オプティマスNo.45のレストア成功で、急速にポータブルストーブの燃料として、自分の中でクローズアップされる様になった灯油ですが、所有しているポタストで灯油も使用できる物がいくつかあるので、ケロ化してみる事にしました。その手始めとして、まずはMSRドラゴンフライからです。この種の分離型ストーブの多くは、いわゆるマルチフェルと称して、ホワイトガソリン以外にも、レギュラーガソリン、灯油、軽油、菜種油、ジェット燃料などを使えるものがほとんどです。(もっとも、ジェット燃料なんて普通には手に入りませんがw)
■メインジェットの交換
MSRドラゴンフライには、標準でガソリン用のメインジェットが装着されていますが、ケロシン用のメインジェットも付属しています。灯油や軽油を使用する場合は、メインジェットを交換する訳です。それ以外は、ポンプも燃料ボトルもそのまま使えます。メインジェットの交換は、付属のメンテナンスキットで行うのですが、説明書には簡単に外れる様な感じで書いてあります。ところが、これが固着して外れないという人も結構いるようで、自分もその口でした。どう頑張ってもジェットが回らず、付属のペラペラのレンチも歪んでしまう有様で、それが為に今までケロ化してなかった様なものです。まぁ、その必要もあまり感じてなかったのですた。
今回、どうあってもケロ化したかったので、あれこれアドバイスを貰って、CRCを吹いて、バイク整備用のKTCのマイナスドライバーを投入。それでも回らなかったので、結局ドライバーに10mmのコンビレンチを噛ませて、エイヤと回したら、「ピキン」と回りました。
その後は、ケロシン用のジェットに交換して、バーナープレートを付け直して、作業完了です。本来なら、ここまで苦労する事はないのでしょうが。熱の掛かる部分でもあるので、膨張固着は仕方ないところです。
■プレヒート
ドラゴンフライのプレヒートの要領は、まずポンピングしてボトルに圧を加え、元栓を開いて、火力調整キーを回して燃料をバーナー内に噴出させ、それに火を付けるというやり方です。これまでガソリンでしたので、このやり方でも直ぐに点火する事が出来ました。灯油の場合でも、やり方は同じなのですが、灯油はガソリンより引火点が高いので、ただ単にマッチを近づけただけでは火が付きません。バーナーの下にあるウィッグも灯油で湿らせて、そこに火を付ける感じなのですが、それでも火が付かないので、バーナーに火の点いたマッチを突っ込んで、それで上手い具合に点火する、という感じです。
プレヒートの時間は、ガソリンの場合よりも長めで、かついい加減にやらず丁寧にやります。ガソリンの場合は、適当にやっててもそれなりに点いたりするのですが、灯油はもれなく火柱あげます。逆に、プレヒートの火が消える直前までプレヒートしてやった方が、素直に本燃焼を始めます。この辺りは、ケロシンストーブと同じ様です。
もっとも、それでもいきなり火力全開にすると、バッバッと赤火で爆発っぽくなるので、最初は弱火で、様子を見ながら少しずつ火力を強くしていく、というやり方をします。プレヒートさえしっかりしていれば、ものの20〜30秒ほどで全開でも火力が安定します。
■使い勝手
ドラゴンフライはそもそも弱火から強火の火力調整が自在のストーブです。この点は燃料が灯油になっても変わりません。灯油を使ってるから赤火になるとかいう事もなく、キレイな青火になります(完全燃焼してる証拠)灯油は、例によって臭いが石油臭いのですが、燃焼中はその種の臭いはほとんど感じません。室内で使った場合でも、まったく臭わない訳ではありませんが、レギュラーガソリン使った時の様な、明らかに身体に悪そうな臭いがする、というほどではありません。消火の際は、フェールライン内の燃料が燃え切るまで、しばらく赤火が出ますが、いわゆる石油ストーブ臭いというのは僅かです。
臭いが少ないというのは、極地や高山など、テント内で使用する事も考慮しての事かもしれません。その事は、自宅内で使用する際にも利点となりました。ドラゴンフライは、重い鍋釜も乗せれるほどの強度があり、かつ重心が低いデザインですので、台所でも使い易いのです。
火力は、気温10度、微風のベランダで、2リットルの水が入った薬缶を約9分でグツグツと沸騰させました。この辺りもガソリン使用時と変わらない火力です。また、自分が現在所有する灯油を使用するストーブの中では、最強の火力を持っています。
これまでドラゴンフライへの評価というのは、ソロ用としてはオーバースペック過ぎて、あまり出番がない、というものでした。ところが、ケロ化した途端、燃料代が安く、長時間使える、まさに自宅向きのストーブである、という評価に変わりました。しかも、他のケロシンストーブやケロ化ストーブは、プレヒートに燃料アルコールを必要としますが(これが高い)、ドラゴンフライはデフォルトで灯油でプレヒート出来るので、その点、ランニングコストの安さに繋がり、非常に有利であると感じています。(ただし、自宅内で灯油プレヒートする場合は、換気扇の下で行う必要があります)
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