自衛隊の飯ごう2型は結構人気があるようです。ようです、というのは、当協会の中の人自身はあまり高い評価を与えてないので、あまり気に留めてなかったからです。逆に、ニュートップの3合飯盒には高い評価を与えているのですが、今回は大きさの似たこの二つの飯盒の比較をし、かつ、こうして欲しかったといった点を論じてみようと思います。
相当人気があるようで、市場在庫は払底
再販のめどもない感じらしいです
■容量の比較
各々の飯盒のインプレは個別の記事を参照してもらうとして、今回は各種見地からの比較を行います。まず、容量。飯ごう2型も3合飯盒も、4合炊きのフルサイズの兵式飯盒と比較すると、パッキングサイズは2/3ほどです。しかし、飯盒本体となると違いがあって、飯ごう2型は2合炊きなのに対して、3合飯盒はその名の通り3合炊きですので、3合飯盒の方が高さがあります。
ソロクッカーとして考えた時、一度にご飯を2合も3合も炊く人はあまりいないと思うので、1〜1.5合くらいで炊くと思うのですが、ご飯を炊くとなると、1合であれ2合であれ、底の深い方が炊き易いので(特に吹きこぼれの点など)、その意味では3合飯盒の方が使い勝手が良い、という風に自分は見ておりました。ついでに言うと、インスタントラーメンも飯ごう型より3合飯盒の方が煮易いのですが、これも飯盒本体の高さに由来する使い勝手の差です。
■蓋と掛子
飯ごう2型の大きな特徴は、ドイツ軍の飯盒に範を取ったと思われる蓋のハンドル。ちゃんと掛子を引っ掛けて使う事が出来ます。個人的には、ただのワイヤーでなく、もちっとしっかりしたのを付けて欲しかったところで、実際に持ってみると、なんかスカっと落としそうな気がしてならない。文句言うより慣れた方が良いのかもしれませんが、飯を炊く時に蓋のハンドルが邪魔でしょうがなく感じる自分としては、別に無くても良かったかなという風に感じています。この辺り、食器として使うか調理器具として使うか、考え方の分かれるところだと思います。対する3合飯盒の方は、脱着式のハンドルです。脱着式のハンドルの飯盒は他にもありますが、3合飯盒の物は実にしっかりしてて使い勝手が良い。飯盒の蓋だけでなく、中鍋にも使えるのですが、察するに、飯盒で飯炊いたあと、中鍋でラーメンでも煮て食う時に、使い易くするために付けたのでしょう。飯盒をソロキャンプで使う人が、その使い易さを追求しまくったのが、ニュートップの3合飯盒だと感じています。
このハンドル、初代の3合飯盒を捨てたあとも、中鍋と一緒に長い間使っていたのですが、何度目かの引っ越しのドサクサにまぎれてどこかに行ってしまいました。部品点数が多い、脱着部分が多いというのは、紛失の原因にもなりますし、その意味で飯ごう2型が脱着式のハンドルを採用しなかったのは、十分理由のある事であると思います。
蓋の違い
3合飯盒は普通の兵式飯盒の厚み
飯ごう2型の方は、少々厚みがあります
飯ごう2型の方は蓋のハンドルで掛子が連結できます
3合飯盒は中鍋にもハンドルが使えます
ドイツ軍では配食の際にこうして飯盒持ってましたが
飯ごう2型のワイヤーハンドルだと
なんか落としそうで不安があります
■釣り手の問題
自分が飯ごう2型で一番問題にしているのは、あの無駄に長い釣り手。前回のレポートでも、吊り下げた時に、レギュラーの兵式飯盒と底の位置が同じくらいの高さになる様にするためか?と推測したのですが、本当のそうらしいです。しかし、ほぼほぼ食器としての機能を追求したのであれば、この点は思い切りが足りなかったと言わざるを得ません。そもそも、飯盒自体の大きさに対して、釣り手が長い訳ですから、収納時にはかなり邪魔なんじゃなかろうか、と思います。この点、実際に使ってる人の感想を聞いてみたいところです。もし、自分が飯ごう2型を常用するとしたら、釣り手は外して使うと思います。よく無くしてしまうアイテム、なんて書かれているところをみると、現役の兵隊さんも外して使ってるんじゃないでしょうか。
自分個人としては、釣り手は3合飯盒や旧軍の将校飯盒みたいに、蓋をロックする機能を持ったやつにして欲しかったと思います。これはこれで焚き火に掛けれんという訳でもないですし、飯盒本体の高さと釣り手の長さが同じですから収納にも困りません。そして蓋がロック出来るとなれば、良いとこづくめじゃなかろうかと思う訳です。
そのうち、飯盒1型は完全に姿を消す訳で
そうしたら、レギュラーサイズの飯盒に合わせて
釣り手を長くする必要もなかったと思うのですが…
だったら、釣り手が蓋をロック出来る構造の方が良かったと思う
もっとも、3合飯盒の方も、凡ミスなのか
ロックの位置が残念な所に出来てますが
■食器か鍋釜か、飯盒の将来
飯盒それ自体は、そもそもは煮炊きの為の鍋釜として開発されたのは疑い様も無いのですが、軍隊の野戦での給与のあり方が変化していって、次第に食器としての需要が高まって行ったのは、飯ごう2型の姿形から、十分に推測する事が出来ます。飯盒は、鍋釜なのか食器なのか、それは運用する側の事情によって異なってくると思います。自分は、飯盒はあくまで飯を炊くのが主目的であって、食器としての活用は、片手鍋でラーメン煮てそのまま食べるのと同様の位置づけでありますので、より食器よりに作られた飯ごう2型は、飯盒としては役不足に感じています。その一方で、ソロクッカーとして見た時、4合炊きの兵式飯盒は確かに容量オーバーであるのも認められるところです。
ソロ用の煮炊きの鍋釜として、かつ食器としても使え、飯だけなく副食も作る事を想定して、すべてをオールンワンにしたニュートップの3合飯盒は、日本の飯盒がたどり着いた最高傑作であったと自分が評価するのは、上記の要求を全て満たしているからです。
もっとも、その3合飯盒は、メーカーが消失して既に数十年、もはや市場在庫もほぼなく入手は不可能です。飯ごう2型が人気があるのは、やはりコンパクトなソロ用の飯盒であるからでしょうし、かつ現用装備である事から、品薄であっても入手は不可能でないからでしょう。炊飯の機能も、トランギアのメスティンに比べれば遥かに使い易い訳で、その意味で人気があるのはもっともな事だと思います。
確かに、食器として考えるなら
このくらいのサイズの方が食べ易いのは事実です
掛子に仕切りまで作ってある3合飯盒は、確かに凄いですが
無くし易い欠点もあります
好み、使い方、コスプレの時代設定、などなど
必要とされる要素は、人それぞれ
好きな様に使って、入手困難な物はある時買いしましょう
コメント
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3合飯ごうの釣り手が微妙な長さになっている点については前回も書かれていましたが、同品が元箱に納まっている時は、たにしさんの写真のように垂直に下げるのではなく、斜めになってました。つまり釣り手の水平の部分が飯ごうの蓋の縁にきます。蓋をロックするためではなく、そういう形での収納を前提としたデザインになっているようです。
あと、個人的に3合飯ごうに感じる不満は、ハンドルを取り付けるための金具が蓋と内なべにありますが、本体にないこと。私は普通の兵式飯盒を使うときも、手製のハンドルを紐通しの金具に引っ掛けて使いますので、是非とも欲しかったです。
また、水量線が3合用と1.5合用の2ヶ所になっているのがどうなのかな?と。1合、2合、3合の3ヶ所にあったほうが親切ではなかったかなと思っています。
3合飯盒の釣り手のロックの位置、メーカー的にはこれで正解、という事なんですねぇ。
にしても、旧軍の将校飯盒にしても、自衛隊の飯盒1型にしても、
やっぱ蓋をロックする機能になってたんだし、
そうするのが正解だったんじゃないのかな、という気がどうしてもしますねぇ
革通しが飯盒本体にないのは、おそらく、省力化なんだろうと思うんですが、
背が低いだけに付ける場所がなかった、というのもあるのかも?
中鍋の方は、結構上の方に付いてますもんね。
1合炊きは、そもそも想定してなかったかもしれませんね。
もっとも、普段、1.5合みたいな中途半端な炊き方もしない訳で、
その意味では、あまり深くは考えられてなかったのかも??