トランポを導入した時に、国産の10リットル缶を買ったのですが、この缶の最大の問題はキャップがスクリュータイプで、うっかりキツくしめると手で開けるのに難儀する事、ホースが内臓タイプで缶に装着する時、必ず手がガソリン臭くなる事でした。それでもガソリン缶ごときで頓着するのも何なので、そのまま使っていたのですが、スクールの先輩方がドイツ軍タイプのジェリカンを使っているのを発見し、そちらの方が遙かに使い勝手がいい事が判りました。


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左が20リットル缶、右が5リットル缶




■物が無い時に限って欲しくなる

 問題はどこで売ってるかで、そいじょそこらのホームセンターには置いてないのですが、色々調べてみると、ジープ関連の店で売っているのを発見。しかも20リットル、10リットル、5リットルの3種類があるのが判りました。当初は10リットル缶1つで十分間に合っていたのですが、バイク2台が泊まり掛けでスクール行くとなると少々心許なく、以前買った手提げの5リットル缶を追加して使っている状態でしたので、思い切って20リットル缶を買う事に決定。ただし、それだけではレース中の給油などに不便ですから、小分け用の5リットル缶も買う事にしました。
 ところが、それを決めた前後に東日本大震災が発生し、国内のガソリン缶は市場から消える自体に。このジェリカンも市場在庫が急騰して、とても手に入らない。取り敢えず在庫のあった5リットル缶を先に入手し、後日、スパウトを手に入れて、20リットル缶は震災発生から3ヶ月後、やっと手に入れる事が出来ました。この他に10リットル缶があるのですが、やっぱりドイツ軍のジェリカンは20リットルじゃないとサマにならない、という事で20リットル缶にしました。
 5リットル缶は、20リットル缶から小分けにして使う為の物で、20リットル缶と合わせて25リットル車載する、という意味ではありません。ちなみに消防法では、自動車には22リットルまで携行缶で燃料を積む事が出来るそうです。

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これがジェリカン最大の特徴であるバネ式のキャップ
しかも旧ドイツ軍のから進化したらしくて
ロックピン(L字の金具)が追加になって、二重ロックになってますから
間違って開く事はまずありません

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ロックピンを外してキャップを開けます


■使い方・使い勝手

 キャップには分厚いゴム板が入っていて、気化ガスが漏れる事はありません。スクリューキャップタイプのガソリン缶には、ガス抜きの栓があるのですが、この缶にはそれがありません。その代わり、キャップを開けた時に、「ポンっ」とフタが開く感じです。マルキルやグランテトラの水筒にビールやサイダー入れた時の様な感じです。このキャップは、開けた状態でロックされるので、逆さにしてもキャップがブラブラしたりしません。
 缶の中は腐食防止の塗料が塗られています。また、20リットル缶にはエアレーションシステムが付いていて、缶を逆さにして給油しても息継ぎしない様にできています。
 昔のドイツ軍のには注ぐ用の装備がありませんでしたが、これにはスパウトというホースが付きます。バイクのタンクに給油する時は、スパウトなしでも缶の注ぎ口からダイレクトに給油できますが、このスパウトを使った方が燃料をこぼす事無く給油する事が出来ます。

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この状態でピットに缶を置いておくのですが
泥や埃がスパウトの中に入らない様に
ホームセンターで適当なゴム栓買ってきて付属させています

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そのスパウトは、20リットル缶の取っ手の部分に取り付ける事が出来ます
このアイデアには唸りましたw

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20リットル缶に満タン燃料を入れるとかなりの重さになります
持ち上げて給油するのは大変なので、他の缶へは灯油ポンプを使って行います


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スクリューキャップタイプのガソリン缶は
キャップの反対側にガス抜き穴があるので横置きは出来ませんが
ジェリカンはこういう置き方も出来ます
昔のドイツ軍の車輌には、こうやって搭載してる例が沢山あります


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10リットル缶の時は背が低かったので
トランポが揺れて缶が倒れるという事はなかったのですが
20リットル缶は背が高いのでその可能性があります
なので取っ手のところにストラップを付けて
上から引っ張る事にしました


 このジェリカンは、UN規格を通ってますので、消防法規格品でもあります。つまり堂々とガソリンスタンドでガソリン入れて貰う事が出来ます。
 ちなみにこのジェリカンは、ラトビア共和国のVALPRO社という会社が作っています。旧ドイツ軍のガソリン缶を、ドイツ軍に占領された国のメーカーが作ってるってのも変わった話しなのですが、ドイツ軍、イギリス軍、フランス軍など、NATO加盟諸国の軍隊で採用されているそうです。

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時々オークションで外国軍のガソリン缶が出品されてますが
このUNマークが入ってない缶は、国内の消防法では使えない事になってます



■パッキンの劣化(2013.5.20追記)

 先日、いつもの様にスパウト使って給油しようとしたら、スパウトの根本からガソリンがタラタラこぼれてきました。何だと思ってスパウトを外してみたら、ゴムパッキンが劣化して縮んでいました。2週間前に使った時は異常なかったのですが、この2週間の間に急速に劣化したという事でしょうか。
 缶の蓋に入ってるのを見てみましたが、そちらの方は20Lも5Lも異常がありませんでした。察するに、缶の蓋の方は常に気化したガソリンがパッキンに当たっているのでゴムが湿気を帯びた状態なのに対して、スパウトの方は缶の取っ手に取り付けられているのでゴムが乾燥したのかもしれません。いずれにせよ、このままの状態ではガソリンがダダ漏れですので、JO-YA.comにメールして替えのパッキンを取り寄せる事にしました。
 後日、パッキンが届いたのですが、かなり分厚くなったみたいで、ロックの爪を奥まで押し込むのが難しくなっていました。でも、それだけきっちり装着出来る事でもあるので、大丈夫でしょう。

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左がスパウト。ゴムが乾燥して縮んでいます
定期的にパッキンを交換する必要がありますね


■5Lジェリカン専用スパウト用クリップ(2013.5.23追記)

 パッキンだけ頼むのも何なので、5L缶の取っ手にスパウトを取り付けられるクリップも注文しました。これまで、スパウトは10L缶と20L缶にしか取り付けできなかったのですが、これで全種類取り付け可能となった訳です。クリップを取り付け、スパウトをセットしてみると、意外に持ちやすい事が分かりました。見た目も意外とカッコイイです。
 問題なのは、仮に長時間のレースなどで給油用にコース脇とかに置いておくとして、この状態では使わないだろう、という事です。直ぐに給油できる様にスパウトはセットした状態で置いておくでしょうし、取っ手に付けた状態だと、砂や埃がスパウトに入ってしまう事もあるので、あまりよろしくありません。トランポに搭載している時は20L缶に取り付けていますから、よくよく考えたら要らなかったかも知れませんw

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こうやってみると、それなりにカッコイイです
考えた人はなかなかの知恵者ですね

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持ち運ぶ時も、意外に手に馴染みます
ただし、この状態でコース脇やピットには置きたくないですねぇ


■10リットル缶に切り替え(2020.8.22追記)

 トランポを200系ハイエースに乗り換えたのをキッカケに、20リットル缶をやめて10リットル缶にダウンサイズする事にしました。と言うのも、前と違って泊まり掛けで2デイで走る様な事はもうなくなり、20リットル買ってもなかなか燃料が無くならない事。つまり、無駄に抱えた燃料で場所を取っている事。あと、20リットル缶から直接給油するには重たくて、5リットル缶に灯油ポンプで移しているのですが、この灯油ポンプが意外と邪魔で、しかも次のトランポではあまりゴチャゴチャした装備の積み方をしたくなった事。などなどの事情により、ダウンサイズする事にしたのでした。
 容量が半分なので、抱えて給油するのも苦では無いし、消費と補給のサイクルが早くなって、燃料は比較的フレッシュになるし、場所も取らないし、もちろん灯油ポンプも要らない。しかも、10リットル缶は持ち手の部分が20リットル缶と同じなので、スパウトの固定具も取り付け可能なので、使い勝手に変化はありません。

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寸詰まりな感じの10リットル缶

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ガソスタの店員さんが困らない様に
キャップの開け閉めの説明書付きw

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昔はこんな説明書付いてませんでしたが
良く売れるのか、丁寧になりました

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20リットル缶との比較
これなら横揺れで倒れる事もないでしょう