掛子(かけこ、かけご)というのは、飯盒の中に入っている内蓋の事です。その意味は「ほかの箱の縁にかけて,中にはまるように作った箱」という事で、昔の手箱とかで使われていた言葉です。その掛子は、すり切り一杯で2合分の米が計れる計量器として(といっても、メーカーによって大きさが違ったりするから、あまりアテにならない事がある)、また皿として使うのですが、実際にはあまり用事がなかったりします。
■掛子の使い道
日本の飯盒の掛子は、ドイツ軍とかのと比較して深さがあまり無く、それ故に調理向きではありません。もっとも、開発した日本陸軍自体が、飯と同時に掛子で何か作ったりするのを推奨してませんから、そもそも料理向きではないのです。といいつつ、メシ炊きながら掛子でシュウマイ蒸したりする話しがあったりするから、昔からどうにか使おうとする努力はなされていた様です。自分も、シュウマイ蒸したり、麺ゆでた時の湯切りや米磨いだ時の水切りに使ったりと、色々やってみたのですが、今ひとつ使い勝手が良くない。
そこでひらめいたのが、掛子にパンチングメッシュみたいに穴を開けたらどうだろう、という事でした。以前、製作したパンチングメッシュ製の飯盒蒸し器は、蒸し器以外の機能は持っていなかったのですが、掛子に穴が開いていれば、蒸し器としてだけでなく、水切りや笊としても使えるのではないか。そうすれば、飯盒の活用法もより幅が広がると思った訳です。
とはいえ、掛子は飯盒に一つしか付いてませんし、それを穴開けたら、本来の皿としても使い方が出来なくなってしまいます。そこで、この話しをツイッターで書いたところ、日本飯盒協会新潟管区魚沼支部から、大量の中古の飯盒が送られてきました。その中から、今使ってる12年物のキャプテンスタッグの飯盒に合う掛子を探し出し、それを使って掛子蒸し器を製作する事にしました。

魚沼支部から送られて来た飯盒
使えそうなのを分類しました

メーカーが違うと掛子のサイズも違います
オオイ金属OEMのロゴスやキャプテンスタッグの掛子が
2合ぴったりの容量です
(写真の下の掛子)

数ある掛子を一つずつはめて
良い感じのを選びました

良い感じのは、飯盒の底にも収まるので
収納もし易いです

穴を開けるために、パンチ穴をプリントした紙を
セロテープで止めます

9年前にトランポの床に板張りする時に買った電動ドリル
刃が古くて穴が開きませんでした

ステンレス用のドリルの刃を買って来て
ばりばり開けて行きます

といっても、結構骨の折れる作業なので
休み休みやります

手作業なので、真っ直ぐとは行きませんでしたが
ともあれ穴が開きました

水切りとしては、穴無しの掛子よりも優秀です
■掛子蒸し器の使い勝手
前回作った蒸し器との違いは、掛子を使ってるので当たり前ではあるのですが、飯盒にきっちりセット出来る、という点です。また、前回のペラいパンチングメッシュと違って、こっちはカッチリした掛子ですので、早々壊れたりはしないと思います。さて、早速使ってみました。まずは、通常の掛子と同じ様に、飯盒の上にセットするやり方。今回は、敢えて飯を炊きながらシュウマイを蒸してみました。この場合、最初っからセットしてるとシュウマイがふやけてしまうので、弱火の後半から蒸らしの時間に掛けて、蒸し器をセットしました。まぁ、普通に蒸す事が出来ました。ただ、このやり方だと、穴開きでない掛子でも出来る訳で、掛子蒸し器としての利点はあまり感じられません。それどころか、醤油を掛けたら穴からこぼれるので、その点で不便を感じました。
次に掛子蒸し器を飯盒の底にセットして、庭で穫れたジャガイモを蒸してみました。小振りとはいえジャガイモですので、蒸すにも時間が掛かると思って、空焚きしない様に多めに水を入れたのですが、沸騰すると穴から沸いた湯が噴き出してきて、蒸してるのか茹でてるのか分からん状態でした。まぁ、ジャガイモですのでどっちでも良いのですが、蒸し器をかさ上げした方が良さそうです。
そこで、底にノーマルの掛子を入れ、その上に蒸し器を乗せて、肉まんを蒸してみました。掛子の厚みくらいの水を入れたのですが、それでも少々沸いた湯が上がって来てたみたいです。それでも中火で7分くらいで蒸せました(説明書きだと、強火で15分と書いてあった)。
専用の蒸し器ではないので、火加減だの空焚きだのに気をつけねばならんのは、前作と同様ですが、前作よりはかっちりした造りですし、笊だの水切りだのに使える事を考えたら、掛子蒸し器の方が使い勝手は上かな、と感じました。

やってみて気が付いたのは
穴が開いているので、醤油がたらせない事でした
蓋もインしてたらしました

この手は蒸すのに時間がかかります
途中、差し水しながら使う必要があります

掛子を下にいれて、かさ上げしました
この使い方がベストな様です

デカい肉まんだと、斜めに入れる感じ
あくまでお一人様様ですねw
さて、作っておいてこういうのも何ですが、この手の蒸し器があって、じゃぁ蒸し物をしょっちゅうやるか、と言われると、実は全然やらないんですよね。前作の蒸し器も、ホコリ被ってました。ただまぁ、今回のは飯盒の底にイン出来ますし、その意味では邪魔にも嵩張りもしないので、それなりにイイモン作ったかな、という所です。もし、製品化したいメーカーがあれば、お問い合わせ下さい。
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