催し物の度に投入しては、主婦の方々のハートと胃袋を掴んで離さない炊飯器ケーキですが、日本飯盒協会の会長たるもの、いつまでも炊飯器に頼るのもどうかと考え、今回、自宅の電子レンジに飯盒が入る事が分った事で、飯盒でケーキ作る事を思い立ちました。ちなみに、これまでの炊飯器ケーキでは、ドライフルーツなどの具は、全部沈殿してしまうのが難点でしたが、今回はこれも改善する事を目的として学習しました。


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飯盒とは銘打ってますが、実質活躍したのはオーブン機能です




■試行錯誤

   ところで、ウンドケーキという言葉は以前から知っていたのですが、ウンドをウンドと勘違いしておりまして、要するに弾力のあるケーキの事をウンドケーキだと思っていました。よくよく調べてみると、小麦粉、バター、砂糖などの材料が、各々1パウンド使うからパウンドケーキだそうで、パウンドの意味を初めて知った次第です。もちろん、パウンドなどという単位には馴染みがないので、グラムでやりました。
   本来なら、小麦粉にベーキングパウダーを入れて作るのでしょうが、そんなめんどい事はする気がないので、今回もホットケーキミックスを活用します。なので、パウンドの名を語れるほど、各々の材料が等量ではありません。
   まずは、3号炊きの炊飯器でケーキを作る時と同じ量目、ホットケーキミックス150g、バター100g、砂糖100g、玉子2個、ラム酒10mlで作ってみました。焼き時間は50分。出来上がったのは、意味ありげに表面が割れた、結構パサパサのケーキでした。作り方は炊飯器ケーキと同様に、卵液にホットケーキミックスを混ぜて、さらに溶かしバターを混ぜたもので、種は柔らかめ。その為か、せっかく入れたドライフルーツも全部沈殿してました。

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人生初の飯盒ケーキ
飯盒というには、ちょっと大きさが低いかなぁ、という感じ
味はまだまだ炊飯器ケーキに及びませんでした


   この反省を踏まえ、2作目から真面目にパウンドケーキの作り方を勉強しました。まず100gのバターに砂糖100gを混ぜ、玉子3つを溶いたものを加え、ホットケーキミックス300gを投入しました。かなり硬い種になってしまい、大丈夫かと心配になりました。様子を見もって焼いたのですが、なかなか中まで火が通らず、結局70分焼いて完成。あまり膨らまず、結構固めです。しかし、これだけ種が硬ければ、具は沈殿しないんじゃないかと思いました。

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かなり硬い出来栄えになりました
ほぼ炊飯器ケーキと同じレベルの固さ


   3作目は、もう少しライトな感じにするのと、膨らませたかったので、ホットケーキミックス150g、バター100g、砂糖80g、玉子3個、ラム酒40mlを使用しました。10分焼いて切れ目をいれ、さらに35分や来ました。結構膨らんでくれたのですが、中身がスカスカで、冷めたら萎みました。これなら2作目の方がまだ好みです。

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とにかく、形がダメ。人前に出せない出来栄えでした


   4作目では節約型として、バターでなくサラダ油を使用しました。前回スカスカだった反省から、今回はホットケーキミックス300g、サラダ油80g、砂糖80g、玉子2個、牛乳200mlを使用しました。焼き時間は60分。そこそこ膨らみ、そこそこ柔らかかったのですが、サラダ油を使うと結構貧相なケーキになり(しかも、常温でも液体なので結構べた付く)、かつ牛乳は水っぽい仕上がりになるので、自分の好みとは合わない仕上がりでした。

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ケチったケーキは、ケチった味わいでした


■使用する道具の変化

   炊飯器ケーキでは、混ぜる道具は箸だけでした。種が液状なので、それで十分だった訳です。しかし、今回はバターは溶かさず常温にして、砂糖を混ぜるという工程からスタートとなりましたので、箸だけでは作業が出来ません。
   まず買ったのは、ゴムベラでした。これまで種を炊飯器に入れる時はスプーンを使ってたのですが、ゴムベラ使った方がキレイに無駄無く入れれるでしょうし、バターに砂糖を混ぜるのにも便利と考えました。
   そして、砂糖バターに玉子を混ぜる用に泡立て器も買いました。そもそも、泡立て器と名前が付いているのは知ってますが、これは玉子を混ぜたりドレッシング作ったりする時の「液体混ぜ器」としてしか活用した事がなく、今回もそのつもりで買いました。
   ここで決定的な間違いが分りました。というのは、パウンドケーキが膨らむ理由は、バターを泡立て器でクリーム状にする際に空気が練り込まれ、これが膨らむ一因となる事。また小麦粉はかき混ぜるとグルテンを発生して膨らみにくくなる事。つまり、バターは泡立て器で必死こいてクリーム状にせねばならず、ホットケーキミックスはゴムベラで切る様に混ぜねばならない、という事が分ったのです。これまでは、バター溶かしたりホットケーキミックスかき混ぜたりしてたので、そりゃ膨らまんし、種もバシャバシャだった訳です。
   となると、手動でバターや砂糖、玉子をクリーム状にするのは相当な労力を必要としますし、そんなしんどい事は出来ません。そこで、ついに電動ハンドミキサーを買いました。これなら混ぜる作業は楽チンです。(が、ケーキ作る以外に使わないと思うw)

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ゴムベラの用途は様々あるけど
バターを空気を含んだクリーム状にするのは難しい

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天ぷらの衣作るなら、このやり方で正解
本来は、泡立てるために、気合いの要る道具

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まさか、こんな女子力の高い道具を買うとは
玉子が混ざりにくいので、湯煎しながら混ぜてます



■飯盒ケーキ完成

   これまでの経験を踏まえ、さらには飯盒らしい形のパウンドケーキを作るため、レシピを完成させました。
  • ホットケーキミックス:400g
  • バター:180〜150g(お好みで)
  • 砂糖:180〜150g(同じく)
  • 玉子:L寸4個
  • ラム酒:50ml(お好みで)
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バターの一部が凹んでいるのは
バターが常温に戻ったか確認のため、指で押したからです


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常温に戻したバターをハンドミキサーでクリーム状になるまでかき混ぜ、

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砂糖と1/4くらいずつ分割して、バターに良く混ぜ込んでは入れ、を繰り返します

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次に溶いた玉子を、これも少しずつバターに混ぜ込んで行きます
バターは油分、玉子は水分なので、温度が低いとバターと玉子が分離するので
その場合は、40度くらいのお湯で湯煎しもって混ぜていきます

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このバタークリームに、ホットケーキミックスを少しずつ入れて混ぜていきます
この際、グルグルかき混ぜるのではなく、縦に切る様にして練り込み
時々ゴムベラでひっくり返して、ダマがなくなるまで練ります(練りすぎない様に)

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クッキングペーパーを飯盒にセットし、種を入れます
結構粘度高めなので、あちこちくっつかない様に注意して入れます
全部いれたら、釣り手を持って飯盒の底をもう一方の手のひらに叩き付ける様にして
種から余計な空気を抜き、かつ形を整えます

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電子レンジのオーブンを160度で余熱して、その後、蓋をせず20分焼きます
一旦取り出し、ケーキの上辺に切れ目を入れて、今度は蓋をして60分焼きます

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中まで火が通ってるか確認するには、真ん中に箸を込んで
何も引っ付いて来なければ焼き上がりです


■まとめ

<    お菓子作りをやってる人には当たり前の事なのかも知れませんが、今回は結構良い勉強になりました。これまで、焼き上がった時は凄い膨らんでるのに冷めたら萎むとか、せっかく具を入れたのに全部沈殿とか、そういう現象は、粉を混ぜるまでの過程に間違いがあった、という事です。同じ仕込みのやり方で炊飯器ケーキを作ったら、また違う出来栄えになるのかもしれません。
   内容的には、炊飯器ケーキと同じ物を使っていますので、味もまったく同じなのですが、飯盒の形をしたケーキがゴロンと出て来たら、それはそれで面白いかと思います。もっとも、インパクトは炊飯器ケーキの方が大きい様にも思いますが。ただし、炊飯器ケーキ2個と同じ分量を、一気に作ってしまえるので、作業時間はこちらの方が短いです。
   ご覧の通り、今回も試行錯誤しまくって、作る度に食べてたので、そりゃもう太った訳ですが、個人的にはちょっとバターがキツい様な気がします。バターの量を減らすか、ショートニングやマーガリンを混ぜても良いかもしれません。(マーガリンの可否については賛否両論ありますが)
   ともあれ、今まであまり活用の余地がなかった電子レンジが、買って17年ぶりに用途が見出せる様になったのは良かった事です。ただし、およそ飯盒を使いながら、電子レンジでやってたのでは、別に飯盒でなくても良いんじゃね?(まぁ、普通は飯盒なんか使いませんけどねw)って所もあるので、機会があれば、直火でチャレンジしてみたいと思います。

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結構食いであります
薄く切って、毎日少しずつ食べてます