XR230の弱点はクラッチの弱さで、これまでにもクラッチを出来るだけ延命する試行錯誤を続けてきました。最終的には、クラッチの改良で相当強化されたのですが、今度は乗り手、つまり自分の扱いがよろしくなくて、十分な威力を発揮できない事がままある事態となりました。
   要するに、クラッチが熱持ったかな?と感じた時に、すぐさま調整を行えば良いのですが、XR230のレバー側の調整装置は、トレール車によくあるアジャストボルトとフィキシングナットの組み合わせで、ぶっちゃけやりにくい。そこで、前々から言われていた、レーサーチックなダイヤルタイプに換装する事にしました。


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ホットスターターレバーの付いたCRF250RのレバーASSYを
XR230に付けた例は、あまり見かけた事がありません
でも、スゴくカッコいいです




■ZETA:ピボットパーチ

   まず、案として上がったのが、ZETAのピボットパーチに換装する、というものでした。このレバーには、クラッチケーブルアジャスターが装備されているので、お手軽にアジャスティングダイヤル化する事が出来ます。ただし、値段が割引があっても1.4万円くらいとお高いのがネックです。CRF250Rはもともとアジャスティングダイヤルですので、この手の装備を必要と感じた事はありませんでした。
   ところが、XR230はチョークがいわゆるホットレバーチックな感じでクラッチレバーの上に付いていて、これをどうするかが問題になりました。先にピボットパーチ化した先輩に問い合わせたところ、「名案がなかった」との事(クラッチワイヤーがプラプラしてる写真が添付されていた)。これは困った事なりました。なんぞいい方法はないもんか、と思っていたら、なんの事はない、オプションパーツでホットスターターレバーのキットが出ている事が判りました。しかし、ピボットパーチとホットスターターレバーで、約2万円くらい……。アジャスターダイヤルのために、そんなにお金掛けるの?て感じになってきました。

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これがZETAのピボットパーチ
お値段、大体1.4万円くらい
それだけの値段がする造りではあると思いますが
ちと高いですよねぇ

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オプションのホットスターターレバーはこの位置に付きます
まぁ、オプションであるのは大したもんですが
合わせると2万近くになります
ちょっと手が出ませんでした(泣)


■CRF250RのをXR230にいきなりは付けれない

   そんな折り、ヤフオクにCRF250Rのクラッチレバーアッシーに、ZETAのホットスターターレバー付きのローテティングバークランプを付けた物が出品されていたのを発見(見つけた時には終了してた)。そして、パーツリストでCRF250Rのクラッチアッシーが幾らなのか調べてみたら、大体8,000円くらいである事が判りました。ローテティングバークランプは大体4,000円くらいですから、ホットスターターレバー付きのピボットパーチより大分お安いのです。
   そこで、早速、CRF250R“モルゲンシュテルン号”のクラッチレバーアッシーを外して、XR230に取り付けてみようと思ったのですが、なんと、クラッチケーブルがCRFよりも太くて、CRFのアジャスティングボルトに入らない事が判明。ならば、XR230のアジャスティングボルトがCRFの方に移植出来ないかと試してみたら、なんと逆ネジで使えない事が判りました。
   仕方なく、ピボットパーチにしようと思ったのですが、アジャスターダイヤルやホットスターターレバーの色が赤いのが廃盤になったみたいで、入手困難と判り、もうどうでも良くなってきました(汗)

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CRF150R用と銘打ってましたが
恐らくCRF250Rの2010年モデル以降のもの
CRF150Rはアジャスティングダイヤルでないんで
250のを付けてたんでしょうね
(だから、オプションでホットスターターレバーが必要だった)

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アジャスティングボルトの違い
左がCRF250Rで右がXR230です
ケーブルを入れる穴が、XR230の方が大きいです

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ネジはなんと逆ネジになってました
つまり、CRF250Rのボルトの穴を加工した方が手っ取り早そうです


■2007年モデルCRF250RのクラッチレバーASSY

   しかし、問題なのは、アジャスティングボルトだけです。CRFのアジャスティグボルトの穴を広げたら、アッシーごとそっくりXR230に使えるはずです。そこで、お店に相談してみると、穴を広げてボルトが変形したり壊れたりしなければ大丈夫では?との事。ただし、クラッチケーブルの調整等もあるし、どのみち、クラッチ板も交換して貰わねばならないので、自分でやらず、お店にお願いする事にしました。

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これが2007年モデルのCRF250RのクラッチレバーASSY
お値段ざっと9,165円
ZETAのを買うより遥かにお安いです

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まずはケーブルの太さを計測
やはりCRF250Rのよりは太いのです

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旋盤でグリグリとボルトの穴を拡張〜
こういう装備があれば、この種の作業も楽々ですが
間違っても電動ドリルで安易に開けちゃダメです
(ずれたり割れたりするので、お店に頼みましょう)

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左が加工前、右が加工後。バッチリです
こういうのが出来れば、どんなトレール車でも
手軽にアジャスティグダイヤル化できそうですね!



■仕上がり

   さて、お店で良い感じに調整して取り付けてくれたクラッチレバーASSYですが、これが予想以上に良い仕上がりになりました。まず、見た目がとてもレーシーになりました。遠目に見ても、「おおっ!」という感じです。こうなってくると、ブレーキレバーの方が元のXR230のままにしとくのが、何だかなーという感じです。こちらもCRF250Rのものに替えたいくらいです。
   クラッチケーブルは、ホットスターターレバーに取り付けて使うのですが、XR230の様にラッチでレバーが固定できる訳でないので、当初は指で押さえて使うつもりをしていました。ところが、レバーを留めてるボルトに1枚ワッシャを噛ましたら、良い感じに固くなって、指で押さえてなくてもレバーを引きっぱなしに出来る様になりました。
   しかし、特筆すべきは、レバーが軽くなった、という事でした。別にレバーやクラッチケーブルに何か加工した訳でなくて、ただ単にレバーASSYをCRF250Rの物に替えただけでそうなったのですが、恐らくはレバー比がXR230とは違うんでしょうねぇ、という事でした。何にしても軽くなったのは有り難い事です。
   後述する様に、XR230はそもそも設計からして、レースに使うにはクラッチが弱い構造になっているのですが、レバーが張って来たかなーと感じたら、さっさと緩めれる様になっていれば、多少はクラッチの損耗を引き延ばせるんじゃないかと思います。その意味で、今回のアジャスティングダイヤル化は、比較的安価でかつパフォーマンスの高い加工であると思います。(部品代が9,165円、調整代込みで工賃が6,800円)

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いい感じにクラッチケーブルがアジャスティングボルトに入っています
お陰で、走行中でも調整が楽になりました

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ワッシャーを1枚噛ます事で
ホットスターターレバーを留める事が出来る様になりました

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レバーが軽くなったのは、予想外でした
見た目だけで替えたのではなくなったので
これは投資した甲斐がありました


■クラッチ再々考

   今回はレバーASSYの換装だけでなく、クラッチ板の交換もお願いしました。というのも、7月のWEX爺ヶ岳で半焼けにし、こないだのピットクルーカップで事実上止めを刺してしまい、せいぜい使えてあと2回くらいでしたので、思い切って交換しました。結果としては前回交換から、約4〜5回走行しただけでダメになったのですが、これは自分が今ひとつクラッチケーブルを上手く調整出来なくて、無理を掛けたのも原因であると思います。チューンの後では、明らかに性能は向上していますので、あとは調整でどうにか出来るんじゃないかと思います(それが今回のASSY換装の理由)。
   しかし、それにしても、クラッチは真っ黒に焼けて炭化している上にあまりオイルが染みてない感じで、かつハウジングは錆びた様に色が付いていたとの事。つまり、あまりオイルが回ってないんじゃないか、との事でした。対策としては、ハウジング等の穴開けを行って、オイルが行き来しやすい様にする等、方法があるそうですが、今回は元の状態に組み直して、次回の課題としました。

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カバーを開けてみたところ
結構焼け焼けです

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毎度おなじみの光景になりました
何もかも真っ黒け
今回は予算の関係で、予備のクラッチ板とフリクションプレートを使いました

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うっすら錆びっぽい色が付いてます
レバーASSYの換装や乗り方の注意で
どこまで持たせれるかが、当面の課題です