんじゃないかな?

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お世辞にもファインダーは明るいとは言い難い
夜の撮影は難しそう


■フィルムが上がる

 ローライコードVで撮ったフィルムが上がってきた。料金はほぼフィルム代と同じ。モノクロだからそんなに高くない。昼間に撮った方はちゃんとカットされていたが、夜に撮った方はロールで帰ってきた。ヨドバシの店員曰く、「露出不足でカットする場所が判らない時はロールで返却する」との事。それでも一応は何 か写っていたので、初めてNew FM2を使った時みたいに未露光で帰ってきた訳ではない。
 エスカレータに乗りながら、さっそくフィルムを見てみたが、確かにちゃんと写っている。大したもんである。まぁ、写ってくれてなければ困るのであるが、 何と言っても初めての二眼レフの写真である。ちょっと感動した。6×6センチのフォーマットはいつも見慣れている35ミリの4倍近い大きさで、予想してた 以上に迫力がある。35ミリがオモチャに見えるくらいだ。こりゃ病みつきになる。
 帰ってから早速スキャンしてみた。スキャンして初めて判ったが、絵としてはやはりキレイである。真四角の写真というのが、とても安定した絵面だという事 も納得できた。撮っている時にも感じたのだが、横とか縦とか悩まず撮れるし、日の丸構図にも臆する事なく撮れるのは有り難い事である。
 夜の写真はカットされてないので後回しにして、先に昼間の写真をスキャンした訳だが、写真としての出来映えとしては今ひとつ。というのも、 1/60secで撮った訳だが、手ブレや被写体ブレしてるものが多かったし、絞り開放のf3.5で撮ったので写真の端に行くほどボケているので、全体的にボヤ〜ンとした写りになっていた。まぁ、今回の撮影は、買ったローライコードVが使えるかを試すためだったので、その意味では成功だった。

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真四角の写真って見慣れてないせいもあるけど
独特の魅力があると思う
もっとも、昔は縦横にトリミングして使うのが前提だったとか


■CanoScan8600F

 ローライコードを買った事で、6×6判と露出計無し、という新奇な要素が出てきた。言うまでもなく、今までの装備では対応できないので、急遽、ブロー ニー判が読めるスキャナと露出計を買った。新型の新品ではいささか勿体ない気がしたので、どちらも型落ちの物をオークションで買った。
 スキャナは、キヤノンのCanoScan8600F。ついこないだまで現役機種だった。今は8800Fというのに代わっているが、外観はこっちの方が好 きだし、値段も9000円近く安いのでこっちにした。いままでは「洋式便器のフタ」の部分はただのフタだったが、今回からは透過ユニットが付いているの で、かなり分厚い。電源も独自で取らねばならない。しかし、フィルムが連続でスキャンできるのはかなり楽である。今まで使っていたLiDE80では、透過ユニットを一コマずつ動かして、1枚ずつスキャンしてたので時間が掛かって仕方なかったのだ。

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フィルム単体のスキャナーも考えたけど
紙もスキャン出来た方が良いので


■スタジオデラックス

 セコニックのスタジオデラックスを買いました。生まれて初めての単体露出計です。前から何とかせな、と思ってた訳ですが、露出計無しのローライコードを買った事で、一気に必要性が出て来た訳です。
 実は、前から店に置いてあるのを触ってたのですが、使い方が全然わからない。説明書見てもネットで調べても、皆目判らない。だから、買っても使えるかどうか、心配だった訳です。
 しかし、いざ手に入れて、じっくり取説とくびっぴきで勉強すると何となく解ってきました。エライもんです。当初は、フラッシュメーターやスポットメー ターの方が良いかも、と思ったのですが、高いので止めました。精度は良くない様ですが、スタデラも反射光を計れるらしいし、D70sがあれば、スポット メーターの代わりに使えるでしょう。
 ちなみに、スタデラには、強力な磁石が入ってるそうです。確かに鉄に付きました。うっかり雑嚢に入れていて、キャッシュカードを使えなくするトコだった。

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使い方は今ひとつ分からんですが
まぁ、目安にはなります


■ローライコード、その後

 このローライコードV、写真熱が冷めてからも長らく持っていたのですが、2016年10月に手放しました。まぁ、もともと程度がそれほど良くなかった事もあり、整備してまで使い続けようとは思わなかったからでした。もし、再び写真熱が再発した時は、その時はまた書い直せば良い、と考えていた訳です。この種のクラシックカメラは、新製品が出る事がない代わり、これ以上古くもなりません。違いは、保存程度と整備の良さでしかありません。その意味で、次はもっと程度が良くて整備の行き届いているものを買おうと思ったわけです。
 しかし、その様に感じたのも、このカメラが非常に魅力があって、撮る楽しみがあって、いい思い出が沢山出来たからでした。「写真撮ってるなー」と感じたのは、デジタル一眼レフでもなければ、135フィルムのFM2でもなく、このローライコードでした。また、仕上がってきたフィルムを見て楽しめたのも、66判のフィルムでした。もし、また写真を復活させるなら、是非ともローライの二眼レフで再スタートしたいと思っています。(2020年3月15日追記)

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どこいっても「へぇ〜!」ってリアクションされてましたw