飯盒云々の以前に、自分が普段台所で使っている調理器具というのは、次の様なものです。炊飯器=ご飯炊く道具、フライパン=オカズ作る道具、片手鍋=レトルト茹でたりラーメン煮たりする道具、この3点です。アウトドアで使うクッカーの類いも、おおよそこれに準拠したものになると考えています。アウトドア用の、特にソロ用のクッカーはその辺りがよく考えられていて、クッカーにセットできるフライパンがあったりします。しかし、飯盒ではどうするのか、というのがこの記事のテーマです。


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2015年7月現在の調理用具
ヤカンはお茶沸かすのに使ってますが
普段は地面に置いてますw




■フライパンの代わりに蓋

   飯盒とフライパンの関係を考える前に、ときたまの飯盒炊爨でフライパンを使う様な事があるのか、装備として必要なのかを考えました。ソロ用のフライパンを使うとなると、玉子やソーセージなどを焼いたり炒めたりする、ホットケーキを焼いたりする、といった様な細々した料理になる訳ですが、わざわざそんなもん食わなくても、という気がしないでもありません。しかし、食えたらオカズの幅が増える事は言うまでもありません。出来ないより出来た方が良い、という訳です。
   飯盒にはセット出来る様なシステマチックなフライパンはありません。そこで着目するのが、飯盒の蓋です。蓋はもちろん炊飯時の蓋としての大事な仕事があるのですが、その一方でヨーロッパのメスティンには蓋にハンドルが付いていて、フライパンの代わりとしても使ったりします。むしろ欧米では飯を炊いたりする訳ではないので、蓋はフライパンやスープ皿としての役割がメインの様です。そうしたハンドル付きの蓋を真似た兵式飯盒も売られています。
   では、飯盒の蓋はフライパンの様に使えるのか、何度か試した事がありますが、結論としては、限定的ながら使えます。ただし、サラダ油やラードといった油を使わない事には、焦げ付きが破滅的で、食える物に仕上げるのが大変なだけでなく、後始末が大変です。油のない状況では、決してお勧め出来ません。(過去例→ホットケーキソーセージエッグ

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飯盒の蓋で焼き物が出来ないか、というのは
結構前から関心のあった事です
エスビットくらいの熱なら、蓋がベコる事はありません


■蓋でスパムを焼いてみる

   スパムというのは、そのままでも食べれん事はないが、やっぱり焼いて食べた方が美味しい。昔読んだ戦記で、米軍の飛行場に斥候にいった日本兵が、米兵がフライパンで暢気にステーキを焼いてるのを見て、その美味そうな匂いに悶絶した(補給が途絶えてロクなもん食べてないから)という記述がありましたが、フライパンというのは米軍のメスパンの事で、ステーキというのは実はスパムだったんじゃないかなー、と思います。スパムばっか食わされてた米兵には不評だったらしいけど、自分はスパム焼く匂い、好きです。ちなみに、日本軍が鹵獲した連合軍の給与には、相当数のコンビーフが入ってますが、スパム、つまりランチョンミートは全然出て来ません。恐らく、どっちも一緒くたにして、コンビーフと呼んでたのかもしれません。
   ともあれ、スパムを飯盒の蓋で焼くのは、実は今回が初めてです。厚みは大体8mmくらい、それ以上薄いと、うっかり蓋に引っ付いた時、剥がれるより千切れる可能性の方が高いと思いました。一度にやっつけれるのは、2枚が限度です。熱源は、いつも飯炊きに使っているコールマン442を使いました。しかもあえて強火で使う事にしました。これは焦げ付き具合を見るためです。しかし、本当に焦げ付かれても困るので、予め蓋にはサラダ油を落としておきました。

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コールマン442もジェネレーター交換で2レバー化し
弱火が作れるのですが
今回はあえてマックス強火でww

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火力が強い為、直ぐに油が熱せられて油煙を上げ始めます

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ハンドルのない蓋ですので、トランギアのアルミハンドルを使います
が、軍手を忘れると、結構熱い思いをします

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焼いてる最中はストーブに置き
ひっくり返す時だけ、ハンドルで蓋を掴む様にしました
火力が強いので、あっという間に焼けました
確かに、良い匂いしてますww



■使った後の後始末

   飯盒で油を使わずに玉子を焼こうとした事がありましたが、立ちどころにへばりついて、ヒックリ返すどころかスクランブルエッグにするのが精一杯で、後は蓋一面にこびり付いたカチカチの玉子の焦げで、キレイにするのが大変でした。油を引いていても、まったく焦げない訳ではなく、若干焦げたりするのですが、まったく油がない時よりは被害は軽微です。
   ご飯の焦げは、とりあえず水に浸けるのですが、油の焦げは水に浸けてても落ちません。洗剤使って落とすしかありません。焦げも、スコッチブライトなどを使って、優しく落とします。あまり派手にやると、アルマイトの表面に傷が入ってしまうので要注意です。
   飯盒の蓋は、飯盒本体に比べると、どうも薄いようで、強い火力で使うと蓋が若干ベコってしまいました。まぁ、3合が3.5合くらい入るほどに膨らんだ訳ではないですが、気にする人は蓋をフライパン代わりに使わないか、弱い火力で焼く様にすると良いと思います。

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油を引いていても、焦げない訳ではありません
しかし、このくらいなら、直ぐ落ちます


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所々残っているのは、この10年に色々やった跡ですw
(マタタビの枝まで燃やした事ある)
多少ベコりましたが、計量に影響は小です



■飯盒にインする

   以前にも紹介したのですが、飯盒には、ユニフレームの角形のフライパンを納める事が出来ます。ただし、掛子を外してフライパンと並べる様にして飯盒に納めねばなりません。良い感じに収まるのですが、実はこのやり方は余りしてません。というのは、フライパンを納めるよりは、キャンティーンカップを納めた方が使いでがあるからです。フライパンでカップの代わりをするのは難しいですが、カップなら汁物やラーメンなどを作れるので便利、という訳です。また、カップの場合の方が、まだ中に余裕があるので、米なども入れれたりします。
   その様な訳で、蓋ではやり切れない時は、別個にフライパンを持つのが定番となっています。

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思いもかけずキッチリ収まるのですが
これ以外は一切入りません