昨年9月、XR230“パンツァーファウスト号”での初めてのレースは、ファイナル(つまり、フロントやリアのスプロケの事)は純正のままで参加しました。結果は4周でクラッチを焼いてリタイアでした。XR230のエンジンは、XR250に比しても粘りのある腰の強いエンジンですが、純正のセッティング(フロント13丁、リア40丁)では、レース走行、ましてやマディの時は荷が勝ちるというのを実感した訳です。無論、上手な人が乗ればまた話しは違うのですが、自分に合わせたセッティングは必要だという事です。
■トライアルスプロケ
XR230を手に入れた時に使用目的として考えていたのは、千葉のトリンバでトライアル的な練習をする事でした。その為に、トライアルタイヤを履かせる必要がありました。ところが、トライアルタイヤはモトクロスタイヤやエンデューロタイヤに比べると厚みがあり、ノーマルのまま(F13/R40、チェーン100リンク)ではタイヤがスイングアームの先端に当たってしまう、という事が判っていました。対策としては、トライアルタイヤ用に長いチェーンを用意する、というのがあります。チェーンを伸ばしてホイールを後ろにずらせば良い訳です。しかし、いずれショート(フロントスプロケを小さくする、もしくはリアスプロケを大きくする事)に変更しなければならないだろう事もあり、スプロケとチェーンを両方揃えるのは出費だな、と感じていました。そこで見つけたのが、トライアルスプロケとして売られていた10丁のドライブスプロケです。
モトクロスとかエンデューロで使うスプロケとしては、10丁というのはかなり極端な小ささですが、トライアル車では9丁とかいうのがザラみたいなので、10丁というのは特別小さなものでもなさそうです。このトライアルスプロケの利点は、チェーンがノーマルの100リンクでもトライアルタイヤを着けれるところにありました。つまり、3,000円ほどの出費でタイヤの問題は解決できるという訳です。
さて、実際に乗ってみた感じですが、とにかく遅っ!!という感じです。トロトロとゆっくり走るにしても、2速にしてようやく1速くらいの感じです。1速だと歩いてるのと変わりません。CRFなみにコースを走ろうとすると4速くらいで走っても3速くらいのイメージです。その代わり、坂はどんなにゆっくりでも、途中から再スタートでも、とりあえず登って行ってくれます。エンデューロにおいては、実は結構大事なポイントです。もともと粘り強いエンジンが、さらに粘り強くなった感じでした。
気になるのは、やはり13丁から10丁に落とすと、エンジンに結構負担が掛かっているのではないかな?という事でした。まぁ、機嫌良く走っている時は、取り立てて問題に感じる事はありませんでした。ただ、レースの度にクラッチが焼けるのは、単にXR230のクラッチが弱いだけでなく、やはり小さいドライブスプロケでエンジンに負担が掛かり、熱を持ち易くなっているのではないか、という意見が出る様になりました。
エンデューロに比べればトライアルはエンジンをそんなに回し続ける訳はありません。むしろ瞬発的に高トルクでセクションを越えて行く、という使い方です。なのでドライブ10丁の極端なショート寄りにしても問題がないのだと思います。しかし、エンデューロではそれだと負担が大きいという事の様です。
右が10丁のトライアルスプロケ(AFAM製)
左が純正の13丁です
10丁のトライアルスプロケを付ける意味は
100リンクのノーマルチェーンのまま
リアスプロケを換えずにトライアルタイヤを履かせられる点です
しかし、結論としては
エンデューロでフロントが小さすぎるスプロケは
エンジンに無駄な負荷を掛けると感じました
■二次減速比
ところで、スプロケの歯数を変える事を「ファイナルの変更」といい、変更する事によってファイナルレシオ、つまり二次減速比が変わる、という話しをよく聞く訳ですが、解る人には当たり前、解らない人には大いなる謎の話しが、このファイナルの変更、つまり二次減速比の変更です。先に、ノーマルのXR230はフロント13丁のリア40丁で、フロントを10丁のトライアルスプロケに変更した、というのは、まさにファイナルを変更した、という訳です。この二次減速比は、スプロケ会社のサイトなんかによく一覧表が載っていたりします。そして、フロントスプロケは歯数が少なければ加速重視、多ければ高速重視。リアはその逆で歯数が少なければ高速、多ければ加速となっています。そして、フロントとリアの歯数がクロスしている所をみれば、そのセッティングでの減速比が見れる訳です。試みに、XR230ノーマルのF13/R40を見てみると、3.077となっています。
ちなみに、自分がこれまで乗ってきたバイクのスプロケ設定は、XR250ノーマルがF13/R40、その後F12/R40にし、ついでF12/R48、最終的にはF13/R48になりました。またCRF250Rは2010年モデルがF13/R48、2012年モデルはF13/R49です。下記に表にまとめてみました。
R40 | R41 | R42 | R43 | R44 | R45 | R46 | R47 | R48 | R49 | R50 | |
F10 | 4.00 | 4.10 | 4.20 | 4.30 | 4.40 | 4.50 | 4.60 | 4.70 | 4.80 | 4.90 | 5.00 |
F12 | 3.33 | 3.42 | 3.50 | 3.58 | 3.67 | 3.75 | 3.83 | 3.92 | 4.00 | 4.08 | 4.17 |
F13 | 3.08 | 3.15 | 3.23 | 3.31 | 3.38 | 3.46 | 3.54 | 3.62 | 3.69 | 3.77 | 3.85 |
F13/R40=XR250、XR230の純正セッティング F12/R48=2008年時のXR250のセッティング F13/R48=2009年時のXR250のセッティング F13/R49=CRF250R(2012)の純正セッティング F10/R40=2013年時のXR230のセッティング F12/R40=2014年夏のXR230のセッティング F12/R42=XR230の今後のセッティング予定 |
XR250もXR230と同じファイナルだったのですが、それではコースが走りにくいという事で、まずはフロントを1丁落としました。しかし、それでも超絶マディレースでは太刀打ち出来ないという事で、今度はリアを48丁に変更しました。お陰でどんな坂でも登って行ける様になったのですが、流石に遅すぎるという事でフロントをノーマルの13丁に戻し、最終的にはF13/R48で落ち着いた、という訳です。
この表を参考に、10丁のトライアルスプロケとの二次減速比を見てみると、流石に遅すぎたF12/R48と同じである事が解ります。つまり、現状のXR230は遅すぎる設定になっている訳です。
48丁のステンズに履き替えさせたXR250
リアスプロケを大きくした事で
坂が登り易くなる事を知った最初の例です
■F10からF12へ
XR230はフロントは元々13丁なので、リアも48丁にしてしまえば、XR250“グレートストライカー号”と同じ仕様になります。しかし、地上高が低いのでリアをあまり大きなスプロケに変えるのもどうか、というのが本音です。そこで他のXR230乗りの人に聞いてみたところ、フロントを12丁にしてリアを46丁にしている、という人がいました。減速比は3.83。F13/R48の3.62よりショートですが、F10/40やF12/48みたいな激遅ではないでしょう。どうしてF12なのかというと、ノーマルのF13ではスプロケカバーの中に土が詰まりまくってしまうからだそうです。まぁ、F10にしてもノーマルのフルカバードのカバーや、FTR223のスリットのあるカバーでも土は詰まりますから、対策としてはガバッとカバーを切り欠いてしまうしかありません。
リアをそんなには大きく出来ない以上は、フロントを下げ気味にするのが現実的な対処です。ちなみに、フロント1丁下げる事は、リアを3〜4丁ほど上げるのと同じ効果があると言われています。F10/R40とF12/R48が同じ減速比である事から、その事が解ると思います。
F12の欄から、減速比3.62に近いものとなると、R44〜R46になるのですが、いずれにしてもチェーンはノーマルの100リンクのままという訳にはいかず、長いものに換える必要があります。ところが間の悪い事に、先日チェーンを交換したばかりで、かつ他にも色々お金が入り用で、改めてチェーン買うのはしんどい状態です。
そこで、手っ取り早く違いが見れるフロントスプロケを12丁にしてみる事にしました。トライアルタイヤを履かせる時は、10丁に換えるという案配です。これならチェーンは100リンクで対応出来ます。
■R39からR42へ
F12R40でしばらく乗ってみたのですが、F10との大きな違いは、直線などでイライラする様な低速感がなくなった、という事です。当たり前ですが、巡航速度は早い訳です。それでいて、ちょっとした急な坂が登れないかというと、そういう訳でもありません。しかし、何となくふわふわした感じで、もうちょっと下があったら良いのにな、という感じです。そこで、リアを大きいものに換える事にしました。サイズは44にするか42にするかで迷ったのですが、44だとギア比が3.67でかなり低速よりです。42だと3.50で丁度ノーマルF13R40の3.08とトライアル仕様のF10R40の4.00の中間です。そこで42丁にする事にしました。リアがノーマル以上に大きくなるので、チェーんも100リンクという訳にもいきません。トライアルタイヤも付けた状態で使える様、108リンクのを買って、一番後ろまで下げた状態で使える様にする事にしました。
*今回の交換でのドジ
まず、リアスプロケをよく見てみてビックリしたのですが、40丁だと思っていたら39丁でした。39丁というのは、モタードに使われているですが、どうしてそれがオフのXR230に付いていたのか。恐らく、前の前のオーナーが最高速を上げたくて、1丁下げにしたんではないでしょうか。かつ、純正の鉄のスプロケなら持ちも良いので、モタードのを付けたんじゃないかと思います。
次に、トラタイヤに履かせ直して、シャフトを目一杯後ろに合わせ、チェーンを合わせてみました。アジャスターは大体38目盛り辺り。そこでチェーンツールでカットしようとしたら、近所のおばちゃんから「ねぇ、アンタ、ゴーヤ食べる?ゴーヤ」と話し掛けられ、相手しながらカットしたところ、よく見てみると、訳の判らんところでカットしてました。要するに、4コマの所で切れば良いのを、5コマの所で切ってしまい、ジョイントが填められなくなりました(爆)
恥ずかしい話しですが、これまでチェーンというのは、1コマずつ切って使えるんだと思ってたのですが、本当は2コマずつです。なので、5コマで切ったら6コマまで切らねばなりません。当初、104リンクで使うつもりでいたのが、102リンクに減ってしまいました。当初、アジャスターは38で合わせていたのですが、30まで戻さねばなりませんでした。
えらい中途半端な所で切ってしまいました
しかも、切るまで気が付きませんでした
当初は、もっと後ろまで引っ張って38に合わせてましたが
チェーンが1コマ減って30になりました
104リンク、アジャスター38だと、もう少し開いたのですが
結局このくらいしか開きませんでした
走ると変な音立てます
■使ってみた感じ
さて、さっそく谷田部ESLで使ってみた訳ですが、結果はどんぴしゃ! 低速で粘りを持たせつつ、高速でふわつく事がなく、しっくり地面に食いつく感じです。今までだったら、クラッチを多用する様な感じだったのが、スパッと切るだけでOKみたいな感じになりました。ただ、やはりチェーンが102リンクでは、トライアルタイヤだとマッドガードとタイヤが走行中に接触してるらしくて、ずっと「み"み"み"み"み"み"〜〜〜〜〜」と嫌らしい音立ててました。まぁ、もう少しチェーンを張り気味にするなど対策がありますが、モトクロスタイヤだったらもう少し隙間は開きますので、次にチェーン交換するまでこれで行きます。
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