今回、参加を思い立ったのは、去年の猪苗代大会に参加したメンバーが全員参加する事が判ったからで、だったら自分も行こうかなー、といった様な、遠足気分からでした。まぁ、去年の経験から、エライ目に遭うのはほぼ確実と思えたので、楽しい雰囲気があればこそ参加したくなった訳です。
   しかし、参加するからには万全を期したい。まず自分がケガしない事は言うまでもない訳ですが、バイクを壊したりバイクのせいで満足な走りが出来ない、というのでは困ります。そこで今回はCRF250Rランスチャージ号で参戦する事としました。実は去年の猪苗代大会の時も、CRFなら完走できたんじゃないか、という声があったのですが、納車から2ヶ月、まだ9回しか乗っておらず、ハードなレースで使う自信がなかったのです。その点、あれから半年、スクールでもかなり乗り、神経は大分通ってきたので、早さはともかくJNCCで乗る自信は出来ました。
   しかし、ランスチャージ号はもともとMX仕様です。今度の斑尾スキー場がどんな地形なのか事前の情報がまったくなかったため、前回の猪苗代大会を参考に、ウッズ、ガレ場に対応した装備を施しました(→CRFエンデューロ仕様)。若干重量が増えましたが、まぁ、のんびり走るという事で対応するつもりです。
   問題は、航続時間。自分が出るFUNクラスは100分+アルファですが、CRF250R10はタンク容量が5.7リットル。IAクラスの人が全力走行して30分しか持たない設計です。無論、自分がIAの人と比類する様な走りをする訳ではありませんが、途中でガス欠なんて事になったら目も当てられません(帰るのが大変)。そこで4月29日にモチュールカップのA-2クラス(3時間)に参加して航続時間を実験したところ、90分走ってもまだ余裕がある事が判りました(まぁ、それだけ走ってない、という事ですが、、)。一応、予備の燃料は用意するとして、それでもよほどの事がない限り、無給油で走れるという予想をしました。


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ブロードウェイ斑尾
よく考えたら、スキー場って、降りる事はあっても
自分の足で上がってくるってのは、滅多にないですよねw





■集結の園へ

   出発は8日の朝0730時。途中、横川SAで釜飯買ったり、小布施PAでどら焼き買ったりしつつ、渋滞なしで昼前に宿泊先であるサンパティック斑尾に到着。着くなりリッターバイクと乗用車が衝突事故を起こしてて、かなりビビリました。
   どこに駐めていいやら判らないのでホテルのフロントで聞いてみたところ、指示された場所が体育館の裏。てっきりアスファルトの駐車場だと思ってたら、細い裏路地の無舗装の道端でビックリ。今回の大会では、パドックで泥落とし禁止という事になっていたのですが、そうは言えども泥は落ちてしまうものですし、むしろ舗装されてない場所の方が気兼ねが少ないものです。
   チェックイン出来ますよ〜という事だったのですが、他のホテル泊の人らの為に場所取りをしてやらないと、あっという間に埋まってしまいそうな雰囲気だったので、確保した場所の番をしつつ横川で買った釜飯を食って、コースの下見に行く事にしました。

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横川SAで買った釜飯
きんぴらゴボウが入ってなかったら良かったのに
アンズはちょっとゴムの香りw


■試走はしておくもんだ

   本格的な下見はみんなが来てからにする事にして、取りあえず上から見える範囲を歩いてみた訳ですが、地面が見えてるところはザクザクでウッカリするとスピンするかも。草が刈られた所は歩いてても滑る感じでヤバ目。何よりスキー場だけに全面斜面ばっかで、コーナーはほぼ全部キャンバーか逆バンクです。下りはギャップが多いし、登りは延々登りで途中で止まろうもんなら再スタートがしんどそう。
   なのに元気なトイボネン君は、これから試走に行くという。いやはやどないしようかなぁ、と迷ったのですが、天気も良いですし地面もグチャグチャじゃないので、受付と車検を済ませてからお付き合いする事にしました。取りあえず、状況がよく判らんので、タイヤの空気圧は前後とも0.8。エアクリはいつもの様にウチでしっかりオイル塗った奴。ところが、標高が高くて空気が薄いからか、エンジンがなかなか本調子にならない。10分近くチョーク引いて暖気して、やっとこエンストしない感じ。インジェクションと言えども、エンジンが本調子でないとなかなか言う事聞きません。

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取り敢えず試走しました。やっておいて正解でした


   やっと登場したがんトック兄も試走に行く、というので、取りあえず先にコースイン。すでに他の選手の人もワラワラと試走してました。計測ポイントからいきなり下りで、「お、お、お、ちょっと怖いぞ〜」と思っていると、いきなり転倒。まさかそんなトコで転けると思わなかったので、ショックを隠せなかったのですが、地面はフカフカなので痛くもないし、下り斜面なので再始動にも手間取らず、上向いた左のハンドガードを叩き直して再出発。
   ところが、今度は登り斜面でタイヤがグリップせず転倒。計測ポイントに向かうズルズルの坂で登るのに難儀しました。もう一度走りましたが、どうにもタイヤがグリップしてくれないので、一旦パドックに戻りタイヤの空気圧を0.5まで下げる事に。本当は0.4くらいまで下げたかったのですが、ビードストッパーは一つしか入ってないので、辛抱しました。すると今度はしっかりグリップして、下りから登りへ移るコーナーも、ズルズルの上り坂も、安定して走れる様になりました。
   都合4周ほど走って、試走終了。走ってる最中、やたらビーンと甲高い音がしてたので、まさかマフラーに穴でも開いたか、と思ったのですが、どうやらラジエターブレースが振動してたみたいです。まぁ、気にしない事に。
   そのあと、みんなで連れだってコースの下見に。受付の時にやっと渡されたコース図を頼りに、どこまでもどこまでも降りていき、ハーフパイプへ。高さ2m、斜度45度くらいの段差を降りて、雪解け水が浸食したボコボコの底を走るのか、と思うと気が重くなってしまいました(笑)。そこから上まで登るのはシンドイんで、ショートカットして、ウッズの下りを登って、今回話題のブラッククリフへ。即座に自分じゃ登るのは無理と判断し、これ以上歩いたら明日に差し支える、という事でさっさと帰りました。

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出走前にエアクリフィルターの交換
まぁ、そのままでも良かったのですが、気分の問題ですw


■出走前

   前の晩は、夕食のバイキングを食い過ぎて、みんなと歓談する間もなく部屋で横になってました。朝食はホテルの方が気を利かせて0500時からでしたが、まだ腹に昨日のバイキングが残ってる感じで、あまり食べられませんでした。
   朝食を済ませたら、直ちに体育館裏のパドックへ。いそいそと準備に取り掛かります。と言っても、バイクの方は昨日の内に大方の準備を終わらせていましたので、エアクリだけ予備の新品の物に交換しました。あとは着替えて、キャメルバッグにアクエリアス入れて、準備万端。余裕綽々でライダーズミーティングに臨みました。

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おおよその準備は昨日のウチに済ませてたので
出走準備は楽チンでしたw


   スタートは0830時から。出走前はドタバタしますが、今回は第一ピットにガソリン缶と三角スタンドまで持ち込んで、十分暖気もしてスタート地点に向かう事が出来ました。が、余裕があったのはここまでで、スタート地点で呆然。いきなり長い登り斜面です。「こんなトコでエンストしたらタマランなぁー」とにかくCRFはどういう訳か、登り勾配ではエンジンがなかなか掛からないのです。しかも坂道発進ですから、普通でもシンドイ訳です。しかし、いつもの事ながら、心配しても間に合いません。
   暖気タイムが終わって、一瞬の静寂。スタートラインの遙か向こうには、セクシーなお姉ちゃんが掲げ持つ「30秒」のサインボード。日本晴れのゴールデンウィーク最終日の空に轟く爆音。振り下ろされる日章旗。砂塵を上げて爆走する先頭集団。いよいよ出撃!

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いつになく余裕をかますワタクシ
全国大会も2度目となると、こんな感じです




■ファーストラップは45分

   と思ったら、いきなりエンスト!またしてもスタートで失敗してビリケツ。泡食ってキックするものの、案の定、勾配では掛かりにくい。やっとこ掛かって再発進してみたら、坂を上がりきったあたりでFUNクラスの半分くらいが渋滞で止まっている状態。これ幸いに追いつき、抜けそうなラインを進もうとしたら、またしてもエンスト。うんしょうんしょとキックして再発進した時は、ほぼ最後尾でした。
   それでも気を取り直して走り出し、第一コーナーの次の滑る坂をどうにか越えて、下って登って計測エリアを通過。第二ピット前の長い下りを下り、やっとこやいり君を補足して追い抜きました。大変かな、と思ったハーフパイプは、注意さえしてれば意外とそうでもなくてすんなり通過。折り返しの長大な上り坂も、コーナーの入り口でアクセルをガンガン空ぶかししてエンジンの回転を上げてから一気に突破。ウッズ横の粘土坂をダララ〜〜っと下り、折り返してやはり粘土質の坂を一気に上がって、ブラッククリフの脇の斜面を横断。排水路があってすでにマディ状態でしたが、辛うじて突破できました。次の小径を利用したコースはアクセル開け気味で突破した訳ですが、ブラッククリフ下の底地に儲けられた段々のあるコースで、スタック。まさか段々があると思わなかったので、セクション対応が遅れました。それをどうにかクリアすると、いよいよブラッククリフです。

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緊張するスタート前
まさか、上り坂でスタートと思いませんでしたw


   既に多くのライダーがエスケープルートで立ち止まったりひっくり返ったり、諦めて急な斜面を下っていました。自分も迷わずエスケープルートに入ったのですが、立ちどころに彼らの仲間入り。ゆっくりジリジリ前に進もうとしましたが、リアが滑り出しどう頑張ってもそれ以上進める感じでなくなりました。そして、そのままイヤな感じでバイクが地面に寝てしまいました。
   悪態をつきながら、どうにかバイクを起こし、数度エンストとキック始動を繰り返し、とうとう諦めて下に降りたものの、降りた先は湿地帯。めちゃくそ苦労しながらやっとこブラッククリフのアプローチまで戻り、再びエスケープルートに再チャレンジ。ところが、のっけからバイクがかしいで、谷側に倒れ、自分もゴロンゴロンとおむすびみたいに転がって行きました。「こんなコース!誰が考えたんだ!」と怒鳴りながら、ふと見上げてみると、あとから来た上手な人は、ブラッククリフの中腹まで駆け上がり、そこから緩やかにターンしてエスケープルートの入り口まで下っているのを発見しました。その方が滑らないみたいですし、スタックしてるバイクがあっても簡単にパスできます。これしか手がないと思いました。
   三度目の正直でチャレンジしてみると、簡単にエスケープルートの入り口に到達。幸いにスタックしてるバイクもなかったので、そのまま突破した訳ですが、その先の右キャンバーターンが滑りそうで、うっかり車速を落としてしまいエンスト。この先は長大な上り坂なので、エンジンの回転を上げるように再発進し、坂を上がりきり、スタート地点へ。
   問題は、スタート坂を上がった第一コーナーの先の滑る上り坂。うっかりリアを滑らせて転けてしまいました。起こして再発進しようにも、リアがズルズル滑って前に進みません。よく見ると、他にも似たような感じになってる人が何人かいました。上手い人は、車速を上げて車体を浮かして突破している様です。何分そこで粘っていたのか判りませんが、いよいよゴーグルも曇りだし、イヤになって棄権してやろうかと思った時、自分と同じ様に滑ってた人が、地面が乾いて多少平らな所までバイクを押していき、そこから発進するのを見掛けました。リタイヤするにもパドックまでバイクは持って帰りたいので、自分もその人の真似をして、再発進。
   あ〜〜、もうヤダヤダと思い、取りあえずガソリン缶を置いた第一ピットに入ろうとしたのに入り口が判らず、そのまま計測ポイントへ。デジタル時計が00:48:45を示しているのを横目に見ながら、心ならずも2周目に突入しました。

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スタートで遅れたワタクシ
ダラダラ降り坂を怖々降下中w


■コースを覚える

   仕方ないので、減速姿勢を取って降下。1周走って大体コースの感じが掴めましたので、大分余裕が出て来ました。コーナーはどんな緩やかなコーナーでも、コーナーリングの姿勢を前もって取っておけば、余裕を持って曲がれる様になりました。地面がガコガコのハーフパイプも、腕をクロスして骨で耐える事で無理な力を使わず突破。下りから登りに移るコーナーでは、コーナーのクリップポイントで二回線の要領でエンジンの回転を上げて登り、ギャップでリアが浮いた時はアクセルを空ぶかしして、エンジンの付きを良くする事も忘れませんでした。
   2周目辺りから、ウッズから下の粘土坂は右側に深いワダチが出来ていました。ミニモトなどはワダチを嫌って左に入り、スタックする人が多かった様です。自分は迷わず右に入り、クラッチ全閉、Fブレーキ開閉でプラレール走法に徹して突破。ところが、その先のブラッククリフ脇のマディキャンバーは、何条ものワダチが出来ている上にグシャグシャ。突破するのに難儀する人が何台もいました。比較的突破し易そうなワダチを選びましたが、エンストしてストップしただけでなく転けてしまい、唸りながら起こして再始動。
   そのその先の段々のあるコースは、勝手が判ったのでリズム良く突破出来ましたが、そこからブラッククリフのアプローチに入る隘路が掘れ始めていて、どうしても車速を上げたままブラッククリフに突入できない。アクセル空ぶかしで斜面に当たっていき、今度は上手に中腹からエスケープルートの入口に降下して、難なく突破しました。
   そのまま坂を上がり、スタート地点も登坂し、滑る坂も車速を上げたまま突破。3周目に向かいました。

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上り坂はアクセル全開
ギャップで跳ね上げられても全開ww



■顕著な変化

   もうイヤイヤ言わずに3周目に突入。ハーフパイプもブラッククリフ脇のマディも慎重に突破。ふと見ると、ブラッククリフ下に、やいり君の白いXRがスタンド立てて置いてあるのを発見。直ぐそばに、やいり君が体育座りしてるのも発見。どうやらマシントラブルでリタイヤの様です。それを横目に、段々コースを突破してブラッククリフへ。
   今回も中腹まで上がって、そこから下ってくるつもりだったのが、自分の右となりを走ってた人が、自分を追い抜いて目の前で左折。自分はもっと上まで行くつもりだったのに、コースを塞がれて自分も左折するハメになっただけでなく、車速も落ちてしまい、斜面でストップ。車体が谷側に倒れて、自分もゴロゴロと落ちていきました。恨み節を口にしても仕方ないので、取り敢えず車体を起こして、下まで下り再度アタック。今度は上手く行きました。
   スタート地点を突破し、いよいよ滑る坂へ。何だかんだでここが一番シンドイ事が判ってきたので、車速を落とさない様にコーナーを回ろうとしたのですが、運悪くというか、他のバイクに揉まれて気後れしてしまい、坂の途中でアクセルを開けたら車体がスピン。やっちまったー、と思いつつ、ゆっくりアクセルを繋ぐも、地面を掘るばかり。仕方ないのでバイクを降りて押しましたが、数歩進んでエンスト。バイクに跨ってキックするも、ギアが入っててキックが降りない。しかもなかなかニュートラルに入らない。掛けては押し、押してはエンストし、それを繰り返し、少しずつ乾いた所まで押していきました。
   やっとこ目的地点まで持ってきたものの、息が上がって直ぐに発進出来ない。キャメルバッグのチューブ(今回は泥は付いてなかったw)をチューチュー吸い、呼吸を整えて再発進。少し休めば、疲れが取れて走り出せるのが今回の特徴です。
   計測ポイントを過ぎる時、デジタル時計の表示は01:26:37。気合い入れて最後の周回に突入しました。

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何が疲れるといっても、足場の悪い所でのエンジン始動
しかも上り勾配だとなかなか掛からなくて

泣きたくなるほど疲れました


■完走へ

   今回はどうあってもチェッカーを受けたい。時間的には、この周回が最後である。燃料も大丈夫(スタックした時にキャップ開けて確認した)、クラッチも大丈夫そう(一応、調整し直した)、気力体力も大丈夫、それ行け!という事で、下っていきました。
   元気よくウッズ下の粘土坂を下っていき、返しの登りの粘土坂に差し掛かってみると、アッチコッチでバイクがスタックしている。自分がこれまで何開く突破してきた一番右のラインも、スタック車輌が塞いでいる。ヘタにラインを変えると、自分のテクでは蟻地獄にはまるのが判っているので、慎重に右のラインに進入。しかし、車速が上げられなかったので自分もスタック。結局、3回くらいエンストして、やっと駆け上がる事が出来ました。
   そしてブラッククリフ。首尾良く中腹からエスケープルートの入口まで下ってきたのですが、その入口でエンスト。左足が谷側なので足が付けず、無理してエンジン掛けずに、マーシャルさんのサポートで段差を降りる事に。ところが、止められた場所が右も左も足が届かないところ。「どっちの足も届かへんやんけ!!」と思わず口を突いて文句が出てしまいました。すると、マーシャルさんが「フロント押さえてますから、エンジン掛けて下さい」と優しくサポート。左側に倒れてた倒木にやっと足をかけて、エンジンを始動すると、「ラストですから頑張って!」と。仕事とはいえ、マーシャルさんには毎度お世話になります。
   この後は、大きなトラブルもなく、滑る登り坂もリアを滑らせながらスビズバと上がり、ついにゴールイン。チェッカーを受けました。ギャラリーの皆さんがハイタッチに待ってましたが、ウッカリ左手離したらエンストしそうなので(そこも登り勾配だった)、ハイタッチは遠慮してまっすぐパドックに向かいました。

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ヘロヘロになりながら、最後の周回へ