オフロードバイクのレース始めると、やれメンテナンスがどうのという話しになるのですが、その整備で是非とも自分で出来る様になった方が良いのは、タイヤ交換です。その他の事は後回し、あるいは店任せにしても良いから、タイヤ交換は自分で出来る様になった方が良いです。その理由は、「コースや路面のコンディションによって、タイヤを履き替える必要がある」からです。オフロードタイヤの事をちょっと調べた人なら分かると思うのですが、各メーカーとも色んなタイヤを出しています。つまり、一種類のタイヤでオールマイティに使えるという訳でなく、使い分ける為なのです。
そのXR250が履いていたタイヤは、ダンロップのD605という、タイヤでした。オンロードタイヤに太い溝が入っている様なタイヤです。オンでもオフでも走れるというと、オールマイティなイメージですが、これが極端にオフ寄りの路面なると、かなり上手な人でないと走れなくなります。それが自分が一番最初に、タイヤを替える必要を感じた機会でした。
そこで、タイヤ交換の要領を習うついでに、ミシュランのT63を履かせました。今は廃盤になりましたが、当時は公道走れるトレールタイヤとして有名でした。モトクロッサーの様にトランポで輸送するのならレース専用のタイヤで良いのですが、当時はまだトランポを持っていなかったので、公道を走れるタイヤである必要があったのです。ところがこのタイヤ、ブロックのパターンが横一列の梯子状で横滑りするという評判でした。当時の自分はグリップがどうのと理解出来る感性はなかったのですが、それでも今ひとつ安心感がないのだけは感じていて、ドライな路面でもそうでした。
その様な訳で、T63を履いたホイールはツーリング&街乗り用として、別個にホイールを購入し、それにはミシュランのMOTOCROSS CROSS AC10を履かせる事にしました。AC10も公道に使えるタイヤでしたが、こちらはよりモトクロス向きに作ってあるタイヤでした。ブロックパターンは確かにモトクロスタイヤそのもので、アスファルトの道で使うと直ぐ減るとの事でしたが、コースではT63なんかよりも遥かに乗り易い感じで、以来、T63は使わなくなってしまいました。
AC10は良いタイヤでしたが、マディとかツルツル路面ではツルツルするタイヤでした。当時はどんなタイヤ履いてても滑る路面は苦手でしたが(今も苦手ですが)、そういう時でもどうにかならんもんか、と試したのが、ミシュランのCROSS COMPETITION S12 XCでした。このタイヤは公道使用不可ですが、この頃には軽トラでバイクを運んで貰う事が多く、自走でない時でかつマディな時はこのタイヤを履いたホイールに付け替えていました。ソフト路面用という事で、確かにマディではAC10よりは滑らなかった気がしますが、実はこの後、ベストテクスクールに自走で通う様になり、ほとんど使わず終いでした。
2010年式のCRF250Rが新車時に履いていたタイヤが何だったか失念しましたが(ダンロップの何か)、グリップ感がイマイチと感じていたのでしょうか、2010年式ではミシュランのSTARCROSS MH3をよく使っていました。しかし、タイヤとしての特性に惹かれたとかではなくて、単にAC10に近いブロックパターンだったからだと思います。少しでも信頼性のあるタイヤに近いものを使いたかった、というところです。
2012年式からは、ダンロップのGEOMAX MX51ばかりつかっていましたが、これは標準タイヤはあらゆる意味で標準的なんだから良いもんに違いない、といった様なあまり深い考えではありませんでした。

この頃は、タイヤの違いとかグリップ感とか
そうしたものを感じる感受性が乏しくて
新しいかそうでないかが、信頼性の差でした

走り難い、滑る、転けるというのは
自分のレベルが低いから、という風に考えていました

その意味で、全然タイヤに気を使ってなかった時代でした
そんなトラタイヤもエンデューロ的に使い込んで行くと、コーナーでグニャとする感じがしたり、マディだと直ぐにスリック状態になってしまうなど不具合があり、エンデューロに出る時には使いませんでした。暫く、AC10を使っていたのですが、この頃からエンデューロタイヤが登場する様になり、ダンロップのGEOMAX AT81はオールアラウンドに使えるエンデューロタイヤとして重宝しました。特にリアタイヤが100/100-18といった薄いタイヤもあったので、スイングアームの短いXR230には持って来いでした。

初めて購入したトライアルタイヤ、IRC TR011
その後ろにはダンロップのMX51があります

このトライアルタイヤを使った事で
初めて“グリップ感”というのを体感できました

この頃はモトクロスはやめてエンデューロ一本になってましたが
タイヤやもっぱらダンロップのAT81を使ってました
その後、CRF450RXに乗り換えますが、この頃には、IRCのiX09GEKKOTAを筆頭とするガミータイヤが台頭しており、AT81もAT81EXがありましたが、自分はハードエンデューロには縁遠かったため、今だ使っておりません。一方でこの頃にはAT81は「何をしても出来るが、何をしても大したことがない」という印象を持ち始めていました。標準装備のタイヤというのは、そうしたものなのでしょう。
そこで、「迷った時はVE」と言われるIRCのVE33を使ってみる事にしました。VE33を使った時のショックは大きく、「このタイヤや卑怯だ」と思ったくらいでした。もの凄いグリップ感、地面に食いついて前に押し出す感が素晴らしく、非常に良く言う事を聞いてくれる。それに比べたら、今まで履いてたタイヤは、ガラスの上でスリッパ履いた靴で走ろうとしてた様なもんで、走る事よりも滑らない事に注意を振り向けねばならない感じでした。
遅まきながらVE33の威力を体感した頃、さらに強力なVE33S GEKKOTAが登場しました。その名の通り、ハードエンデューロ向きのタイヤなのですが、iX09のゲコタがトライアルセクション寄りだったのが、VE33のゲコタはエンデューロ向きのタイヤとして開発された様です。これまたVE33をさらに良くした様なタイヤで、しかも非常に持ちがよい。ここに来て、ようやく走りに集中できるタイヤに巡り会えた様です。
それ故に、9000km使ったオンオフタイヤでマディのモトクロスコースに入って行き、あえなく沈没した訳ですが、この経験を経て、ようやくオフロード用のタイヤが必要なんだという事が理解できただけで、ではどのタイヤが、どの様な効果を発揮するのか、それが体感的に理解できる様になりには、長い時間が掛かりました。
タイヤの善し悪しが理解出来る様になるのは、自分に合ったハンドルがどういうもんか理解出来るのと同じ様に、ある程度経験を積んで、レベルが上がってからでないと分からないものなのかもしれません。
ただ、セオリー的なものはあって、例えば、「中古のタイヤより新品タイヤ」「ブロックの角がある方がグリップが良い」などです。「練習は中古のタイヤでやって、レースは新品のタイヤで出る」というのは、自分の技量をタイヤの性能で補おうとする気持ちの現れでもあります。この辺りは、どんな初心者の人でも、見た目で分かる事なので理解し易いと思います。
しかし、グリップがどうのといった話しは、その「感覚」が理解できる様になるまで分かりません。分からなくても滑らない方が良いに違いない訳ですから、その際は「迷ったらVE」みたいなインプレに頼るも可だと思います。
タイヤのグリップ感を体感する方法は、古くて固くて角の丸くなったタイヤと、新しくて角の立ったタイヤを、同じコンディションで使ってみるのが一番良いかもしれません。上でも述べましたが、自分はクロスパーク勝沼のパドックからコースに入る砂利道で、AT81だと弾かれて滑る様な感じで怖かったのが、VE33だとしっとりグリップして滑る様な感じがしなかったのを感じて、初めてタイヤの“グリップ感”というものを体感しました。
今回は、自分がこれまで使ってきたタイヤと、タイヤに対する考え方、感じ方の変遷を語ってみたいと思います。
■XR250時代
XR250はご存知の通り、オフロードバイクでも公道を走るのを前提とした、いわゆるトレール車です。公道というとアスファルトで舗装された道路をイメージするのですが、アスファルトだけでなく砂利が敷いてある道も、土がむき出しの林道も、およそ私道や私有地、コース以外の、道路交通法の法令下にある道は公道です。オンロードバイクはもっぱらアスファルトの道路を走るのを前提としていますが、オフロードバイクはそうした舗装路以外も走るのを前提(というか、オフロードバイクですから、むしろオフを走るのが前提のはず)としていますので、オフもオンも走れるタイヤを販売時に履いています。そのXR250が履いていたタイヤは、ダンロップのD605という、タイヤでした。オンロードタイヤに太い溝が入っている様なタイヤです。オンでもオフでも走れるというと、オールマイティなイメージですが、これが極端にオフ寄りの路面なると、かなり上手な人でないと走れなくなります。それが自分が一番最初に、タイヤを替える必要を感じた機会でした。
そこで、タイヤ交換の要領を習うついでに、ミシュランのT63を履かせました。今は廃盤になりましたが、当時は公道走れるトレールタイヤとして有名でした。モトクロッサーの様にトランポで輸送するのならレース専用のタイヤで良いのですが、当時はまだトランポを持っていなかったので、公道を走れるタイヤである必要があったのです。ところがこのタイヤ、ブロックのパターンが横一列の梯子状で横滑りするという評判でした。当時の自分はグリップがどうのと理解出来る感性はなかったのですが、それでも今ひとつ安心感がないのだけは感じていて、ドライな路面でもそうでした。
その様な訳で、T63を履いたホイールはツーリング&街乗り用として、別個にホイールを購入し、それにはミシュランのMOTOCROSS CROSS AC10を履かせる事にしました。AC10も公道に使えるタイヤでしたが、こちらはよりモトクロス向きに作ってあるタイヤでした。ブロックパターンは確かにモトクロスタイヤそのもので、アスファルトの道で使うと直ぐ減るとの事でしたが、コースではT63なんかよりも遥かに乗り易い感じで、以来、T63は使わなくなってしまいました。
AC10は良いタイヤでしたが、マディとかツルツル路面ではツルツルするタイヤでした。当時はどんなタイヤ履いてても滑る路面は苦手でしたが(今も苦手ですが)、そういう時でもどうにかならんもんか、と試したのが、ミシュランのCROSS COMPETITION S12 XCでした。このタイヤは公道使用不可ですが、この頃には軽トラでバイクを運んで貰う事が多く、自走でない時でかつマディな時はこのタイヤを履いたホイールに付け替えていました。ソフト路面用という事で、確かにマディではAC10よりは滑らなかった気がしますが、実はこの後、ベストテクスクールに自走で通う様になり、ほとんど使わず終いでした。
■CRF250R
CRF250Rは2010年式から2012年式へと乗り継いだのですが、タイヤについて何か知識が増えた訳でもなく、最初からモトクロスタイヤ履いているから、それでやろうといった考え方しかしていませんでした。2010年式に乗り換えた当時、モトクロスもエンデューロもそれで出ていたのですが、レースによってタイヤの種類を変えるといった思想はなく、レースには新品タイヤ、練習には中古タイヤ、ブロックの角が丸くなったら処分する、といった考え方しかしていませんでした。レースには良く出ていましたので、その度に新品タイヤへ交換するので、タイヤ交換の機会は多く作業に大分慣れました。2010年式のCRF250Rが新車時に履いていたタイヤが何だったか失念しましたが(ダンロップの何か)、グリップ感がイマイチと感じていたのでしょうか、2010年式ではミシュランのSTARCROSS MH3をよく使っていました。しかし、タイヤとしての特性に惹かれたとかではなくて、単にAC10に近いブロックパターンだったからだと思います。少しでも信頼性のあるタイヤに近いものを使いたかった、というところです。
2012年式からは、ダンロップのGEOMAX MX51ばかりつかっていましたが、これは標準タイヤはあらゆる意味で標準的なんだから良いもんに違いない、といった様なあまり深い考えではありませんでした。

この頃は、タイヤの違いとかグリップ感とか
そうしたものを感じる感受性が乏しくて
新しいかそうでないかが、信頼性の差でした

走り難い、滑る、転けるというのは
自分のレベルが低いから、という風に考えていました

その意味で、全然タイヤに気を使ってなかった時代でした
■XR230
XR230を買ったのは、モトクロスにもエンデューロにも疲れて、トレールトライアルでもやろうかしら、と思ったのが発端でした。公道で使う気はなかったのですが、トライアルタイヤは何故か公道使用も可なIRCのツーリストでした。初めて履くトライアルタイヤのグリップ感は素晴らしく、どんなトコでもグイグイ前に出る感じがして、これは最強だ!と感じたものです。そんなトラタイヤもエンデューロ的に使い込んで行くと、コーナーでグニャとする感じがしたり、マディだと直ぐにスリック状態になってしまうなど不具合があり、エンデューロに出る時には使いませんでした。暫く、AC10を使っていたのですが、この頃からエンデューロタイヤが登場する様になり、ダンロップのGEOMAX AT81はオールアラウンドに使えるエンデューロタイヤとして重宝しました。特にリアタイヤが100/100-18といった薄いタイヤもあったので、スイングアームの短いXR230には持って来いでした。

初めて購入したトライアルタイヤ、IRC TR011
その後ろにはダンロップのMX51があります

このトライアルタイヤを使った事で
初めて“グリップ感”というのを体感できました

この頃はモトクロスはやめてエンデューロ一本になってましたが
タイヤやもっぱらダンロップのAT81を使ってました
■CRF450RX
XR230で仕切り直しをしている間に、CRF250Rはエンデューロ仕様に改装されて、CRF250R(X)となっていました。その頃は、エンデューロタイヤとしてダンロップのGeoMax AT81に絶対の信頼を置いて愛用し続けていました。その後、CRF450RXに乗り換えますが、この頃には、IRCのiX09GEKKOTAを筆頭とするガミータイヤが台頭しており、AT81もAT81EXがありましたが、自分はハードエンデューロには縁遠かったため、今だ使っておりません。一方でこの頃にはAT81は「何をしても出来るが、何をしても大したことがない」という印象を持ち始めていました。標準装備のタイヤというのは、そうしたものなのでしょう。
そこで、「迷った時はVE」と言われるIRCのVE33を使ってみる事にしました。VE33を使った時のショックは大きく、「このタイヤや卑怯だ」と思ったくらいでした。もの凄いグリップ感、地面に食いついて前に押し出す感が素晴らしく、非常に良く言う事を聞いてくれる。それに比べたら、今まで履いてたタイヤは、ガラスの上でスリッパ履いた靴で走ろうとしてた様なもんで、走る事よりも滑らない事に注意を振り向けねばならない感じでした。
遅まきながらVE33の威力を体感した頃、さらに強力なVE33S GEKKOTAが登場しました。その名の通り、ハードエンデューロ向きのタイヤなのですが、iX09のゲコタがトライアルセクション寄りだったのが、VE33のゲコタはエンデューロ向きのタイヤとして開発された様です。これまたVE33をさらに良くした様なタイヤで、しかも非常に持ちがよい。ここに来て、ようやく走りに集中できるタイヤに巡り会えた様です。
■タイヤに対する考えの持ち方
オフロードバイクのレースを始めた当初は、そもそもオフロード用のタイヤの概念がなく、減ってきたら交換するとか、ツーリング中にパンクしたら修理しなければならないからタイヤ交換の技術は必要、といった考え方しかありませんでした。それ故に、9000km使ったオンオフタイヤでマディのモトクロスコースに入って行き、あえなく沈没した訳ですが、この経験を経て、ようやくオフロード用のタイヤが必要なんだという事が理解できただけで、ではどのタイヤが、どの様な効果を発揮するのか、それが体感的に理解できる様になりには、長い時間が掛かりました。
タイヤの善し悪しが理解出来る様になるのは、自分に合ったハンドルがどういうもんか理解出来るのと同じ様に、ある程度経験を積んで、レベルが上がってからでないと分からないものなのかもしれません。
ただ、セオリー的なものはあって、例えば、「中古のタイヤより新品タイヤ」「ブロックの角がある方がグリップが良い」などです。「練習は中古のタイヤでやって、レースは新品のタイヤで出る」というのは、自分の技量をタイヤの性能で補おうとする気持ちの現れでもあります。この辺りは、どんな初心者の人でも、見た目で分かる事なので理解し易いと思います。
しかし、グリップがどうのといった話しは、その「感覚」が理解できる様になるまで分かりません。分からなくても滑らない方が良いに違いない訳ですから、その際は「迷ったらVE」みたいなインプレに頼るも可だと思います。
タイヤのグリップ感を体感する方法は、古くて固くて角の丸くなったタイヤと、新しくて角の立ったタイヤを、同じコンディションで使ってみるのが一番良いかもしれません。上でも述べましたが、自分はクロスパーク勝沼のパドックからコースに入る砂利道で、AT81だと弾かれて滑る様な感じで怖かったのが、VE33だとしっとりグリップして滑る様な感じがしなかったのを感じて、初めてタイヤの“グリップ感”というものを体感しました。
なんにせよ、「どう転けたかも分からん」様な初心者・初級者の人は、タイヤでケチらず、新しくて良いタイヤを使って、気持ちよく練習するのがまずは先決であろうと自分は思います。
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