今年度は通算8戦出るつもりで、去年から綿々と準備を進めてきたのですが、3月の誕生日以降、どうにも詰まらん不運が連続し、その極めつけは5月に蜂窩織炎で入院(通称「盛岡の風土病事件」)で完全に出鼻を挫かれて、グダグダになってしまいました。その後、なかなか足は治らんわ、練習行こうと思ったら天気悪いわ、公私ともに色々具合が悪いわで、もはやバイクどころで無くなってしまいました。
   その様な訳で、秋のWEX爺ヶ岳にエントリーしたものの、3日ほどまで色々あってレースモードにならず、もちろん練習もなく、何もかもグダグダのまま、どうにかこうにか参戦する事になりました。


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どういう事ないウッズですが
滑って転びそうな気がずっとしてました




■とりあえず下見

   タイトルにもある様に、秋のWEX爺ヶ岳は今年で最後になるようです。詳しい事情は知りませんが、なんでもコース保全のためとか。まぁ、だったら梅雨が開けてないか、あるいは開けてしまったかの7月の方を中止にした方がWEXの本意に沿うんじゃないの?と思う訳ですが、そうもいかん様です。
   いつもは開場は1000時からという事で、そのつもりで0600時に出発するつもりをしてたのですが、案内を見ると、なんと0800時から開場との事。午前午後で2回セクションスクールを行うためらしいのですが、そげな早い時間に開場されたら場所取りが大変です。それでも0415時には出発したのですが、現着したのは0830時頃。早くも場所取りしてる人らが来てました。もっとも自分は幸いにもツイッターでお知り合いになった方々に場所を取って貰ってました。
   さて、そんなに早く着いても、やる事と言えば、バイク下ろして荷室の掃除して、バイクにゼッケン貼ったり、エアクリ交換してチェーンに油やって、その程度です。今回、タイヤはフロントがVE35で0.6、リアはVE33sで0.5。これ以外のタイヤは持って来てないので、コースの中がどうなってても、これで走るより他ありません。

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バイクに乗るのが2ヶ月ぶりと
心身ともに全く準備のなってない状態でした

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今回から導入したカースローブ
地面が斜めでも水平が作れるので、寝る時に役立ちました


   他の皆さんは、午前のセクションスクールに参加されるという事で、いそいそ着替えて向かわれましたが、自分はいつもの様に歩いて下見です。どうしてセクションスクールに出ないのかというと、前日にバイク乗ってしまうと疲れて翌日の本番で走る気にならないのと、JNCCやWEXでは洗車出来ないからです(洗車できるレースでは走ったりする)。
 今回、重点的に下見したのは、ウッズとロックンロールリバー源流でした。ウッズは今回は下りで使うという事で、実際に歩いてみたのですが、外のゲレンデが乾いているのに対して、ウッズの方はラインがそれなりに湿っている。天気予報では翌日朝方に雨が降るとの事でしたので、降ったら難儀しそうだー、という印象を持ちました。ロックンロールリバー源流は、下流に比べたらそんなにガレてはいないのですが、それでも転けたら痛そうな地面で、しかもここもシケシケしてて苦手な路面です。どちらも警戒を厳に要するといった感じでした。
   その他のコースは、乾いているので概ね開けて行けば大丈夫。今回カットされたFUNガレ周辺のややガレた所も、注意して行けば何とかなるだろう、という感じでした。難易度としては、梅雨時期のWEX爺ヶ岳よりも楽そうに感じました。

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今回のコース図
いつもに比べたら簡単になっているはずですが
2年前のJNCC本戦より、路面が難しく感じました


■1周目はまさかの27分

   夜はツイッターの皆さんと歓談してたのですが、自分は0400時から起きっぱなしだったので、早めに寝ました。今回は地面が斜めってても良い様にカースロープを装備し、荷室の水平を出せる様にしておいたので、比較的安眠する事が出来ました(お陰で30分寝坊)。
   受付やトランスポンダの取り付け、ハイドレーションの準備やGoProのヘルメットへの取り付けなど、準備は前の日に全部済ませてあるので後は着替えるだけですが、大事なのは着替える前の用便で、これが滞るとレースにも影響します。幸いに快便だったのですが、快便過ぎて3回もトイレに行きました(最後の1回は出走直前)。

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心配されてた天気は回復
いい感じの晴れ具合で助かりました

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出撃前のブリューフィング


   心配されていた天気は、幸いにも雲が切れて晴れ間が見え、この調子で行けば雨はなさそうです。雨さえ降ってなければ爺ヶ岳は走り易いコースという認識なので、幸先良いレース復帰になりました。
   90ミニッツは0800時頃集合、0815時スタートです。自分はCクラスなので、大体真ん中辺りが位置です。スタートはインは混雑するので、アウト側から悠々と攻め上って行く作戦で行きました。以前なら緊張もしてたのですが、最近は慣れたというか、どうにかなる感があって余り緊張しません。日章旗が振られると同時にスタートです。
   最初はひたすらゲレンデを上ったり下ったり。以前はウッドチップがあったのですが、最近はなくなった様です。CRF450RX“ゲイレルル号”の性能、特にその出力は優秀で、下りからコーナー、そして立ち上がって上りといった、低速からエンジン回転を上げて行かなければならない状況で、以前ならパワー不足を感じていたのが、今回は450の極大パワーと低速でも粘るエンジン改装により、全くもたつく事なく、スムーズに加速していけて、楽に走る事が出来ました。
   ともあれ、順調かつマイペースに走っていたのですが、22コーナーから23コーナーに向かうガレた上り坂で、うっかりアクセルが緩んでそのままラインから外れてしまい停止。リカバーも失敗して転けてしまいました。登りの途中でありしかもガレた路面なので、再発進は難儀する状況ですが、セル始動が幸いしてどうにかラインまで押し出し、マーシャルさんの手助けで再発進する事が出来ました。もっとも、これで相当に息が上がってしまい、23コーナーでしばし休憩。
   23コーナーの坂を下ると直ぐにFUNウッズですが、これはもう、慎重に下って対処。時間をかけてFUNウッズを抜けた後は、今度はロックンロールリバー源流ですが、これはもう自分にとっては恐怖体験そのもので、滑って転けて痛い目遭わない様に、時々止まりながら、怖々下って行くより他なく、ロックンロールリバー源流から出てきた時は、一息つけないと次に進めない感じでした。
   ここから先はダラダラとした下りなのですが、既に息が上がってヘロヘロな自分はヘロヘロな走りしか出来ませんでした。というか、他の人はどうか知りませんが、自分は下りで疲れてしまうのです。そんな訳で、ロックンロールリバー下流にちょこっと入る30コーナーで、うっかりインに入ってガレに足回りを取られてしまい、停止から転倒してしまい、よりにもよって装甲のない左の上腕を石でヒットして痛い思いしました。その痛いのから回復する為にまたまた休憩。結局、一周27分も掛かってしまう酷い出来映えになってしまいました。

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スタートシーン
気持ちも体もスイッチが入ってません


■2〜3周目

   既に1周目でかなりヘロってしまったのですが、それでもまだ60分残ってますので、2周目に突入。1周目で大体具合の悪い所が分かったので、そこを気をつけて走りました。やっぱり難儀するのは上部の石ころがゴロゴロしてる所で、2周目にはおおよそラインが出来てて、そこに沿って走ればまず問題ないのですが、何せそれなりに傾斜があるので、アクセルが緩んだらアウトです。登りではとにかくアクセル緩めないのが肝要でした。2周目も、気張って走った後は休む、という感じでとりあえずクリア。
   さて、3周目に入る時点での残り時間は40分。いい加減疲れてるし、今日の感じからすると、これ以上は頑張れないと思うし、のんびりゆっくり走って、いい感じに時間潰して、最後に余計な1周走らされない様にしよう、てな事を考えながら3周目に入りました。
   上り坂で転けてリカバーするのは、難儀なだけでなく相当に体力も食うので注意していたのですが、21コーナーの前のガレた上り坂でアクセルが緩んでしまってラインアウト。石ころゴロゴロの上り坂で止まって転けてしまいました。さぁ、困った。あとちょっとで登りきる所で、下に下ろすのも大変(下っても上り坂)、上の押し上げるのも難しい。さぁどうしよ、と荒い息をゼーハーさせながら考えていたら、マーシャルさんが来てくれて、上り坂を横切る格好でガレてない所まで押して行き、どうにかリカバー出来ました。
   このミスで相当に体力を使ってしまい、その後は元気に走る事よりも、安全と安心を第一とする走りになってしまいました。自分の場合、どういう訳かやたら下りで体力を消耗する訳ですが、これ以上の体力の消耗を避けるために、シートに腰かけて真っ直ぐ降下する時は、あえてニーグリップして肩の負担を減らすなどの工夫もしました。(ベストテクの生徒としては失格ですが)
   苦手なウッズも、さらに苦手(を通り越して怖い)なロックンロールリバーも通過し、チェックポイントが見える地点まで戻ってきました。残り時間は約5分。今から行けばL1には間に合いますが、今から行って周回がカウントされるとも思えず、チェッカーフラッグが振られたらイの一番にゴールするつもりで、そこで待機する事にしました。

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下りから登りに遷移する時にアクセルが開けれないと
登るのに難儀します
その点、450は楽に登れました
(赤矢印が自分)

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坂を疾駆するワタクシ
事実上、フラットな上り坂がお休みタイムになってました



■まさかのおまけ1周

   待ってる5分というのは結構長いもので、自分の横をバンバン抜かして行くライダー達を見送りながら、早いとこチェッカーフラッグが振られるのを待っていたのですが、なかなか振られません。その内、トラブルと間違われてギャラリーから声を掛けられたりもしました。そしてようやくチェッカーフラッグが出てきたので、これ幸いにゴールに向かいました。
   が、チェックポイントに行ってみると、まだL1が掲げられている。びっくりしながら、さりとてここで待ちますとも言えず、信じられない心境で4周目に突入。こうなったら、可及的速やかに走破してゴールしないと、この周回はノーカンになってしまいます。というか、どうせ走らなきゃならないなら、休んでないでサッサと走っときゃ良かったと思いました。
   とにかく、ミスったり転けたりしてたのでは間に合わないので、開ける所は開ける、慎重を期す所は慎重に、怖い所は怖くても止まらず走る、という具合で、おそらくベストラップで走り抜けたと思うのですが、帰ってきた時にはチェッカーフラッグではなく、なぜかブルーフラッグが振られてました(モトクロスでは青旗は、「周回遅れは譲れ」の意味)。

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まさかのおまけの1周のあと
ハイタッチもなくウロウロするワタクシ


■反省点

   今回のレースは、5月の蜂窩織炎以降、中断してたバイク活動の再開という事もあり、ともあれ無理せずやるという方針で臨んだのですが、練習もなく、モチベーションも十分でなく、何度か走った爺ヶ岳で、しかも晴れだから、という「なんとなく」の自信だけで走ったレースでした。
   しかし、あとになって一番問題と感じたのは、タイムアップの5分前に日和見を決め込んだ事でした。確かに、残り5分で最後の周回に行ってもノーカンになってしまう可能性は高かったのですが、それでも結果的には走る羽目になったのであるし、だとするなら出来るだけ早めに次の周回に入っておけば、それだけカウントされる可能性は高かった訳です。しかも、最後の1周はそれまでの周回よりもスムーズで、おそらくベストラップであった可能性が高く(公式記録もなく、GoProの動画も最後のファイルは壊れていたので確かめようがない)、それだけに5分早くチェックを受けていれば、公式で4周だったかもしれません。リザルト的にも、結果的に3周しかカウントされなかったとしても、早くチェックを受けていれば、同じ3周しか走ってない人の中でも上の方にいっていた訳で、これは敢闘精神に大いに悖るところがあったと感じる次第です。
   もっとも、最後の周回が比較的スムーズで速かったのは、5分もたっぷり休んでいたから、という事もあります。全ては結果論ですから、やはりこの場合、間に合わないと思っても、全力で走るというのが、ライダーとしての基本精神であるな、と改めて反省しました。

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今回はやり切った感に乏しいレースとなってしまいました


■評価点

   CRF450RX“ゲイレルル号”は、これまでの爺ヶ岳戦を踏まえ、こうしたゲレンデ戦で活躍するのを期待して作ったバイクですが、その期待を裏切らぬ走りをしました。450であるので、パワーは申し分なく、それでいて低速からの立ち上がりで、もたつく事も飛び出す事もなく、実に操作性の良い動きをしてくれました。今回、「ここは速度落ちたら死ぬ」と言えるガレの登りがいくつかありましたが、そうしたコースでもアクセルさえ開いていれば、間違いなく登って行く安心感がありました。
   また、ゲレンデのコースにありがちな、「ダラダラ下って、回って、登って」といったセクションでも、非常に旋回性が良く、先に述べた操作性とパワーで、苦労する事なく走る事が出来ました。450というと、その猛烈パワーを扱いかねるという人が多いのですが、従来の450ならそういう事もありましたが、2017年以降のCRF450RXはそうしたゴツさがなく、自分のレベルに合わせたセッティングが出来ていれば、250までしか乗った事ない人でも乗れるのでは?と感じています。
   その一方で、CRF450RXはもともと足付き性に問題があり、これまでも何度も改良を加えてきたのですが、今回は若干の不安を感じる結果となりました。前のCRF250R“モルゲンシュテルン号”はソフロスプリングを組んでX化した時に、両足がかかとまでべったり着いていたのですが、ゲイレルル号は現状でまだ土踏まずくらいまでで、この差が2年前の爺ヶ岳と今回の走りの差、いうならば安心感とそれに担保された勇気の出方に、違いが現れたと感じました。