オフロードヴィレッジで開催されている6時間耐久エンデューロ。前から出てみたいとは思っていたものの、エンデューロ系で自分の親しい人の多くは、なぜかオフビが好きくない人が多いので、チーム組めないんですよ〜、という話しをしていたら、話しがどう回ったのが、いきなり2月28日の第一戦に出る事になりました。(当初の予定では、5月の第二戦に出るつもりをしていたw)






■マディレースの心得

   ところで、オフビと言えば、自分は練習の時にドロドロな事が多くて、エライ目に遭った事が何度かあるのですが、困った事に本番当日の2日前くらいから天気が悪くなり、前日は決定的な雨。マディレースは必至の状況となりました。
   そこで一緒に出る人から以下の連絡が回ってきました。
  • ゴーグルとグローブは複数容易し、いつでもピットクルーがコースへ持っていけるよう分かるところに置くか、ピットクルーに渡しておくこと。
   さぁ、困った。グローブはこの手のレースの場合は軍手が良い、という話しを去年のJNCC猪苗代大会の時に聞いていたので、トランポに一袋丸々積んであるのですが、ゴーグルの替えはさすがにありません。予備があった方が良いに違いないのですが、折しも資金難で買えず仕舞いでした。幸いというか、前回のWERで使ったティアオフがまだ残っていましたので、それで対応する他ありません。
   この他にも、フェンダーの裏にMUD OFFを貼り付けるだの、グリップに割り箸を巻いておくとか、ヘルメットのバイザーにプチプチシートを貼っておく、等々、マディレース対応の準備があるらしいのですが、何分、経験がないのと準備のための時間も金もない事から、準備出来ませんでした。

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今日は中止にならんのかなー
と、呆然とする参加者の皆さん


■雨の中の決行

   前日の昼間、少しだけ陽が出た時は希望を持てたものの、結局夜の内にまとまった雨が降ってしまい、かつ、朝にさらに降り、現地に着いた時は、遠足や運動会ならもれなく中止、という降りっぷりでした。しかし、オフロードバイクのレースはこんな雨でも中止にはならないもので、三々五々集まったメンバーと、「今日は走らない」とか「中止になるでしょ?」とか言いつつも、タープ立てたりバイク下ろしたりして準備を始めました。
   バイクの方の準備は予め出来ているので、今度はライダーの方の準備です。いつもの様に余所行きのウェアを着た上で、レインウェアの上着を着込み、ブーツの上から梱包用のラップをグルグル巻きにして、上下端をガムテープでキッチリ巻いて、泥がブーツの中に入ってこない様にしました。レインウェアのズボンの方も履いた方が良かったかなー、と思わなくもなかったのですが、この時点ではレインウェアは雨対策で着てるんだ、という認識でした。
   車検を済ませ、雨の中をバイク持参で開会式に出て、その後はトランスポンダの検査だというので、サイドスタンド持ったまま、ぞろぞろとみんなについていくと、着いたのはスタート地点。そこからコースインして小屋の前を通れという。そして、そのまま下見走行したい人はして良い、との事でしたが、自分はサイドスタンドはあるし、プロテクターも着けてないので遠慮しようと思ってました。ところが、小屋の前を通ったあと、どこからコースアウトするのか判らないまま、みんなの後について行ってしまい、そのまま下見走行するハメになりました(爆)
   そこで恐る恐る走り出してみたのですが、意外や意外、思っていたほど走りにくくない。泥にタイヤを取られる事もないし、ちゃんとグリップする。転けたら痛いしハンドルに引っかけたサイドスタンドが気になるので、ゆっくり気を付けて走ったのですが、これなら行けるかも、という感触をえてピットに戻ってきました。

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来た事を激しく後悔するコースコンディション
乾いてたって、まともに走れないのに、、


■雨のち曇り

   レース開始は0930時。自分の出番は4番手、1145時出走ですから、それまでは観戦です。サインボードは、10分前に「残り10分」を出し、交代1周前に「P」を出す、という事になってました。実際には、「残り10分」を出して、次ぎに回ってきた時に「P」を出す、という感じです。
   第一ライダーの時には、まだまだ雨が結構降っていて、いつのまにやらゴーグルが無くなって、メガネに泥水被って、前が見えない状態になっていました。他のライダーもゴーグルを捨ててる人が多かったので、こういう時にメガネっ子は気の毒な事です。
   そこで自分の出番が回ってきた訳ですが、この頃辺りから雨が小止みになってきました。天佑神助、これなら間違いなくイケル!と思って勇躍発進しました。ところが、気持ちは勇躍していても、走りの方は慎重に輪を掛けた遅さで、走ってる自分が辟易するほど。とにかく、開けれそうなところでは早めにエンジンの回転を上げ、スタンディングして体重心を上に上げて走ろうとする訳ですが、そうそう開けれそうなところが続いている訳でもなく、コーナーではとにかく転けない事、エンストしない事を目標にし、坂では手前のアプローチで十分加速して、坂の途中では開け過ぎないように、つまり前に進むのが精一杯、という状態でした。
   それでも最初の内は元気だったのですが、転けそうになるのを無理矢理踏ん張って起き上がったり、数え切れないほどエンストしてその度にキックしたり(さすがにインジェクションだけに、掛かりは良かった)、雨が上がって徐々に路面が乾きだして走りにくくなりはじめ、最後の周回の時には、もうヘロヘロになってしまいました。




■どこが道やら畑やら、見分けもつかぬ泥濘で

   ピットインしたら、直ちに洗車場にバイクを運んで、ざっと泥を落としました。でないと、泥つけたまま次ぎの出番を走る事になるからです。自分の事より、まず馬体手入れ。砲兵や輜重兵といった馬扱いの兵隊とここら辺は同じです。もっとも、次ぎの出番は135分後ですから、十分休養をとる事が出来ました。(自分で作ったデカおにぎり食って、腹パッツンで困りました)
   さて、天気の方は午後から晴れだし、コースのアチコチから湯気が立つ状況となってきました。ピットインしたライダー達からは、「滑りやすい」だの「泥が重い」だのといった声が聞かれ、午前中とは明かに難易度が上がった様です。
   そして回ってきた自分の番。休養十分、気合い入れてコースインしましたが、いきなりリアがズリズリ滑ってビックリしました。午前中と違い、とにかく路面が重い。深いワダチが出来ている所は、ワダチ以外の所にうっかり突っ込むと脱出が大変。ワダチの中を走るにしても、トロい走りしか出来ないのでフラフラして余計怖い。そして段々疲れてくると、ハンドルの押さえも効かなくなってくるし、エンストはしまくるし、走るというより、1メートルでも50センチでも前に進める、という感じになってきました。
   こんな走りなので、自分から転ける、という事はなかったのですが、前に止まってる人の巻き添えを食ってエンストするとか、エンストして止まってる自分の脇を抜けようとした人が、自分に引っかかって転けるとか、貰い事故的なミスがとても多くて、腹立つやらイライラするやら、どうとでもしてくれ状態になりました。
   そんな進んでは止まり、止まってはキックし、というのを繰り返している内に、最終ラップ。最後ぐらいはマシな走りをしよう、と頑張った訳ですが、最後の最後、計測小屋の前のコブで、目の前のちびっ子がエンストして自分も巻き添え。2メートル先でチェッカーが振られてるのに、5分ほど身動き出来ず、やっと動いた時には、4〜5台に抜かれていました。最後くらいはスムーズに終わりたかったのに、それが出来なくて悔しい思いをしつつピットに戻りました。

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カッチョ良くサインボードを出すワタクシ
格好だけは満点です


■反省

   マディレースは去年11月のJNCC猪苗代大会で経験しているのですが、今回は雨も一緒に降っていたのが大きな違いでした。結論からいうと、どうせ泥なら雨降ってた方がまだマシでした。雨が降っていれば、泥はシャバシャバな状態なのですが、雨が上がると泥は乾き始めヌタヌタになるので、非常に走りにくくなりました。
   こういうマディ路面では、シートにどっかり腰を下ろしてトロトロ走っていたのでは、車速も上げれずかえって不安定なのはスクールでも習っていますので、なるべく体重心を上へ上へと上げようと心掛けましたが、午後のヌタ路面ではそれもかなわず、もがく様な走りしか出来ませんでした。まだまだ訓練が足りません。
   気持ち良く走れない、というのはストレスが溜まるもので、特に午後はその傾向が顕著であった訳ですが、もとよりヘタクソなのは承知の事なのですから、ドーンと気持ちを構えてイライラしなければ良かったと思います。上手く走れなかった時はいつもそうですが、結局、自分自身に対して怒ってるんだな、と思います。
   こんな具合でしたので、現地での後片付けも大わらわだった訳ですが、何をさておいても、フロントフォークの掃除だけはしておくべきでした。それこそ、午前の出番の後、せっかく洗車したのですから、そのあとフォークを拭いておくべきでしたし、トランポに積み込む前にもやっておくべきでした。うっかりそれを忘れていたため、後日、フォークからうっすらオイルがにじみ出しました。いずれ近々のうちにOHに出さねばならないでしょう。

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午後の超絶マディでイヤというほどエンスト
あまりに頭にきて、何度バーパットを殴りつけた事か


■戦訓

   今回の様なマディレースは、出来れば走りたくないもので、ギリギリまで中止になるのを期待していたのですが、そうはならず、本音としては不承不承走り出した、という感じでした。しかし、悪いコンディションの時に好きこのんで走るというのはまずないので、その意味では良い経験であったと思います。
   それでも辛うじて走って帰って来れたのは、スクールで滑る路面の走り方を習っていたからで、そこで習った様に、「早めに加速して体重心を上に上げる」をやれる所では必ずやる、1メートルでもそれを実行する事を心掛けました。逆に、午後はそれが段々やれなくなり、シートにどっかり座ってしまうと、余計に不安定になり更に疲労が溜まる、という悪循環を起こしました。何にせよ、練度不足は決定的で、今後、レースは自粛してその費用をスクールに回してでも、戦技向上をはかる必要を強く感じました。
   装備に関しては、雨が降っていましたので、レース中は濡れネズミは仕方ないとしても、作業中は傘が差せないと思い、ツーリング用のレインウェアを持って行きました。そしてその上着をレース中に着て走ったのですが、下衣も履いて走れば、ブーツやモトパンの泥汚れを相当軽減させる事が出来たな、と後になって気が付きました。もっとも、泥だらけになり、あとでブラシで擦ったり洗濯機で洗ったりして、撥水性を台無しにしてしまうので、他の人はもっと安物のカッパで使い捨てでやってる人も多かった様です。
   ブーツの防水に関しては、前回のWERで梱包用のラップをブーツに巻いている人がいたので、それを真似しました。ラップだけでは心もとなかったので、上端と下端にガムテープを巻き、さらにステップに当たって破れたところにもガムテープを巻きました。効果は絶大で、ブーツの中は蒸れはしたものの、中に泥は一切入り込まず、泥汚れも靴の部分だけで、後始末がとてもし易かったです。
   ゴーグルは1つしかなかったので、午前午後ともそれで通し、ティアオフは2枚以上つけると見にくいので2枚で頑張りました。しかし、午前の雨マディで相当汚れ、1枚目は放棄したものの、2枚目を捨てるとレンズが汚れてしまうので捨てれず、たいそう見にくい思いをしました。そうまでしてレンズをクリアな状態に保とうとしたのですが、泥のついた手で外さざるを得ず、結果的に午後は見えにくい状態で走る事になりました。やはり予備のゴーグルを装備した方が良さそうです。
   その他の装備としては、今回は雨という事で、自立式タープを持ってきている人が何人かいて、そのタープの間にブルーシートを渡して簡単な屋根を作り、自分もその下にバイクを置かせて貰っていました。常時搭載するのはともかく、雨や日差しの強い時には、この手の屋根はあった方が良いに決まっているので、自分も一つ欲しいな、と感じました。

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貸し出したXR250“グレーとストライカー号”のえらいこっちゃの図