「本土防空戦にて、飛行第47戦隊は整備指揮班長を務め「整備の神様」と謳われた刈谷大尉のもと、戦隊内に指揮小隊を設けそこで機体整備に関する全てを掌握し、厳密なる飛行時間の管理、点火プラグの早期交換、定期的なオーバーホールなど、徹底的かつ適切な整備を施すことで部隊の四式戦稼働率を常時87から100パーセントに保っている。ただ、このような整備方法は欧米諸国では一般的に行われており、日本側の整備教育や補給が立ち遅れていた側面が大きい。刈谷陸軍大尉によれば「47戦隊で100パーセント働いた」エンジンが他部隊で動かなかったのは「日本陸軍の整備教育が間違っていたから」であり、「疾風(誉)のせいじゃない」と回想している。また本土より遙かに条件が劣悪なフィリピンにおける四式戦の稼動率は三式戦はおろか一式戦よりも高かったという記録も残されている(当時の一式戦三型は水メタノール噴射装置を搭載したが整備兵が慣れておらず稼働率が低下している)。さらに満州の飛行第104戦隊は再生潤滑油を使用せず、補給廠デッドストックのアメリカ産輸入潤滑油を用い稼働率80から100パーセントを保ったという記録があり、これは潤滑油をアメリカ産の輸入に頼っていながら[注]、事前の国産化を怠ったままアメリカとの開戦に突入し、戦前に輸入したストックに頼らざるを得ない状況に陥らせた、日本の戦前工業行政の致命的な失敗であった。 」
[注] アメリカ産の潤滑油に依存したのは、当時のレシプロエンジンではアメリカ製潤滑油が基準であり、エンジン設計における指定油がアメリカ製というのは対米開戦直前の日本においても当然であった。過酷な航空レシプロに耐えられる鉱物系潤滑油は当時の日本の精製技術ではアメリカ・ペンシルバニア原油の様な極めて良質なパラフィン基原油が必要であり、本邦や南方にもパラフィンリッチな原油は存在したもののその差は埋めがたく、ついぞその域の潤滑油を実用レベルで量産する事はかなわなかったとされる。また精製技術についても関連資材も禁輸対象であり新技術の導入は遅延し、苦難の末に大戦末期に設備が完成しても空襲により破壊される状況であった。Wikipedia「四式戦闘機」より(2022年7月現在)
■安いオイルを使う理由
バイクであれ車であれ、オイルは高いのが良いか安いので良いか、という議論は多々あるのですが、自分がこの趣味を始めた時は、正直なところ、どっちが良いのかよく判りませんでした。そもそも自分でオイル交換すらやった事がない人に、どのオイルが良いかなんて判る訳もなく、バイク屋任せだった訳です。そんなメカ音痴の自分であっても、モトクロッサーに乗るからには自分でオイル交換をやる必要が生じてきました。というのも、トレール車でツーリングや通勤で使ってるよりも、遥かに早いサイクルでオイルを交換してやらねばならないからです。そして、どのオイルを使うかも、この時点で決めなくてはなりませんでした。
高いオイルを使った方が良いのは感覚的には理解できますが、モトクロッサーに乗り換えてアレコレと入り用の時に、リッター3000円もする様なオイルはとてもじゃないけど手が出ませんでした。そこで諸先輩方から言われたのは、「高いオイルを長く使うよりも、安くても良いからマメに交換した方が良い」という事でした。まぁ、腐っても鯛とは言いますが、新鮮なサンマやサバには勝てないと自分は思いますので、その教えに倣う事にしました。
ちなみに、CRF250Rの指定オイルは、ホンダ純正のG1というオイルです。大体リッター1200円くらいの安いオイルですが、メーカーはこれでちゃんと走ると保障してるのだから、間違いないはずです。しかし、心のちょっと片隅には、良いオイルを使った方が良いという考えがありましたので、エンジン側にはリッター2300円ほどのG3を入れ、ミッション側にはG1を使うという風にしました。
そして、交換サイクルは、乗る度に交換する様にしました。その為、1リットルの缶では間に合わないので、ヤフオクで20リットルのペール缶をG3、G1とも1本ずつ買い、それを1年〜1年半くらいで消費する、という感じで使っていました。
■高いに越した事ない
そんな感じで、2009年秋から2014年春まで、G3とG1を使っていたのですが、バイク屋さんにシルコリンPro4の10W-40を熱烈に勧められました。聞けばリッター3360円もする高価なオイルです。さすがに毎回交換するのに使うのは、かなり気が引ける値段です。しかし、先にエンジンのオーバーホールに出した友達のCRFが、同じ年式とは思えないくらい調子よくなっていた事もあって、勧めに従って、シルコリンPro4を使ってみる事にしました。まずは、XR230に投入してみました。違いは歴然でした。G3を使っていた時に比べると、前に出る感が半端ありません。そして、G3を使っていた時よりもエンジンの回転が良くなり軽くなった気がしました。そのまま、2回目3回目とオイルを換えずに使い続けたのですが、流石に2回目は1回目の時の様な前に出る感は余り感じませんでしたが、それでも良く回るエンジンでタレた感じがあまりしませんでした。XRでは合計2時間ほど乗ったのですが、まだまだ使える感じがしました。前へ出る感がしなくなってきたのは、オイルが劣化したからというよりも、加速感に身体の方が慣れてしまったからの様です。XRはその時点でエンジンのオーバーホールに出しましたので、それ以上のテストはしませんでした。
XRをオーバーホールに出している間、今度はCRFの方に投入してみました。まず最初に感じたのは、「軽い!」という事でした。とにかく軽い、パァーッと回転が上がってくる感じ。前の様に身体がしんどくなる様な加速Gが少ないのです。乗り始めの時は少し怖い感じもしましたが、それも慣れてくるのはXRの時と同様です。そしてCRFでは続けて4回、約2.5時間ほど乗りましたが、それでもまだまだ使える感じでした。
結論として、非常に単純ではありますが、高い高性能なオイルは、やっすいオイルよりも全然良い、という結論になりました。エンジンの軽さ、身体に掛かってくる負担の少なさ、こうした事は、すべて戦力に繋がってくる要素です。金額の差は戦力の差であるといっても過言でない事を体感したのでした。

高品質潤滑油に装備転換するにあたり
一番困ったのは、在庫の安いオイルの処分
現実点で、G3G1ともに10リットルずつ残ってた

捨てるには惜しいので
G1は職場の発電機用に、G3はモトクロッサーに乗り換えた人に
おのおの格安で放出
今まで軍の放出品を買う立場だったのが
自分が放出する立場になろうとはww
■高いオイルの経済性
さて、リッター3000円強もする高いオイルなのですが、よく一般に「高いオイルはライフが長い」と言われます。まぁ、安いオイルだって別に長持ちさせても良いのかもしれませんが、そこは先ほど出てきた「安くても早めに交換」という説がありますので、安いオイルは早く交換という風に考えていました。さて、具体的にどの程度のライフがあるのかというと、大体3〜4時間で交換との事です。まぁ、使い方によっては1時間で交換(スーパーモタードなんかや、めっさ早く交換するらしい)とか、3時間未満でもしばらく乗ってなかったら交換(熱せられて冷める過程で酸化して劣化するから)、という具合に様々ですが、一応毎週末乗ったと仮定するなら、3時間くらいを目安に交換、という事らしいです。
そこでふと気が付いたのが、安いオイルと高いオイルでは交換サイクルが違うのですが、トータルで考えた時、それぞれどのくらいお金が掛かるのか、という事です。そこで少し演算してみました。まず、G3とG1ですが、ヤフオク調達なら、20リットルでそれぞれ19,200円と9,800円、送料はおのおの900円ですから、合計で30,800円です。それに対してシルコリンPro4は3.360円です。CRF250Rに使うとして、1回の交換でエンジンとミッション合わせて1.36L。G3/G1なら1回交換で1,047.2円ですが、シルコリンは4,569.6円です。この値だと、結構な値段の差に見えます。
ところが、G3/G1は毎回交換してました。ところがシルコリンは3〜4時間くらい持たせられます。仮に今までの練習で1日1時間乗ってたと仮定するならば、G3/G1は3時間目で3,141.6円、4時間目で4,188.8円という具合に、シルコリンに対して値段が伯仲してきます。
それでもまだG3/G1の方が安いではないか(まぁ、もともと安いんですがw)と思えるのですが、まずオイルとしての初期性能は圧倒的にシルコリンの方が上です。かつ、3時間くらいでは新品のG3/G1よりも性能が良く感じます。つまり、高い高いといえども、3時間目あたりには1,000円、4時間では400円ほどの差しかないのですから、性能面で考えれば、シルコリンの方がお得なのではないかと思います。それに加えて、オイル交換するとなると、その手間もさる事ながら、オイルまみれの用具を洗うのにパーツクリーナーやキッチンペーパーも消費します。ライフの長いオイルを使えば、それらの経費も掛からない訳で、結果としてお得です。
これまでにも、そこそこ高いオイル使ってる人は、3回に1度の割合で交換してる、といった具合でそんなに頻繁に交換してる風には見えなかったのですが、こうした辺りの事情があったのですね。かつ、そうした人たちは概して速い人が多いですから、意外なところで戦力の差が出てたのだと思います。むしろ、そうしたベテランの人たちほど、整備や補給には神経を使っているんだと感じました。
■アワーメーターの導入
ところで、今まで走行時間というのは一応記録を残していたのですが、それは厳密に何分走ったと時計で計ったものではなくて、「今日はおおよそ1.5時間くらいだろう」といった風に、適当に感覚で記録を付けていました。これで一向に差し支えなかったのは、乗る度に毎回オイル交換をやる事にしてたので、多少どんぶり勘定であっても早めにオイル交換する事になるので、むしろ都合が良かったからです。ところが、上に書いた様に上等なオイルはライフが長いのです。仮に3時間で換えるにしても、これまでのどんぶり勘定では3時間に満たない時間で交換する事になり、まだまだ使えるオイルを捨てる事になって不経済です。せっかくの高いオイルですから、使えるだけ使いたいと考えた訳です。
このエンジンアワメーター PET-3200R OPPAMAは、常時作動状態にあり、プラグコードにラインを接続する事でエンジンが稼働した時点からカウントを始めるもので、純粋にエンジンが稼働している間の時間をカウントします。なので暖気中とかスタート前の待機中も稼働時間にカウントするので、実際の走行時間とは少々のズレは生じますが、走っていようがいまいがエンジンが動いている事には違いありませんし、自分のどんぶり勘定よりはよほど正確に走行時間も計れるので便利です。
一応は生活防水という事になっていますし、取り付けは両面テープを使ったベルクロですので、取り外しも可能。もちろん、ジャンプ等やっても落ちません。洗車やマディ時などは、テープなどで養生する必要がありますが(また、これをよく忘れる)、そこら辺の扱いをしておけば、まず壊れる事はなさそうです。(まぁ、何かぶつけたら話しは別ですが)
このアワーメーターをつける事で、冒頭の紹介した文章に出てくる「厳密なる飛行時間の管理」(自分の場合は走行時間)が出来る様になり、オイルの交換時期だけでなく、オーバーホールの時期までもしっかり管理できる様になりました。
■オイルの入れ方あれこれ
さて、ここで話しが変わって、エンジンへのオイルの入れ方とその道具に関する話しです。高いオイルであるからこそ、「油の一滴は血の一滴」ばりに無駄無く使いたいですし、出来れば楽に入れたいですし、さらにいえば用具の後始末も楽にやりたいものです。ところが、バイク用として売られてる用具の大半が、この要求項目を満たさないと自分は思っています。一般にオイルを入れる道具としてまず思い浮かぶのがオイルジョッキですが、これがイマイチです。まず物が大きいものが多くトランポの空いてる所に納めにくい。かつ物が大きいだけに使った後に中の油をキレイにするのが大変で、しかもホースの中などキレイにしようがない。オイル入れた後、そのまんまって人も多いかもしれませんが、自分は常時トランポに積んでおく派で、トランポは砂や埃等入り込んでくる訳で、そんな所に油まみれのオイルジョッキを置いておけば、立ちどころに汚い事になります。その汚いオイルジョッキでエンジンの中にオイル入れるのは、ちょっと心悪いという訳です。
ところが、その他の物となると、イマイチぱっとしたものがない。何せバイクのエンジンのオイル給油口は、オイルの缶やボトルから直で入れるには、とても入れにくい形状、位置にあるので、何らかの形で給油口に「差し込める」ものが必要なのです。そこで自分が目を付けたのは、大きめのオイルフィラー、いわゆるオイル差しでした。これはフィラーの先を落としておけば比較的素早くオイルが入れれますし、給油口にもしっかり差し込めるので便利でした。問題は、大きいやつでも容量が400mlしかなく、CRFなら2回、XRなら3回に分けて給油しなければならず面倒な事でした。
長い事このオイル差しを使っていたのですが、最近になって100圴でプラの小さい漏斗をみつけ、それをオイル入れるのに使う様になりました。大きいのでは給油口の色んなブツ(エキパイとかシリンダーとか)に当たって使えないのですが、小さいのなら何とかなりました。となれば、オイル入れる道具はなんだって良い訳で、自宅でオイル交換する時は普通の計量カップを使う様になりました。こっちの方がオイル計るのも楽ですし、掃除するのも全然楽です。出先でオイル交換する必要がある時は、目盛りのついたボトルを使う様にしました。どちらもホームセンターで300円程度ですので、バイク専用の道具なんかより全然安くて良いです。
なんにせよ、レース車両は町乗りやツーリング用のバイクより頻繁にオイル交換しますので、この辺りの用品も工夫しどころがあります。
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