前回のモチュールカップ開幕戦でやはり感じたのは、クラッチが弱いなぁという事と、慣性力が強過ぎるなぁという事でした。これまでにもクラッチ板の入れ方を工夫してみたり、キャブを負圧式からスリングショット式に替えてみたりと、いろいろやってきた訳ですが、もうヒト踏ん張り欲しいところ。という訳で、今回は比較的お手軽に出来る改装を試みました。
■クラッチブラケットの加工
クラッチが焼けるのは9割乗り手の問題、と言われてしまうのですが、自分としてはCRF250Rの時とさほど乗り方が違う訳でもない訳で、その意味ではやはりXR230のクラッチは基本的に弱いんだろうな、と思います。その弱い原因の最たるものが、あまり潤滑されてないのではないか、という事でした。というのは、焼けたクラッチを見ると、毎回単に焼けてるだけでなく、からっからに乾いていて、手で触っても油が手に付かないくらいです。まぁ、まるっきり潤滑してない訳じゃないでしょうが、ハードな使い方をすると直ぐに干上がる様です。WR250Rなどもその傾向があるようで、オイル量を多めにして対策したりしてるそうですが、それでも不十分だった訳です。
そこで指摘されたのが、モトクロッサーなどでは、クラッチ板の潤滑性を高めるために、ブラケットにオイルが浸透する穴があるそうなのですが、XR230のアウターブラケットには その様な穴はないとの事。つまり、エンジン下部のオイルが溜まってる所にクラッチが触れている分だけで潤滑させようとする構造なので、潤滑不足でクラッチが焼けるのではないか、という事でした。
今回、クラッチを交換するにあたって、ブラケットに穴を開けたのですが、開けた箇所は8ヶ所、合計16個の穴を開けました。あまりバカバカ開けまくるとブラケットの強度が落ちてしまいますが、トレール車のブラケットだけあってモトクロッサーよりゴツいので、その点は大丈夫そうでした。穴を開けてやると、その穴を通ってオイルがクラッチの方に回って行くのがよく判りました。
こんな感じで穴開け
8ヶ所16個の穴が開きました
焼けたクラッチ板
焼けてるだけでなく、油っけがなくカラカラです
右が新品のスプリング、左が焼けたスプリング
熱で縮んだままです
今回は、コルク無しのペーパーオンリーで挑戦します
(ペーパーの方が熱に強いから)
穴を通してオイルが染みているのが判ります
■重軽フライホイールの意味
XR230の最大の特徴は、強大な低速トルクを持つ強心臓なバイクだ、という事です。たしかに、滑り易い坂を上ったり、2速ゼロ発進とか、トライアルチックな使い方には、非常に役に立つのですが、ただ巡航時は重々しく、機敏性に欠けます。そこで提案されたのが、フライホイールを軽量化する事でした。フライホイールは日本語では「弾み車」と呼ぶそうですが、ざっくり言えば、エンジンの回転を運動エネルギーに変えて溜めておく装置で、重ければ速度は遅いものの力強いトルクを持ち、軽ければ速度は早いもののトルクも軽い、という具合になります。トレール車には重いものが、モトクロッサーなどは軽いものが使われています。
体感的な違いとしては、フライホイールが軽いと、アクセル開けた時に瞬発的にエンジンの回転が上がりますが、アクセルをオフにすると直ぐエンストする、というイメージ。フライホイールが重いと、アクセルをガバ開けしてもエンジンの回転は急には上がりませんが、アクセルをオフにしてもエンジンは暫く回っています。タイトなコーナーをゆっくり曲がる時、モトクロッサーでは断続クラッチを使わねばエンストしますが、トレール車の場合はアクセルワークだけで通過出来たりします。
その様な訳で、一般的にトレール車は慣性力が強く作ってあるのですが、XR230は強すぎる傾向にあると思います。そこで軽量化した(つまり削った)フライホイールを探したところ、良い感じにFTR223の軽量化したフライホイールをオークションで入手する事に成功しました。XR230にも取り付け可能との事で取り寄せたのですが、いざ組み付けようしたら、XR230の物とはマグネットのピックアップの形状が違ってました。
エンジンは同じでも、バイクによって味付けを変えるためなのかも知れませんが、何にしても違う物は違う。しかたなく、落札したフライホイールは返品し、XR230のフライホイールを急遽MACさんのお友達の業者さんに送ってもらい、10%ほど削ってもらいました(急ぎの仕事、有り難うございました!)
左がXR230の無加工のフライホイール
右が加工済みのFTR223のフライホイール
ピックアップの形状が違います
急遽削って貰ったXR230のフライホイール
4/29の夕方送って、5/1に帰ってくる
超強行軍の作業でした
こんな感じで組み付け
物が揃えば、組み付けは早かったです
■その他の加工
今回、サブフレームに残していた荷掛け様のフックと車載工具箱のステーは除去しました。荷掛けフックは、以前のXR250でも除去したのですが、その時はバイクを起こす時に手が止まる場所がなくて起こしにくい感じがして、それで今回は残していたのですが、色々起こしているうちに、別にフックがあってもなくても同じ様な気がして来て、だったら無くしちゃえという事になりました。車載工具箱はすでにオークションで売ってしまったので、ステーだけ残っていても意味がなかったのです。要らんところをサンダーでガリガリ
跡が目立たない様にキレイに削ってくれます
削り取った要らん子たち
工具箱のステーと荷掛けのチョッポンは破棄
マフラーの取り付け具だけ保管です
(ノーマルマフラーに戻す用)
マスキングしてスプレーをブシュー
元々こうだったんじゃね?
みたいなキレイな仕上がりです
コメント
コメント一覧
かなり効果があります。
ノーマルの状態だと、慣性力が強すぎて、ピッピとした動きが鈍いのですが、
フライホイールを軽くする事で、ピックアップが結構よくなりました。
ただし、コーナーとかでアクセルワークのオンオフだけで進みたい人には
ちょっと向かないかもしれません。
あくまでレース用の加工だと思ってください。