トレール車の軽量化を考えた時、まず提案されるのがマフラーを軽いのに換えてしまう、というものです。当然、XR230“パンツァーファウスト号”でも同じ事を考えたのですが、問題はXR230は2008年モデル以降の社外マフラーはそこそこ豊富にあるのですが、2005年モデルの物は皆無であった事です。さて困ったな、というのが本企画のそもそもの発端です。その様な訳で、XR250CRF250Rに続いて、3本目のマフラー交換となりました。


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後ろから見たら、どうみてもレーサーですww
XR230っぽい“何か”に変身しましたw




■出回り時期

   XR230のマフラーを換えてしまおう!という話しが出た時、CRF150Rのマフラーにしちゃおう!という話しになったのは、いつもお世話になってるお店ならではの提案であったと思います。というのは、普通、マフラー交換といえば、その車両に適合した社外品のマフラーを着けるもので、わざわざ別車種のマフラーを着けようとは思いませんし、また着くとも思わないものです。まぁ、自分も別に他社で付けたいマフラーがあった訳でもないですし、むしろCRF150Rのマフラーが着いたらカッコいい!と思いましたので、あっさりその線で話しがまとまりました。
   ところが、この話しが出たのが、去年の4月くらい。丁度ヤフオクに何本か出品がありましたが、他にやる事がいくつもあって、マフラー交換は優先順位の一番下。すると5月に入ったら、ぴったり出品が無くなってしまいました。どうやら、モトクロスやってる人たちが、開幕戦の前にマフラーを社外のものに換えて、純正を売りに出してた様で、シーズン始まったら出物がなくなった、という感じの様です。新品は7〜8万もしますのでとても手が出ません。その後はボコボコに凹んだのが3万も4万もする次第で、こりゃ来期を待った方がお利口だ、という事なりました。
   そんなこんなで約10ヶ月待ったある日、ぼちぼちマフラーの出回る季節になってきました。CRF150Rの純正マフラーは程度の良い物だと大体1.5万円くらいなのですが、自分が見つけた物は、サイレンサー部分に多少凹みがあるものの(転倒してサイドカバーがめり込んだっぽい)、送料入れて7,000円という値段を感んがえたらお買い得、というものでした。

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オークションで入手したCRF150Rのマフラー
年式等は一切判りませんでした

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若干のへこみがありますが、それ以外はキレイです
まぁ、これで7000円なら許容範囲です


■取り付け位置

   CRF150Rのマフラーは当然そのままではXR230に取り付ける事が出来ません。取り付ける加工はお店でやって貰う訳ですが、問題は取り付け位置。XR230のマフラーの取り付け位置は、サブルレームの初めの部分にあるのですが、そこにCRF150Rのマフラーの取り付けステーを合わせると、サイレンサーがかなり後方に伸びて、XR230の純正マフラーと変わらない飛び出し量になります。
   構想としては、2010年モデルのCRF250Rみたいに、サイドカバーからちょこっと顔を覗かすくらいにするのがカッチョ良いと思っているのですが、そうなるとサブフレーム側の取り付け位置を変更するか、マフラー側の取り付けステーを移動するかするしかない訳です。試しに画像を当てはめてシミュレーションしてみたのですが、車体側をいじるとしたらフレームのかなり前の方に取り付け位置を作らねばならず、マフラー側をいじるとしたら、ほぼエンド部分に近い所にステーを持って来なければならない。
 こんな事を考えていたのは、当初は公道用に純正マフラーに戻す事を予定していて、車体のフレームの取り付けステーを生かしておく事を考えていたからでした。そして純正に戻す理由というのが、音量の問題でした。純正マフラーに比べてレーサーのマフラーに付け替える訳ですから、当然うるさくなるでしょうし、パトカーとかに止められる事も考えた訳です。
 しかし、エンジンそのものが大人しい事、音量の事も考えた取り付け加工をしてくれるであろう事、そうなれば仮にそのまま公道を走っても問題ないであろうから、マフラーは純正に戻さない事にして、純正マフラーの取り付けステーは削ってもらい、CRF150Rマフラーの取り付けステーを新設して貰う事にしました。

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これが純正マフラーの取り付け位置

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こんな感じになるのがベストです
なんか、一気にレーサーっぽくなりましたw


■マフラー取り付け

   希望の位置は決まったのですが、その取り付けは全部お店頼みです。以下の文章は、まるで自分がやった様な書き方になってますが、自分は見てただけですので、その点をご了承ください。
   まず、エキパイとマフラーを車体に合わせて、エキパイの長さ、取り付けたい位置などを考えながら、新設するマフラーの取り付け位置を決めます。自分な何となくサブフレームの下にステーを設けるのかと思っていたのですが、これだとマフラーが垂れ下がった位置になってしまいます。バイク屋さんが決めた位置は、メインフレームとサブフレームの結合する三角の部分にステーを設け、マフラーのステーを外側から付ける様にする事で、高い位置に持ってくるというものでした。
   取り付け位置が決まったら、鉄板を切り出してボルトの穴を開け、フレームに熔接します。マフラーのステーが若干フレームに当たる所があったので、ワッシャーを1枚噛ませてほんの少し浮かせました。あまり浮かせ過ぎるとサイドカバーに当たってしまうので、そこそこに処理しました。マフラーの下側のボルトは、本来のXRのボルト穴からは完全にズレているので、こちらも鉄板でステーをこしらえて、フレームに熔接しました。

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お手製の取り付けステー
CRF150Rのステーより立派な作りです

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下というか、根っこの方もステーを新設
XR230用の取り付け穴(って言うんですか?)は
残す事にしました

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ビシバシと熔接
iPhoneのモニターごしでも、目がチカチカしました
(直視すると網膜が焼けるので注意)

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マフラー側のステーを
フレームの外側からあてる様に設置してます

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こんな感じで、XR純正マフラーの取り付けステーは
CRF150Rのマフラーに干渉しませんがが、みっともないです
CRF150Rのマフラーのステーがサブフレームに当たるので
ワッシャーを1枚入れて浮かせてます

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こんな感じでガッチリ付きました!



■エキパイ加工

   エキパイもCRF150Rの物を使う事になりました。パイプ径はXR230に比べると、CRF150Rの方が若干太い様です。しかし、フランジ部分は気持ち細い様です。何にしても、とりあえず使えるという事が判りました。こちらは曲げのアールも長さもXR230と違いますので、そのまま付ける事は当然出来ません。手曲げは大変という事で、一旦切断して熔接しなおし、必要な曲げと長さを作る事になりました。
   さて、具体的にはどうするのか、と思っていたのですが、まず同じ径のステンレス管を用意して、それをエキパイの角度に合わせて切り出し、摺り合わせたり、向きを替えたりして、良い感じに繋いで行くという、とても地道な作業でした。こうして出来た管の事を、エビの腹に似てる事から「エビ管」というそうですが、一般的には2stのチャンバーなどのワンオフ製品によく見られるもので、XR230ごときド市販車には勿体ないくらいな加工です。

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左がCRF150R、右がXR230

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曲げのアールがXR230より緩いので
こんな感じになります

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CRF150Rのフランジは短いので
同じ径のパイプを接いで延長して貰いました

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こんな感じで切断し、要らん所を間引きます

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エキパイをエンジンに留めるジョイントはXRの物を流用してます
これくらいの角度で良い感じに熔接します

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エキパイのプロテクターが
エンジンの横辺りにくる様になってます

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こんな感じで仕上がりました
エビ管部分が、すんごいカスタムっぽくて格好いいです

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こんな感じで繋がりました
すげーかっこ良くて、チビリそうでしたww


■重さと音量

   CRF150Rのマフラーが届いた時、そのサイレンサー部分を持って体重計に乗って重さを計ったのですが、約1.8kgのい様でした。それに対してXR230純正マフラーは、なんと4.2kgも重さがありました。2.4kgもの軽量化に成功した訳です。しかし、XR250の純正マフラーもそのくらいあったのですが、市販車では4kgくらいの重さのマフラーでないとダメなんでしょうかね?
   音量は今回初めて測定器で音量を計りました。排気口から50cm離れたところにマイクを設置し、アイドリングから4000回転くらいでの音量を計りました。まずXR230の純正マフラーですが、アイドリング時は大体70db、4000回転時が80dbくらいでした。おそらく全開にしても90dbいくか行かないかじゃないでしょうか。非常に静かなマフラーです。
   CRF150Rのマフラーを計ってみたのですが、同条件でアイドリング時が80db、4000回転時が88dbくらいでした。思ったほど煩くないというのが率直な印象です。まぁ、全開で回せばもっと煩いのでしょうが、このくらいならこのまま公道走っても問題ないんじゃないかと思います。
  
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上がCRF150R、下がXR230
重さはCRF150Rが1.8kg、XR230は
4.2kg


こちらが純正マフラーの排気音
非常に静かです



こちらがCRF150Rマフラーの排気音
レーサーらしい音ですが、それほど喧しくないです



■サイドカバーの熱対策

   ところで、前回のモチュールカップで、バイクを右側に倒したら、サイドカバーが地面に押し付けられて、マフラーに接触して穴があく、という事件がありました。今回取り付けたCRF150Rのマフラーは、良い感じにぴったり再度カバーの中に収まっているのですが、すでにカバーに接触してるので熱対策を施さないと、漏れなく融けてしまいます。そこでガラス繊維にアルミ箔を蒸着させた、耐熱シートを買って来てサイドカバーの裏に貼って対策しました。これまたレーサーっぽくて個人的には気に入っています。

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初めて貼った割にはキレイに貼れました
下のボルト穴には、マフラーから浮かす為に
厚めのワッシャーがついています


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切り口がちょっとモシャモシャしてますが
ハサミでなくカッターナイフを使えば、キレイに切れたかも?