サバゲー時代から「全国大会」と名のつくイベントに惹かれるところがあったのですが、要はエントリーしてお金払ったら誰でも出れるという事が分かり、かつ出たところで大した結果も出せんという事が身にしみてからは、遠路はるばる遠出しようという気が失せてしまって、JNCCのレースからは足が遠ざかっていました。まぁ、ストレス解消とかエクササイズといった面でバイク乗るのであれば、近場のコースで好きな様に乗ってても構わない、という訳です。
   その様な訳で、「初心者用」を目したWEXが開催される様になっても、一向に出る事を考えてなかったのですが、それでも自宅から一番近いデコボコランドで開催されるレースであれば、一度くらいは出ておくか、という事で今回はエントリーしました。


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前日のうちにTEAMつぼ焼きのパドックを押さえました
比較的ぬかるまない場所だった様です




■事前準備

   まずは出走するバイク選びからですが、これは迷う事なくXR230“パンツァーファウスト号”に決まり。デコボコランドの様に狭くてコチャコチャしてて、かつ場合によってはツルツルとかの要素を考えたら、瞬発性はなくても力強くて足付きの良いバイクの方が良いに決まっているからです。となれば、標準装備のトライアルタイヤから、エンデューロ用のタイアに履き替えさせねばならず、去年のピットクルーカップの時の様に、リアはお古でフロントはCRFから履かせ替え、という訳にも行かないので、事前に取り寄せる事に。もっとも、好みのタイヤがある訳でもないので、お決まりのミシュランAC10を取り寄せました。
   ところが、練習の方は体調不良などでなかなか行けず、結局、前日の試走だけになってしまいました。しかも、天気予報では雨です。まぁ、雨でも開催されるのがこの手のレースですから、しぶしぶイヤイヤでも前の日に走っておく事にしました。午前中は40分クラスのコースという事で、2週間ぶりにバイク乗る身体を慣らすために、最初はゆっくり、徐々にピッチを上げて、飛べるところも極力飛ぶ様にしました。
   午後一番の下見ツアーに参加したあと(実はバイクで走るよりコースを歩かされた方がキツかった)午後は120分クラスのコースを走りました。コースが伸び、大坂とかガレ下りとか墓石とか、その他、ヌチャヌチャした坂もコースに加わるのですが、前日段階で荒れてる箇所は養生のためにカットされていました。自分にとって難儀しそうなのは、大坂とその後のガレ下りですが(登りはともかく下りは怖い)、とりあえずクリア。墓石はハナから迂回するつもりでしたので、「今日のコンディションなら」大体大丈夫、という事になりました。
   練習中は幸いにあまり雨が降らず、コースコンディションもほぼベスコンでしたので、洗車も楽で助かりました。ただし、練習後半は一速に入りにくくなっていましたので、エンジンオイルを交換し、準備万端整え帰宅しました(バイクは部隊でまとめて現地に置いて行きましたw)

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試走のあと、一速に入りにくかったのでオイル交換
たった4時間しか使ってませんが、真っ黒でした


■雨と泥濘のレース

   0500時起床。外を見てみると、盛大に雨が降っています。予報では雨時々曇り。普通だったらこんな日はバイク乗ろうだなんて思いません。当日エントリーのレースだったら、やはり出ないと思います。が、事前エントリーですし、他のメンバーも出ますから、自分だけ出んという訳には行きません。傘さしてトランポに向かい、勇躍、デコボコランドを目指しました。
   デコボコランドには0630時頃到着しましたが、すでにパドックには参加者のトランポが次々入場していました。自分たちは前日から場所取りをしていたのですが、当日やってきた人らは地面がぬかるんだトコに停めざるを得ない人もいて、大変だったと思います。
   あらかたの準備は昨日の内に済ませておいたので、バイク関連では受付でトランスポンダを受け取って左のフロントフォークに付けるだけです。自分が参加する90分クラスは0930時集合という事だったので、ニーブレースやモトパンを身体に馴染ませるために、早めに着替えて40分クラスを観戦しました。
   なお、その頃には雨は大分小降りになっていました。問題はカッパを切るかどうか。カッパは身体を濡らさない為というより(どのみち、中で汗かいて濡れる)、転けたり前走車から飛んできたりでウェアが泥で汚れない為に着る様なものです。しかし、押しが入る様なレースでは、カッパを着てたら暑くてタマラン事になる事請け合いです。だったら汚れるのは諦めて(まぁ雨でマディの時は汚れるのは仕方ない)、カッパなしで走る事にしました。
   また、エンデューロレースでは背中にハイドレーションを背負って適時給水して走るのが定番となっていますが、今回は陽も差さずむしろ寒いくらいで、90分給水なしでも走りきる自信があったので、ハイドレーションなしで臨む事にしました。

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応援に来てくれた人から、強化薬剤を貰いました
走行前にソルジャーに注入ww


■90分クラス出走

   自分が出たクラスは、テーピングLTといういわゆる市販車クラスなのですが、この他にオープンクラスとしてB、C、D、テーピングFL、レディースB、キッズ、ビッグワンなど、総勢129台がエントリー。あの狭いデコボコランドにこんだけの台数が走るのかと思うと感ひとしおですが、今回のコンディションからむしろ随所で大スタックポイントが発生するのではないか、と予想されました。
   スタート位置には、クラス、ゼッケン順にコースインしていくのですが、オープンB、Cクラスが出走する時点では、自分たちテーピングクラスはまだコースの脇道で待機でした(つまりコースに入れないほどの台数が控えてる)。前から順にスタートし、やがて自分らの番も回ってきたのですが、コースは見るからに泥濘です。自分たちの前に40分クラスが走って、いつもの本コースは相当掘り返されている様でした。
   以前の自分だったら、走れるかどうか不安でドキドキというところですが、最近ではそしたところはほとんどありません。順位さえ気にしなければ、ともかく走って帰って来れるだけの自信がついてきたからでしょう。悠々構えてヘルメットタッチスタートを切りました。

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スタート地点自体が泥濘ですw

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同時に2台に抜かれてしまうたにしさんw


■どこまで続く泥濘ぞ、、雨降りしぶく鉄兜

   さて、スタートしたのは良いのですが、ぬちゃぬちゃの路面はうっかりすると滑って転けるので要注意です。しかもスタート直後は陸続として後続車が来ますので、自分が障害物になったのでは処置なしです。上手い人は勝手に抜いて行ってくれるので、マイペースで走り続けました。そうこうしてる内に、早くも転倒車がチラホラ。5年前の自分もそうでしたが、初心者にはキツいコンディションです。
   そして、前日の試走の時もボコボコに掘れていたフープス前の加速ポイント。40ミニッツでも大渋滞になってましたが、90ミニッツでも修羅場になってました。地面がニュルニュルで加速が足りないとボコった所にハマって抜け出せず、うっかりすると転けてしまうし、その脇を通り抜けようとしてかえって転けたりと、多重事故状態なのです。仕方がないので、通れそうになるまで待ってましたが、ライダーも大変ならマーシャルさん達も大変な状態でした。
   ようやくフープスを通り抜け、今度はウッズコースに入ろうとしたら、これまた渋滞。滑りやすい上にタイトなコーナーもあり、かつその後はすぐに登りなので、転けてリカバーに手間取っている人がいたのでしょう。ともかく、入り口は一個しかないので、自分も渋滞の中でギアをニュートラルに入れて休憩してました。
   やがて動きだし、ごちゃごちゃとしたウッズの短いコースを抜けて本コースに出てみると、こちらでも盛大に転倒大会やってました。右コーナーでかつ下りで、なのにニュルニュルに滑るので、うっかり転けてしまうのでしょう。転けてる人の間を慎重にすり抜けて、林間コースに向かう左コーナーに差し掛かってみると、こちらでは坂を登れなくて難儀してる人が何人も。上手な人は、転けたり押したりしてる人の間をすり抜けてますが、相手にも動きのある事でうっかりすると引っ掛けられて自分も転ける恐れがあり、慎重に前進しました。
   その後はしばらくは、グチャグチャの林間コース(いつもとは逆向き)に走り、しばらくすると、また渋滞が。今回のコースで一番の難所と見られる大坂の登りです。ここは一気に突破したいところですが、既に坂の途中で捕まっている人がいる以上は、慎重を期さねばなりません。何台か先に行ってもらってラインを見定めて、覚悟一発、一気に駆け上がりました。
   しかし、個人的には登りよりも下りの方が怖いものでして、この次の長いガレ下りは苦手中の苦手。しかも滑りやすいと来てるから余計です。とにかく転けたら下までガリガリと滑り落ちるしかないので、慎重を期してラインを選び、ゆっくりと降下していきました。一応は昨日の試走の段階でも何度か成功しているので、本番でも成功したという事で、かなり自信になりました。
   その後の墓石ヒルはそもそもパスして迂回するつもりでしたが、迂回路は上り下りの急なキャンバーターンだったせいか、予めコースがカットされて短くなっていました。これでは無理して墓石をチャレンジする必要も無さそうな感じです(まぁ、始めっからチャレンジしてないですがw)
   この後は本コースに復帰して、いつものコース入り口に設けられたチェッカーポイントを通過し、キャンバーウッズへ。こちらは激烈に滑りやすい入り口の斜面がカットされ、さらに中程の上り坂もカット。まっすぐキャンバーウッズを通過して行くコースになっていましたので、少なくとも1〜2周目までは、さほどの難所はありませんでした。


スタックポイントの渋滞特集
文字通り、「みんな逝ってしまいますか」状態でした

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いやぁ〜〜、えらいこっちゃ〜〜
という感じでしたw



■3周目以降

   2周目以降は流石にバラけてきて、1周目で渋滞になったポイントも自分だけならさほど苦労する事なく突破出来る様になってました。ただ、地面がグチャグチャな事には変わりありませんし、周回を重ねるごとに路面の状態が悪くなって走りにくくなって行きます。その様な訳で、早くも2周目から二の腕が痛怠くなってきました。もっとも、腕上がりしても、それがピークを過ぎるとさらに走れる様になる、と言われているので、痛いのを無視して走り続けました。個人的に難所と感じてた大坂とそれに続くガレ坂も、それとなくクリア。墓石はもちろん迂回して、チェックポイントを抜けて3周目(と自分は思ってましたが、実はこれが2周目だった)に突入。
   ところがこの頃になると、1〜2周目とは違った所が難しくなってきていました。特にワダチが出来ている所では、ワダチが深くなっており、前の周回で突破出来た所に突入すると、ステップが引っ掛かって全く前に進めず、かといって後ろにも戻れず、ウンウン言っているところをマーシャルさんや観戦してる人に引っ張り上げて貰う、という事が増えてきました。
   この頃になると、大坂の難易度はレース進行を妨げるほどになっており、3回目の突入の前にコースが変更されて、大坂とガレ下りはカットされてしまいました。難しい箇所がカットされたのは幸いですが、今度は別の場所が難所化してました。例えば本コースに復帰するキャンバーウッズの出口など、なんでこんな所で渋滞するんだ的な所が混む様になりました。そしてその原因の大抵は、周回を重ねているうちに滑りやすくなったりとか、ワダチが深くなってスタックするとか、そういう理由が多い様でした。

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いやはや、もう、お手上げww

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チェッカーかと思ったら、おまけでもう一周ww


■辛うじて完走

   さて、なんだかんだで4周ほど走ったところで、もう充分にマディは堪能したし、そろそろ時間も90分過ぎた頃だし(バーパットの時計で時間見ながら走ってた)、そろそろチェッカーフラッグかと思ってチェックポイント行ったら、「L-1」のプラカードが。今回はチェックポイントにタイマーも出てなかったので、自分が時間を読み間違えたのかも知れませんが、やっぱ90分は走ったと思う。90分のつもりで走ってるから、あと1周と言われると、一気に戦意が萎えてダルダルになってしまう。要するに、疲れちゃったという事です。
   他の人なら、最後ですから気合い入れて走るのでしょうが、もう疲れちゃった以上は気合いも入らず、ダラダラと転けない程度にしか走る気にならない。ところどころ、一本ラインの先でスタックしてる車両があれば、これ幸いに止まってその車両が動き出すまで休んでたり、アクセル開けて突進した方が楽な泥濘地も、バイクが土で重くなってトロトロとしか走れなかったり。明らかに気合いが抜けてしまってました。
   挙げ句、あと1/4周でゴールという所で、クラッチが滑り出し、とうとう動かなくなってしまいました。まぁ、あれだけのヌタドロの路面で、後半はバイクの下半身の至る所に土が詰まった状態ですから、半クラ使いまくらざるを得ず、結果としてクラッチが滑ってしまったのでしょう。もっとも、どのみちこれで最後ですから、少しバイクを休ませて、クラッチの遊びをゼロに調整しなおして、ぎりぎり動かして、一速でノロノロとゴールインしました。

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恥ずかしながら、帰って参りましたw
比較的ウェアが汚れてないのは
一度も転けなかったからですwww


■結果

   今回の結果は、テーピングLTクラスで10人中5位(2人DNS)、90分クラス総合で129人中68位と、どちらも真ん中辺りでした。後半かなりタレてしまったのと、渋滞であまりガツガツ前に出なかったのが順位に反映されてるかな、と思います。その意味ではもっと頑張れば良かったかな、と思うのはいつもの事です。
   もっとも、それは終わってから感じる事で、走ってる時はとにかく無事に完走する事だけを主眼において走ってましたから、気持ちも体力も余裕を持たせる走りをせざるを得なかったのは仕方ないかな、とも思います。まぁ、あんなグチャグチャの中を走って帰ってきただけでも、個人的には大したもんだなーと思います(これまでの自分では危うかった)。
   今回のレースでは、ワダチにハマってスタックする事はありましたが、転ける事は一度もありませんでした。また、渋滞でエンジンを停めて待機する以外では、エンストして止まったり滑り落ちたりする事もありませんでした。これは車高が低くて足付きの良いバイクに乗っていたから、というのもありますが、極力転けない様に無理せず走ったのも影響大であったと思います。
   それでも所々、転けそうになる事もあったのですが、不思議な事に身体が反応して、ガッと堪える事が多くありました。また日頃に比べれば比較的身体もよく動いたと感じます。これはジムでセンタジーなどをやっている効果が現れてきたのではとも思います。また、約2時間近くバイクに乗ってましたが、息切れを感じる事はありませんでした。これも水泳の成果であると思います。
   しかし、それにましても今回はバイクに助けられるところが大でした。特に、10丁のトライアル用のフロントスプロケは絶大な威力を発揮し、車速は全般的に遅いながらも、どんな坂でもどんな低速でもノシノシの登って行き、決して滑ったり止まったりする事がありませんでした。このバイクに全般の信頼をおいて走りに専念できた事から、今回のレースはひどいコンディションであったにも関わらず、楽しんで走る事が出来ました。


GoProが途中で汚れて、まともに使えたのは最初の1周だけ
でも、こっちの方がエグイシーンが多いですw


■後始末

   マディレースの時は、とにかく何もかもグチャグチャなので、現地ではバイクを積み込む時に身体が汚れない程度に、最低限に泥を落として、あとはプロテクターからウェアから、何でもかんでも荷室にツッコンで帰ってくる、という事になります。そして初日はプロテクターやウェアの手入れ(ウェアは外で一旦ブラシで泥を落としてから洗濯する)、次の日にバイクの洗車とトランポの荷室の掃除、という具合に、いつもの倍以上の手間が掛かります。
   今回、バイクを見てみると、フロントスプロケカバーの中にぎっしり土が詰まっていました。これがパワーロスの原因になっている事は間違いありません。一応、XR230の物からFTR223の穴の空いたカバーに替えているのですが、その程度の穴ではまったく効き目がない様です。そこで、XR230でレース出てる人がよくやっている様に、カバーの側面をゴロンと削る事にしました。これではカバーとしての意味があるのか?という感じですが、スプロケの歯の部分はカバー出来ているので大丈夫でしょう。
   また、レース中にワダチなどを突破した際に、ステップが折れたまま土で固まってしまい、足で蹴らないと戻らない事がままあったのですが、よく観察してみると、右のステップの戻りのスプリングの爪が甘くなって外れてしまい、畳んだステップが元に戻らない様になっていました。どうやらフレーム側が削れてスプリングの爪が留らない様な感じでしたので、ワイヤリングして対策しました。
   滑ったクラッチは、一時的なものなのか、それともやっぱり要交換なのか、それは今の時点では分からないので、どこか練習行って確かめてみたいと思います。何にせよ、今回のレースでは、あちこちでクラッチが焼けただのラジエターが噴いただのといった話を聞きましたので、これは仕方ない事だったのかもしれません。

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どんな坂でも登って行った10丁のFスプロケ
カバーの内側が泥だらけでした

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ステップのスプリングにワイヤリング
何もしないよりはマシでしょうw