自分も大してキャンプとかしない割には、あれやこれやで色んなストーブを買ってきました。ガスだけに限れば、既に4台です。そして屋外で一番良く使っているのも、何だかんだでガスです。その理由は、ガソリンストーブに比べて圧倒的に簡単に使え、アルコールストーブに比べて圧倒的に火力が強いからです。ガスストーブを使う局面というのは、サバイバルゲームやバイクの練習と言った様に、他にメインとなる活動があって、その合間の昼食や休憩の時に使う、といった場面です。つまり、色々忙しい事をしている最中の事ですので、点火や後始末に手間が掛かる様では使い勝手が悪い、という訳です。その意味で、ガスストーブは他の燃料のストーブに比べて、ダントツの利便性があるという訳です。
   しかし、その利便性の高いガスストーブを4台も買い続けた、というところに、状況に応じた更なる便利さを求め続けた試行錯誤があったと思います。それを辿ってみたいと思います。


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大昔のキャンプの様子
「これしかない」といった時代には、それなりに不便も工夫してましたw





■イワタニ・カセットガスジュニア

   時系列順に言えば、カセットガスジュニアは2番目に買ったガスストーブなのですが、「メインとなる活動の合間に使うストーブ」という目的で買った初めてのストーブです。このストーブが発売された頃には、既に様々なメーカーが多種多様なストーブを出していましたが、その中でこのストーブを買ったのは、「カセットガスが使える最小最軽量のストーブ」だったからです。その最小最軽量という意味では、今でもこのストーブはその地位に君臨しています。
   バーナーヘッドはソロ用とあって小さめであるものの、大型の五徳を持ち、電気着火装置を備えたこのガスストーブは、「合間に使う」にはもってこいの素質を持っていました。そしてサバイバルゲームを辞めて使う用事が無くなった後、エンデューロやモトクロスを始めるにあたってトランポ用装備として再登板し、その後も長らく活用しました。
   不満があるとすれば、ケースから出して、足伸ばして五徳広げてカセットガス差し込んで、という具合に多少面倒だった事。ケースとカセットガスのサイズがまったくマッチせず、パッキングに何があったという事でした。
   また、「どこでも手に入れられるカセットガスを使う」というメリットも、日帰りや1泊程度では出先で買い求めるなどという事がなく、あまり意味のない事でした。せいぜいガスカートリッジよりも値段が安いというのがメリットですが、これさえも使用頻度を考えたら、それほど使うものでもないので大した事がありません。
   しかし、もし日本一周ツーリングなどの長期の旅行にガスストーブを持って行くとしたら、これらは大きなメリットとなりますし、自分も迷わずこのガスストーブを使うと思います。また防災用としても、このストーブはうってつけだと思います。

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ご丁寧にご飯まで炊いてますが
レースは言うに及ばず、練習の合間だってご飯炊くなどいう芸当は出来ませんw
(この写真は、レース前夜に撮ったもの)

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大抵はお湯沸かす用事で使います
もっぱら使うのは、温かい物が欲しい冬場で
夏場はまず使う事がありません


■オプティマスCRUX

   オプティマスCRUXは、合間に使う用として買った物ではなく、純粋にツーリング用として買ったものです。そして、収納スペースが自分が知っていたこれまでの物より格段に小さい事、使用状態への展開が素早い事など、ガスストーブが格段に進歩している事を思い知ったのでした。
   ところが、バーナーヘッドがグラグラして鍋が安定しないとか、五徳が小さ過ぎるとか、電着装置が無くてライターが要る、などなど、それまで当たり前であった便利さがない事もあって、コンパクトさのメリット以上に不便さを感じてしまいました。そしてトランポ用のガスストーブとしては、ツーリング用ほどコンパクトさは要求されなかった事から、カセットガスジュニアが投入され、オプティマスCRUXはその後使う事なく、手放してしまいました。

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トランポを使っている人の多くは
積み込むスペースに余裕もある事もあって
カセットコンロを使ってる人が多いです




■イワタニプリムスIP-2243

   IP-2243はガスストーブとしては一番最初に買ったもので、その分多いに活躍したストーブでもあります。実はこのストーブは2回手放しており、今持っているのは3回目に買った物です。1回目に手放した理由は、ガソリンやアルコールのストーブばかり使う様になっていた事、2回目に手放したのはカセットガスジュニアをトランポ用としたのでお世話になった人にプレゼントした事でした。
   では改めて買い直したのは、カセットガスジュニアでは大きな鍋を乗せて多めの料理を作るのには、バーナーヘッドが小さくて適してないからでした。その意味では、今のソロ用のストーブを基準に考えれば、IP-2243はパーティー用と言っても差し支えない大型のバーナーヘッドを備えています。しかし、昔はこれしか無かった事もあって、キャンティーンカップなどのソロ用のクッカーもこれで使っていた訳です。つまり、大は小を兼ねるという訳です。
   ところが、いざ再就役させてみると、オプティマスCRUXで楽する事を覚えてしまったせいか、組み立てが面倒で、かつケースとカートリッジをゴロゴロ取り出すのも面倒、しかも重たいパーコレーターを乗せると、バーナーヘッドがグラグラしてて安定感がない、、などなど、色々不満が出てしまいました。
   IP-2243自体は3回も買い直すだけあって良いストーブなのですが、「合間に使う」用としてはさすがに設計が古くなっていた、という感じです。結局、面倒がたたってあまり使わなくなり、今は野外宴会用として自宅待機中です。

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パーコレーターは本来コーヒーを淹れるためのポットですが
飯炊き同様、忙しい時にそんな暢気な事はしておれない事が多く
お湯入れて作れるインスタントで十分と思ってしまいます


■イワタニプリムスP-153

   軽量小型でかつ安定性の高いストーブ、という事で、実は前からP−153は目を付けていました。しかし、結構良い値段する事、これ以上ガスストーブ買ってどうすんだ的な思いから、ずっと買い控えていました。しかし、結論から言えば、これは買って正解でした。何が正解といっても、剛性が他のメーカーの同様なストーブに比べて、非常に高い。満水のパーコレーターを乗せてもあまりグラグラしません。もちろん、コンパクトなガスストーブの利便性は全て兼ね備えています。欠点があるとしたら、分離型のストーブに比べたら鍋の位置が高くなるので、その点での安定感云々であろうと思うのですが、収納サイズが圧倒的に小さいので、目下のところはこれで十分です。

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最終的に行き着いたのがこれ
メカとしての完成度は非常に高いと思う


■合間に使う、という事はどういう事か

   さて、その便利なP-153を投入したにも関わらず、次第に面倒になって、冷えたままでも食える物ばかり買って行く様になりました。その理由をよくよく考えてみると、装備がゴチャゴチャしてて、出したり仕舞ったりが面倒くさい、というところに気が付きました。
   「合間に使う」という事はどういう事かと言えば、サバゲーであれバイクの練習であれ、そうしたメインの活動の合間に、さっと出してさっと使ってさっと仕舞う、という事です。ストーブのケースとカートリッジとパーコレーター出して、ケースからストーブ出して組み立ててカートリッジくっつけて、パーコレーターからストレーナー出してどこかに置いて、みたいなゴチャゴチャした事は面倒臭くてやっておれん訳です。
   よくよく考えてみれば、この種のストーブは登山や旅行で使われるもので、それらも「合間に使う」的なコンセプトです。ここ近年の各種ストーブの目覚ましい進歩は、まさに「合間に簡単に使える」事を目指して開発が進められて来たんだろうな、と改めて感じた訳です。
   よく、「不便を楽しむ」みたいな思想もある訳ですが、それはそれで間違ってないものの、よほど達者な人でなければ、不便=面倒になってしまいます。特に他にメインの活動がある場合は、便利であればあるほど良い訳です。そして、利便性はストーブ自体の性能だけでなく、それを取り巻く装備においても追求しなきゃダメだなー、という風に感じる様になったのでした。

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優秀なストーブがあっても、こうもゴチャゴチャしていては
使うも仕舞うも面倒でした

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ほとんどが湯を沸かすためだけですから
オールインワンで済ますのが良さそうです