前回のウィークエンドレーサーズ第2戦で一番感じた事は、「急激な加速に自分はテキメン弱い」という事でした。これは前から判っていた事ですが、ではそれをどうすれば改善できるのか、という事については判りません。それを解明するために、やはりスクールに通う事は大事な事なのだと考えています。
今回は先生にお願いして、久々に平日スクールを受ける事にしました。つまり、マンツーマンでみっちりしごかれる、という事です。金曜日しごかれて、土曜日に身体に理解させる、というのが今回の作戦でした。■うまい事いかない出だし
スクールに行く前日はシフトを早番にして、身体を休めてから出掛ける事にしているのですが、今回は遅番であまり寝てる間がありませんでした。起床時間は0400時、出発は0500時でしたが、平日のせいか、いつもよりも交通量が多く、都内を抜けるまでに1時間ほど掛かってしまいました。問題はトランポのガソリンで、片道分も残っていません。そんな時は、春日部を過ぎた辺りのスタンドで給油していくのですが、ボケっとしてたのか、そのスタンドを見逃してしまい、気が付いたら利根川を渡ってしまい、このままでいくと小山の辺りまでスタンドがありません。燃料系はチカチカランプが点き始め、対抗一車線しかないところでガス欠になったらエライ事です。
仕方がないので、脇道に逸れ、CRF用のハイオク10リットルをトランポに注ぎ込むハメに。これでイキを吹き返し、小山のスタンドで給油した訳ですが、折しも中東諸国の民主化運動の煽りでガソリンは軒並み値上げ、レギュラーで141円、ハイオクで152円。だもんで、CRF用は10リットル買い(ガソリン缶の容量が10リットル)、トランポには2000円分だけいれて、帰りにいつものスタンドで満タンにする事にしました(これが後で困った事に)
■空気
BTCに着いたのは、いつもより遅れて0900時頃。ただちにバイクを下ろし、ざっと点検して着替えている間に先生が到着。先日のWERの状況を報告すると、先生が「先々週の広島スクールで、決定的テーマが見つかった」との事。その決定的テーマとは、「空気」。一体何のことかと説明に聴き入ってみると、自分の様に極端にアクセル開けられない人は、空気を吸いすぎてバルーンみたいになっているらしいです。空気吸ってパンパンになっているから、加速しようとすると、風にさらされた風船みたいに身体が持って行かれる。しかも、力が入るのは身体の表面で中身は空気しかないから、骨も関節も固まらない。だから余計、Gに弱い、との事でした。
意外、というか、考えてもなかった話しなので、なかなか飲み込めなかった訳ですが、ともかく呼吸法は、まず一旦息を全部吐いて、鼻で少し吸って止める。その容量を基準として吸ったり吐いたりする、という事でした。
■劇的な安定感
フォームのチェックのあと、南コースでウォーミングアップ。ゆっくり走って身体を慣らしてから、言われた呼吸法をやってみました。コーナーに進入する時、コーナーリングのフォームを取りつつ息を吐いていき、少し吸って止めてコーナーリング。するとどうでしょう、ピタッと姿勢が決まってとても安定しています。息を吐いていくと、下腹が凹んで力が抜けていくのが判ります。同時に、腕、首、肩、背筋、腰、という具合に、骨や関節が固まっていく感じも判ってきます。安定するのはコーナーリングだけでなく、ジャンプの着地も今まではボヨンとバウンドする感じだったのが、ピタっと地面に吸い付いて一気にガバっと加速できる様になってきました。
ものは試しで、今までの呼吸法で乗ってみました。ところが、身体がブラブラして安定しません。今まではどちらかというと、吸う方に意識があって、シンドイ時や力まねばならない時は、吸って吸って吸いまくって止める、という感じでした。これだと確かに、身体はパンパンになってしまっています。
それを、吐いて吐いて、僅かに吸う、という具合に変えると、むしろ身体から余計な力が抜けて、必要な部分で力める、というのが判ってきました。
■本コースでは難しい
そこで、ランチ樹林のお弁当を食べてから本コースで、新しい呼吸法で走ってみる事にしました。最初は2〜3割くらいの力で走ってみたのですが、やはり走りやすい。顕著なのは、もっとも苦手としていたコーナーが、まったくストレスなく回れた事。これには驚きました。そしてビッグジャンプからギャラリーコーナーへ向かう直線でも、息を吐いてアクセルを開けると、身体が全然遅れず、徐々に足元から重さがなくなっていくのを感じました。新しく買ったVFX-Wは最初は何も入れなくてもグラグラしなかったのですが、本コースを走ったら、VFX-DTの様にグラグラしてゴーグルがずり落ち始めたので、一旦パドックに戻り手ぬぐいを頭に敷いてグラグラしないように処置してから、再び本コースへ。今度は4割くらいの加減で走ってみる事にしました。
ところが、走り出してみると、段々息苦しくなってきます。まぁ、コーナーやジャンプで息吐いて止めてる訳で、息が続かなくなってくる訳です。まぁ、習ったばかりの呼吸法だし、慣れてないって事もあるだろうという事で、初級コースに行く事になりました。
初級コースでも、習った呼吸法で走ってみましたが、コーナーは安定するのですが、ジャンプが難しい。というか、飛び方を忘れてるっぽい。いや、呼吸に意識があると、ジャンプのフォームや踏み切り方に気が回らず、ギッタンバッタンした飛び方になってしまいます。
そこでイチから先生にフォーム等の指導を受けて直していったのですが、自分はつくづく、ジャンプの斜面に当たっていく時の衝撃に弱いんだな、と感じました。弱いから開けられない、瞬発的にガバっと短切に開けられないから、長くダラーんと開けてしまう。一時が万事、この調子なのです。
■大震災
ようやく感じをつかめてきたので、んでは再びと走り始めた2周目、先生が両手広げて止まれの合図をしたので、「珍しいなー、もう休ませてくれるんだー」(いつもは根上げるまで走らされますw)と止まってみると、「地震だ、地震」と仰せられる。エンジン止めてみると、確かにグラグラ揺れている。しかも大揺れ。「バイク降りて良いですか」とバイク倒して降りた途端、ドドーっと大揺れが来た。東京住まいなので地震には慣れてるけど、こんな大揺れは初めて。先生と二人で、初級コースの入口のベンチにつかまって揺れが収まるのを待っていたのですが、たっぷり3分くらいは揺れてました。取り敢えず戻って情報を集めましょう、という事になったのですが、戻ってみると停電。こんな事もあろうかと、小型のラジオを持っていたのでFMでNHKを聞いてみると、宮城の方が震源地という。しかも10mの津波が押し寄せてくるとか、栃木県宇都宮方面は震度6強で、宇都宮市内は50万世帯が停電で信号も点いてないとか。東京の方でも九段会館の屋根が落ちたり、港区で火災があったりでかなりヤバそう。職場とも電話が繋がらず、メール出してもレスなし。
そこでやむなく、スクールは中断。翌日のスクールもキャンセルして急遽東京に帰る事にしました。市貝から4号バイパスに向かう道中は、道路に倒れた家の塀、崩れた屋根瓦、割れた窓ガラス、倒れた墓石と、被災地そのもの。停電で信号は点かず、いつも安いパンや値引きの弁当買ってる祖母井のストッカーはガラスが割れて営業中止。コンビニも停電で閉店。4号線に出てからもいつも入れてるガソリンスタンドは、真っ暗で給油出来ない、との事。
そして、高速道路が全面通行止めのせいか、上りの4号線はカンカンに詰まって大渋滞。ともかく、ガソリンはCRF用のハイオク10リットルがあるのですが、食い物がないのが困りました。しかも、朝0400時から起きてるので、眠くて死にそう、、トロトロ走って道の駅のごかに着いたのは、夜の2200時の事でした。
道の駅ごかでカップラーメン2つ(腹減ってたのでw)とコーラを調達した後は、またもやノロノロの渋滞路をひたすら南下。もう夢うつつで、どうやって運転してるかも判らん状態で、埼玉のどこかのマクドナルドの駐車場で30分ほど仮眠しただけで運転を続け、ようやく朝の0500時に帰宅する事が出来ました。
東京もかなり揺れたらしいですが、自分の家は、冷蔵庫の上のレトルト食品が若干床に落ちた程度で、ネコのみりんも元気に無事でした。
今回のスクール、かなり画期的な事を習ったはずなのですが、地震のお陰で消化不良のままになって感は否めません。まぁ、誕生日の前日に、オフロードのコースで、元世界チャンプと歴史的大地震に遭うという、ある意味、忘れがたい体験が出来たのですが。
東京に帰ってから、ともかく習った呼吸法に慣れる様にしています。つまり、吸うイメージから吐くイメージへ、腹で息をするのでなく、胸で必要な分だけ息をするイメージです。ベストテクでは、単にライディングフォームやテクニックを伝授するだけでなく、各人の盲点や身体の内部の使い方まで指導するところが、他の流儀に比べてスゴイところだと、改めて実感しました。
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