去年の夏にXR230を引き取って以来、あれやこれやと手を入れてきたのですが、年式的には恐らく10年物であろう事、今後もこのバイクは使うつもりですし、仮にレース活動止めても手放さず乗り続けると思うので、思い切ってエンジンのオーバーホールをする事にしました。
まず、サイドカバーやらシートやらタンクやらを外したのですが、シートの下が汚い。去年の夏にエアクリーナーのフィルターを交換して以来、シートは外してないのですが、その間何度もマディレースに出てますので、それで泥水が入りんだ様です。シート外すのにサイドカバーまで外さねばならない事、乾式のエアクリーナーなのでフィルタを早々替えずに済む事から、シート外すのも面倒なら外さなくても良い様な仕様ですが、オンロード走ってる分にはそれで良くても、オフではそれだとダメな様です。
さて、キャブレターを外してみたのですが、これがびっくりするぐらい汚れてる。それだけでなく、エアクリーナーボックスから生えてるチューブの中も汚れが凄い。純正の乾式のフィルターでは、オフ走行で直ぐに目詰まりしてしまって、フィルターのガイドの所のスポンジから空気吸ってたのではないか、との事。乾式なのでポン付けしてただけなのですが、ガイドのスポンジにフィルターオイルでも塗布しないとダメっぽいです。というか、乾式では心もとないので、湿式に替える必要があるなー、と思いました。
結果として、当初、キャブレターのOHは予定していませんでしたが(去年の夏にやったばっかりだったので)、この状態で組むのはアウトという事で、キャブレターのOHもお願いしました。
シリンダーを分解し、ピストンをむき出しにして、腰上の状態を診てもらいました。まぁ、バルブクリアランスもシリンダーやピストン、ピストンリング等、まぁそれほど酷い状態になっておらず、普通に交換という運びになりました。
問題はピストンがくっついているコンロッドの小端部で、ここがガタっていたらクランクケースを割って、クランクごと交換の運びになるのですが、測ってもらったところ、ほぼジャスト限界値で、どっちみち長くは持たないという事で、腰下もオーバーホールする事となりました。
予算的には中古のXR230が買えてしまう金額になるのですが、先にも述べた様にこのバイクはもはや廃番で新車はなく、かつ今後先々も長く乗り続けるつもりであるので、最初からババーンとオーバーホールするつもりでしたから、金額に目が眩むなんて事はありませんでした(笑)
むしろ問題だったのは資金繰りの方で、実はXRのオーバーホールは6月の夏期一時金が出てからやるつもりでいたのですが、そうじゃなくて5月25日のピットクルーカップに間に合わせたい、なんて思いついてしまったために、去年の冬の一時金を貯めた郵便定額貯金の拘置期間がまだ終わってない、という事態になってしまいました。直ちに動員できる資金は、総額の4分の3ほどで、どないしようかと思ってたのですが、郵便局で聞いたところ、拘置期間前でも下ろせるとの事で、あわや資金の焦げ付きを回避する事が出来ました。
パパパヤーっとエンジン外されたXR
もはや乗り物としては自転車以下ですw
前から見たエンジン。腰下が横に出っ張ってます
ちなみに、正しい排気量は233ccです
シリンダーの内部
特段、変な傷は入ってませんでした
ピストンの状態
コンロッドの小端部は、基準値ギリで腰下OH決定w
あとはよろしくお願いしますw
さて、今回XRをオーバーホールするにあたって、色々相談に乗って貰ったのですが、印象深かったのは、「必ずしも頻繁に買い替える必要はない」という話しでした。これまでの自分の認識では、「モトクロッサーなどは2年も乗ればあっちこっちガタが来て、修繕しても新車ほど良くはならないんだから、買い替えた方が良い」というものでした。しかし、「それでは車体に慣れた頃に手放して、また新しいバイクに慣れなければならなくなる」との事でした。まぁ、1年そこらで乗り潰してしまうプロライダーならともかく、ファンライドで乗ってる分にはそこまで使ってないし、もったいないとの事。それなら、定期的な整備はオーバーホールで乗り続けた方が経済的だし、慣れたバイクで頑張れるとの事でした。
エンジンをクランクケースまで割ってオーバーホールするとなると、それなりの金額になってしまうので、多くの人は躊躇しますし、乗り換え前提のモトクロッサーでは、よほど愛着あるバイクでない限りやらないもんだと思ってました。ましてや、トレール車でそんな事する人は、まぁ居ないんじゃないかと思います。それを推してあえて今回オーバーホールに踏み切ったのは、エンジン内の可動部品にWPCやDLC、モリブデンショットを施したマシンが、素晴らしい性能を発揮する事を知ったからです。まぁ、素晴らしいのも当然な事で、スーパーフォーミュラーとかのレース車両にバンバン使われてる技術なのです。おそらく、それが無かったら、今回出費しようと思わなかったと思います。
もう一つ印象に残っているのが、「新車といえども量産型」という事。確かに新車は畳と同じで新しいから良いというのはあるのですが、あくまで大量生産された「製品」に過ぎません。それに比較して、特殊加工を施しチューンしたマシンと、どっちが良いかと言われれば、中古であってもカスタムチューン機の方が性能が上だと思います。そして、今回オーバーホール&チューンに掛かった経費は、新車を買う事思えば半額以下です。新車よりも高性能な車両を、新車の半額で手に入られると考えたら、そっちの方がよほど経済的だと思ったのです。
ピッカピカになったシート裏
まるで新品みたいですw
フレームもピカピカ
リアブレーキスイッチも外してもらいました
AIもキャンセルして貰いました
ウインカーリレーも外して貰いました
左が古いの、右が新品
結構削れてます
パーツが揃い、一晩で組み上げたみたいです
エンジンを掛けさせて貰ったのですが、明らかに音が軽い!アクセルを開けても静かな印象です。ガタガタした感じがなく、滑らかに動いてるのを感じます。そして、もっと驚いたのがギアチェンジが軽いという事。このXRはとにかくシフト関係のトラブルが多くて困ったのですが、スッとギアが入ってくれます。操作性が相当に向上したと感じました。
具体的な乗り味については、慣らしのレポートで述べますが、慣らし方について教えて貰いました。まず一日目は午前中は4割くらいで1速から6速まで十分ならし、午後に6割程度。二日目は8割くらいで走って、オイル交換。全力で使うのはその次に、という事でした。今まで2回、新車の慣らしをしましたが、そこまで丁寧にやった事はありませんでした。しかし、せっかく大枚はたいてオーバーホールしたんですから、大事に乗りたいものです。
■整備情報
《作業内容》
ともかく、まずはエンジンの腰上オーバーホールと前後サスのオーバーホールを目標として、エンジンの腰上を開けた上で、腰下もやるかどうか、検討する事となりました。
■キャブレターとエアクリーナー
予め余計な物、アンダーガードやハンドガード、スタックベルトなどは取り外し、洗車して出来る限りキレイにしてお店に搬入しました。エンジン下ろして腰上開けるところまで見学したい、という事で、バリバリと作業を進めてもらいました。まず、サイドカバーやらシートやらタンクやらを外したのですが、シートの下が汚い。去年の夏にエアクリーナーのフィルターを交換して以来、シートは外してないのですが、その間何度もマディレースに出てますので、それで泥水が入りんだ様です。シート外すのにサイドカバーまで外さねばならない事、乾式のエアクリーナーなのでフィルタを早々替えずに済む事から、シート外すのも面倒なら外さなくても良い様な仕様ですが、オンロード走ってる分にはそれで良くても、オフではそれだとダメな様です。
さて、キャブレターを外してみたのですが、これがびっくりするぐらい汚れてる。それだけでなく、エアクリーナーボックスから生えてるチューブの中も汚れが凄い。純正の乾式のフィルターでは、オフ走行で直ぐに目詰まりしてしまって、フィルターのガイドの所のスポンジから空気吸ってたのではないか、との事。乾式なのでポン付けしてただけなのですが、ガイドのスポンジにフィルターオイルでも塗布しないとダメっぽいです。というか、乾式では心もとないので、湿式に替える必要があるなー、と思いました。
結果として、当初、キャブレターのOHは予定していませんでしたが(去年の夏にやったばっかりだったので)、この状態で組むのはアウトという事で、キャブレターのOHもお願いしました。
■オーバーホールの内容決定
その後、ズビズバー、パパパヤーっとエンジンが下ろされ、さっそくバルブクリアランスのチェック。まぁ、ここは案の定というか、入り口も出口もガタが来てて、どうにかして貰わねばなりません。次にヘッドを開けて、ロッカーアームの状態を見ましたが、思てったほど悪くなってないとの事でした。シリンダーを分解し、ピストンをむき出しにして、腰上の状態を診てもらいました。まぁ、バルブクリアランスもシリンダーやピストン、ピストンリング等、まぁそれほど酷い状態になっておらず、普通に交換という運びになりました。
問題はピストンがくっついているコンロッドの小端部で、ここがガタっていたらクランクケースを割って、クランクごと交換の運びになるのですが、測ってもらったところ、ほぼジャスト限界値で、どっちみち長くは持たないという事で、腰下もオーバーホールする事となりました。
予算的には中古のXR230が買えてしまう金額になるのですが、先にも述べた様にこのバイクはもはや廃番で新車はなく、かつ今後先々も長く乗り続けるつもりであるので、最初からババーンとオーバーホールするつもりでしたから、金額に目が眩むなんて事はありませんでした(笑)
むしろ問題だったのは資金繰りの方で、実はXRのオーバーホールは6月の夏期一時金が出てからやるつもりでいたのですが、そうじゃなくて5月25日のピットクルーカップに間に合わせたい、なんて思いついてしまったために、去年の冬の一時金を貯めた郵便定額貯金の拘置期間がまだ終わってない、という事態になってしまいました。直ちに動員できる資金は、総額の4分の3ほどで、どないしようかと思ってたのですが、郵便局で聞いたところ、拘置期間前でも下ろせるとの事で、あわや資金の焦げ付きを回避する事が出来ました。
パパパヤーっとエンジン外されたXR
もはや乗り物としては自転車以下ですw
前から見たエンジン。腰下が横に出っ張ってます
ちなみに、正しい排気量は233ccです
シリンダーの内部
特段、変な傷は入ってませんでした
ピストンの状態
コンロッドの小端部は、基準値ギリで腰下OH決定w
あとはよろしくお願いしますw
■カスタムチューンの経済学
ここから先は、作業をお任せしました。急なオーダーで、かつゴールデンウィークを挟んでいたので、かなりタイトなスケジュールになったんじゃないかと思うのですが、快く引き受けて頂けました。XRがオーバーホール中は、ここんところ疎かになっていたCRF250R“モルゲンシュテルン号”の方を徹底して乗りました。同時に、オイルをホンダG3からシルコリンPro4に切り替えて、性能試験もやってましたが、結論としては安いオイルを頻繁に替えるより、高い高性能オイルを使った方がライフも長く初期性能も高く、結果的に経済的である、という結論になりました。さて、今回XRをオーバーホールするにあたって、色々相談に乗って貰ったのですが、印象深かったのは、「必ずしも頻繁に買い替える必要はない」という話しでした。これまでの自分の認識では、「モトクロッサーなどは2年も乗ればあっちこっちガタが来て、修繕しても新車ほど良くはならないんだから、買い替えた方が良い」というものでした。しかし、「それでは車体に慣れた頃に手放して、また新しいバイクに慣れなければならなくなる」との事でした。まぁ、1年そこらで乗り潰してしまうプロライダーならともかく、ファンライドで乗ってる分にはそこまで使ってないし、もったいないとの事。それなら、定期的な整備はオーバーホールで乗り続けた方が経済的だし、慣れたバイクで頑張れるとの事でした。
エンジンをクランクケースまで割ってオーバーホールするとなると、それなりの金額になってしまうので、多くの人は躊躇しますし、乗り換え前提のモトクロッサーでは、よほど愛着あるバイクでない限りやらないもんだと思ってました。ましてや、トレール車でそんな事する人は、まぁ居ないんじゃないかと思います。それを推してあえて今回オーバーホールに踏み切ったのは、エンジン内の可動部品にWPCやDLC、モリブデンショットを施したマシンが、素晴らしい性能を発揮する事を知ったからです。まぁ、素晴らしいのも当然な事で、スーパーフォーミュラーとかのレース車両にバンバン使われてる技術なのです。おそらく、それが無かったら、今回出費しようと思わなかったと思います。
もう一つ印象に残っているのが、「新車といえども量産型」という事。確かに新車は畳と同じで新しいから良いというのはあるのですが、あくまで大量生産された「製品」に過ぎません。それに比較して、特殊加工を施しチューンしたマシンと、どっちが良いかと言われれば、中古であってもカスタムチューン機の方が性能が上だと思います。そして、今回オーバーホール&チューンに掛かった経費は、新車を買う事思えば半額以下です。新車よりも高性能な車両を、新車の半額で手に入られると考えたら、そっちの方がよほど経済的だと思ったのです。
ピッカピカになったシート裏
まるで新品みたいですw
フレームもピカピカ
リアブレーキスイッチも外してもらいました
AIもキャンセルして貰いました
ウインカーリレーも外して貰いました
左が古いの、右が新品
結構削れてます
パーツが揃い、一晩で組み上げたみたいです
■仕上がり
4月17日にオーバーホールの決心をして正味1ヶ月後の5月16日、XR230“パンツァーファウスト号”を引き取ってきました。第一印象は、とにかく何もかもピカピカ。汚かったシート裏も新車みたいにキレイになってました。プロの仕事って、凄いなと感じさせられるところです。エンジンを掛けさせて貰ったのですが、明らかに音が軽い!アクセルを開けても静かな印象です。ガタガタした感じがなく、滑らかに動いてるのを感じます。そして、もっと驚いたのがギアチェンジが軽いという事。このXRはとにかくシフト関係のトラブルが多くて困ったのですが、スッとギアが入ってくれます。操作性が相当に向上したと感じました。
具体的な乗り味については、慣らしのレポートで述べますが、慣らし方について教えて貰いました。まず一日目は午前中は4割くらいで1速から6速まで十分ならし、午後に6割程度。二日目は8割くらいで走って、オイル交換。全力で使うのはその次に、という事でした。今まで2回、新車の慣らしをしましたが、そこまで丁寧にやった事はありませんでした。しかし、せっかく大枚はたいてオーバーホールしたんですから、大事に乗りたいものです。
■整備情報
《作業内容》
- エンジンオーバーホール(WPC、DLC、他)
腰上をバラしてみてクランクチェック→クランク小端部ダメ、腰下OH - フロントフォークO/H、シール・メタル類交換
- ホイールベアリング点検(OK)
- リアサスO/H出来るか?→外注で可能
- アワーメーター取り付け
結局、調整代もそれなりにお金掛かるので
だったらユニットごと交換した方が経済的かもしれません
だったらユニットごと交換した方が経済的かもしれません
《WPC、DLC、モリブデンショット施工箇所》
- ピストン WPC+M
モトクロッサーは毎年交換前提なのでやらないが、トレールはしばらく交換しなと思うので施工。 - ピストンピン DLC
- ピストンリングTOP DLC
- ピストンリング2nd WPC+M
- ピストンリングサイドレール WPC+M
- シリンダー WPC
- カムチェーン M
- コンロッド小端部 WPC
- カムシャフト M
- シフトシャフト DLC
ここを施工した事で、シフトチェンジが非常に軽くなった。 - ロッカーアーム WPC
- ロッカーシャフト WPC
《アワーメーター取り付け》
コメント
コメント一覧
お久しぶりです。いつも拝見しとりますよ。コーティング加工によるバイクの感想も楽しみにしています。身体に気をつけてバイクに乗ってくださいよ。猫たちも元気そうでなによりです。
慣らしのレポートは、目下鋭意執筆中です。
まぁ、専門的な事は分らんので、体感的な事しか書いてませんがww
しかし、良いお店に巡り会えたものです。
もしこれがなかったら、この趣味は早晩辞めてたかもしれません。。。