これまで約4年間愛用してきたZETAのSX3 ED-Lowが廃盤になりました。ベストテクバーが品切れという事で勧められて、以来、このハンドルバーで自分のライディングを最適化してきたのですで、無くなるとなると非常に困る訳です。そこで今回は、自分のこれまでのハンドルにまつわる経験を振り返って、自分なりの考え方をまとめてみたいと思います。


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上がZETA SX3 ED-Low、下がベストテクバー BT-1
ED-LowはBT-1を参考に作られたとか
どちらも製造終了




■とりあえずハンドル交換

   オフロードバイクを買って、整備に興味を持って、それで一等最初にやるのがハンドル交換、というのは、結構多いんじゃないか、と思います。自分も例に漏れず、ハンドル交換をやっているのですが、その当時の記事にも書いてある様に、「交換したからといって、何かどう変わるのか、さっぱり分からない」という有様で、「ハンドル交換の手順覚えたいからハンドル交換してみた」という感じでした。
   結論から言えば、この時点でハンドルを交換したとしても、一切意味のない事であったと思います。ましてや、トレール車は標準的な体型の人が標準的な乗り方するのに適したサイズに作られている事が多いと思うので、ノーマルの状態でもそこそこ乗れると思うんですよね。むしろこの段階では、整備の事よりも、まずは乗り込んで慣れて行くのが先決であったと思います。
   ちなみに、この時は海外のプロライダーのレプリカバーに換えているのですが、これも全く意味のない事だと思います。というのは、それらのハンドルバーは、各々のライダーの方に最適化されたものであって、それが自分に合うかどうかは別問題だからです。スマートなキャラのコスプレをデブがしても、全然似ないのと同じ事なのです。まぁ、どこそこの選手はこんな感じなんだー、というのは体感出来るかもしれませんが、それが自分のライディングに寄与する事は少ないんじゃないか、と思います。

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上がレンサルのレプリカバー、下がXR250純正
出来る限り純正のに近いもので、という事で選んだのですが
近いものなんだったら換える意味も余り無いというもの

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ハンドル交換の手順を覚えたい、という割には
結構面倒くさい事やってますねw


■訳も分からず一流品

   このあと、ベストテクスクールに通い始め、ベストテクバーに交換します。ベストテクライディングに適したハンドルバー、という事なのですが、スクールに通い始めの自分に、それのどこがどう凄いのか分かる筈もく、ともかく高名な先生の作品だからという事で、絵だの壷だのを床の間に飾る様な感覚でバイクに付けてました。
   最初のウチは、大して違いが分からず使っていたのですが、違いが分かる最初の機会が、CRF250Rを買った時でした。CRF250Rはハンドルクランプが標準径で、ファットバーのベストテクバーを付ける事が出来ません。そこで暫くノーマルのハンドルバーで使っていたのですが、何となくベストテクバーを付けてるXR250よりも乗り心地がよろしくない。始めのうちは、初めてのモトクロッサーで体が堪えるんだと思ってたのですが、どうもそうでもないらしい。そこで、CRF250Rにベストテクバーを付けてみたところ、CRF250Rのハンドルバーよりもベストテクバーの方が“引き”があって、脇が開かず肩がいからず、乗り易いという事が分かりました。
   これは結果論なんですが、何も分かってないうちから、一流品を使ってライディングを習得した、というのは、自分にとってとてもラッキーな事でした。他の人が紆余曲折する手間を省けただけでなく、イイモノの見分けを出来るセンスを身につけれた訳です。自分は大昔、一流ホテルの洗い場でバイトしてて、厨房での仕事ぶりを見たり、お下がりの料理食べたりして、料理のセンスが磨けたと思うのですが、それと同じ様な事はバイクの世界でもある様です。
   問題は、ベストテクバーは既に品切れという事で、手に入れる事が出来なくなっていた事でした。そこで進められたのが、ZETAのSX3 ED-Lowだった訳です。

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XR250にハンドルクランプキットを付けベストテクバーに交換
この時はハンドルの色が
バイクに似合うかばっかり気にしてた

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クランプを45mmに換装
以来、CRF250R(X)まで45mmで使ってました

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CRF250Rも早いうちにハンドルクランプを付けてたのですが
ベストテクバーが手に入らないので
CRF対応のSX3 MX-123を付けてました
当然、乗っててしんどかったです



■XR230ファットバー化問題

   2013年に手に入れたXR230は、女子層をターゲットにした設計なのか、ハンドル幅が相当に狭く、かつ引きのかなり強いハンドルが付いていました。そのままでは明らかに乗り難いので、SX3 ED-Lowを付けれる様、ハンドルバークランプキットを所望したのですが、時既に遅しで、XR230用は廃盤。仕方なく、標準形のCXバーを付けたのですが、当然のごとく、今ひとつ感がありました。
   どうせならちゃんと仕上げたバイクにしたい、という事で、最終的にCRF230Fのハンドルバークランプキットを装着し、ファットバー化しました。この時問題になったのは、ハンドルバークランプキットもモデルチェンジしており、以前使用していた45mmのクランプは製造中止になっていた事。ベストテクバーをホンダ車に使用する際は、クランプ高さを10mm上げた方が良い、とされていたのですが、それが出来ないという訳です。
   しかし、この頃、CRF250RはX化しており、車高を下げた関係で、クランプは35mmのものを使っていました。逆にXR230はそもそも車高が低い事もあり、むしろ50mmのクランプで丁度いいくらいでした。その他、クランプの前後位置など、出来るだけ主力機であるCRF250R(X)に近いポジションが取れる様にするなど、結構気を使いました。
   この様な訳で、最初は美味いも不味いも分からんかった自分も、自分に合った乗り易いバイクを作って行く過程で、随分「違いの分かる」人間になったようです。

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ノーマルの状態では車高が低かったので
CX ED-Mediumを付けてました

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CX ED-MediumとXR230純正の違い
純正の方が引きが強烈です

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車高を上げてから、下のCOMP Dual Sport Lowに換装
奇しくも、XR250相当のハンドルでした

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結局、CRF230Fのハンドルクランプキットを投入
XR230のハンドル問題を解決しました


■CRF450RXファットバー化問題

   CRF250Rは2010年式も2012年式も基本的には構造が変わる事がなかったので、2010年式のランスチャージ号に使用していたハンドルクランプキットを2012年式のモルゲンシュテルン号に使い回す事が出来たのですが、2018年式のCRF450RXはフルモデルチェンジしてるという事で、使い回す事が出来ませんでした。しかも、2017年式以降のCRF450Rに対応したハンドルクランプキットは出ていません。(2018年1月現在)
   そこで、RXクランプキットで対応するより他なかったのですが、問題はクランプの高さは変更できず(ハンドルクランプキットのクランプは使用出来ない様になっています)、前後調整も3段階しかできず、調整の範囲がハンドルクランプキットよりも劣る、という事です。しかし、上での述べた様に、X化したCRF250Rでは車高をダウンさせた関係で、ハンドルクランプは純正と同じ35mmのものを使っており、また前後位置もセンターで使っていたので、大して影響がありませんでした。
   むしろ、影響が大きかったのは車高の問題で、ソフトスプリングに替え、CRF250R(X)と同様のセッティングにしても腰高感があり、シッティング時、特に下り坂で体重が腕や手に押し付けられて疲労する感じがありました。結局、シートを削る事でこの問題は解決したのですが、同じハンドル、同じセッティングをしてても、他でも調整しないとベストな状態にもっていけない、というのは勉強になりました。

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RXクランプキットの利点はラバーマウントをそのまま利用できる事
手にかかる衝撃の軽減が期待できました

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ハンドルとは違う部分の加工でハンドルの問題も解決


■ハンドル考

   ご覧の通り、ここまでベストテクバーおよびSX3 ED-Lowで最適化してきたのに、そのED-Lowが製造終了という事になり、これは非常に困った事になりました。やはり一番使い慣れたものが良い訳ですし、なにせハンドルは操作する上で一番意識が行く所でもあります。ちなみに、CRF250R(X)はCRF450RXに乗り換えたあと、他の人に譲り、その人に合わせたハンドルに交換されたのですが、それに乗ってみると、腕や肩が疲れ易くなっていました。自分のとは違うポジションになっているので当然なのですが、ハンドルが違うという事は、こういう事なのです。そこで改めて、ハンドルについて考えてみました。
   SX3 ED-Lowを基準として、これまで乗ったバイク、XR250、CRF250R、XR230のハンドルを比較してみると、
  • XR250は、ハンドル幅がやや狭いものの、高さ、引きはほぼ近似値
  • CRF250Rは、引きが浅く、立ち上がりが立っており、高さも若干高い
  • XR230は、ハンドル幅がかなり狭く、引きも大きく、高さも若干高い
   という事が分かりました。体感的な所見を述べると、CRF250Rは脇が開いて怒り肩になる、XR230は縮こまって乗る、という感じ。XR250が意外に自分の乗り方には使い勝手が良いハンドルだった訳です。ZETAの対応表でも、ED-LowはXR250に対応してある様に書いてありましたから、なるほどです。
   XR250に対応するZETAのハンドルとしては、CXバーやCOMPバーのDual Sport-Lowがありますが、これらは細い標準径です。ファットバーとしては、SOLIDバーがありますが、4種類あるどれもがXR250やED-Lowとは似ても似つかぬ寸法になっています。

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XR250純正とED-Lowの比較
ED-LowがXR250対応だっただけに、ほぼ近似値
その意味でいくと、XR250のハンドルは
自分的には良い出来だったという事になります

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CRF250R純正とED-Lowの比較
最近のモトクロッサー全般に言えますが
引きが浅い造りです

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XR230純正とED-Lowの比較
小柄な女性を対象とした設計なのか
XR230のハンドルは長さの短い引きの強いハンドルです


■対策

   世に存在しない、手に入らないものは、作ってしまう他ありません。実は、ベストテクスクールでもハンドルを曲げて作ったという話しはちょいちょい聞いており、意外とそうしてる人は居るのかもしれません。もっとも、曲げるにしてもやり方があるでしょうし、ベースになるハンドルも比較的近いものでないと無理があるでしょう。
   そこで、使えそうなハンドルはないかいな、と探してみた所、SX3バーでスズキのRMに対応しているMX-313だったら、引きと立ち上がりを良い感じに直してもらえば使えるんじゃないか、と感じました。もっとも、自分でやれる訳ではないので、お店に頼むしかないのですが、どうしても手に入らん訳ですし、お金払ってでもやって貰えるなら、その方が有り難いと思う訳です。
   しかし、今回実感したのは、もしお金に余裕があるのなら、よく使うものは予備を持っておく事だ、という事でした。これまでにも、いざ買おうと思ったら廃盤だった、という事がちょいちょいありましたが、ハンドルなどはいつでも買えると思って余裕こいてたら、今回の有様です。幸い、廃盤になって間無しだったのか、店頭に残ってた1本を手に入れる事が出来ましたが、慌てなくても良い様に、予備は取っておくのをお勧めします。要らん様になったら売れば良いだけですから。

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RMのハンドルは引きと立ち上がり以外はED-Lowに近い
もし曲げ加工のベースにするなら、これが良いかも