リンク回りのグリスアップは、1月にスクールの先輩から習ったのですが、ステムのグリスアップは時間の関係で習わずじまい。もっとも、1月に店でやって貰ったばっかりだったので、まぁええか、という事で順延になっていました。その後、リンクのグリスアップは2ヶ月おきにやる様にしていたのですが、ステムの方はやった事がないだけに、なかなか手が出なくて半年使いっぱなしの状態。そろそろやらんとイカンな、と思う様になりました。
   取り敢えず、サービスマニュアルとメンテ本を何度も読み返し、ネットでも調べて知識を付けて、大体作業の流れは頭に入れました。そこで、まず必要と感じたのは、トルクレンチとピンスパナ。トルクレンチは30N・mの小さいのは持ってますが、ステムナットを締めるには足りないので、プロクソンのマイクロクリック200/Sを購入。トップスレッドも規定のトルクで締めたかったので、トルクレンチ用の穴の開いている、KOWAのピンスパナを調達。多少出費になりましたが、腕に心得がない以上、道具はしっかりした物を用意しておきたかったのです。


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下がKOWAのピンスパナ
上はデイトナのアジャスタブルリングスパナ
外すだけなら、
デイトナのだけでも十分です

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自分はちゃんとトルク管理をしたかったので
HONDA指定の工具にしました




■バラすのは簡単

   モチュールカップ第二戦の翌日は休みを取ってあったのですが、好都合にも晴天。この日を逃したら、またせっかくの休みが雨でダメになってしまうかもしれないので、思い切ってステムのグリスアップに挑戦する事にしました。
   まず、ハンドルからクラッチやブレーキのレバーなど、余計な物を外して、ハンドルクランプ外してハンドルを取り払います。アクセルはばらさなくても、そのままスッポリ抜けます。外したクラッチレバー、キルスイッチ、ブレーキレバー(というよりブレーキフルードのタンク)、アクセルは、垂れ下げるのは何なので、ガムテープでシュラウドに貼り付けて置きました。
   先にステムナットを緩めておくのですが、予想以上に固くて、400mmのスピンナハンドルを買っておいて正解でした。レンチ2丁組とかでやったら、ナット舐めたりレンチ曲げたかもしれません。あと、緩める時に大パワーを掛けるので、スタンドに立てたバイクが倒れそうで怖かったです。
   続いてフロントブレーキを外して、これもそのままぶら下げるのは何なので、ガムテープでラジエターブレースにぶら下げました。次にフロントホイールを取り外し、トップブリッジとステアリングのフロントフォーク止めてるボルトを緩めて、フロントフォークを取り外します。ゆっくり捻って外すんだと初めて知りました。
   ステアリングダンパーを外し(ネジロック剤で止めてあるので固い)、ステムナットを外してトップブリッジを外すと、トップスレッドが丸見えになります。それをKOWAのピンスパナで外しましたが、拍子抜けするほど軽くしか止まってませんでした。トップスレッドを外す時は、ステアリングを下から支えて、地面に落とさない様に注意しました。
   分解そのものは、思っていた以上に簡単でした。

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外したレバーやホース類は
ガムテープで車体にくっつけたり、ぶら下げたり

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取り外したベアリング
下のベアリングは外れません

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意外にグリスが残っていました
もっとも、流れたり劣化する前に作業するのが基本です




■先入観は恐ろしい

   さて、ステアリングを抜き取ると、上のベアリングとダストシールは簡単に取れるのですが、ステアリングに付いている下のベアリングとダストシールは取れません。当然、取れるもんだと思っていました。ところが、手で引っ張ろうがどうしようが、外れない。サービスマニュアルを見てみると、「タガネなどを利用して取り外す」と書いてあります。
   そこで、マイナスドライバーでベアリングをこじってみたのですが、相当力を入れないと外れそうにない。何だか壊してしまいそうです。ダストシールを下側(ステアリングを逆さまにした)からマイナスドライバーで、手で叩いてみましたが、やはり簡単には取れそうもありませn。
   そうこうしているウチに、ダストシールが歪んできました。さすがに、こりゃぁヤバイと感じて、作業中断。もう一度サービスマニュアルを見てみると、新しいベアリングとダストシールは油圧ポンプなどで圧入する、といった事が書いてある。そんな物はないので、もしかしたら、ここは外すところじゃないのかな、と疑い始めました。
   そこでバイク屋さんに電話して聞いてみると、ロアーのベアリングは外さない事、歪んだダストシールは取り敢えず叩いて元通りにしてみると事、といったアドバイスを貰いました(お休みのところ、ありがとうございました)。取り敢えず、パーツクリーナーでグリスを飛ばして、ベアリングを回してみましたが、引っかかったりする感じは全くないので、壊れて無さそうです。ダストシールの方は、出来るだけ頑張ってみましたが、キッチリ真っ直ぐにはなりませんでした。
   こういう作業ってのは、やってみない事には判らないもんだなぁ、と改めて実感しました。サービスマニュアルの方も、ベアリングを交換しない時は外さずグリスアップする、って事くらい書いてくれたらいいのに、、

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てっきり外れるもんだと思っていたら
ここは圧入されていて、普通は外しません

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ダストシールを叩いたりこじったりしていたら
ダストシールが歪んでしまいました


■グリスアップ

   まずは残っているグリスを除去する事から。パーツクリーナーをブシブシかけてグリスを飛ばします。840mlの缶を2本、使い切りました。グリスの方は、半年そのまま使っていた割には結構残っていて(ほとんど流れてなかったらしい)、変色も半分もしてませんでした。リンクに比べると、洗車機とかの影響はあまり受けない様です。
   パークリが揮発して乾燥したら、今度はグリスアップ。これでもかというほど、耐水グリスを塗りたくります。といっても、レースの方は塗るにも限度があるので、もっぱら激塗りしたのはベアリングの方です。メンテ本には手の平でグリスを押し込む様に塗り込む、と書いてあります。上のベアリングはそれに近い事が出来ましたが、下のベアリングはステアリングにくっついているので、指先でグリグリぬりこみました。
   続いて結合ですが、下のダストシールを歪めてしまっているので、組み込む前にダストシール回りもグリスで埋め、上のベアリングを付けてからダストシールを付ける前に、やはりグリスで埋め込み、とにかくグリスだらけにして仮組みしました。
   この後は、サービスマニュアルに書いてある手順、トルクで締め込んでいき、パッパと結合作業を終えました。トルクレンチがあるので安心して締めれますし、かえって作業が早く済んだ気がします(無いと、どのくらい締めたらいいか、ゆっくり慎重になってしまう)。


■感想

   初めての作業だけに、始める前はちょっと緊張しましたが、一通り終わってみて感じたのは、リンク回りのグリスアップより手間が掛からなかったな、というものでした。まぁ、何でもチャレンジしてみない事には判らないもんです。始める前よりは、かなり自信が付きました。
   しかし、下のベアリングを外そうとして、ダストシールを歪めるなど、失敗もありましたし、規定トルクで締めた割には、ステアリングが重くなった気もしないでもありません。取り敢えず、間違えた結合の仕方はしてないと思うのですが、不具合がある様ならバイク屋に診て貰おうと思います。
   トルクレンチやピンスパナなど、緊急の出費もありましたが、自分みたいに腕に心得のない人は、せめて工具はちゃんとしたのを揃えておけば、安心して作業が出来る、という事がよく判りました。

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上がマイクロクリック30/S
下が今回買い足したマイクロクリック200/S
デカくて重いです