XR230はXR250と違い、ツインエアーなどから湿式のフィルターが発売されていません。そのため、去年8月に引き取った時に、フィルタは乾式のものを新しく付け替えました。まぁ、そうそう汚れたりはしないだろう、と多寡をくくっていたのですが、先日、エンジンのオーバーホールの為にキャブレターを外してみたところ、中が埃で猛烈に汚れていただけでなく、エアクリーナーボックスからボックスからキャブレターを繋ぐチューブの中まで、埃でべったり汚れていました。そこで急遽、湿式に変える等して対策を取る必要が生じました。
■原因
エアクリーナーのフィルターは使い続ければ汚れるのは当然の事ですが、ボックスの中からキャブレターの中まで埃が入るというのは尋常ではありません。よしんばフィルターが目詰まりしても、中が埃だらけというのはなかなか見られません。そこで原因を考えたところ、フィルターが砂埃で完全にアウトになったあと、フィルターのガイドとエアクリーナーボックスに接しているスポンジの部分から、どんどん埃を吸い込んでいた事が分かりました。フィルターはエアクリーナーボックスの蓋に爪を引っ掛けてセットするのですが、この際、フィルターは完全にボックスに圧着される訳ではなく、若干のガタがあります。そのガタの部分にフィルターのガイドのスポンジが当たるのですが、そのスポンジにオイルなりグリスなりを塗らないと、フィルターが目詰まりした時に、そこから2次エアーを吸い込む様です。
およそオフロードバイクとしては、この設計はどうなんだろう?と思う訳ですが、XR230はその意味で行くと、オン寄りのエンジンを積んでいるせいか、オフの過酷な使用には若干対応しきれてないところがある様に思えます。そもそも湿式のフィルターが作れないのも、フィルターの形が実にオンロードバイク向きの形で作りにくい、という背景があるのかもしれません。
■対策その1
ともかく原因ははっきりしました。まず対策としては、フィルターを放ったらかしにせず、毎回点検する事が必要です。そもそも、CRFでは毎回洗ってるくらいなのですから、そのくらいの事はしないとダメだ、という訳です。もっとも、そうしなかったのは乾式であったからよりも、簡単にエアフィルターにアクセス出来ないXR230の構造に原因があります。普通、オフロードバイクってシート外すかエアクリーナーボックスのドア開けば、フィルターにアクセス出来るものですが、XR230のエアクリーナーボックスは、サイドカバー外して、シート外さないとアクセス出来ません。なのでついつい面倒くさがってシートを外さないのですが、実はシートの裏側はマディレースの後など、泥水で汚れてドロドロになってしまう事が、今回分かりました。なので、マメにシートを外して裏側やエアフィルターを見てやる必要があります。
今回の件で、乾式のエアフィルターはそうそう持たない事が分かりました。具体的な耐用回数については分かりませんが、埃っぽい時は2〜3回で交換と考えた方が良さそうです。純正のフィルターは高いので社外品でも構わないと思いますが、それでも交換に1000円は掛かります。やはりそれを考えると、湿式に替えた方が良さそうです。
では湿式のフィルターがないのか、といえば、実はあります。ぱわあくらふとからXR230のフィルタを乾式から湿式に替えたものが発売されています。ところが、これが結構良い値段です。まぁ、物としては良いのでしょうが、ちょっと高い。しかもフィルタはどこのか分からない。買うかかなり迷いました。
■対策その2〜湿式フィルター化工作
そこで自分でもエアフィルターの湿式化をやってみる事にしました。まず用意したのは、ツインエアーのセロー用のフィルター。実はこれが一番高くて3600円くらいしました。次にフィルターを保持するケースのための素材。たまたま飯盒の蒸し器を作った時に余った、アルミのパンチングメッシュがありましたので、それを流用しました。そして、そのケースをフィルターのガイドに固定する為に、エポキシの鉄パテを用意しました。まず、XR230のエアフィルターのフィルターペーパーや裏のメッシュを取り除きます。ところが、このペーパーがかなり頑丈な接着剤でくっつけてあって、なかなかキレイに剥がせません。ニッパーやらラジペンやらで出来る限りペーパーを取り除きました。裏のメッシュは、ニッパーで留め具の所をぶった切って外しました。
次に、フィルターがいい感じに入るメッシュの箱を作るために、いい感じにパンチングメッシュを切り出します。続いて、出来るだけグニャグニャにならない様に注意しながら、パンチングメッシュを折り曲げて箱形にします。まぁ、完全手作りですので、どうしてもピシッとは行かなかったのですが。大事な事は、メッシュの箱形がエアフィルターのペーパー入ってた所にちゃんと納まるかどうかです。小さ過ぎてもダメですし、大き過ぎたら入りません。
ツインエアーのフィルターは、ペーパーのフィルターのサイズに合わせて切りました。ツインエアーのフィルターは表裏の二重構造になっていて、端が圧着されていますが、その圧着された部分を切ってしまうので、中がパカパカに開きます。まぁ、完全に分離してしまう訳でもないので、パカパカしてても大丈夫でしょう。切り出したフィルターをパンチングメッシュの箱形に入れる訳ですが、上手に入れないと端っこに隙間が出たりしますので、丁寧に入れます。パンチングメッシュの切り口はギザギザになっていて、ちょっと入れにくいのですが、そこは創意工夫で頑張ります。
ここまで出来たら、箱形をフィルターのガイドに押し込み、隙間を埋める様に鉄パテを詰めて行きます。ただし、メッシュを通してトコロテンみたいにパテが内側に出てくるので(そのまま固まるとフィルターが入れにくい)、裏側から指で押さえつつ、丁寧に埋めて行きます。

まず、フィルターのペーパーをばっさり除去
この時点では裏のメッシュは利用するつもりでしたが
後で取り外しました

セロー用のフィルターを切り出して、いい感じに納まる様にしました
少しキツめの方が良さそうです

余分な部分をカットしたら、中がパカパカに、、
まぁ、実用上問題なさそうです

いい感じに組んだ箱形
パンチングメッシュで一体に組んだのがミソですw

こんな感じで納めますが
入れる時は、端までぴったり入るよう
丁寧に入れないと行けません

しかし、箱形を押し込んだだけでは
フィルターのガイドとの間に隙間が出来てますので
対策する事にしました
■完成
そんなこんなで完成した湿式化フィルター。デザイン、構造ともにぱわあくらふとの物とほぼ同じです。パクってすんません。違いは、フィルターのスポンジを納める箱形がパンチングメッシュなので、吸気性はこっちの方が上っぽいです。あと、フィルターのスポンジは定評あるツインエアーですので、高いだけに間違いなく上等のはずです。心配事としては、パンチングメッシュの箱形をフィルターのガイドに鉄パテでくっつけた訳ですが、着地の衝撃などでこの鉄パテが外れて、しかもエアクリーナーボックスの方に落ちないか、という事です。確実にくっつけるために、表裏両方にパテしましたが、もしかしたら裏側(エアクリーナーボックス側)はやらない方が良かったかもしれません。まぁ、湿式にした以上は、毎回交換が基本ですし、その度にフィルターの様子も見る事になるので、ヤバそうなら補強するなりして対策するしかないと思います。
これまでは乾式のフィルターに合わせてキャブレターもセットされていたと思うのですが、湿式に替えた事で本来ならキャブセッティングも変えねばならない筈です。とは言え、モトクロッサーもFIのCRFからスタートだっただけに、キャブレターなんてブラックボックスみたいなもんで、セッティングと言われてもよく分かりません。その昔、XR250をやはりツインエアーに替えた時、キャブは特段いじった記憶がないので、とりあえずはそのまんまで乗ってみようと思います。どうにもおかしかったら、バイク屋さんで見て貰うという方向で。

こんな感じで、鉄パテで目張り&固定しました
ただし、衝撃で外れる可能性あり
使用に当たっては、ガイドのスポンジにもグリスを塗布して
2次エアーを吸わない様にします

結局、既製品のパクリになってしまいましたが
むしろ信頼性の高い物が作れたと思いますw
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