かつて仮装軍隊クラフトフェルトでは、年1回、「設営隊活動」と称してミリタリーキャンプを催してたのですが、その際に使用してたのが、米軍で使用していた大型のバックパックでした。最初はフレームザックだったのですが、その内に民間の登山用のバックバック同様にインターナルフレームパックになりました。もっとも、これらは部隊が終わった時にその他の軍装品と一緒に放出して、それで得たお金はエンデューロ用の装備に充てました。
   その後、荷物を担いでキャンプに行くなんて事もなくなり、この種のバックパックも用事がなかったのですが、先日、仙元山〜嵐山作戦で古いモンベルの3ウェイバッグで出掛ける事になり(それを残してたのも、なかなか先見の明があった訳ですが)、やはり新型の背負いやすいバックパックがあった方がいいな、という事なりました。


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左がILBE ASSAULT PACK
右が今回入手したRECON ASSAULT PACK




■入手するまで

   バックパックはモンベルの3ウェイバッグの他に、去年の夏に調達した3day ASSAULT PACKがありますが、これは容量が25リットルくらいしかなくて、テント、シュラフ、マットを辛うじてパッキング出来るものの、それ以上は入りません。ウェビングにポーチ類を付けて拡張する事は可能ですが、そもそもの容量不足を補うのには無理があります。
   では、アサルトパックの土台?になるメインパックはどうかというと、こちらは容量が75リットルくらいあって1〜2泊のキャンプやるには容量が多すぎるだけでなく、パック自体が3.3kgもあります。容量、重量ともにちょっと無駄が多いという訳です。(ちなみに、昔は米軍の大きなモジュラースリーピングバッグを使ってましたので、容量66LのCFP-90を使ってました)
   そこで、CORPSMAN ASSAULT PACKが良いよ、というのを教えて貰いました。CORPSMANというのはアメリカ海兵隊の衛生兵の事で、その衛生兵用のアサルトパックという訳です。調べてみると、普通の兵隊用のアサルトパックよりも縦長で容量が多そうです。
   問題なのは、このコープスマン・アサルトパックが品薄な上にエライ人気で、国内のオークションではあまり見かけず、海外のオークションでも200ドルくらいしている、という事です。聞けば、このコープスマン・アサルトパックをフォース・リーコン(海兵隊武装偵察部隊)のアサルトパックに流用したとか採用したとかで、そのリーコン・アサルトパックはそれこそ稀少品なので、その代用としてコープスマン・アサルトパックも値が上がってる、という事でした。
   まぁ、自分は衛生兵とか特殊部隊のコスプレがしたい訳じゃないので、その辺りの事情はどうでも良いのですが、手に入りにくいのは困ったものです。気長に待つ一方で、海外のオークションで落札するつもりでPaypalなんかの準備を進めたのですが、それが整った矢先に、これから紹介するリーコン・アサルトパックがヤフオクに出品されていて、あれやこれやの壮絶wな入札合戦の末、およそ特殊部隊員らしくない自分のとこにやってきた、という訳です。

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パックの中に縫いつけられているタグ
衛生兵用のものは「RECON」が「CORPSMAN」になってます
数としてはリーコンの方が少ないそうです
(つまり稀少品w)


■まず見た目

   手元に届いたリーコン・アサルトパックを目にした時の第一印象は、「思ったほど大きくはない」というものでした。実は45リットルから50リットルくらいの容量がある様な印象を持っていたのですが、せいぜい40リットルくらいだと思います。3dayアサルトパックを20cmほど伸ばした様な感じです。
   しかし、アサルトパックより大きくなった分、MOLLEウェビングが施された範囲も広く、アサルトパックよりもより多くポーチを付けれる様になっています。自分が民間の登山用ザックでなくPALS(Pouch Attachment Ladder System)を施された軍用のバックパックに拘ったのは、必要に応じてポーチを追加できる拡張性が良いと感じるからです。
   パックは上部の大半を取り巻くように付いているファスナーを開けると、メインコンパーメントを開く事が出来ます。全開にすれば中身が全部見えます。中には下から1/4くらいのところで仕切りが設けられていて、パックの下にもファスナーが付いていてボトム部分の荷物を取り出す事が出来ます。よく民間の山用バックパックだとシュラフとか下着とか入れたりしますが、恐らく似たような使い方をすると思います。
   メインコンパーメントには、ファスティックのバックルの受けなどが付いていますが、これは衛生兵用のコープスマン・アサルトパックには衛生材料をいれるポーチ類があって、それを固定する為の物です。リーコン・アサルトパックにはポーチの代わりにハイドレーションが付属してるらしいのですが、自分のには入ってませんでした。
   メインコンパーメントの蓋の外側にもファスナーが付いていて、それを開けるとサブコンパーメントが開きます。色々ポケットが設けられていますが、サブコンパーメント自体は3dayアサルトパックよりも厚みが薄く、あまり物を詰め込む雰囲気ではありません。
   肩のストラップや腰のベルトは、3dayアサルトパックよりも立派なのが付いていますが、厚みは結構ペラペラです。

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パックのほぼ全周をとりまく様にファスナーが付いているので
ガバっと開ければ中身が一発で見れます

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外側のファスナーを開けると、サブコンパーメントが開きます
元は衛生兵用のパックなので
医薬品を小分けして入れるポケットが多数あります

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登山用のバックパック同様、ボトムを開ける事が出来ます
中の仕切りは簡単に外す事が出来ます



■取り敢えずパッキングしてみた

   どのくらいの物が入るのか、まずは先日の嵐山作戦の時の装備をパッキングしてみる事にしました。
   まず、シュラフをボトム部分に入れてみたのですが、結構余裕がありましたので、1回分の下着も入れてみました。それでもまだ少し余裕があったのでポンチョも入れてみたのですが、かなりキツキツになってしまったのでポンチョを入れるのは止めにしました。仮に入れたとしても取り出したり仕舞ったりが大変そうです。シュラフにしても下着にしても、キャンプ地に着くまで用事の無い物なので、ボトムに入れておくのが良いでしょう。
   メインコンパーメントには、サーマレストとテントを入れました。左右があつらえたみたいにピッタリでテントポールを潜り込ませる余裕が無かったので、サーマレストとテントの上に載せる様にしました。思った通り、メインコンパーメントにはまだ余裕があったのですが、アルストセット、キャンティーン、トイレットペーパー、食糧といった物までパッキングする余裕はありませんでした。
   メインコンパーメントの余った部分に何を入れるかは、色々研究したのですが、原則として出発から帰宅まで容積の変わらない物を入れる事にしました。例えば、ポンチョや今後先々購入予定のECWCSのトラウザーなど。食糧などは時間と共に減っていくものですので、パックの外でも良いかと考えた訳です。
   アルストセットとキャンティーンは、MOLLEのキャンティーンポーチに入っていますので、パック側面の下側に付ける事にしました。嵐山作戦で使ったモンベルの3ウェイバッグは、全ての装備をパッキング出来たのですから、このリーコン・アサルトパックよりも容量があった事になります。

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メイン部分にはサーマレストとテント本体を
余裕があるので雨具等を入れれます
テントポールはこんな感じで

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ボトム部分は結構スペースがあります
シュラフとアンダーウェアをパッキング


■拡張用ポーチ

   取り敢えず、雨具系の装備をメインコンパーメントに入れるとして、食糧、トイレットペーパーといった消耗品は、外に付ける事にしました。食糧も1泊分ならともかく、2泊分となると結構な量になります。
   まず、パックの側面ですが、左右の下部にはMOLLE IIのキャンティーンポーチに入れたアルストセットとキャンティーンを付ける事にしました。アルストセットは状況に応じてアルストからP-153に切り換え可能です。キャンティーンはナルゲン・オアシスを使いますがキャンティーンカップを付けてパッキングします。
   側面上部には、IFAKポーチを取り付けました。最初はSAW 100rdポーチでも良いかと思ったのですが、パックの幅とIFAKポーチの幅が丁度イイ感じだったのと、中古が安くで手に入ったのでそれにしました。ただ、中古だけに結構クタクタのが来てしまい、ちょっとがっかりしたのですが、入れるのがトイレットペーパーとかファーストエイドキットとか、武器ポーチにタオルみたいな物なので、まぁ入れば良いかなと思い直しました。
   問題の食糧は、最大2日分を入れれるポーチとして、MOLLE IIのMODULAR LIGHTWEIGHT LOAD-CARRYING EQUIPMENT SUSTAINMENT POUCHに注目しました。長ったらしい名前ですが、MOLLE IIラックサックのメインパックの側面に付けるでっかいポーチで、容量は2リットルのペットボトル2本分です。リーコン・アサルトパックのサブコンパーメントのカバーは面積が広いので取り付け可能です。実際付けてみたのですが、結構でかい。目一杯詰めたら3日分の食糧くらい軽く入りそうです。大きい事は良い事ですが、見た目のバランス的にはSAW 200rdポーチの方がイイかもしれません。

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側面にIFAKポーチとキャンティーンポーチを付けました

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サステインメントポーチが付きますが
さすがにこれはちょっと大き過ぎかもしれません(汗

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モンベルの3ウェイバッグと比べると
リーコン・アサルトパックの方が厚みが薄いです
その分、追加ポーチで補ってる感じです


■その他取り付け

   リーコン・アサルトパックの側面には、内容量が少ない時にパックの厚みを縮める為のストラップが付いています。このストラップは長めになっていて、側面にポーチを付けた時にポーチがバタつかない様にする為の物でもあります。ポーチがない場合は言うに及ばず、ポーチが付いていても若干の余裕があるので、折り畳みの三脚イスやトレッキングポールなどを縛着する事が出来ます。ポーチが無い状態なら、ジャケット類も畳んで縛り付ける事が出来ます。
   MOLLEウェビングにカラビナを付ける、というのは昔から良くやるのですが、実際にぶら下げるのはキャンプの後に出るゴミ袋くらいなものです。無いと寂しいから付けてる様なもんですが、最近はプラ製のカラビナやグリムロックというD環が使われる事が多い様です(昔は登山用のジェラルミンのカラビナを付けてる事が多かった)。ゴテゴテとポーチを付けると、これらも付ける場所が無くなってくるのですが、プラのは重さも全然ないので、適当に付けています。

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右はブラックダイヤモンド製のオーバル
昔(といっても2006年頃ですが)は、こういうのが多かったです
左はMOLLEウェビングに取り付けるグリムロック


■背負い心地

   先にも述べた様に、リーコン・アサルトパックのショルダーハーネスは幅広ではあるものの、かなりペラペラです。かつてのILBEメインパックの半分くらい、3dayアサルトパックと比べてもペラいです。こんなペラくてちゃんと背負えるのか、と心配したのですが、意外や意外、背負ってみると重さが十分分散されて、非常に背負い易いです。昔、ALICEパックからCFP-90に替えた時に感じたのと同じ感動です。つまり、とても背負い易く出来ているのです。
   ストラップ類の調整の仕方は、民間の登山用バックパックと同じです。ショルダーハーネスの肩部分のストラップを調整して、パックが背中から浮かない様にし、背負ってからショルダーハーネスの脇のストラップを引っ張ってパックの高さを調整して背中に合わせ、ウエストベルトを締め、チェストストラップを留めて完了。背負った時の重さの感じ方は、手で持った時の半分くらいにしか感じません。
   このリーコン・アサルトパックは、インターナルフレーム式でなく、背中にあたる部分に樹脂板が入っています。この樹脂板のお陰でパックの形がかっちりすると同時に、この樹脂板は湾曲していて背中にベッタリくっつかない様になっていて、重量の分散と背中の風通しを良くする様に出来ています。
   結果として、嵐山作戦で使用した装備プラスαを詰め込んでも、楽に背負う事が出来ました。軍用品と言えども、アウトドアの一流メーカーが設計すると、なかなか良い物が出来る様です。

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見た目、かなりペラいですが、性能は抜群です

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先日の関宿男子会で初投入
背負い心地は最高でした