あれこれと手の掛かってるXR230“パンツァーファウスト号”ですが、なんやかんやで一番の悩みはクラッチ&シフト系のトラブルです。クラッチに関しては、徹底的に直してもらい、本来あるべき性能を発揮する様になったのですが、問題はシフトミスはやはり起こるという事。今回はその原因はなんだろうな、という事について考えました。





■純正からトライアルチェンジペダルへ

   去年の夏にXRを引き取った時点では、当然の事ながら、純正のシフトペダルが付いていました。ところが、このシフトペダルというのが、見るからにチャチな代物で、斜めに伸びた鉄の板です。つま先に引っ掛けるトコもトレール車っぽくゴムです。性能云々の前に見た目で却下だったので、付け替えたのがトライアルチェンジペダルでした。これは見た目に格好良かったので、値段はともかく付け替えたかったのです。
   ところが、このチェンンジペダルは何故かシフトアップに失敗する事が多いのです。具体的には滑って上がらない、という感じです。まぁ、今までクラッチが不調で1速に入らない問題の方が重大でしたし、せいぜい3速くらいでしか走れない感じだったので余り気にならなかったのですが、クラッチをオーバーホールしてオイルを良いのに変えた途端、絶好調に調子良くなり、もちろん1速にも当たり前に入る様になると、今度はシフトアップでドジ踏んで走りの繋がりが悪くなる、という事態になりました。
   とりあえず現地での対策としては、つま先にペダルがしっかり当たってる事を「感じる」様にする事。ステップに乗せる足裏の位置を工夫する事(前過ぎず後ろ過ぎず)、エンジンの回転が落ちてる時もあるので入りにくい時は一発噴かしてみる、等々です。

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上が純正のシフトペダル
下がトライアルチェンジペダル
純正は鉄で、トライアル用はアルミで出来ています



■長さと形状の比較

   CRF250R“モルゲンシュテルン号”ではこういったトラブルは一切なく、機械的な信頼性は遥かに上です。ぶっちゃけた話し、CRFのシフトペタルがXRの方に移植出来たら良いのに、と思うくらいです。実際やれるか試してみたのですが、ペダルの長さはともかく、シフトのシャフトの径が違っていて断念しました。
   ところで、CRF250R純正、XR230純正、そしてトライアルチェンジペダルを並べて比べてみたのですが、つま先に掛かる部分を見たところ、意外にもCRFのはかなり短く、逆にXR純正のはかなり長い事が判りました。よくXR230のシフトペタルが内側に曲がるという話を聞くのですが、こんなに長けりゃ転けた時に地面に当たる事も多いでしょうから、曲がっても仕方ないかなと思います。
   CRF純正とトライアルチェンジペダルでは、長さはさほど変わらないのですが、形状に違いがありました。それはペダルの先で、CRFの方は角が落としてある程度なのですが、トライアルチェンジペダルはあえて角を丸くしてある様な感じです。エッジが立ってる方が掛かりが良いのは道理なので、トライアルチェンジペダルでは滑り易いのは角が丸くなってるからかな、と思いました。特にマディでヌルヌルしてる時など苦労しますので、それが原因とみて間違い無さそうです。
   実際にバイクにまたがって見比べてみると、CRFの方はペダルが短いだけにつま先に当たってるだけですが、角が落ちてるのでブーツのつま先にしっかり当たってる感じです。一方、トライアルチェンジペダルの方は、ステップの位置の違いからか、しっかりペダルがつま先の上に乗っています。こんだけ乗っててシフトアップに失敗する方がおかしいと思うのですが、やっぱり引っかかりにくいと滑るのかもしれません。

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形状と長さの違い
左から、CRF250R、トライアルチェンジペダル、XR230純正です
純正のはかなり長めです

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こちらはCRF250R
これだけしかつま先に掛かっていませんが
シフトミスする事はあまりありません

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こちらはトライアルチェンジペダル
結構つま先に掛かっている割には
しょっちゅうシフトアップに失敗します



■ペダルの高さ

   今回、まじまじとペダルを見て判ったのですが、シフトのシャフトの先端とトライアルチェンジペダルにポンチマークが打ってありました。純正のペダルにはポンチマークは無いのですが、明らかにシフトペダルの高さを調整するのに便宜を計ったものだと思います。(ただし、このトライアルチェンジペダルがXR230用に作られた、という訳ではないと思うので、たまたまかもしれませんが)
   そして、これまた今回初めて気が付いたのですが、トライアルチェンジペダルでこれまで自分が標準と思って合わせていた位置は、シャフトについたポンチマークの1ノッチ下でした。試しにシャフトとペダルのポンチマークを合わせてみると、かなり上にくる事が判りました。元々このチェンジペダルはその名の通り、XRでトライアルをやる為の物ですから、岩とかにヒットしにくい様に高めにセットするみたいです。
   しかし、1ノッチ下げた状態でもシフトアップがしにくいとなれば、さらにもう1ノッチ下げる手もあります。試しにやってみましたが、確かに上げ下げは楽になりました。ただ、ペダルの位置はアンダーガードの淵よりも下に来る感じで、これでは深いワダチなどに漏れなく引っかかってしまいます。やはり、1ノッチ下に合わせるのが良さそうです。

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シフトシャフトとトライアルチェンジペダルのポンチマーク

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1ノッチ下が丁度、ペダルとステップが面一になる位置です

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2ノッチ下だと、かなり下向きになります
これではちょっとしたワダチでもヒットしそうです

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シャフトとペダルのポンチマークを合わせると
かなり高い位置になります
まぁ、元がトライアル用ですので、トライアルだとこの位置なのかも


■対策

   今回判った事は、トライアルチェンジペダルは意外にもしっかりつま先に乗っているんだ、という事でした。つまり、まずは気をつけてミスらない様にすれば、何とかなるかもしれない、という事です。
   CRFに比べて、乗ってる長さが長い訳ですから、なんなら先を平に削ってつま先への掛かりを良くする、という方法もあろうかと考えました。ペダルの先を丸めてあるのは、トライアル的な意味で理由があるのだと思うのですが、自分の場合、主用途はエンデューロですし、トライアルに比べたらシフトチェンジは頻繁に行いますので、やり易いに越した事はないのです。
   もっとも、それなりの値段もしましたので、いきなり傷物にするのもためらわれたのですが、削って上手くいくならそれに越した事ありませんので、思い切って先端を2ミリほど削り落として貰いました。削ってエッジを作ったからには、場合によってはブーツに当たる部分が削れてしまうかも、と思いましたが、使ってみると案外大丈夫でした。
   それよりも、削ってエッジを作った事により、ペダルの掛かりが良くなってシフトアップが格段に良くなりました。エンデューロで使うのなら、先端を削ってエッジ作るのがお奨めです。

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思い切って、先をばっさり削りました
トライアル用なせいか、結構肉厚なペダルでした

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掛かる範囲は短くなりましたが
がっつりつま先に掛かって、シフトアップが楽になりましたw