今年も早いもんで、もう残すところ2週間。今年は後半から色々激動の半年だった訳ですが、バイクの活動としては、CRF450RXに機種更新という事もあって、あまり乗れてない一年でした。そのCRF450RX“ゲイレルル号”も、あれこれやの調整も済んでいよいよ実戦配備間近です。


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今日はいい感じにドライでした




■ソフトスプリングの威力

   前日にソフトスプリングを組んで、足付き性が随分と良くなったゲイレルル号ですが、今日はその上でのサス設定を行いました。
   まず、前後サスとも圧側を0で乗ってみたのですが、柔らかいんだか固いんだかちょっと分からない感じ。次に前後とも圧側をH1にしてみたのですが、今度は微妙に弾かれる感じで全然良くない。次に前後とも圧側をS1にしてみたところ、大分接地感が出て来て良い感じ。でも、まだちょっと前が固い感じ。そこで前だけS2にしてみたところ、手に掛かる衝撃が大分減り、しかもコーナーでの食いつきがとても良くなりました。
   ソフトスプリングにして、かつサスセットを出した後は、前回と違って、乗っていてもあまり疲れる事がなく、かつアクセルを開けようという気になってきました。弾かれる感じがしないので、安心してアクセルを開けれる、という訳です。

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メカの事なんかさっぱりの自分だったのに
最近は1クリックの差を気にする様にw


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ようやく自分の意欲でアクセル開けて走る気になりました
乗り易さは、それだけで戦力です



■魔法のクラッチ

   CRF450RXの固いクラッチレバーにはホトホト困っているのですが、バイク屋さんからとある提案を受けていて、それを試してみたところ、クラッチレバーの重さが半分ほどになり、CRF2250Rよりも軽くなりました。もっとも、軽くなってもクラッチが滑ったのでは意味がないので、試しに走ってみたのですが、どうやら滑ってる感じがしない。バイク屋さんにも乗って貰ったのですが、これなら大丈夫じゃね?って事でした。
   ちなみに、もう一案あったので、そっちも試してみたのですが、こちらは明らかにクラッチが滑っている感じがして、コーナーの立ち上がりで前に進まない。直ちにテストを止めてパドックに戻り、クラッチカバーを開けてみると、ムハーっと湯気が上がり、クラッチがほのかに焦げた臭いがする。こりゃダメだ、という事で第一案に戻して、その後さらにテストを続けました。
   クラッチレバーが軽くなると、当然のこと、左手にかかる負担が減って乗るのが楽になるのですが、そうなると更にもっと頑張って走ろうという気になりました。これまでの様に、途中で手が疲れてクラッチ切りきれなくてエンストする、といった事も激減しました。この軽さなら、エンデューロでも十分使えると思います。
   もっとも、この対策は、自分の速度域であるから有効であるだけかも知れませんし、そんな自分でもマディや激坂でハードな使い方をすると、クラッチがダメになってしまうかも知れません。その辺りは、今後使ってみて、様子を見ていこうと思います。

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すっかすかに軽くなったクラッチレバー


   クラッチレバーを軽くする対策として、6本あるバネの内、3本を外すというのを試しました。純粋に半分になるので、レバーの重さも半分になるという訳です。もっとも、6本で押さえているものを3本にする訳ですから、クラッチ板の押さえる力が足りなくて滑ってしまう心配もあったのですが、そもそもクラッチはオーバースペックに作ってあるという事で、試してみる価値があった訳です。
   使ったのは、2018年式CRF450RXと2003年式CRF450Rのバネですが、2003年式の方では滑った感じがせず、2018年式の方では明らかに滑っていました。両者の違いがバネの長さで、2018年式に比べて2003年式は長さが短く、バネ長が短い方がバネの力は強いという事らしいので、2018年式のバネは押さえる力が弱くて滑ってしまったのでしょう。また、バネの長い2018年式ではレバーが遠くの位置から圧が掛かった様な感じでしたが、バネの短い2003年式では握り始めは柔らかく、奥で強くなる感じでした。これもバネの長さに関係する違いだそうです。
   もっとも、定数の半分のバネしか入っていないので、若干なりともクラッチは滑っているでしょうし、その分、消耗も激しいと思われます。なので、予備のクラッチ板やフリクションプレートを常備しておいて、いつでも交換出来る体制を取っておくのが肝要だろうと思います。

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左が2018年式、右が2003年式
長さの違いに注目

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6本だから3本抜く事が出来ましたが
5本だとこのやり方は出来ません




■CRF250Rとの比較

   このあと、半年前まで乗っていたCRF250R“モルゲンシュテルン号”にも乗ってみました。ところが驚いた事に、エンジンの回り方というか、加速の仕方というか、とてもトロくさいというか、アクセル開けて前に進むのが難儀に感じました。一応、エンジンの中身の加工や、使っているオイルは同じ物を使っている筈なのに、フルWPC/DLC加工を施す前のCRFに乗っている様な感じです。思わず今の持主に「ちゃんとオイル交換してる?」と聞いたほどでした。
   このあと、自分のゲイレルル号に乗ってみると、エンジンの回り方がスムーズで、加速もストレスなく前に出て行く感じです。450だけに気張ってアクセル開けなくても、ちょっと開けたらズバッと加速してくれて、とても楽に感じました。察するに、乗り易い450を作って数回乗っているうちに、450のパワーに段々自分の体が慣れて来ていて、250では物足りなくなっているのかもしれません。ちょうど、XR230がどうにも物足りないのと同じ様に。
   じゃぁ、もっと速く走れるのか、というとそういう訳でもないのですが、確実に言えてるのは、もはやRX化したCRF250Rよりも、今のCRF450RXの方が乗ってて楽しい、という事です。これは目覚ましい進歩ではないか、と感じました。

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奥がCRF250R“モルゲンシュテルン号”
手前のゲイレルル号の元となったバイク

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モルゲンシュテルン号も乗り易いバイクでしたが
今となっては、CRF450RX“ゲイレルル号”の方が乗り易いです


■誰でも乗れる“450”

   これまでこのCRF450RXに施して来た改装は、
  • 加速時の強大なトルク感、Gを低減する
  • 低速でエンジンがガタガタしない様にする。スムーズに回るエンジン
  • 前に飛び出し過ぎない様にする
  • 足付き性を良くする。体に負担の来ないサスの柔らかさ
  • 慣性力があって、腰の強い乗り味にする
   などなどの要求を満たすためのものでしたが、これらはほぼ実現したと思います。これらは、上級者の乗り物であった450エンデュランサーを、自分の様な万年初級者でも乗れる様にする為のものでした。
   自分が思うに、新兵器というのは、登場する都度に高性能化していくものですが、それが一部の限られたエースやエリートしか扱えないというのでは、総合的な戦力とする事は出来ないと考えています。故に各国いずれも、高性能化を目指すと同時に使い易さも追求するのが普通です。自分もその考えを元に、改装の要求を出していきました。
   自分が改装するバイクは、XR230CRF250R、そしてこのCRF450RX、いずれも「乗り易い」「乗ってて楽しい」、曰く「たにしの方向を向いてる」と評されるのですが、目指すところが「誰でも乗れる」という事であるので、至極真っ当な評価であると思っています。
   乗り易く仕上げたこのバイク、これから来年春に向けて、じっくり慣熟訓練していこうと思います。

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見た目だけでなく、中身もカッチョ良く仕上がりました
これからの活躍に期待です